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第217話 [邪神ソワレイカ戦Part3]
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【ルーク視点】
「トルバ達はアレと戦った事があるのか?」
「どれくらい前かは覚えていませんが、何度か前の前世では戦った事がございます。」
「あぁ、そうか。聖獣は死んでも生まれ変わるんだったな。」
「はい。とはいえ、私共の様にあの戦いの記憶を所持している者は極わずかです。」
「なるほどな。それで今の玄武としての力はその頃と同じなのか?」
「いえ、シュウト様より頂いた魔力のお陰で近づいてはいますが、ステータス的には10分の1程度でしょうか。」
「10分の1か・・・勝算は有るのか?」
「1体1というのであれば難しいでしょう。」
「なら此処に居る全員で掛かればどうだ?」
「ボタンお嬢様を除いた方々の実力は、あの頃と比較するならば年若い仙人クラス、シンジ坊っちゃまやお嬢様方は聖獣として独り立ち出来る程のお力はございませんので、五分五分かと。」
「ボタンちゃんはまだ戦い始めたばかりだしなぁ。」
「そうですね。確かに全体的に見れば参加する程の力はないのですが、巫女としての技が現状でも日に1度だけならば放てますので、タイミングさえあえば大打撃を与える事は可能ですよ。」
「それはどういうモノなんだ?」
「四聖獣の魔力を集めて無属性の波動砲を短剣を向けた方向に放ちます。」
「なるほどなぁ・・・それで発動までの時間はどの程度掛かるんだ?」
「そうですねぇ、私共四聖獣が傍に居れば発動は直ぐにでも。」
「距離が発動までの時間って事か。なら、今から戦う場合、何処まで離れてても良いんだ?」
「発動までの時間という事であればシンジ坊っちゃまの背中に乗っていれば即座に放てますよ。」
俺は少し考えてボタンちゃんの方を見た。
「ボタンちゃん、なんで付いてきたんだ?」
「え!?・・・えぇとそのぅ・・・。」
俺の質問に戸惑いを隠せないでいるボタンちゃんは一旦置いといてツバキの方を見た。
「ツバキ、何故連れてきた。」
「妹の意思は強い。突き放しても必ず隠れてでも付いてきます。それに祝福され、更に力をつけたボタンが本気で隠れたら私でも分からない。なら、付いてくる事を認め、安全を確保した方がいい。」
「それ程か?」
ツバキが俺の質問に即座に頷いたので再びボタンちゃんを見た。
「なら、今から戦う相手はかなり強いのは判るな。」
「うん。」
「シン坊に乗って俺の合図が有るまで防御に徹するって約束出来るか?」
「うん。」
「分かった。シン坊もそれで良いか?」
「わかった。」
俺はシン坊の返事を聞くとサスケの方を見た。
「サスケ、こうなっちまったが問題ねぇか?」
「そうでござるなぁ、拙者としては地上で居て欲しかったでござるが、此処ではその方が安全でござるから仕方が無いでござる。」
サスケの返事を聞いた俺はアペクマンティコアが徐々に近付いてきているのは感じていたがトルバに再び質問をする事にした。
「トルバ、アレを倒すにはどうすれば良いんだ?」
「一つ一つの顔に小さな角の様なモノがあるのは分かりますでしょうか?」
「ん?・・・あぁ、有るな。」
「あの魔物には魔石の他にあの角の様な魔核がございます。その魔核だけを削ぎ取り、離れた場所で破壊します。」
「直接攻撃で破壊しないのか?」
「はい。直接攻撃では直ぐに再生致します。続きを宜しいでしょうか?」
「あぁ、すまん。頼む。」
「では、その魔核ですが、破壊するとその部位が動かなくなり、その再生も離れて破壊する事で鈍くなります。」
「なるほど、アペクマンティコアの動きを阻害してから倒すって事か。」
「はい。アペクマンティコアは全ての魔核を破壊する、もしくは身体の50%以上を破壊させると魔石が内部から露出し、再生の速度を急速に上昇させますので、その魔石を破壊する事で倒すことが出来ます。」
「なるほどな。最初に50%以上って話をしなかったのは俺達では無理って事か。」
