11 / 14
11
しおりを挟む
日曜日が来てしまった。緊張でいつもより早く起きてしまったし、何だかソワソワする。何を着れば良いのかも迷うし、なんか俺らしくない!取り敢えず必要な物だけ持っていこう。財布良し、ハンカチとティッシュ良し、チョコレート良し、あとメモ帳も持って行こう。
そして俺は妹と一緒に向かった。
「おはよう」
湊は既に動物園で待っていた。うっ、私服だからかいつもよりも倍増しにキラキラして見える。思わずキラキラオーラに何度も瞬きすると不思議そうに顔を見られた。
焦って今まで通り話そうとすると、反って噛んでしまった。
「いいいい行こうか」
妹が肘で俺を小突く。そんな様子を見て湊は眉を下げて笑った。
気まずい雰囲気が流れていたが、動物の可愛さでそれは覆された。動物園選んだ俺マジグッジョブ。今はふれあいコーナーでモルモットを膝に乗せてる。つぶらな瞳が可愛らしい。この後モルモットのグッズも買おうかな。お揃いのやつを妹にも買おう。湊にも渡そうかな。
その後もヤギやゴリラ、キリンやゾウを見て回った。可愛い動物達を見る度にテンションが上がる。時間が過ぎていた事にも気付かず俺はずっと動物達に夢中になっていた。
「そろそろどっかで休もうか」
「ハッ、も、もうこんな時間?」
「兄さん、はしゃぎすぎ。真野先輩、昼買っておいてくれたよ」
「あああすみません!」
「気にしないで。楽しそうな創が見れて俺も楽しかったし」
湊はそう言うが俺はとんでもない失態を晒してしまったと申し訳ない気持ちになった。折角、湊に告白しようと来たのに何してんだろ。少しでも良い所を見せようと飲み物を買いに行く係を買って出た。
チョコだってまだ渡せてない。てか、妹もいるしどのタイミングで渡せば良いのか……。
そういえば妹に会っても湊の様子は余り変わってない。もしかして、惚れてないのか?
……いやいや、まさか。今まで俺の友人全員妹に一目惚れした程うちの妹は可愛いし湊もきっと頭の中は妹でいっぱいになってるかもしれない。そう考えると二人を置いて俺が一人ではしゃいでた方が湊にとっては好都合だったかも。
あれこれ考えながら三人分の飲み物を買って二人の元へ戻ろうとすると、周囲で二人について話している声が耳に入ってきて立ち止まった。
「あそこにいる人超イケメン。写真撮りたいなー」
「待ちなよ。彼女持ちじゃん」
「あ、ほんとだ。てか彼女顔ちっちゃ。加工無しであれって勝てないわー」
「ね。私らとは土俵が違うよ」
俺はその言葉を聞いた途端、頭が冷えた。
「土俵が違う」と話す彼女達よりも俺は可愛くない。ふわふわの髪も細くて折れそうな体も、俺には無い。せめて髪くらいちゃんとセットしてこればよかった。
酷く惨めな気分になった。恥ずかしい。よく俺こんなので告ろうなんて思ったな。
「あの子可愛くね?ナンパしよっかな」
「隣に彼氏いるっつーの」
「うわ、イケメンかよ。最悪。女選り取り見取りだろうな」
「良いよなぁ。俺も可愛い彼女欲しい」
戻りづらい。この空気の中でこんな平凡な野郎が割り込んできたら変に思われるだろうな。
昨日はちゃんと思いを伝えようと思っていたが、勇気が湧かない。ずっと前から分かっていたがこうして見ると本当に二人はお似合いだ。スタイルも良くて性格も良い。俺なんかそこら辺の雑草のようなものだ。打ちのめされたような気分になり、俺は缶ジュースを抱えたままその場から小走りで離れた。
