「レジ袋はご利用になりますか?」

すずかけあおい

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「レジ袋はご利用になりますか?」⑪

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「ビールって本当に苦いんですね」
「おいしくない?」
「…いまいちわからないです」

前に俺が置いて行って冷蔵庫に入れてもらっていたままの缶ビールをベッドでふたりで飲む。
天志はビールを飲んでちょっと苦い笑みを浮かべる。
口に合わなかったかな。

「歩、今日は泊まっていきませんか?」
「…そのつもりで来た」
「だからお寿司もお弁当もふたつずつだったんですか?」
「……うん」

天志に会う前から期待してた事が知られるとどきどきする。
そんな俺に天志が蕩けるキスをくれる…気持ちいい。
天志のキスがアルコールの香りを纏っているのが変な感じで、それだけで酔いそう。

「…天志、」
「なんですか?」
「実は俺、最初に天志が告白してくれた時、イヤホン着けててなに言ってるかわかんなくて、レジ袋いるかって聞かれてると思って『お願いします』って答えた」

これ、言っておかないと心がすっきりしない。
怒るかな。
天志の顔を見ると、微笑んでいる。

「知ってます」
「え?」
「わかっててあの時に告白しました」

もう一度天志の唇が重なる。
雲の上にいるみたいに全身がふわふわする。

「素朴で純粋そうで、なにも知らなそうな歩がずっと好きでした」

天志が言葉を紡ぐ。
どきどきしながら一言一言を脳に伝える。

「いつも会計の前にイヤホンを外すのも知っていました。でもあの日だけは外していないのがわかったので、告白しました。本当に最高の誕生日プレゼントでした」

頬を撫でられて、顔の輪郭を舌でなぞられる。
また熱が奥から湧き上がってくる。

「やっと手に入れました…俺の歩」

ゾクゾクする真実に、缶ビールをベッドサイドに置いて天志の熱を軽く扱く。
昂ったものに跨って、自分で腰を下ろして奥まで咥え込む。

「ゴム着けてませんよ」

拙く動く俺の腰に手を添えて、天志が微笑む。

「ナカ…ほしいから…あっ…」
「本当にしょうがない人ですね…」
「ん、あっ…だめ…?」
「可愛い歩のお願いを聞かないわけにはいきません…一番奥で出しましょうね」
「っ…うん、っだして…っ、あっ!」

頬を上気させた女の子顔の男が俺を見つめる。
髪を撫でられて、また力が入らなくなるような熱く貪るキスをくれた。

「俺の全部、受け止めてください。俺だけの歩…」
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