24 / 422
第1章
ルナイス確保sideノヴァ
しおりを挟む
アーバスノイヤー家から緊急の連絡が届いて、その内容に急いでアーバスノイヤー家へ飛んだ。
ルナイスの部屋の前にはアドルファス様が両手を強く握りしめて立っていた。
本当は今すぐにでも部屋の中へ飛び込みたい気持ちがあるのだろうが、耐えて私を呼んでくれたのだ。
部屋の状況を見る限り、私を呼んだのは賢明な判断だったと言えるだろう。
恐らく当主の方にもすでに連絡が入っているはず。
部屋の中は亜空間となっているようで、この空間を作り出しているのはルナイスの魔力で間違いない。
アドルファス様が言うにはルナイスはこの中に居るとのこと…。
魔力をぶつけてみるのは危険すぎる選択。
この亜空間に足を踏み入れて無事にルナイス様の元へたどり着ける可能性は限りなく0%
かといってこのまま放置することはできない。
恐らく今はルナイスの体から常に大量の魔力が放出されている状態。
このまま亜空間を作り出していれば魔力枯渇に陥り死に至る。
そうこう思案している間に当主、ルグノス様が到着された。
「ノヴァ、どうだ?」
「…この空間は恐らくルナイス様の一種の魔力暴走が原因かと。…亜空間…入るのは危険…ひとつだけルナイス様の元に辿り着けるかもしれない方法がある。」
ひとつの解決法を見出した私はさっそくその方法を試してみた。
___________
亜空間は主の創造や心でできる。
無意識の発動であるのならば、この亜空間は言わば主、ルナイス様の夢の中のような状態に近い。
あまり好まれない魔法である夢介入魔法と転移魔法を同時に発動してみれば、予想通り真っ暗な空間の中、毛布を被り蹲っているルナイス様が居た。
しかし気を抜けばすぐに空間が歪み異物を排除しようと動き出す。
体の周りに自身の魔力を纏わせ、ルナイスの魔力の影響を阻みそっと蹲っているルナイスを抱きしめる。
「ルナイス、久しぶり。」
「…ノヴァ?」
「そう。会いに来た。」
本当に久しぶりだ。
ルナイスの魔力溜まりも緩和され、魔力も扱えるようになったことで私はアーバスノイヤー家への訪問頻度を減らした。
元々はルナイスの魔力溜まりの改善の為に呼ばれ、その後ルナイスが教えを乞うので初級魔術を教えていた。
魔力を扱うにはまだ不安定さが残るルナイスに教えられることは少ないので、訪問頻度を減らし魔法研究を進めた。
それは成長したルナイスに最適な魔法を教えたい。という思いと、
今回のように魔力溜まりなど、魔が原因で命の危機を抱えている者を救う方法があるのかとても興味が湧いたからだった。
その研究の為にルナイスとの稽古の頻度を減らしていたが、ここ最近きな臭い動きをしている者達が居るとのことで王家から調査の依頼を受けた為、半年ほど研究も進まずアーバスノイヤー家も訪れられずにいた。
久々に会うのがこういったかたちなのは残念ではあるが、今日の出来事がなければ私とルナイスが会えるのはもっと先の事だったかもしれない。
魔力を無意識に溢れさせているルナイスを抱きしめゆっくりと一時的な魔力封じの術をかけていくと、溢れ出ていた魔力はゆっくりとルナイスの体内に戻り、ルナイスは疲れた様子で眠りについた。
魔力がルナイスの体内に戻ったことで広がっていた亜空間もなくなり、元の部屋が見えてきた。
部屋が元に戻り、扉の前で待機していた使用人達が慌ただしく動き出す。
涙を滲ませて近寄ってきたヘレナは静かに私に頭を下げた。
ルナイスをヘレナに任せようと思ったが、離れようとするとルナイスの眉間に皴が寄せられ魔力がじわりと溢れたことからヘレナにも勧められ、私もルナイスと一緒にベッドの上で横になった。
そのままの状態でいると、部屋に当主とアドルファス様が訪れた。
「ノヴァもルナイスも無事か?」
「はい。どうやらあのく」
「説明は後程で良い。しばらくルナイスと一緒に居てやってくれ。」
状況の説明をしようとした私を当主は止め、アドルファス様を連れて部屋を出て行った。
部屋に私とルナイス以外誰もいなくなったところで、自分が思ったよりも疲弊していることに気が付いた。
ルナイスは無事とは言え、顔色はあまりよくない。
そこまで深刻ではなかったが、魔力暴走を起したのだ。
それに当てられた私も神経を尖らして魔力を操作していた。
当主の言う通り、私とルナイスにはしばらくの休息が必要だ。
「おやすみ、ルナイス。」
今度はあんな暗闇の中でなく、温かい夢を見よう。
ルナイスの部屋の前にはアドルファス様が両手を強く握りしめて立っていた。
本当は今すぐにでも部屋の中へ飛び込みたい気持ちがあるのだろうが、耐えて私を呼んでくれたのだ。
部屋の状況を見る限り、私を呼んだのは賢明な判断だったと言えるだろう。
恐らく当主の方にもすでに連絡が入っているはず。
部屋の中は亜空間となっているようで、この空間を作り出しているのはルナイスの魔力で間違いない。
アドルファス様が言うにはルナイスはこの中に居るとのこと…。
魔力をぶつけてみるのは危険すぎる選択。
