王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

第3章

新たなお悩み発生

僕も帰ろうと思ったところで新たな問題発生。



卵を奪われ無我夢中で暴れ回りながら卵を追いかけた藍色のドラゴンがこのままではまた卵を守ることができないかもしれないからと、アーナンダ国へ滞在すると言い出したのだ。


ホルス様からも親子の安全を考えるとあまり移動はしない方がいいと言われ、その事を急いでヒル侯爵様にお伝えする。



「侯爵様。」


「どうした。」


ヒュー様やチルとはよく会うし、お話もするけど、ヒル侯爵とはあまり会う機会はなくお話するは緊張する。



「ドラゴンさんがアーナンダ国で卵を育てると言っており、ホルス様からも親子の安全を考えると移動はしない方がいいと言われました。」


「なるほど…あのドラゴンも人型はとれるのか？」



「聞いてまいります！」




侯爵に言われて、急いで確認をしに藍色のドラゴンへ近づく。





「愛し子、礼を言っていなかった。我が子を見つけ保護していてくれたこと感謝する。」


「あ、いえ…それは全然……あの、人型にはなれますか？」


「うむ…人の形を取ることは可能であるが、今はあまり魔力を消費したくない。我は黒いのほど魔力を持っていないので、我が子へ与える魔力を無暗に減らしたくはないのだ。」




まさかお礼を言われると思っていなかったし、僕はただ卵に触れていただけだからお礼を言われてもちょっと困る。

返す言葉に躓きながらも、人型になれるかと聞けば否という答えが返ってきた。



なるほど。

ホルス様は容易に姿を変えているように見えていたが、ドラゴンが人の形を取るのには結構な魔力を消費するらしい。
確かに考えてみれば、人間が別の種族へ擬態する何て並みの人にはできない。


上級の変化・幻影魔法が仕えないとできないことだ。





そう思ったら、長時間人間の姿をとっているホルス様のすごさが改めて分かる。

偶にドラゴンの姿でお散歩をしているが、それも週に１度半日のことだ。





「侯爵様。今は子供に魔力を使いたいから人型にはならないと言ってます。」


「ふむ…困ったな。滞在してもらえるような場所が思い浮かばん。」


顎に手をあてて悩む侯爵と同じように僕も頭を悩ませる。


この芝生広場は普段国民達がよく利用している。
今は事前にドラゴンが来るからと規制されているのだが、長期的となるとちょっと困るのだ。


僕達のお家の敷地で快適にいてもらえるような場所は思い浮かばないし…




「勇竜の寝床はどうだ？」


「そこまで移動するとなると双方面倒なことが多かろう。それに藍色のはだいぶ魔力を失い弱っておる。子が育つにはルナイスが傍に居った方が良いのだがな。」



僕も思っていた所を侯爵が口に出すと、傍に来たホルス様が首を横に振った。




「僕が傍に？」


「あぁ。我がお主に卵に触れているよう言ったのは、愛し子には触れているだけで我らの体を癒す力があるからだ。それにルナイスは魔力も豊富。魔力を得て育つ子には今の藍色の魔力だけでは足りぬのでルナイスの魔力を吸収すればルナイスも余分な魔力を無くせて相互利益となると考えたのだが…どうだ？」



「なるほど…ルナイスの傍に居ることが、確かにお互いに良い状況と言えるな。」





ホルス様の説明で侯爵様はホルス様の意見に納得されたご様子。

だけど、そうなるとやっぱり頭を悩ませるのが親子が安心して過ごせる場所の確保だ。




「なんにせよアーバスノイヤーの領地内で考えねばならんだろう。私では決められんな。」


ぱっと顔を上げた侯爵様は笑って問題をとーさまに丸投げ宣言をされた。

でも侯爵様が言うように、アーバスノイヤー家の領地のことで侯爵様が頭を悩ませても時間の無駄なのは事実。
清く悩んでいた問題を捨てられる切り替えの良さはさすが王国騎士団団長だ。