「はい。そして魔石ですが、再生には自身の能力だけでは再生しない様で他の魔物を襲いその魔物の魔石を喰らい、再生致します。」
「なるほ・・・って事はこうやって魔石が散らばってる状況は拙いよな?」
「そうですね。先ずは魔石の回収を優先した方が良いかと。」
俺とトルバがそう話しているとシン坊が話し掛けてきた。
「それならボクがひろってくるよ。」
「ん?シン坊がか?」
「うん。とうちゃんとまものとうばつしてるときにまほうで、はしりながらあつめてたから。」
「何でそんな事してたんだ?」
「とうちゃんが、たおすいきおいがすごくてそうしないと、まにあわなかったから。」
「あぁ・・・まぁとりあえずそれでどの位の早さで回収出来そうだ?」
「どうかなぁ・・・じゃまされないなら100かぞえるあいだにはできるとおもうよ。」
「そうか。ボタンちゃん、マジックバッグは持ってるか?」
「はい。」
ボタンちゃんはそう言うとポーチサイズのマジックバッグを見せてくれた。
「サスケ、アレってどの位入るやつだ?」
「アレでござるか?アレは師匠が前にプレゼントって言って渡してた物でござるからどの位って言ってたでござるかなぁ?ツバキは覚えてるでござるか?」
「確か、目の前のアペクマンティコアが1体位は軽く入るんじゃないかな。」
「はぁ!?アレがか?それって国宝級のやつじゃねぇか・・・。」
「そうでござる。拙者もそれで1度断ったでござるが、シンジと行動を共にするならコレでも足りるか分からないぞって言われて納得するしかなかったでござる。」
「まぁ確かにシン坊達と一緒ならそれでも足りねぇかもしんねぇか。」
「そうでござるな。」
「まぁいいや、とりあえずシン坊とボタンちゃんは魔石の回収を頼めるか?」
「「は~い。」」
「よし、ツバキとレイは2人で。後は各々魔核の破壊を頼む。」
「了解でござる。」
「ちぎって壊せば良いんだよね。」
「そうだなメグミちゃん。ただ魔法は効かないと思って行動するんだぞ。」
「は~い。」
「カナエ嬢もそのつもりでな。」
「うん。」
「じゃあ、それぞれ散開!」
俺達はそう言うとバラバラに別れてアペクマンティコアに攻撃を開始した。
シン坊は予定通り、高速移動と魔法を駆使して走りながら凄いスピードでボタンちゃんに魔石を渡し、ボタンちゃんも慣れた様子でマジックバッグに収納していった。
ありゃ慣れてんなぁ。
俺がそう思いながらアペクマンティコアに近づくとアペクマンティコアは近付いてくる全員に目掛け咆哮を放ってきた。
「チッ!やっぱり咆哮はするか。しかしとんでもねぇ威力だなぁ。一撃でももらえばタダじゃすまねぇぞ。」
俺はそう思いながら咆哮を避けながら周りを見るとツバキとレイは手を繋いで影に潜り、トルバ達は前面に影を伸ばして咆哮を吸い込んで行き、サスケとメグミちゃん、カナエ嬢は俺と同様に避け、アキトは槍を突き立てて咆哮の軌道をずらして各自接敵していった。
俺は先ずは放たれる咆哮の数を減らす為に顔面に取り付き、顔面の角を削ぎとると投げ飛ばして離れた場所で破壊した。するとトルバの言っていた通りに魔核の破壊された顔面は目を瞑って沈黙した。
「なるほどな。これなら何とかなるか。」
俺はそう言うと次々と顔面の角を破壊していった。
そうして幾つかの魔核を破壊した時に違和感を感じて後ろを見ると沈黙したはずの顔面が復活したのか、顔面を伸ばして俺に喰らいつこうとしてきた。
「クソ!もう復活したのか?」
俺がそう思って他の沈黙させた顔面を見ると沈黙した顔面が身体の中に入り、代わりに違う顔面が出現した。
「なるほど、魔核が直ぐに復活した訳じゃねぇのか。ってかどんだけあんだよ。」
俺がそう言ったそばから次々と入れ替わっていった。
「コレが百面って事か、まぁ魔核を破壊してきゃ問題ねぇだろ。後は体力が持つかってとこか。」
俺はそう言うと気合いを入れ直してアペクマンティコアの攻撃を避けながら魔核を次々と破壊していった。
「だいぶ顔面の方も静かになってきたな。」
俺はそう言いながら移動して尻尾の方を確認するとレイ、ツバキペアーとメグミちゃん、カナエ嬢が蛇の猛攻を受けながらも魔核を破壊し、顔面同様、数を減らしていた。
そろそろか。
俺はそう思うと通信魔道具を起動させた。
「ボタンちゃん、ボタンちゃん、聞こえるか?」
「え?あっ・・・コレかなぁ?・・・どうするんだっけ・・・?」
「ボタンちゃん、聞こえてるみたいだな。別に操作する必要は無いぞ。」
「え?あっ・・・。」
「聞いてるな。」
「はい。」
「よし、もう直ぐ全部の魔核を破壊出来るはずだ。破壊し終わったら魔石が出てくるはずだから出てきたらトルバが言ってた攻撃を魔石目掛けて放ってくれ。」
「・・・はい。」
「緊張しなくても良いからな。例え外しても時間掛けてでも俺達で倒すから心配すんな。」
「はい!頑張ります!」
「よし!その意気だ!魔石が出てきたら俺達が全員で攻撃するからボタンちゃんも俺達が攻撃したモノを目掛けて放ってくれ。」
「はい!」
俺はそう言うとアペクマンティコアの攻撃をギリギリで避けて最後だと思われる魔核を破壊した。
俺達全員で魔核を破壊したアペクマンティコアは完全に沈黙し、少しすると全身が震え始めた。
「来るか。」
俺がそう言った瞬間、アペクマンティコアの背中が盛り上がり、身体の中から黒く大きい宝玉の様なモノが出てきた。
「今です!」
トルバのその叫びに呼応する様に人である俺達は全力で斬りかかり、すぐ様離脱すると次に四聖獣が咆哮を放った。するとその黒い宝玉にはヒビが入り、咆哮で身体から切り離され宙を舞った。
「ボタンちゃん!今だ!」
「行っけぇぇぇーーー!!!」
ボタンちゃんがそう叫ぶとボタンちゃんの周りに赤、青、白、黒の4つの玉が出現し、ボタンちゃんが突き出した四聖刀の切先に玉から凄い勢いで魔力の様なモノが集まり、音も立てずに波動砲を放った。
その波動砲は黒い宝玉に当たると宝玉の中心に突き刺さった。
波動砲が突き刺さった宝玉は俺達が斬りつけて出来たヒビが全体に拡がり砕けると波動砲に巻き込まれながら消滅した。
宝玉が消滅したアペクマンティコアは徐々に霧散していき、遂には消滅した。
「くぅーキツかったなぁ。」
「そうでござるな。あと少し長引いてたらこっちの体力が無くなってたでござるよ。」
「そうだね。一旦休む時間があれば何度でも挑むけど、戦いの中じゃそうもいかないからね。」
「そうだな。あのままだったら俺達の方が危なかったな。」
俺達はそう言うと上空で戦っているシュウトを見上げていた。
「トルバ達はアレと戦った事があるのか?」
「どれくらい前かは覚えていませんが、何度か前の前世では戦った事がございます。」
「あぁ、そうか。聖獣は死んでも生まれ変わるんだったな。」
「はい。とはいえ、私共の様にあの戦いの記憶を所持している者は極わずかです。」
「なるほどな。それで今の玄武としての力はその頃と同じなのか?」
「いえ、シュウト様より頂いた魔力のお陰で近づいてはいますが、ステータス的には10分の1程度でしょうか。」
「10分の1か・・・勝算は有るのか?」
「1体1というのであれば難しいでしょう。」
「なら此処に居る全員で掛かればどうだ?」
「ボタンお嬢様を除いた方々の実力は、あの頃と比較するならば年若い仙人クラス、シンジ坊っちゃまやお嬢様方は聖獣として独り立ち出来る程のお力はございませんので、五分五分かと。」
「ボタンちゃんはまだ戦い始めたばかりだしなぁ。」
「そうですね。確かに全体的に見れば参加する程の力はないのですが、巫女としての技が現状でも日に1度だけならば放てますので、タイミングさえあえば大打撃を与える事は可能ですよ。」
「それはどういうモノなんだ?」
「四聖獣の魔力を集めて無属性の波動砲を短剣を向けた方向に放ちます。」
「なるほどなぁ・・・それで発動までの時間はどの程度掛かるんだ?」
「そうですねぇ、私共四聖獣が傍に居れば発動は直ぐにでも。」
「距離が発動までの時間って事か。なら、今から戦う場合、何処まで離れてても良いんだ?」
「発動までの時間という事であればシンジ坊っちゃまの背中に乗っていれば即座に放てますよ。」
俺は少し考えてボタンちゃんの方を見た。
「ボタンちゃん、なんで付いてきたんだ?」
「え!?・・・えぇとそのぅ・・・。」
俺の質問に戸惑いを隠せないでいるボタンちゃんは一旦置いといてツバキの方を見た。
「ツバキ、何故連れてきた。」