無心で走っていると、いつの間にか一番遠くの鶏のエリアまで来てしまった。鶏は余り人気が無いのか誰もいない。入口からも遠いし周りに他の動物のエリアも無いし仕方ないか。
俺はベンチで座り、鞄の中にジュースを詰め込んだ。するとスマホの画面に何通もの着信履歴が映っていたのが見えた。急いで俺は妹に体調が悪くなったから帰るという旨をLIMEで伝えた。
「……俺、何してんだろ」
ジュースも渡せない、勇気も無い、可愛くもないし格好良くもない。何も出来ない。自分が情けなくて仕方なかった。
すると手に持つスマホが震えた。妹かと思い相手の名前も見ずに出るとスマホから聞こえたのは湊の声だった。
「創?大丈夫?」
「あ、はい。ちょっと悪いだけなんで、気にしないでください」
「ほんとに?無理しないでね」
「俺こそすみません。折角、来たのに……」
優しい湊の声に涙が出そうになった。馬鹿。ここで泣いたらもっと格好悪いぞ。唇をぐっと噛んで堪える。
スマホを鞄の中に入れようとすると何かと手が当たった。取り出すと昨日作ったチョコだった。もう渡さないし俺が食べようとラッピングを解くと、チョコは粉々になっていた。走った拍子で割れてしまったのだろう。あーあ、昨日頑張って作ったのに全部無駄だ。何もかも、全部だめだめだな。
「っ、あーっ、もう!俺のばか!くそっ、ばかっ、マジでばか」
堪えていた涙が目尻から零れ落ちる。
馬鹿にも程がある。なんでそもそも最初から湊に好きだって伝えなかったんだ。薄々自分でも気付いていたはずなのに意地張って認めなかった。そこが馬鹿だった。あと折角湊からどっちが好きかと聞かれたのにどうしてあそこで迷ったりなんてしたんだ。それに妹にだって負けないくらい自分磨きも頑張れば良かったし、考え始めたら後悔しか無い。
粉々になったチョコレート。まるで俺の恋心のようで見ていると収拾がつかないほど感情が混乱する。やけくそな気分になって俺はそれをゴミ箱へ放り投げようとした。しかし、その腕を強く掴まれた。
「何してるんだ?創」
そして俺は妹と一緒に向かった。
「おはよう」
湊は既に動物園で待っていた。うっ、私服だからかいつもよりも倍増しにキラキラして見える。思わずキラキラオーラに何度も瞬きすると不思議そうに顔を見られた。
焦って今まで通り話そうとすると、反って噛んでしまった。
「いいいい行こうか」
妹が肘で俺を小突く。そんな様子を見て湊は眉を下げて笑った。
気まずい雰囲気が流れていたが、動物の可愛さでそれは覆された。動物園選んだ俺マジグッジョブ。今はふれあいコーナーでモルモットを膝に乗せてる。つぶらな瞳が可愛らしい。この後モルモットのグッズも買おうかな。お揃いのやつを妹にも買おう。湊にも渡そうかな。
その後もヤギやゴリラ、キリンやゾウを見て回った。可愛い動物達を見る度にテンションが上がる。時間が過ぎていた事にも気付かず俺はずっと動物達に夢中になっていた。
「そろそろどっかで休もうか」
「ハッ、も、もうこんな時間?」
「兄さん、はしゃぎすぎ。真野先輩、昼買っておいてくれたよ」
「あああすみません!」
「気にしないで。楽しそうな創が見れて俺も楽しかったし」
湊はそう言うが俺はとんでもない失態を晒してしまったと申し訳ない気持ちになった。折角、湊に告白しようと来たのに何してんだろ。少しでも良い所を見せようと飲み物を買いに行く係を買って出た。
チョコだってまだ渡せてない。てか、妹もいるしどのタイミングで渡せば良いのか……。
そういえば妹に会っても湊の様子は余り変わってない。もしかして、惚れてないのか?
