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婚姻披露の日、私は王都に出向いてはいない。
バルトルト様が嫌がったから。
それでも……多くの噂が3日後には私の元に届いた。
バルトルト様とミリヤムは婚姻披露を行った。
ただし……婚姻自体は成立していない。
今のミリヤムはバルトルト様に恋し始めていたから正式な婚姻はありえない。
会場入りする新郎新婦。
着飾ったバルトルト様とミリヤム。
二人がが寄り添い、来訪者に挨拶をして祝福への感謝を示す。
寄り添う新郎新婦は、挨拶をして回りお礼を繰り返す。
騎士団の者達が酒に酔い潰れた頃を見計らって、テロが実行されると聞かされていたため、酒の振りをしてジュースを飲む騎士達は命令を待っていた。
だけど、想定外の事が起こった。
人々は戸惑い交じりに声を上げていた。
国王夫婦が訪れたのだ。
「まさか婚姻をするとは思わなかった」
国王は皮肉気に言ったそうだ。
「喧嘩は多かったけど、決して仲が悪かった訳ではないからね。 機会があったから……今では、仲良しですよ」
「そうか、そうか、おめでとう!!」
歓喜に満ちた声だったそうだ。
本当に嬉しそうだったと……狂気を帯びるほどに興奮していたそうだ。
「あぁ、おめでとう……獣のような所業を祝おう。 姉を抱いたか? 具合は良かったか? 何度抱いた? この獣が!! はっはっはははっはははは」
公爵と国王陛下は学生時代恋敵だったと言われている。 恋敵だからと言ってそこに恋心があったかと言えば嘘だ。 ただ……国王は公爵が嫌いだっただけ。
先王の時代、能力の高い貴族は良く取り上げられていた。 褒められていた。 褒賞が与えられていた。 それが現国王は気に入らなかった。 なぜ配下のために尽くすのだと。 だから……最も近くにいたリービヒ公爵に特に敵意が向けられた。
嫌がらせだけのために一度は手に入れた女性をリービヒ公爵に下賜した。
優越感を得るために。
褒美として与えた。
自らの子をその身に宿させながら。
それが……絶対に恋愛関係になりえない秘密。
その事実を知らなかったミリヤムは絶叫と共に泣き崩れたらしい。
「獣の子が……禁忌の子が生まれるのを楽しみにしよう」
そうして……国王は去って行った。
国王夫婦は婚姻披露の会場から王宮に戻る中、事故にあい命を失った。
それを聞き、バルトルトは部下と共に王宮へと向かった。
予定外はあったもののテロは行われていた。
王太子に向けられる刃……。
「国王陛下が亡くなりました。 貴方が……次の王です。 こちらの要求を聞いてくれるなら、貴方の王政を指示いたしましょう」
そう言って王太子は、刃が向けられていた。 そこから、じっくりと新国家に向けての脅しが行われるはずだったが……ソレはバルトルトとその部下に防がれた。
「テロ犯は牢に入れておいて。 でも、乱暴はしちゃだめだよ」
命じるバルトルト。
そして部下達は去っていく。
残される王太子とバルトルト様。
「何が……目的ですか……」
怯えながら問いかける王太子。
第一王子は次期王都して育てられたが、自分以外を嫌う王の犠牲者の一人であった。
「正しく国を導いてくれれば、僕はソレでいい。」
「私に……ソレが出来ると思っているのですか? 私は……私は王の器に無い……。 お前に助けてもらわなければ死んでいた。 死んでいたんだ。 お前に助けられた」
その目は、誰が王に相応しいかと問うていた。
テロ犯は殺そうとは思ってなどいなかった。
等とは言わなかった。
「なら、これからも助けてあげるよ。 でも、王族からは離脱する。 僕の幸せはサーシャの側だから。 だから、ただの男爵家の婿として力になるよ」
「私を捨てるのか!!」
「そっちが……先に僕を捨てたんでしょう?」
「私じゃない!!」
「大丈夫。 国が立つまで……力になるよ。 それは約束するよ。 安心して……」
バルトルトは膝をついた。
「僕は、国王陛下の味方です」
王族なんて面倒なのは論外!!
