42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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2章 Aを目指せ

84話 君は誰だ?

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「どうして、その名前を・・・?」

「この世界に生まれてくる時、天使って名乗る人からこんな事言われませんでしたか?『他にも転生者はいる』って」

 言われた。思い出した。確かにこの世界に生まれ落ちてくる前にボディービルダーみたいな天使から俺以外にも転生者はいると聞かされた。17年以上も前の出来事だったのと、こちらの常識を身に着けるのに必死で、記憶の奥底に眠っていた。

 思い出すと共に、ナックルという魔族の青年の正体に気が付けた。彼もまた転生者なんだ!!

「君も転生者なんだ・・・」

「はい、そうです。佐久間さん」

「日本語の発音からして、君は前世では日本人で良いのかな?そんでもって、野球ファンだったと」

「前世での名前は杉谷友弘です。こっちではナックル・テラーって名前です」

「杉谷?って事は杉谷拳士さんの・・・?」

「いえ、全く関係もって無関係です」

「そっか・・・」

 転生者と協力しろと言われていたので、てっきり同じ勢力にいるかと思っていた。まさか、敵勢力にいるだなんて・・・。

「ってか、何で俺が転生者で、かつ前世を知ってたの?もしかして転生者同士は理解し合えるとか?いや、それだと俺もできる事になるけど、俺は分からなかった・・・ますますどうやって分かったのか謎になってきた」

 この世界に転生してから、誰にも転生者だと言った事はない。正体を知られたら何をされるか分からなかったからだ。故に、この子が俺の正体に気づけたのが謎だ。情報ゼロでどうやって俺を確信したんだ?

「簡単ですよ、投球フォームです。それと、投げた後の癖です。佐久間さん、投げた後に必ず右手で頭をかく癖があるんです」

「マジ?」

「まじです。実際にそれで気づけました。それと、亡くなった時期。佐久間さん、僕が死んじゃう半年前に亡くなられてましたから」

 頭をかく癖は、NPB時代に同期から言われた事がある。投球フォームとその程度の癖だけで良く気づけたな。凄い洞察力だ。

「佐久間さんもこの世界に生まれ変わったって事は任されたんですよね?この戦争を終わらせるように、天使達から」

「ああ、頼まれた。だから、今は戦争に参加する為にA級冒険者を目指してるんだ。最前線に出てみないと全貌が分からないからね」

「成程。そして、この戦いこそがA級に上がる試験だったって事ですね。因みに依頼内容はどういうのでしたか?」

「『デビン洞窟に潜伏している魔族を倒せ』だったね。気分を悪くしたら申し訳ない」

「いえ、お気になさらず。カートライトでのベルム族の扱いは知っていますので・・・」

 悲しい顔をするナックル。仕方なかったとは言え、申し訳ない事をしてしまった。

「実は、佐久間さんにお願いがあって、ここで待ってたんです」

「お願いって?」

「僕達を見逃してほしいんです・・・」

 お願いを言い終わると、ナックルは俺に向かって深々と頭を下げるのであった。
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