「妹の意思は強い。突き放しても必ず隠れてでも付いてきます。それに祝福され、更に力をつけたボタンが本気で隠れたら私でも分からない。なら、付いてくる事を認め、安全を確保した方がいい。」
「それ程か?」
ツバキが俺の質問に即座に頷いたので再びボタンちゃんを見た。
「なら、今から戦う相手はかなり強いのは判るな。」
「うん。」
「シン坊に乗って俺の合図が有るまで防御に徹するって約束出来るか?」
「うん。」
「分かった。シン坊もそれで良いか?」
「わかった。」
俺はシン坊の返事を聞くとサスケの方を見た。
「サスケ、こうなっちまったが問題ねぇか?」
「そうでござるなぁ、拙者としては地上で居て欲しかったでござるが、此処ではその方が安全でござるから仕方が無いでござる。」
サスケの返事を聞いた俺はアペクマンティコアが徐々に近付いてきているのは感じていたがトルバに再び質問をする事にした。
「トルバ、アレを倒すにはどうすれば良いんだ?」
「一つ一つの顔に小さな角の様なモノがあるのは分かりますでしょうか?」
「ん?・・・あぁ、有るな。」
「あの魔物には魔石の他にあの角の様な魔核がございます。その魔核だけを削ぎ取り、離れた場所で破壊します。」
「直接攻撃で破壊しないのか?」
「はい。直接攻撃では直ぐに再生致します。続きを宜しいでしょうか?」
「あぁ、すまん。頼む。」
「では、その魔核ですが、破壊するとその部位が動かなくなり、その再生も離れて破壊する事で鈍くなります。」
「なるほど、アペクマンティコアの動きを阻害してから倒すって事か。」
「はい。アペクマンティコアは全ての魔核を破壊する、もしくは身体の50%以上を破壊させると魔石が内部から露出し、再生の速度を急速に上昇させますので、その魔石を破壊する事で倒すことが出来ます。」
「なるほどな。最初に50%以上って話をしなかったのは俺達では無理って事か。」
「はい。そして魔石ですが、再生には自身の能力だけでは再生しない様で他の魔物を襲いその魔物の魔石を喰らい、再生致します。」
「なるほ・・・って事はこうやって魔石が散らばってる状況は拙いよな?」
「そうですね。先ずは魔石の回収を優先した方が良いかと。」
俺とトルバがそう話しているとシン坊が話し掛けてきた。
「それならボクがひろってくるよ。」
「ん?シン坊がか?」
「うん。とうちゃんとまものとうばつしてるときにまほうで、はしりながらあつめてたから。」
「何でそんな事してたんだ?」
「とうちゃんが、たおすいきおいがすごくてそうしないと、まにあわなかったから。」
「あぁ・・・まぁとりあえずそれでどの位の早さで回収出来そうだ?」
「どうかなぁ・・・じゃまされないなら100かぞえるあいだにはできるとおもうよ。」
「そうか。ボタンちゃん、マジックバッグは持ってるか?」
「はい。」
ボタンちゃんはそう言うとポーチサイズのマジックバッグを見せてくれた。
「サスケ、アレってどの位入るやつだ?」
「アレでござるか?アレは師匠が前にプレゼントって言って渡してた物でござるからどの位って言ってたでござるかなぁ?ツバキは覚えてるでござるか?」
「確か、目の前のアペクマンティコアが1体位は軽く入るんじゃないかな。」
「はぁ!?アレがか?それって国宝級のやつじゃねぇか・・・。」
「そうでござる。拙者もそれで1度断ったでござるが、シンジと行動を共にするならコレでも足りるか分からないぞって言われて納得するしかなかったでござる。」
「まぁ確かにシン坊達と一緒ならそれでも足りねぇかもしんねぇか。」
「そうでござるな。」
「まぁいいや、とりあえずシン坊とボタンちゃんは魔石の回収を頼めるか?」
「「は~い。」」
「よし、ツバキとレイは2人で。後は各々魔核の破壊を頼む。」
「了解でござる。」
「ちぎって壊せば良いんだよね。」
「そうだなメグミちゃん。ただ魔法は効かないと思って行動するんだぞ。」
「は~い。」
「カナエ嬢もそのつもりでな。」
「うん。」
「じゃあ、それぞれ散開!」
俺達はそう言うとバラバラに別れてアペクマンティコアに攻撃を開始した。
シン坊は予定通り、高速移動と魔法を駆使して走りながら凄いスピードでボタンちゃんに魔石を渡し、ボタンちゃんも慣れた様子でマジックバッグに収納していった。
