王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

僕の秘密を暴くにぃ様

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第ホールに着くと中には既に多くの生徒達が居た。



「どうやらまだほとんどの家が動けていないようだな。」


「そのようですね。こちらへ向かう馬車が多くて混んでもいるでしょうね。」



わらわらとしている生徒達を避けて、大ホールの壁際で4人立ったままでいる。

外でこうして只立っているだけっていう状況があんまりないもんだからちょっと楽しい。
自分が限界に思うのは何時間後なのだろうか。


そしてドラゴンが影の中で平気でいられる時間はあとどれくらいだろうか…。








隣でお話しているテトラ君とオスカル君の声をBGMに自分の足元をぼぅっと見てドギマギしているとふっと周りのざわざわが止んで、顔を上げた。



「ルナイス、体調が悪いのか?」

「座るか?」


顔を上げた瞬間、視界いっぱいに心配そうなお顔のにぃ様が居て、その少し後ろにはヒュー様が居た。




「ルナイス様、どうぞ。」

少し離れた所に行っていたヨハネスがそう言って心配そうに椅子を持ってきてれた。


少しも立ってられないほど軟弱者だと思われているのだろうか…っと少し複雑な思いを抱えながらも、せっかく持ってきてくれたのだからとちょんっと座る。






「全然平気です。僕は。ただ早く帰りたくて…。」


僕の言葉ににぃ様はしばし僕を見つめ思考し、そして察してくれた。



「何かあるのだな?レオ。」


「御意。」




にぃ様が名を呼べば、レオがどこからともなく現れ、にぃ様の命令を聞かずとも承知した様子で返事をすると人の間を縫って去って行った。





「まぁーた何か問題を抱えやがったな。」

ヒュー様が呆れた様子でそう言ってくるので、僕はぶぅーっと下唇を突き出し不機嫌なのをアピール。

でもヒュー様はそんな僕を見てもはんって笑うだけ。





「ルナイスは好き好んで問題を抱えていない。発言に気を付けろヒュー。」


そんなヒュー様にすかさずにぃ様が応戦してくれる。

ヒュー様は『へーへー悪かったなぁ』と全然悪びれる様子もない。
だからヒュー様にはべーっと舌を出してやった。



こんなやり取りをしているが、僕はヒュー様のことが嫌いじゃない。

ちょっと意地悪な物言いをしたりするけど、何かあれば全力で僕を助けてくれる人だって分かっているから。




偶に本当にムカつくこともあるけど、そういう時はチルに告げ口してやるんだ。









「アドルファス様。準備が整いました。」


さっき出て行ったばかりのレオがふっと現れ、にぃ様にそう告げた。



レオに案内されたのは大ホールからほど近い一室。

机とソファがあり、机の上には紅茶とお菓子が置いてある。
あの短時間でよくここまで綺麗に整えられるなっと関心しながら、遠慮なく紅茶を口にする。





「ルナイス。説明を。」

ふぅーっと一息ついたところでにぃ様に促され、カップを置きグルっと室内を見渡す。



「防音魔法が施されていますのでご安心下さい。」

そんな僕にレオがニコっと微笑みながら外にお話しが漏れないことと、警備態勢が万全であることを教えてくれたので安心してドラゴンについてにぃ様達にお話しする。


















「なるほど。」

「まじかよ。」

「ドラゴン…」

「そんなことが…」




にぃ様、ヒュー様、テトラ君、オスカル君がそれぞれの反応を見せる中、レオは驚いた様子ではあるが声を上げることはなかった。

ヨハネスはコルダから聞いていたのだろう。特に驚いた様子は見受けられなかった。




「では、ルナイス。影の中にドラゴンがいて、それが心配で先ほどは俯いていたのだな?」


「はい。あんまり長時間だと出てこれなくなるんじゃないかって…ドラゴンさんはまだいけるって言ってますけど。」


にぃ様の質問に頷きながら、答える僕の頭にドラゴンの『大丈夫だ。まだいける。』何て声が響いているけれど、まだいけるってことは、残された時間はそう長くないってことだよね?


「…会話できるのか?」


「ぁ…はい。声が頭に響いてきて…向こうも僕の言葉というか人間の言葉を理解しています。」



今度はヒュー様に聞かれて、そう言えばドラゴンと意思疎通ができるのは当たり前のことじゃないんだったっと少し焦る。

僕の返答にヒュー様はそうかっと言いながら苦笑いして僕の頭をぐしゃっと撫でてくる。

たぶん大丈夫だよって意味で撫でてくれたのだと思う。












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