勘違いラブレター

ぽぽ

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 日曜日が来てしまった。緊張でいつもより早く起きてしまったし、何だかソワソワする。何を着れば良いのかも迷うし、なんか俺らしくない!取り敢えず必要な物だけ持っていこう。財布良し、ハンカチとティッシュ良し、チョコレート良し、あとメモ帳も持って行こう。
 そして俺は妹と一緒に向かった。
 
「おはよう」

 湊は既に動物園で待っていた。うっ、私服だからかいつもよりも倍増しにキラキラして見える。思わずキラキラオーラに何度も瞬きすると不思議そうに顔を見られた。
 焦って今まで通り話そうとすると、反って噛んでしまった。

「いいいい行こうか」
 
 妹が肘で俺を小突く。そんな様子を見て湊は眉を下げて笑った。
 
 気まずい雰囲気が流れていたが、動物の可愛さでそれは覆された。動物園選んだ俺マジグッジョブ。今はふれあいコーナーでモルモットを膝に乗せてる。つぶらな瞳が可愛らしい。この後モルモットのグッズも買おうかな。お揃いのやつを妹にも買おう。湊にも渡そうかな。
 その後もヤギやゴリラ、キリンやゾウを見て回った。可愛い動物達を見る度にテンションが上がる。時間が過ぎていた事にも気付かず俺はずっと動物達に夢中になっていた。
 
「そろそろどっかで休もうか」
「ハッ、も、もうこんな時間?」
「兄さん、はしゃぎすぎ。真野先輩、昼買っておいてくれたよ」
「あああすみません!」
「気にしないで。楽しそうな創が見れて俺も楽しかったし」
 
 湊はそう言うが俺はとんでもない失態を晒してしまったと申し訳ない気持ちになった。折角、湊に告白しようと来たのに何してんだろ。少しでも良い所を見せようと飲み物を買いに行く係を買って出た。
 
 チョコだってまだ渡せてない。てか、妹もいるしどのタイミングで渡せば良いのか……。
 そういえば妹に会っても湊の様子は余り変わってない。もしかして、惚れてないのか?
 ……いやいや、まさか。今まで俺の友人全員妹に一目惚れした程うちの妹は可愛いし湊もきっと頭の中は妹でいっぱいになってるかもしれない。そう考えると二人を置いて俺が一人ではしゃいでた方が湊にとっては好都合だったかも。
 
 あれこれ考えながら三人分の飲み物を買って二人の元へ戻ろうとすると、周囲で二人について話している声が耳に入ってきて立ち止まった。
 
「あそこにいる人超イケメン。写真撮りたいなー」
「待ちなよ。彼女持ちじゃん」
「あ、ほんとだ。てか彼女顔ちっちゃ。加工無しであれって勝てないわー」
「ね。私らとは土俵が違うよ」
 
 俺はその言葉を聞いた途端、頭が冷えた。
 「土俵が違う」と話す彼女達よりも俺は可愛くない。ふわふわの髪も細くて折れそうな体も、俺には無い。せめて髪くらいちゃんとセットしてこればよかった。
 酷く惨めな気分になった。恥ずかしい。よく俺こんなので告ろうなんて思ったな。
 
「あの子可愛くね?ナンパしよっかな」
「隣に彼氏いるっつーの」
「うわ、イケメンかよ。最悪。女選り取り見取りだろうな」
「良いよなぁ。俺も可愛い彼女欲しい」
 
 戻りづらい。この空気の中でこんな平凡な野郎が割り込んできたら変に思われるだろうな。
 昨日はちゃんと思いを伝えようと思っていたが、勇気が湧かない。ずっと前から分かっていたがこうして見ると本当に二人はお似合いだ。スタイルも良くて性格も良い。俺なんかそこら辺の雑草のようなものだ。打ちのめされたような気分になり、俺は缶ジュースを抱えたままその場から小走りで離れた。
 
 無心で走っていると、いつの間にか一番遠くの鶏のエリアまで来てしまった。鶏は余り人気が無いのか誰もいない。入口からも遠いし周りに他の動物のエリアも無いし仕方ないか。
 俺はベンチで座り、鞄の中にジュースを詰め込んだ。するとスマホの画面に何通もの着信履歴が映っていたのが見えた。急いで俺は妹に体調が悪くなったから帰るという旨をLIMEで伝えた。

「……俺、何してんだろ」
 
 ジュースも渡せない、勇気も無い、可愛くもないし格好良くもない。何も出来ない。自分が情けなくて仕方なかった。
 すると手に持つスマホが震えた。妹かと思い相手の名前も見ずに出るとスマホから聞こえたのは湊の声だった。
 
「創?大丈夫?」
「あ、はい。ちょっと悪いだけなんで、気にしないでください」
「ほんとに?無理しないでね」
「俺こそすみません。折角、来たのに……」
 
 優しい湊の声に涙が出そうになった。馬鹿。ここで泣いたらもっと格好悪いぞ。唇をぐっと噛んで堪える。
 スマホを鞄の中に入れようとすると何かと手が当たった。取り出すと昨日作ったチョコだった。もう渡さないし俺が食べようとラッピングを解くと、チョコは粉々になっていた。走った拍子で割れてしまったのだろう。あーあ、昨日頑張って作ったのに全部無駄だ。何もかも、全部だめだめだな。
 
「っ、あーっ、もう!俺のばか!くそっ、ばかっ、マジでばか」
 
 堪えていた涙が目尻から零れ落ちる。
 馬鹿にも程がある。なんでそもそも最初から湊に好きだって伝えなかったんだ。薄々自分でも気付いていたはずなのに意地張って認めなかった。そこが馬鹿だった。あと折角湊からどっちが好きかと聞かれたのにどうしてあそこで迷ったりなんてしたんだ。それに妹にだって負けないくらい自分磨きも頑張れば良かったし、考え始めたら後悔しか無い。
 
 粉々になったチョコレート。まるで俺の恋心のようで見ていると収拾がつかないほど感情が混乱する。やけくそな気分になって俺はそれをゴミ箱へ放り投げようとした。しかし、その腕を強く掴まれた。
 
「何してるんだ?創」
 
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