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第2章
報告会sideアドルファス
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ノヴァと屋敷の書庫で夢魔などについて調べ初めて暫く…
父上からの呼び掛けで私達は談話室へ集まった。
ふと窓の外へ目を向ければとっくに明るくなっており、太陽も真上に登っていた。
席に着いたところで大皿に盛り付けられた軽食がいくつか机の上に並ぶ。
あまり貴族の家ではないことだが、家では偶にこうして大皿に盛られた料理を皆で食べることがある。
非常時にそう言った貴族の見栄やマナーは邪魔になると言う歴代当主の考えと、戦場に赴くことが多かったアーバスノイヤー家だからという理由だと聞いている。
談話室には私とノヴァ。
父上にホルス様と知らない御仁が2人。
それから、オリヴァーとエイデン・ヒル侯爵とヒューが集まった。
ノヴァとオリヴァーからすると大皿を皆でつつくのはよく見る光景であるし、ヒル家もよく戦地に赴くことの多い家であるのでこういった形式の食事に驚く様子はない。
「まずはアドルファス、ノヴァ。何か情報はあったか?」
食事をしながら合間に父上が私達へと尋ねてきた。
「はい。やはり悪魔についての記述は少なかったです。只、夢使いと呼ばれる術師が過去存在していたことが分かりました。夢使いは夢、精神、感情、霊能系の術を得意とする術師であることからノヴァにはそういった系統の魔法を新たに習得してもらっているところです。」
「夢使い…耳にしたことがないが、今も存在するやもしれんな。この短時間でよく調べた。ノヴァも無理のない程度でやってほしい。」
代表して私が今のところの収穫を告げると父上はそう言って頷かれた。
「夢使いつったらぁ、スラムの奴から居場所を聞いてるぜー。悪夢に困ってたらそこに行けって密かに伝えられてきたんだと。」
「それは…では、この後オリヴァーにはノヴァと一緒にその夢使いの所へ行き協力を依頼してきてくれないだろうか。協力を得られずともノヴァが術を習得するのにアドバイスくらいは得られるだろう。」
オリヴァーのまさかの発言に父上がそう言うとオリヴァーは頼まれなくても行く予定だったと言いながら皿の上のご飯をもりもり食べていく。
だるそうな口調ではあるが、何時もより食べるスピードが早いことからオリヴァーもルナイスをとても心配してくれていることが分かる。
ノヴァも頷き、やっとご飯に手を付けだした。
「こちらからは…あぁ、まだ紹介をしていなかった。こちらは悪魔のマルコシアス殿だ。ルゲイエ殿からの紹介で来て頂き協力して貰えることになった。」
「はじめまして皆々様。私堕ちた天使、マルコシアスと申します。悪魔ではあるのですが、悪魔…と呼ばれるのは少々嫌いでして、どうぞマルコシアスと呼んでくださいね。」
父上の隣に座っておられた御仁の1人はどうやら天使のように微笑むが悪魔らしい。
「そしてこちらがルナイスに付き添って下さっている精霊、オーレ殿の弟君、ルゲイエ殿だ。」
「よ、よろしくねぇ。」
そしてもう1人が気が弱そうで今にも泣き出しそうな様子の精霊様であった。
とんでもない面子が揃っているなと父上に視線を送るが、父上はそのことについては考えないようにしているような気がする。
「マルコシアス殿からの助言で、夢魔と手を組む人間がいることが確実となった。そして、夢魔についてはバグという上位悪魔に協力を願い出てはどうかということだ。」
父上の言葉に私だけでなく他の者も料理に伸ばしていた手を止めて、父上達を見つめた。
「ルグノス。俺は悪魔は快楽主義で、見返りもなく不利益な事はやらないという認識だがそちらの御仁は信用するに値する何かがあるのか?失礼を承知で物申すが、俺はマルコシアス殿やこれから頼るというバグ殿、そして精霊であるルゲイエ殿もいまいち信用ならん。」
ヒル侯爵が険しい顔つきで父上に問う。
信用できないと言われた精霊であるルゲイエ殿はひぃっと声を上げてガクガクと震えているが、怒った様子はない。
マルコシアス殿はニコニコと笑っているだけで怒っている様子ではないが本心がまったく読めない。
張り詰めた空気を感じる中、私もヒル侯爵と同じ意見であるからじっと父上の返事を待った。
「まずルゲイエ殿に関してだが…ルナイスが信用しているホルス殿の友人であってホルス殿が心配ないと言われている。ルナイスの他者が自身へ向ける感情への敏感さを知っていればホルス殿が信用できる人物であると言える。そしてそのホルス殿が心配はなく、もし裏切りが発覚した場合は精霊王をもこの場に引き釣り出し、処罰を与えると断言された。ルゲイエ殿はその言葉に何度も頷き、信用を示された。故にルゲイエ殿については信用できると私は判断した。」
父上のそんな言葉に私を含め、ヒル侯爵も納得した様子である。
ホルス殿を信じ切るにはまだ私達の中での彼に対する信用度は低いが、ルナイスの他者からの感情への敏感さを信用している。
過去、ルナイスが距離を置いた客人を調べ上げれば100%黒であるという実績もある。
だから癪ではあるが、ルナイスが懐いているホルス殿は信用できる御方であると私達は判断している。