それが、私とバルトルト様の同意見だった。
影の相談役として……私達は、私達の幸福を追求する。
今までも、これからも。
本篇終わり。
バルトルト様が嫌がったから。
それでも……多くの噂が3日後には私の元に届いた。
バルトルト様とミリヤムは婚姻披露を行った。
ただし……婚姻自体は成立していない。
今のミリヤムはバルトルト様に恋し始めていたから正式な婚姻はありえない。
会場入りする新郎新婦。
着飾ったバルトルト様とミリヤム。
二人がが寄り添い、来訪者に挨拶をして祝福への感謝を示す。
寄り添う新郎新婦は、挨拶をして回りお礼を繰り返す。
騎士団の者達が酒に酔い潰れた頃を見計らって、テロが実行されると聞かされていたため、酒の振りをしてジュースを飲む騎士達は命令を待っていた。
だけど、想定外の事が起こった。
人々は戸惑い交じりに声を上げていた。
国王夫婦が訪れたのだ。
「まさか婚姻をするとは思わなかった」
国王は皮肉気に言ったそうだ。
「喧嘩は多かったけど、決して仲が悪かった訳ではないからね。 機会があったから……今では、仲良しですよ」
「そうか、そうか、おめでとう!!」
歓喜に満ちた声だったそうだ。
本当に嬉しそうだったと……狂気を帯びるほどに興奮していたそうだ。
「あぁ、おめでとう……獣のような所業を祝おう。 姉を抱いたか? 具合は良かったか? 何度抱いた? この獣が!! はっはっはははっはははは」
公爵と国王陛下は学生時代恋敵だったと言われている。 恋敵だからと言ってそこに恋心があったかと言えば嘘だ。 ただ……国王は公爵が嫌いだっただけ。
先王の時代、能力の高い貴族は良く取り上げられていた。 褒められていた。 褒賞が与えられていた。 それが現国王は気に入らなかった。 なぜ配下のために尽くすのだと。 だから……最も近くにいたリービヒ公爵に特に敵意が向けられた。
嫌がらせだけのために一度は手に入れた女性をリービヒ公爵に下賜した。
優越感を得るために。
褒美として与えた。
自らの子をその身に宿させながら。
それが……絶対に恋愛関係になりえない秘密。
その事実を知らなかったミリヤムは絶叫と共に泣き崩れたらしい。
「獣の子が……禁忌の子が生まれるのを楽しみにしよう」
そうして……国王は去って行った。
国王夫婦は婚姻披露の会場から王宮に戻る中、事故にあい命を失った。
それを聞き、バルトルトは部下と共に王宮へと向かった。
予定外はあったもののテロは行われていた。
王太子に向けられる刃……。
「国王陛下が亡くなりました。 貴方が……次の王です。 こちらの要求を聞いてくれるなら、貴方の王政を指示いたしましょう」
そう言って王太子は、刃が向けられていた。 そこから、じっくりと新国家に向けての脅しが行われるはずだったが……ソレはバルトルトとその部下に防がれた。
「テロ犯は牢に入れておいて。 でも、乱暴はしちゃだめだよ」
命じるバルトルト。
そして部下達は去っていく。
残される王太子とバルトルト様。
「何が……目的ですか……」
怯えながら問いかける王太子。
第一王子は次期王都して育てられたが、自分以外を嫌う王の犠牲者の一人であった。
「正しく国を導いてくれれば、僕はソレでいい。」
「私に……ソレが出来ると思っているのですか? 私は……私は王の器に無い……。 お前に助けてもらわなければ死んでいた。 死んでいたんだ。 お前に助けられた」
その目は、誰が王に相応しいかと問うていた。
テロ犯は殺そうとは思ってなどいなかった。
等とは言わなかった。
「なら、これからも助けてあげるよ。 でも、王族からは離脱する。 僕の幸せはサーシャの側だから。 だから、ただの男爵家の婿として力になるよ」
「私を捨てるのか!!」
「そっちが……先に僕を捨てたんでしょう?」
「私じゃない!!」
「大丈夫。 国が立つまで……力になるよ。 それは約束するよ。 安心して……」
バルトルトは膝をついた。
「僕は、国王陛下の味方です」
王族なんて面倒なのは論外!!
それが、私とバルトルト様の同意見だった。
影の相談役として……私達は、私達の幸福を追求する。
今までも、これからも。
本篇終わり。
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