ありゃ慣れてんなぁ。
俺がそう思いながらアペクマンティコアに近づくとアペクマンティコアは近付いてくる全員に目掛け咆哮を放ってきた。
「チッ!やっぱり咆哮はするか。しかしとんでもねぇ威力だなぁ。一撃でももらえばタダじゃすまねぇぞ。」
俺はそう思いながら咆哮を避けながら周りを見るとツバキとレイは手を繋いで影に潜り、トルバ達は前面に影を伸ばして咆哮を吸い込んで行き、サスケとメグミちゃん、カナエ嬢は俺と同様に避け、アキトは槍を突き立てて咆哮の軌道をずらして各自接敵していった。
俺は先ずは放たれる咆哮の数を減らす為に顔面に取り付き、顔面の角を削ぎとると投げ飛ばして離れた場所で破壊した。するとトルバの言っていた通りに魔核の破壊された顔面は目を瞑って沈黙した。
「なるほどな。これなら何とかなるか。」
俺はそう言うと次々と顔面の角を破壊していった。
そうして幾つかの魔核を破壊した時に違和感を感じて後ろを見ると沈黙したはずの顔面が復活したのか、顔面を伸ばして俺に喰らいつこうとしてきた。
「クソ!もう復活したのか?」
俺がそう思って他の沈黙させた顔面を見ると沈黙した顔面が身体の中に入り、代わりに違う顔面が出現した。
「なるほど、魔核が直ぐに復活した訳じゃねぇのか。ってかどんだけあんだよ。」
俺がそう言ったそばから次々と入れ替わっていった。
「コレが百面って事か、まぁ魔核を破壊してきゃ問題ねぇだろ。後は体力が持つかってとこか。」
俺はそう言うと気合いを入れ直してアペクマンティコアの攻撃を避けながら魔核を次々と破壊していった。
「だいぶ顔面の方も静かになってきたな。」
俺はそう言いながら移動して尻尾の方を確認するとレイ、ツバキペアーとメグミちゃん、カナエ嬢が蛇の猛攻を受けながらも魔核を破壊し、顔面同様、数を減らしていた。
そろそろか。
俺はそう思うと通信魔道具を起動させた。
「ボタンちゃん、ボタンちゃん、聞こえるか?」
「え?あっ・・・コレかなぁ?・・・どうするんだっけ・・・?」
「ボタンちゃん、聞こえてるみたいだな。別に操作する必要は無いぞ。」
「え?あっ・・・。」
「聞いてるな。」
「はい。」
「よし、もう直ぐ全部の魔核を破壊出来るはずだ。破壊し終わったら魔石が出てくるはずだから出てきたらトルバが言ってた攻撃を魔石目掛けて放ってくれ。」
「・・・はい。」
「緊張しなくても良いからな。例え外しても時間掛けてでも俺達で倒すから心配すんな。」
「はい!頑張ります!」
「よし!その意気だ!魔石が出てきたら俺達が全員で攻撃するからボタンちゃんも俺達が攻撃したモノを目掛けて放ってくれ。」
「はい!」
俺はそう言うとアペクマンティコアの攻撃をギリギリで避けて最後だと思われる魔核を破壊した。
俺達全員で魔核を破壊したアペクマンティコアは完全に沈黙し、少しすると全身が震え始めた。
「来るか。」
俺がそう言った瞬間、アペクマンティコアの背中が盛り上がり、身体の中から黒く大きい宝玉の様なモノが出てきた。
「今です!」
トルバのその叫びに呼応する様に人である俺達は全力で斬りかかり、すぐ様離脱すると次に四聖獣が咆哮を放った。するとその黒い宝玉にはヒビが入り、咆哮で身体から切り離され宙を舞った。
「ボタンちゃん!今だ!」
「行っけぇぇぇーーー!!!」
ボタンちゃんがそう叫ぶとボタンちゃんの周りに赤、青、白、黒の4つの玉が出現し、ボタンちゃんが突き出した四聖刀の切先に玉から凄い勢いで魔力の様なモノが集まり、音も立てずに波動砲を放った。
その波動砲は黒い宝玉に当たると宝玉の中心に突き刺さった。
波動砲が突き刺さった宝玉は俺達が斬りつけて出来たヒビが全体に拡がり砕けると波動砲に巻き込まれながら消滅した。
宝玉が消滅したアペクマンティコアは徐々に霧散していき、遂には消滅した。
「くぅーキツかったなぁ。」
「そうでござるな。あと少し長引いてたらこっちの体力が無くなってたでござるよ。」
「そうだね。一旦休む時間があれば何度でも挑むけど、戦いの中じゃそうもいかないからね。」
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