……いやいや、まさか。今まで俺の友人全員妹に一目惚れした程うちの妹は可愛いし湊もきっと頭の中は妹でいっぱいになってるかもしれない。そう考えると二人を置いて俺が一人ではしゃいでた方が湊にとっては好都合だったかも。
あれこれ考えながら三人分の飲み物を買って二人の元へ戻ろうとすると、周囲で二人について話している声が耳に入ってきて立ち止まった。
「あそこにいる人超イケメン。写真撮りたいなー」
「待ちなよ。彼女持ちじゃん」
「あ、ほんとだ。てか彼女顔ちっちゃ。加工無しであれって勝てないわー」
「ね。私らとは土俵が違うよ」
俺はその言葉を聞いた途端、頭が冷えた。
「土俵が違う」と話す彼女達よりも俺は可愛くない。ふわふわの髪も細くて折れそうな体も、俺には無い。せめて髪くらいちゃんとセットしてこればよかった。
酷く惨めな気分になった。恥ずかしい。よく俺こんなので告ろうなんて思ったな。
「あの子可愛くね?ナンパしよっかな」
「隣に彼氏いるっつーの」
「うわ、イケメンかよ。最悪。女選り取り見取りだろうな」
「良いよなぁ。俺も可愛い彼女欲しい」
戻りづらい。この空気の中でこんな平凡な野郎が割り込んできたら変に思われるだろうな。
昨日はちゃんと思いを伝えようと思っていたが、勇気が湧かない。ずっと前から分かっていたがこうして見ると本当に二人はお似合いだ。スタイルも良くて性格も良い。俺なんかそこら辺の雑草のようなものだ。打ちのめされたような気分になり、俺は缶ジュースを抱えたままその場から小走りで離れた。
無心で走っていると、いつの間にか一番遠くの鶏のエリアまで来てしまった。鶏は余り人気が無いのか誰もいない。入口からも遠いし周りに他の動物のエリアも無いし仕方ないか。
俺はベンチで座り、鞄の中にジュースを詰め込んだ。するとスマホの画面に何通もの着信履歴が映っていたのが見えた。急いで俺は妹に体調が悪くなったから帰るという旨をLIMEで伝えた。
「……俺、何してんだろ」
ジュースも渡せない、勇気も無い、可愛くもないし格好良くもない。何も出来ない。自分が情けなくて仕方なかった。
すると手に持つスマホが震えた。妹かと思い相手の名前も見ずに出るとスマホから聞こえたのは湊の声だった。
「創?大丈夫?」
「あ、はい。ちょっと悪いだけなんで、気にしないでください」
「ほんとに?無理しないでね」
「俺こそすみません。折角、来たのに……」
優しい湊の声に涙が出そうになった。馬鹿。ここで泣いたらもっと格好悪いぞ。唇をぐっと噛んで堪える。
スマホを鞄の中に入れようとすると何かと手が当たった。取り出すと昨日作ったチョコだった。もう渡さないし俺が食べようとラッピングを解くと、チョコは粉々になっていた。走った拍子で割れてしまったのだろう。あーあ、昨日頑張って作ったのに全部無駄だ。何もかも、全部だめだめだな。
「っ、あーっ、もう!俺のばか!くそっ、ばかっ、マジでばか」
堪えていた涙が目尻から零れ落ちる。
馬鹿にも程がある。なんでそもそも最初から湊に好きだって伝えなかったんだ。薄々自分でも気付いていたはずなのに意地張って認めなかった。そこが馬鹿だった。あと折角湊からどっちが好きかと聞かれたのにどうしてあそこで迷ったりなんてしたんだ。それに妹にだって負けないくらい自分磨きも頑張れば良かったし、考え始めたら後悔しか無い。
粉々になったチョコレート。まるで俺の恋心のようで見ていると収拾がつかないほど感情が混乱する。やけくそな気分になって俺はそれをゴミ箱へ放り投げようとした。しかし、その腕を強く掴まれた。
「何してるんだ?創」
20
あなたにおすすめの小説
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
君の恋人
risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。
伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。
もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。
不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
サンタからの贈り物
未瑠
BL
ずっと片思いをしていた冴木光流(さえきひかる)に想いを告げた橘唯人(たちばなゆいと)。でも、彼は出来るビジネスエリートで仕事第一。なかなか会うこともできない日々に、唯人は不安が募る。付き合って初めてのクリスマスも冴木は出張でいない。一人寂しくイブを過ごしていると、玄関チャイムが鳴る。
※別小説のセルフリメイクです。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる