王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第5章

敵は思ったよりも強敵かもしれない

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解毒剤を投与されてチクチクと傷んでいた神経は落ち着いてきたが、視界はすぐには戻らなかった。


そのうち視界が戻るよりも前に体力の限界がきてしまって、僕はノヴァが見守る中いつの間にか寝ていた。





しばらくの睡眠をとって目が覚めた時には、まだはっきりとはしないけれど視界が戻ってきていてなんとなくどこに何があるのかとか、ノヴァが傍に居てくれていることは分かった。


「ルナイスどうだ」


「ん…視界も、戻ってきてる…し…痛みも、ない…けど…だるい」



手を握ったり、額に掌をかざしたりとしながら僕の体調などを調べていくノヴァに今の僕の現状を伝えるとぼやけてても分かるくらいノヴァが顔を顰めた。

舌が上手く動かないうえに指先を動かすことも満足にできないだるさだ。



恐らく解毒剤が効いていて、高熱も出ているのだろう。

体がほてっている感じがするが、体がべたついていないのはこまめにノヴァが汗を拭いてくれていたのだろうと思う。






「しばらくは体を治すことに専念しよう。その後だが、ルナイスが捕縛した刺客の他3名の刺客を捕縛した。内1名は毒を含み自害してしまったが、生き残った者から黒幕を聞き出している。先に捕縛した刺客が一番の手練れだったようで情報を聞き出すのに時間が掛っているらしく、まだ裏にいる輩の特定には至っていない」


頭を優しく撫ぜながら、僕が眠っている間に進んだ出来事を教えてくれる。

あんなのが追加で3名もっと思ったが、一番強かったのは僕が対当した刺客だけだったようで良かった。


だからと言って、全員が同じ雇い主だった場合は後の3名も簡単には捕縛することはできなかっただろう。




「計4名全員が隠密に長けていたことから闇属性ではないかと思われたが、闇属性だったのは一名のみで後はそれぞれ属性はバラバラだった。可能性として闇属性の刺客が付与系の魔法を使っていたのか、そういった魔道具があるのかの二択が上がったが…体の何処にも魔道具らしきものは見当たらず闇属性だった者が付与魔法を行使していたのだろうという結論に至っている」



「…やみぞく、せい…死んだ?」



「あぁ。自害したのが闇属性の者だった」




ノヴァから与えられる情報をまだぼやける思考の中に必死に受け止めながら、考える。

違和感がすごいんだよね。


自害したのは闇属性の者のみ…後はこちらが阻止したにしろ生き残ったことを考え…そして一度認識した後にも気配ははっきりしない時があったし、僕の力が弱まった時に逃げ出そうとした刺客の気配もまたあの時薄れつつあった。






「…全員…やみ、ぞくせい」


「ん?しかし鑑定の結果、他の物からは闇属性の気はまったく検出されなかったと聞いているが?」


「それが、ふし…ぜん…付与あった、なら…多少、残ってる…はず」


「…なるほどな。」


「二…ぞく、せい…持ち」


「!…全員か?」


ノヴァの問いに頷く。


もっと考えなくてはいけないことがあるのに、高熱のせいか上手く頭が動かないし、段々頭痛が激しくなってきて勝手に涙が零れ落ちて来る。




「すぐに上に調べさせよう。ルナイス、無理をさせてすまない」


眉を八の字にして謝るノヴァに首を横に振り、ノヴァが冷やしてくれたタオルを僕の額にのせてくれたのが気持ちよくてほっと息を吐き出し目を閉じる。

そっと目尻に溜まった涙を優しく拭われて、頭を撫でられるうちに僕は再び眠りについた。







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