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第2章
ノヴァとホルス様ご対面
しおりを挟むホルス様が僕の護衛として傍に付いてくれて3日。
ホルス様の証言の下、アーナンダ国を住処とするドラゴンを保護もしくは警護が完了した。
悪魔の関与が懸念される案件なだけに、被害がアーナンダ国のみであるとは言えない為、王家は友好国にもドラゴンを狙い悪さを企む者が居るので警戒するよう忠告したそうだ。(とーさま情報)
自分が関わった事件がどんどん大きくなっていくことが思いの外ストレスになっていたのかこの三日間微熱が続き体調不良で…学園が再開される今日。僕は僕の部屋で、久々のノヴァにべたりとくっ付いている。
ただの甘えん坊でくっ付いているわけではない。
不安定になって体内で暴れる魔力が指輪の力で無理やり抑えられ続け、めまいと吐き気の症状が酷かった為、急遽ノヴァに来てもらい、光魔法の結界を薄く僕の体の表面に展開してもらい指輪を外し、治癒魔法で症状を和らげてもらっているのだ。
こういった繊細な魔法は僕の周りでノヴァ以外適任者がいない為、とーさまが忙しいノヴァを人命救助の為ぇって結構無理やり連れてきてくれたのだ。
「ごめんねぇノヴァぁ。」
「私はルナイスに会えてよい休息の時間を手に入れれた。謝られることは何もない。」
力なく謝る僕にノヴァは低い心地の良い声でそう言ってくれ頭まで撫でてくれる。
「…ルナイス…そろそろあの御方を御紹介してもらえるだろうか?」
「ん~?…あ!あぁ、そうそう。彼はホルス。ドラゴンの件で保護したブラックドラゴンさんの人型バージョンです。」
ノヴァに全力で癒されている僕に掛けられた言葉に部屋のソファにどどーんと寝そべるホルス様を紹介する。
ぐーすかお昼寝をしていますのでノヴァのご紹介は後程やりますね。
僕に危険が迫れば必ず目覚めるし対応するから安心しろと告げたホルス様は、自身も戦闘に参戦する可能性を考えていち早く全回復する為に一日のほとんどを眠っている。
眠っている間に魔力を循環させて魔力の質を高めているのだとか言っていた。
その事をノヴァに告げるとやっぱり凄く興味があるみたいで、ホルス様が目覚めて紹介出来たらその辺りをノヴァに教えてもらえるようお話してみよう。
しばらくノヴァにくっ付いて色んなお話をして過ごし、ばぁやとメルナがアフタヌーンティーの準備を終える頃、鼻をひくひくとひくつかせたホルス様が目を覚ました。
「ホルス様、おはよう。」
「ホゥワ~…ルナイス、おはよう。」
両腕を真上に伸ばし大きな欠伸をするホルス様に声を掛けると、寝ぼけ眼のとろんとした瞳でふわっと笑い挨拶を返してくれた。
色気の溢れた笑顔にときめいて、ヘラっと笑ってしまう。
そんな僕の腰に腕を回したノヴァがぐいと自身の方へ僕を引き寄せる。
どうしたんだろう?と僕よりも高い位置にあるノヴァのお顔を見上げると、ホルス様をじっと見ながら少し不機嫌な様子。
人見知りだったっけ?と不思議に思いながらホルス様にノヴァを紹介しなければ!と思い出しまだ眠たそうなホルス様に声を掛けた。
「ホルス様、僕のお隣に居ます彼はノヴァ・ウォードです。ノヴァはアーナンダ国一の魔法使いなんですよ。」
「ふむ…精霊より半魔の子が魔怨の森に一人で過ごしていると聞き及んでいたがお主のことで間違いないか?」
「!…はい。間違いありません。」
僕がノヴァを紹介するとホルス様はふむと頷き、ぽわっとしていた雰囲気が鋭く変わった。
そんな風に場の雰囲気を支配するホルス様にノヴァも背を正した。
「半魔の身では苦労が多かったであろう。よくぞ絶えた。アーナンダ国の現王は愚王というわけではないが、人遣いが荒く自己愛の強い者と聞く。半魔であるお主の力を利用している様子であるとの報告も受けておる。どうだ?」
「身に余るお言葉恐縮です。王には…確かに無茶をよく言われますが…拒否権がないわけではありませんし、依頼内容に見合った給金を頂いております。あの御方は自分よりも私の方が強いことをよく分かっておられるように思います。」
「ふむ…なるほどな。悪用や搾取をされておらぬなら良い。」
「ありがとうございます。」
良くない扱いを受けているなら出てやるぞって感じの言葉にノヴァは大丈夫だと告げ、ホルス様へ深く頭を下げ感謝する。
僕もこの国のノヴァの扱いに不安を感じていたから、人遣いが荒いだけで不当な扱いを受けていないと本人の口から聞いて一安心。
まぁ、とーさまがお世話になっているノヴァがいいように使われているだけだったら許していないと思うから大丈夫なのは分かっていたのだけど…。
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