この亜空間に足を踏み入れて無事にルナイス様の元へたどり着ける可能性は限りなく0%
かといってこのまま放置することはできない。
恐らく今はルナイスの体から常に大量の魔力が放出されている状態。
このまま亜空間を作り出していれば魔力枯渇に陥り死に至る。
そうこう思案している間に当主、ルグノス様が到着された。
「ノヴァ、どうだ?」
「…この空間は恐らくルナイス様の一種の魔力暴走が原因かと。…亜空間…入るのは危険…ひとつだけルナイス様の元に辿り着けるかもしれない方法がある。」
ひとつの解決法を見出した私はさっそくその方法を試してみた。
___________
亜空間は主の創造や心でできる。
無意識の発動であるのならば、この亜空間は言わば主、ルナイス様の夢の中のような状態に近い。
あまり好まれない魔法である夢介入魔法と転移魔法を同時に発動してみれば、予想通り真っ暗な空間の中、毛布を被り蹲っているルナイス様が居た。
しかし気を抜けばすぐに空間が歪み異物を排除しようと動き出す。
体の周りに自身の魔力を纏わせ、ルナイスの魔力の影響を阻みそっと蹲っているルナイスを抱きしめる。
「ルナイス、久しぶり。」
「…ノヴァ?」
「そう。会いに来た。」
本当に久しぶりだ。
ルナイスの魔力溜まりも緩和され、魔力も扱えるようになったことで私はアーバスノイヤー家への訪問頻度を減らした。
元々はルナイスの魔力溜まりの改善の為に呼ばれ、その後ルナイスが教えを乞うので初級魔術を教えていた。
魔力を扱うにはまだ不安定さが残るルナイスに教えられることは少ないので、訪問頻度を減らし魔法研究を進めた。
それは成長したルナイスに最適な魔法を教えたい。という思いと、
今回のように魔力溜まりなど、魔が原因で命の危機を抱えている者を救う方法があるのかとても興味が湧いたからだった。
その研究の為にルナイスとの稽古の頻度を減らしていたが、ここ最近きな臭い動きをしている者達が居るとのことで王家から調査の依頼を受けた為、半年ほど研究も進まずアーバスノイヤー家も訪れられずにいた。
久々に会うのがこういったかたちなのは残念ではあるが、今日の出来事がなければ私とルナイスが会えるのはもっと先の事だったかもしれない。
魔力を無意識に溢れさせているルナイスを抱きしめゆっくりと一時的な魔力封じの術をかけていくと、溢れ出ていた魔力はゆっくりとルナイスの体内に戻り、ルナイスは疲れた様子で眠りについた。
魔力がルナイスの体内に戻ったことで広がっていた亜空間もなくなり、元の部屋が見えてきた。
部屋が元に戻り、扉の前で待機していた使用人達が慌ただしく動き出す。
涙を滲ませて近寄ってきたヘレナは静かに私に頭を下げた。
ルナイスをヘレナに任せようと思ったが、離れようとするとルナイスの眉間に皴が寄せられ魔力がじわりと溢れたことからヘレナにも勧められ、私もルナイスと一緒にベッドの上で横になった。
そのままの状態でいると、部屋に当主とアドルファス様が訪れた。
「ノヴァもルナイスも無事か?」
「はい。どうやらあのく」
「説明は後程で良い。しばらくルナイスと一緒に居てやってくれ。」
状況の説明をしようとした私を当主は止め、アドルファス様を連れて部屋を出て行った。
部屋に私とルナイス以外誰もいなくなったところで、自分が思ったよりも疲弊していることに気が付いた。
ルナイスは無事とは言え、顔色はあまりよくない。
そこまで深刻ではなかったが、魔力暴走を起したのだ。
それに当てられた私も神経を尖らして魔力を操作していた。
当主の言う通り、私とルナイスにはしばらくの休息が必要だ。
「おやすみ、ルナイス。」
今度はあんな暗闇の中でなく、温かい夢を見よう。
1,112
あなたにおすすめの小説
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
断罪回避のはずが、第2王子に捕まりました
ちとせ
BL
美形王子×容姿端麗悪役令息
——これ、転生したやつだ。
5歳の誕生日、ノエル・ルーズヴェルトは前世の記憶を取り戻した。
姉が夢中になっていたBLゲームの悪役令息に転生したノエルは、最終的に死罪かそれ同等の悲惨な結末を迎える運命だった。
そんなの、絶対に回避したい。
主人公や攻略対象に近づかず、目立たずに生きていこう。
そう思っていたのに…
なぜか勝手に広まる悪評に、むしろ断罪ルートに近づいている気がする。
しかも、関わるまいと決めていた第2王子・レオンには最初は嫌われていたはずなのに、途中からなぜかグイグイ迫られてる。
「お前を口説いている」
「俺が嫉妬しないとでも思った?」
なんで、すべてにおいて完璧な王子が僕にそんなことを言ってるの…?
断罪回避のはずが、いつの間にか王子に捕まり、最後には溺愛されるお話です。
※しばらく性描写はないですが、する時にはガッツリです
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる