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5.はいどうぞ
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「やっば…体育着忘れた……」
「大丈夫~?」
「だいじょぶ!ちょっと行ってくる!」
中休みに、気づく。先生の都合で前日と時間割が入れ替わっているのを忘れていた。ロッカーを見て絶望する。穂積に告げて急いで進学クラスの階へ向かった、ーーソウルメイトの元へ!
***
「タマー?いるー?」
軽くノックして教室を覗き込む。今はちょうど中休みだ。廊下にも教室にも人がパラパラといる。……理人は、いない。
「タマー!?いないのー!?」
少し大きめの声を出した。何人か首を傾げながらこちらを見ている。俺も首を傾げながら叫んだ。すると、予想外の人物から返事が返ってくる。
「タマ?」
「………ひめの」
「こんにちは、斎賀くん。猫を探しているの?」
背後から声を掛けられて固まった。楽しそうな笑い声が聞こえて恐るおそる振り返ると、何度も目で追った人物がいた。
意外と声が、低い。女の子みたいにパーツが可愛いのに見た目の印象より大人びている。テニスをやっているとは思えないほど色が白い。体格もしっかりしていて背も、俺より高い。
「……ねこじゃなくて、斉藤『タ』と『マ』」
「斉藤…タとマ?」
「この学校、斉藤いっぱいいるじゃん?だから頭文字で呼び分けてんの」
気後れしたことがバレないように平然を装う。このクラスには斉藤が三人いる。斉藤タクト、斉藤マサキ、斉藤ヤヨイである。俺はこの三人を『たまや』と読んでいるが、今はヤヨイに用はない。
「ふふ、おもしろいアイデアだね」
「そう?あ、タクトいる?」
「『タ』ね。……うーん、今はいないかな」
「まじか!『マ』は?」
「『マ』もいないね。それで、用事はなに?」
姫野は、想像よりもずっと落ち着いている。話し方は優しくて口調は大人っぽかった。俺の挙動を保護者のように見守っている。
「体育着忘れちゃって…タマは俺と背格好が全く一緒なんだ」
そう、タマたちは俺と身長・体重が全く同じなのである。彼らは去年まで普通クラスにいた。身長と体重が同じだから頭の作りも同じだと思っていた。でも残念ながら頭の良さに背格好は関係ないらしい。
「なるほど。それならボクのを貸してあげる」
「え!?」
姫野は優しく微笑む。彼の方が背は高いけどギリギリ着れないこともない。見た目も良くて勉強もできて、性格もいい。しかもお金持ち。俺が勝てる要素なんてひとかけらもなかった。それを表に出さないように尋ねる。
「い、いいの?」
「いいよ。ちょっと待ってて?」
俺は頷こうとして、「はいどうぞ」ーーーーー顔面に痛みを感じた。理人の、声がした。見事に体育袋で俺の顔面にシュートを決める。思わず鼻を押さえた。
「痛~~ッ!?おい、理人!!」
「それ持って教室に帰りな」
「はぁ~!?お前のだとデカすぎんの知ってんだろ!!」
理人はダメ押しにデコピンをした。反射的に額を押さえる。俺の身長は165センチ、理人は186センチある。さすがに服を貸し借りするには身長差がありすぎる。しかもこいつは足が長い。徒競走でズボンの裾がぶかぶかなのはやばすぎる。
「折りな」
「ダサすぎるだろ!姫野が貸してくれるって…」
「予鈴」
理人が天井に指を向ける。授業がもうすぐ始まってしまう。急いで体操袋を拾い上げた。
「クソ…っそのまま返すからな!!!!!」
「待ってるよ」
教室に向かって走った。
「大丈夫~?」
「だいじょぶ!ちょっと行ってくる!」
中休みに、気づく。先生の都合で前日と時間割が入れ替わっているのを忘れていた。ロッカーを見て絶望する。穂積に告げて急いで進学クラスの階へ向かった、ーーソウルメイトの元へ!
***
「タマー?いるー?」
軽くノックして教室を覗き込む。今はちょうど中休みだ。廊下にも教室にも人がパラパラといる。……理人は、いない。
「タマー!?いないのー!?」
少し大きめの声を出した。何人か首を傾げながらこちらを見ている。俺も首を傾げながら叫んだ。すると、予想外の人物から返事が返ってくる。
「タマ?」
「………ひめの」
「こんにちは、斎賀くん。猫を探しているの?」
背後から声を掛けられて固まった。楽しそうな笑い声が聞こえて恐るおそる振り返ると、何度も目で追った人物がいた。
意外と声が、低い。女の子みたいにパーツが可愛いのに見た目の印象より大人びている。テニスをやっているとは思えないほど色が白い。体格もしっかりしていて背も、俺より高い。
「……ねこじゃなくて、斉藤『タ』と『マ』」
「斉藤…タとマ?」
「この学校、斉藤いっぱいいるじゃん?だから頭文字で呼び分けてんの」
気後れしたことがバレないように平然を装う。このクラスには斉藤が三人いる。斉藤タクト、斉藤マサキ、斉藤ヤヨイである。俺はこの三人を『たまや』と読んでいるが、今はヤヨイに用はない。
「ふふ、おもしろいアイデアだね」
「そう?あ、タクトいる?」
「『タ』ね。……うーん、今はいないかな」
「まじか!『マ』は?」
「『マ』もいないね。それで、用事はなに?」
姫野は、想像よりもずっと落ち着いている。話し方は優しくて口調は大人っぽかった。俺の挙動を保護者のように見守っている。
「体育着忘れちゃって…タマは俺と背格好が全く一緒なんだ」
そう、タマたちは俺と身長・体重が全く同じなのである。彼らは去年まで普通クラスにいた。身長と体重が同じだから頭の作りも同じだと思っていた。でも残念ながら頭の良さに背格好は関係ないらしい。
「なるほど。それならボクのを貸してあげる」
「え!?」
姫野は優しく微笑む。彼の方が背は高いけどギリギリ着れないこともない。見た目も良くて勉強もできて、性格もいい。しかもお金持ち。俺が勝てる要素なんてひとかけらもなかった。それを表に出さないように尋ねる。
「い、いいの?」
「いいよ。ちょっと待ってて?」
俺は頷こうとして、「はいどうぞ」ーーーーー顔面に痛みを感じた。理人の、声がした。見事に体育袋で俺の顔面にシュートを決める。思わず鼻を押さえた。
「痛~~ッ!?おい、理人!!」
「それ持って教室に帰りな」
「はぁ~!?お前のだとデカすぎんの知ってんだろ!!」
理人はダメ押しにデコピンをした。反射的に額を押さえる。俺の身長は165センチ、理人は186センチある。さすがに服を貸し借りするには身長差がありすぎる。しかもこいつは足が長い。徒競走でズボンの裾がぶかぶかなのはやばすぎる。
「折りな」
「ダサすぎるだろ!姫野が貸してくれるって…」
「予鈴」
理人が天井に指を向ける。授業がもうすぐ始まってしまう。急いで体操袋を拾い上げた。
「クソ…っそのまま返すからな!!!!!」
「待ってるよ」
教室に向かって走った。
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