王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

本当の雪合戦

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皆でぽつぽつとお話しながら食事を終えてそれぞれの部屋で寛いでしばらく。

体に浄化魔法をかけてそろそろ寝る用意を…というところで、使用人からとーさま達が帰宅したことを告げられ応接室へと足を運んだ。




「今回の件は公にはせず、ハデス家があの森を監視するということになった。あの森の結界については神が関わっている可能性が高いので無闇に接触しないようにとだけ伝えてある。改めて、あそこであったことなど万が一誰かに聞かれてもルナイスのことについて口外することのないよう、此処で誓約してもらいたい。」


皆が揃って、余談をすることもなくとーさまがそう言って魔法誓約書を発動した。

それに応接室に集められた使用人含めた全員が署名したところで今回の件は一旦決着がついた。



今回の件がこんなほんわりした結果に終わったのは間違いなくとーさまの手腕だろう。











名のない森の件はとりあえず終わり、他のお仕事も沢山あるとーさまは本来の仕事場へ帰還。

辺境伯は名のない森に再度赴きより詳しく調査をするために色々しないといけないことがあるとかで、北の地を離れる時はテトラ君にお見送りを任せると言っていた。



問題は解決したし、すぐに東へ行ってもいいのだけどそれだと新婚旅行っていうより本気の公務旅行になってしまうのが嫌で折角だから中央では滅多に降らない雪で遊んでから東へ向かおうって提案をした。




もう僕もノヴァも皆雪できゃっきゃとはしゃげる年齢ではないのだけど、北の地でしか感じられない積もった雪の道を歩く楽しさはいくつになってもあると思う。




ノヴァも護衛達も雪遊びしようって言った僕に笑って頷いていたし、皆そうだと思う。







と、いうわけで始まった雪遊びは 雪合戦 。



僕とノヴァとヨハネスのウォード隊とテトラ君率いるハデス隊に分かれて始まった雪合戦は前世の記憶の中の雪合戦とは異なっていて、顔のすぐ横を弓矢でも飛んできたのかってくらいの速さで雪玉が飛んでいる。

始めはやいのやいの言いながらほんわか始まった遊びであったのに、今では名の通りの戦状態。



ノヴァも珍しく割と本気で雪玉を相手に向かって飛ばしている。




制限を設けなかった雪合戦は、

空から無数の雪玉が落ちてきたり

でっかい雪玉が飛んできたり

追跡する雪玉だったり

直前で分裂する雪玉だったり




とにかく皆やりたい放題。

かろうじて雪の玉を相手にぶつけるという基本だけは守られているが…






そんな危険な雪合戦もいつしか趣旨が変わってしまって、最終的には相手の大将(僕とテトラ君)を討ち取った隊の勝利という遊びになっている。


ちなみに大将になることを許可した覚えはない。









僕はノヴァの魔法によるスノウドームのような雪の膜に覆われていて、飛んできた雪は膜に弾かれている。

そもそも僕の所に飛んでくる前に多くはノヴァとヨハネスが撃ち落としているから膜に当たるのは威力の弱い膜に当たっても大丈夫そうなものばかり。



僕は膜の中でひたすら雪玉を作っているが、そろそろ飽きてきた。


テトラ君も雪で作った盾を持っていてまだまだ決着はつきそうになくてうんざりする。






もう止めようって言いたいけど、雪合戦をしようと提案したのは僕で…提案しといて飽きたからやめよなんて流石に言いづらい。




でも雪玉を作るペースが落ちた僕にノヴァがすぐに気が付いたようで、敵陣に無数の魔法陣が現れ四方八方から飛んでくる雪玉にあえなく撃沈した。






皆服がびしょびしょになってしまったのでハデス邸に戻り体を温めて昼食を。


その後再度テトラ君と合流して午後は何をしようかっと話し合い、改めてこの世界の娯楽の少なさを実感した。












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