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第2章
僕の魔力譲渡で色気溢れる御仁が現れた。
しおりを挟むアーバスノイヤー家の以外な歴史を知ったところでドラゴンが僕の方を見て唐突に魔力を少し分けてくれっと言い出した。
どうやら目の前のドラゴンに一番適合する魔力が僕の魔力らしい。
闇魔法への適正が高いってことかな?っと思いつつ、頭を下げたドラゴンの額に触れようとしたところでにぃ様に腕を掴まれ止められた。
「ルナイス、何をしようとしているのか報告が先だ。」
にぃ様の言葉にはっとして慌てて手を引っ込めた。
僕以外にドラゴンの声が聞こえないにぃ様達からすれば、これから僕がドラゴンへ魔力譲渡しようとしてるなんて分からないんだった。
ちょっと前にそれでは危険があった時に守ってやれないと注意を受けたばかりだというのに…。
「ごめんなさい。今はドラゴンさんが魔力を分けて欲しいとのことだったので、魔力譲渡をしようとしてました。」
きちんと謝ってから、先ほど僕が何をやろうとしたのかを説明。
「他の者ではいけないのですか?」
僕が自覚できるほどにぃ様は僕に対して過保護だ。
他の者、というが絶対に自分の魔力を差し出そうと考えている。
『この子が我と一番適合する魔力を持っている。それに、ちと魔力溜まりが起きやすい体質のようだ。我に譲渡したところで害にはならぬよ。むしろ少しばかり楽になるのではないか?』
にぃ様の問いかけに答えるドラゴンの言葉を頷きながらそのまま伝える。
僕は今でこそ指輪のおかげで魔力が安定しているけれど、偶に上手く循環できなくてぶわわ~って魔力が膨れ上がりそうになることもある。
魔力が多いのは嬉しいけど、制御できないほど多いのは困る。
贅沢な悩みかもしれないけど、下手したら命に係わるし、他の人を怪我させてしまう危険性だってある。
「ではルナイスに危険はないと断言できるのですね?」
『無論。』
無論って格好よく言える自信がなかったので、僕はにぃ様に頷くだけにしました。
にぃ様は僕に危険がないと分かると「失礼した」と言い僕から少し離れ、見守りスタイルに。
切り替えが早い。
何だか注目される中、改めてドラゴンへ魔力譲渡するのは気恥ずかしいけれど…いつまでも此処でダラダラしているわけにもいかない。
さっさとやってしまおうっと、ドラゴンの額に掌をのせ、目を瞑り魔力を僕の体からドラゴンへ流すことに集中した。
ドラゴンの額に置いている掌がぽわぽわと温かくなり、体が少しずつ軽くなっていく。
どれくらい譲渡すればいいのかなっとぼんやり思ったところで、ドラゴンの方からもういいよって声が掛けられた。
魔力を流すのを止めて、掌をドラゴンから離す。
『うむ。やはり馴染みが良いな。礼を言うぞ。』
ドラゴンはルンルンな感じでそう言うと、次の瞬間ポワンと煙を立て大きな体が消えた。
消えた?っと驚いているとすぐ目の前に
とーさまやにぃ様、僕みたいな真っ黒な腰ほどの髪の毛に鋭くガーネットのような深い赤色の瞳。
全体的にバランスがいいむちっとした筋肉を持つ色気だだもれな男の人が立っていた。
「久しく人型を取っていなかったが…やはり人と接する時はこの姿が一番適しているな。」
声も低くて艶のあるセクシーボイスだった。
ほけ~っと色気ある容姿に見惚れていると、周りが静かなことに気が付いたドラゴンがコテリと首を傾げる。
その動作や表情からも色気を感じられて頬が熱くなってしまう。
「ゴホン…とりあえず、服を着られた方がいい。」
大きな咳払いをしたとーさまがそう言って、ワイアットから受け取った大きいサイズの服をセクシーな目の前の御仁に渡すが、彼は顔を顰める。
「窮屈なのは好かないのだが…」
「私の息子の教育によろしくない。ご協力願う。」
「…よかろう。」
一度は拒否したセクシーな御仁は、とーさまの圧に負けて渋々と服を着用した。
とーさまが渡した白いシャツはむちっとした体の彼にはやはり窮屈だったようで、首元をぐい~と(多分魔法で)伸ばしたので、セクシーな鎖骨が見えてそれはそれで見惚れる。
何か言いたげなとーさまは、しかしそれ以外に彼に渡せる服がないのでぐっと口を噤んだ。
「確認ですが…先ほどまでこの場にいたドラゴン殿で間違いないか?」
「如何にも。」
今まで黙っていたヒュー様が声をかけると、セクシーな御仁はうむっと頷き自分が先ほどまでドラゴンの姿であったことを認める。
僕は目の前の色気溢れる彼が、先ほどまでのドラゴンだと知ってもなおドストライクな容姿の彼に相変わらずほけ~っと見惚れていた。
________
※11/1修正
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