王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

嫌な予感

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離れに戻って数分後、コルダが戻ってきたよって報告を耳にしてさらに数分後。




「馬鹿者ぉぉおおおお!!!!」




本邸の方からノルデン子爵の大きな雷が落ちた音が聞こえてきた。






僕とノヴァはお詫びにと出来る執事が持ってきてくれた紅茶とお菓子を頂きながら本邸の騒ぎが落ち着くのを待った。

どれくらい待ったか…



元気なくトントンというノック音を耳にして入室を許可し、オスカル君含む騎士や警備隊の人達の華麗なる土下座を見下ろしたところで今回の件はこれにて一件落着とした。







どうやらあの子爵様の声は録音らしい。

最近魔法送書に短い音ならつけれるようになったのだけれど、まだまだその使用が許可されている人物は少ないしなにより魔力操作が上手くないと扱えない。



そんな貴重な技術を使って初めて送られてきた録音機能付き魔導送書でオスカル君はしこたま怒られたのだ。

好奇心旺盛な彼もこれは少し堪えたらしく、珍しくしょんぼりしている。





僕達に謝罪をした後、オスカル君は子爵から今日は大人しく座学に取り組むようにと言われたようでとぼとぼと歩いて行った。

オスカル君に乗っかった者達はノルデン子爵家の家令から鍛錬の数と時間を増やされひーひー言いながら訓練場の外周を走っているのだとか。








僕達は自由行動をさせてもらうことにした。

護衛をっと言われたけれど、正直僕自身もそこそこ戦えるしノヴァも魔法は国一と言われているくらい実力がある。
コルダも居るしヨハネスも居る。
正直慣れていない者達が付いてくる方がヨハネス達はやりずらいってことで護衛は断った。





「ルナイス様。どうやら近くにヒュー・ヒル様がいらっしゃるようです。」


「ヒュー様が?」


「ヒル領は近いので、魔獣討伐でこちら側へ来てたようですよ。ルナイス様がノルデン領にいると耳にして暇ならどうかっとのことですが。」



しゅっと何処からか現れた幸薄そうな黒マントの怪しい男がひひっと怪しい笑い声をあげながら報告してきた。

今日のコルダは気味の悪い魔法使いらしい。
またレパートリーが増えている。


マントのフードからのぞく髪の毛も手入れのされていないぱさぱさな見た目だけど、本来のコルダの髪の毛が艶々なことを僕は知っている。



彼は美意識高い系男子。






「ノヴァ。ヒュー様が近くで魔獣狩りしてるんだって。」


「時間はある。ルナイスが行くならついてく。」


ファクター公爵様に会いに行くまで下手に東の地を動けない僕達は時間を持て余しているので、後日ヒル家にはお世話になる予定だったけれど、一足先にヒュー様に会ってもいいかっと行くことに決めた。

ヒュー様に会うのも久しぶりだなぁ。


ヒュー様に会うとチルにも会いたくなるなぁ。






魔獣狩りに参加するのだから動きやすい服装で行こうということで一旦離れへ。


準備を整えてノルデン家の家令に少しばかりヒル領の端っこに行ってくると告げて馬車を動かした。









ヒュー様が居る所まで行くのに途中何度も魔獣に足を止められた。


「此処まで魔獣が人前に現れるのは異常です。」


「そうだな。一度辺りを調べて来る。」




通常では考えられないほど出て来る魔獣についにヨハネスが完全に歩みを止めた。

ノヴァが僕は馬車の中で待っているようにと言い残し、馬車から降りて森の方へ入って行く。




僕は馬車の中に居るように言われているので取り合えずヒュー様に事情を説明して合流が予定より遅くなる旨を魔法送書で伝えて、しばらく外を眺めていたけれど襲ってくる魔獣は全て護衛達が片づけてくれるので段々暇になってきたので少しお昼寝をすることにした。

同じ場所で魔獣を殺し過ぎるとその場が不浄の地となってしまい、呪いが発生する。


きちんと浄化をして場を清めて、魔獣の亡骸を弔えば大丈夫なのだけど…




この場に居たのが僕達のような集団でなければ死んでいたか或いは不浄の地を作り上げてしまっていたかもしれない。

魔獣を片付けられても、こちらが死んでも呪いの地になってしまう。






眠りながらそこまで考えてぱちっと目を開く。



「はぁ…また面倒ごとだ。」



確信に近い嫌な予感に溜息をこぼすことが我慢できず頭を抱える。

僕達は新婚旅行をしているのに、どうしてこう次から次へと問題に直面するのか…





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