だが、そのホルス殿のお墨付きの人物が信用たる人物であるかは別の話だ…
side end
父上からの呼び掛けで私達は談話室へ集まった。
ふと窓の外へ目を向ければとっくに明るくなっており、太陽も真上に登っていた。
席に着いたところで大皿に盛り付けられた軽食がいくつか机の上に並ぶ。
あまり貴族の家ではないことだが、家では偶にこうして大皿に盛られた料理を皆で食べることがある。
非常時にそう言った貴族の見栄やマナーは邪魔になると言う歴代当主の考えと、戦場に赴くことが多かったアーバスノイヤー家だからという理由だと聞いている。
談話室には私とノヴァ。
父上にホルス様と知らない御仁が2人。
それから、オリヴァーとエイデン・ヒル侯爵とヒューが集まった。
ノヴァとオリヴァーからすると大皿を皆でつつくのはよく見る光景であるし、ヒル家もよく戦地に赴くことの多い家であるのでこういった形式の食事に驚く様子はない。
「まずはアドルファス、ノヴァ。何か情報はあったか?」
食事をしながら合間に父上が私達へと尋ねてきた。
「はい。やはり悪魔についての記述は少なかったです。只、夢使いと呼ばれる術師が過去存在していたことが分かりました。夢使いは夢、精神、感情、霊能系の術を得意とする術師であることからノヴァにはそういった系統の魔法を新たに習得してもらっているところです。」
「夢使い…耳にしたことがないが、今も存在するやもしれんな。この短時間でよく調べた。ノヴァも無理のない程度でやってほしい。」
代表して私が今のところの収穫を告げると父上はそう言って頷かれた。
「夢使いつったらぁ、スラムの奴から居場所を聞いてるぜー。悪夢に困ってたらそこに行けって密かに伝えられてきたんだと。」
「それは…では、この後オリヴァーにはノヴァと一緒にその夢使いの所へ行き協力を依頼してきてくれないだろうか。協力を得られずともノヴァが術を習得するのにアドバイスくらいは得られるだろう。」
オリヴァーのまさかの発言に父上がそう言うとオリヴァーは頼まれなくても行く予定だったと言いながら皿の上のご飯をもりもり食べていく。
だるそうな口調ではあるが、何時もより食べるスピードが早いことからオリヴァーもルナイスをとても心配してくれていることが分かる。
ノヴァも頷き、やっとご飯に手を付けだした。
「こちらからは…あぁ、まだ紹介をしていなかった。こちらは悪魔のマルコシアス殿だ。ルゲイエ殿からの紹介で来て頂き協力して貰えることになった。」
「はじめまして皆々様。私堕ちた天使、マルコシアスと申します。悪魔ではあるのですが、悪魔…と呼ばれるのは少々嫌いでして、どうぞマルコシアスと呼んでくださいね。」
父上の隣に座っておられた御仁の1人はどうやら天使のように微笑むが悪魔らしい。
「そしてこちらがルナイスに付き添って下さっている精霊、オーレ殿の弟君、ルゲイエ殿だ。」
「よ、よろしくねぇ。」
そしてもう1人が気が弱そうで今にも泣き出しそうな様子の精霊様であった。
とんでもない面子が揃っているなと父上に視線を送るが、父上はそのことについては考えないようにしているような気がする。
「マルコシアス殿からの助言で、夢魔と手を組む人間がいることが確実となった。そして、夢魔についてはバグという上位悪魔に協力を願い出てはどうかということだ。」
父上の言葉に私だけでなく他の者も料理に伸ばしていた手を止めて、父上達を見つめた。
「ルグノス。俺は悪魔は快楽主義で、見返りもなく不利益な事はやらないという認識だがそちらの御仁は信用するに値する何かがあるのか?失礼を承知で物申すが、俺はマルコシアス殿やこれから頼るというバグ殿、そして精霊であるルゲイエ殿もいまいち信用ならん。」
ヒル侯爵が険しい顔つきで父上に問う。
信用できないと言われた精霊であるルゲイエ殿はひぃっと声を上げてガクガクと震えているが、怒った様子はない。
マルコシアス殿はニコニコと笑っているだけで怒っている様子ではないが本心がまったく読めない。
張り詰めた空気を感じる中、私もヒル侯爵と同じ意見であるからじっと父上の返事を待った。
「まずルゲイエ殿に関してだが…ルナイスが信用しているホルス殿の友人であってホルス殿が心配ないと言われている。ルナイスの他者が自身へ向ける感情への敏感さを知っていればホルス殿が信用できる人物であると言える。そしてそのホルス殿が心配はなく、もし裏切りが発覚した場合は精霊王をもこの場に引き釣り出し、処罰を与えると断言された。ルゲイエ殿はその言葉に何度も頷き、信用を示された。故にルゲイエ殿については信用できると私は判断した。」
父上のそんな言葉に私を含め、ヒル侯爵も納得した様子である。
ホルス殿を信じ切るにはまだ私達の中での彼に対する信用度は低いが、ルナイスの他者からの感情への敏感さを信用している。
過去、ルナイスが距離を置いた客人を調べ上げれば100%黒であるという実績もある。
だから癪ではあるが、ルナイスが懐いているホルス殿は信用できる御方であると私達は判断している。
だが、そのホルス殿のお墨付きの人物が信用たる人物であるかは別の話だ…
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