王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第1章

シェフの美味しい魔法

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※前ページでばぁやは休暇のはずなのにその休暇を取り上げてしまっていたので訂正いたしました。
 ばぁやとメルナではルナイスに対する言葉遣いや態度が違いますし、ルナイスもばぁやとメルナでは
 接し方が違いますので少し大きな変更だったかなと思います。
 気になる方は前ページより読み直してくださると幸いです。

本編
↓↓↓
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ルナイス・アーバスノイヤー 3歳。


日が昇りきる前に起床。

楽しみ過ぎて早く目覚めてしまった。



まだ屋敷は静かで、時折使用人だろう人の動く気配を感じるくらいの時間。

しばらくベットの上でゴロゴロしていたけれど、二度寝はできそうにないほど目がぱっちりだし頭も冴えているのでユエと一緒に日光浴をしようと窓際に椅子を運んでユエを膝の上に乗せ座る。

起きたばかりの時とは変わって山から顔をのぞかせた太陽の光はぽかぽかほどよく温かい。


一旦ユエを椅子に置いて、窓を開けに動くと開けた瞬間ひんやりと気持ちのいい空気が僕の頬を撫ぜた。
あまりの気持ち良さに目を瞑ってしばらく風を感じる。



満足して再びユエを抱えて椅子に座ると部屋の扉がノックされた。



「昨日は休暇を頂きありがとうございました坊ちゃま。」

顔を覗かせたのはばぁやでたった一日ぶりだというのに、何だかとっても懐かしい気持ちになった。




「ばぁーやー!!」

うわぁって気持ちになってユエを抱えたままばぁやに突撃してしまった。





「まぁまぁ、何て熱烈な歓迎でしょう!」

僕をしっかりと受け止めてくれたばぁやはニコニコ笑って僕の頬に自分の頬をすりすりと合わせる。

ばぁやはまだ幼い故にふっくらもちもちの僕の頬がお気に入りのようだ。




「さて、本日は旦那様とアドルファス様と朝食を一緒にと伺っております。用意を致しましょう!」


ばぁやにそう言われてユエをベットに置き、ベットの横のキャビネットに置かれたお湯の入った桶で顔を洗う。

すぐにばぁやがぽんぽんとお顔を拭いてくれて、化粧水と保湿剤をぬりぬり。


ぽぽぽんと寝間着を脱いでばぁやが渡してくれる服に着替える。

着替え終わって軽く両手を広げばぁやの方を向けばパパパパって服の乱れを綺麗に整えてくれる。


うん。
メルナもテキパキしてくれたし、不満は全然まったくないけど、やっぱり小さい頃から面倒を見てくれているばぁやと僕は阿吽の呼吸って感じ。



着替えたり用意をしている間にお休みの間ばぁやがどんなことをしていたのか気になって聞いてみた。

プライベートを詮索されるのは嫌かなぁってちょっと思ったけど、ばぁやはニコニコしてお話してくれた。




昨日はどうやら久々に息子さんとお孫さん達と会って食事を共にしたらしい。

ばぁやはずっと僕の側でアーバスノイヤー家に泊まり込みで居てくれるけど、旦那さんも居るし息子さんお孫さんが居る。

旦那さんは王室で働いているらしいけど、毎日お家には帰っていると聞いてばぁやももっと早くに仕事を終えて帰っていいんだよって言ったけど、僕が学院に通いだす8歳までは今まで通り僕が起きて眠るまで一緒に居てくれるって頑なに言う。


偶に昨日みたいに休暇が貰える程度で十分だって言うけど働き過ぎて倒れないか心配である。



とーさまにも相談をしたけど、ばぁやの意思が固く休みを言い渡しても休んでくれないって。
だからばぁやが言う8歳までばぁやの好きにさせてやれっととーさまは深い溜息と共に言っていた。





「ばぁやのだんな様はさみしくない?」


「大丈夫ですよ。定期的に手紙を送り合っております。ふふ、手紙だと素直に口で言えない言葉も伝えられますし、旦那とは仲良しですよ。」



食堂へ向かう途中で聞いてみたら本当に心配いらないんだろうなって感じの笑顔でそう言うばぁやに少しほっとする。
どうやら離れている時間が長けれどもとっても仲良しな夫婦みたい。


食堂に着いて、開けられた扉の向こう。
部屋にはまだとーさまもにぃ様も居なくて僕が一番乗り!




ばぁやが引いてくれた椅子に座ってとーさまとにぃ様がやってくるのを大人しく待つ。



しばらくテーブルに並べられていく料理をぼーっと見ながら待っていると、料理が並べられ終わったくらいにとーさまとにぃ様がやって来た。


2人とも食べ終えてすぐに屋敷を出るのかビシッとした服を着ている。
とーさまのお仕事服もにぃ様の制服も黒を基調とされたとっても格好いいもので、密かに憧れている僕はばぁやにお願いして黒を基調とした服をおねだりしている。

寝間着はばぁやが選ぶ、ふわっとした薄めの生地の服で格好いいとは違うけど肌触りがとってもよくて気に入っている。



「早起きだなルナイス。」


「はい。おひさまのぼるまえに目がさめました。」


「それは大分早いな。」



とーさまが席に着いて待っていた僕を見て、笑いながらお話かけてくれた。



「何してたんだ?」


「ユエとにっこーよくしてました。」




にぃ様も席に着いてお膝にナプキンを置きながらお話をかけてくれたので、ユエとの日光浴のお話をする。





「いいな。今度僕とも日光浴をしよう。」

「はい!」


にぃ様の提案に力強く頷く。

今度のにぃ様のお休みの日にしよーねってお約束をして、僕はまだ食べている途中だったけれど、どうしてもとーさまとにぃ様の見送りがしたくてマナー違反であるけど一度席を外して見送りの為に玄関に立った。


「いってらっしゃいませ。」


「「行ってくる。」」


凛々しく門前に待機させている馬車に向かって歩く二人を見えなくなるまで見送って、食堂に帰る。


席に着いて残っていたコットンエッグ(スクランブルエッグのむちゃくちゃふわふわVerみたいなやつ)を口に入れると温かくてびっくりして固まる僕。

そんな僕を後ろでばぁやとシェフがクスクス笑ってる。



「なにしたの?」


「はい。わたくしは炎魔法が得意でして保温魔法を掛けさせて頂きました。いかがでしょうか?」



振り返って尋ねれば、シェフが一歩前に出て答えてくれた。




「びっくりした…けど、おいしぃ。ありがとう。」


「ありがたきお言葉感謝致します。」


シェフは満足げ微笑み一歩下がったので、僕も体を料理に向けて再び口に運び入れる。

うん。
とっても美味しい。




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