2 / 9
ちょっとおかしい幼馴染②
しおりを挟む
◇◆◇
宿題のプリントは詩音のおかげで無事終わらせられた。
授業中、廊下側一番前の席の詩音の背中を見る。
姿勢がいい。
なんとなく俺も姿勢を正す。
こうやって見ると人の手を食べようとしたりする変態には見えないんだけどな。
まあ昔から詩音はあんな感じだったか。
ご飯を食べ残すと詩音がそれを食べたがるので俺は好き嫌いせず綺麗にご飯を食べるようになったとか、今では結果的によかったと感じられるようになった。
脱いだ服を部屋に脱ぎ散らかしておくとにおいを嗅がれるからきちんと脱衣室の洗濯カゴに入れるようになったとか。
まあ、結果としてはいい事…だ。
「問三を原田」
「はい。………」
かっこいいなぁ…。
ちらっと見える横顔が凛々しくて、思わず見惚れてしまう。
透き通っていてよく響く、ずっと聞いていたい声。
好きだな。
「心、手繋ごう」
「え?」
昼休み、詩音は急にまたそんな事を言った。
どきっとする。
また手を食べられんじゃないかと思ったから。
でも本当に繋ぐだけだった。
廊下の隅っこで手を繋いで並んで座る。
誰も冷やかしたりしない。
もう見慣れてるから。
詩音は耳元でこそっと。
「あれは帰ってからってここちゃんが言ったから我慢してる」
「……」
我慢してるんだ…。
授業中のかっこよさはどこへ行った。
でもこれも俺だけに見せてくれる姿だと思うと愛おしい。
たまにわけのわからない事をしても許せてしまうくらい好き。
好きだけど。
「子作りしよう」
…わけわからな過ぎる。
「いや……は?」
「ここちゃんの子は可愛いと思う。でも子どもだけじゃなくて俺の事もかまってね」
「え?」
詩音のベッドになぜか押し倒されている俺はどういう反応をしたらいい?
…詩音って頭いいよな。
まさか男同士で子どもができない事を知らないはず、ない…よな?
「…いや、俺達まだ高校生だし」
「大丈夫。俺、学校やめて働くから!」
俺も詩音も色々そういう話じゃなくて。
「えっと、詩音も俺も男だから子どもはできないんじゃ…?」
「ここちゃん、男同士で子どもはできないんじゃ?じゃなくてできないんだよ」
「……」
わかってるんだ…。
じゃあどういうつもりだ。
「だからね、心、」
「うん」
「できるまでするんだよ」
「!?」
手を取られてまた朝のようにはむはむと甘噛みされて顔が熱くなる。
なにを始めようっていうんだ、この男は。
「ここちゃんは嫌?」
「え?」
「ここちゃんが嫌ならしない」
「……」
なんでここにきて俺に聞くんだ。
ていうか嫌ならしないって……俺は…俺はどう思ってるんだ!?
「ここちゃんはどうしたい?」
俺はどうしたいか…?
「俺とどうなりたい?」
詩音とどうなりたいか…。
「俺は…」
「うん」
「……俺は」
「うん」
「………」
そんなのわかんないよ!!
「………ちょっと、考えさせて」
なんとかそれだけ言った。
詩音は怒るでもなくただ静かに頷いて俺の頬にキスをした。
そういえば詩音とはキスもしてないのに、いきなり子作り?
いや、子どもは作れないんだけど。
それ以前に結婚もできないし。
…俺は詩音とどうなりたいんだろう。
宿題のプリントは詩音のおかげで無事終わらせられた。
授業中、廊下側一番前の席の詩音の背中を見る。
姿勢がいい。
なんとなく俺も姿勢を正す。
こうやって見ると人の手を食べようとしたりする変態には見えないんだけどな。
まあ昔から詩音はあんな感じだったか。
ご飯を食べ残すと詩音がそれを食べたがるので俺は好き嫌いせず綺麗にご飯を食べるようになったとか、今では結果的によかったと感じられるようになった。
脱いだ服を部屋に脱ぎ散らかしておくとにおいを嗅がれるからきちんと脱衣室の洗濯カゴに入れるようになったとか。
まあ、結果としてはいい事…だ。
「問三を原田」
「はい。………」
かっこいいなぁ…。
ちらっと見える横顔が凛々しくて、思わず見惚れてしまう。
透き通っていてよく響く、ずっと聞いていたい声。
好きだな。
「心、手繋ごう」
「え?」
昼休み、詩音は急にまたそんな事を言った。
どきっとする。
また手を食べられんじゃないかと思ったから。
でも本当に繋ぐだけだった。
廊下の隅っこで手を繋いで並んで座る。
誰も冷やかしたりしない。
もう見慣れてるから。
詩音は耳元でこそっと。
「あれは帰ってからってここちゃんが言ったから我慢してる」
「……」
我慢してるんだ…。
授業中のかっこよさはどこへ行った。
でもこれも俺だけに見せてくれる姿だと思うと愛おしい。
たまにわけのわからない事をしても許せてしまうくらい好き。
好きだけど。
「子作りしよう」
…わけわからな過ぎる。
「いや……は?」
「ここちゃんの子は可愛いと思う。でも子どもだけじゃなくて俺の事もかまってね」
「え?」
詩音のベッドになぜか押し倒されている俺はどういう反応をしたらいい?
…詩音って頭いいよな。
まさか男同士で子どもができない事を知らないはず、ない…よな?
「…いや、俺達まだ高校生だし」
「大丈夫。俺、学校やめて働くから!」
俺も詩音も色々そういう話じゃなくて。
「えっと、詩音も俺も男だから子どもはできないんじゃ…?」
「ここちゃん、男同士で子どもはできないんじゃ?じゃなくてできないんだよ」
「……」
わかってるんだ…。
じゃあどういうつもりだ。
「だからね、心、」
「うん」
「できるまでするんだよ」
「!?」
手を取られてまた朝のようにはむはむと甘噛みされて顔が熱くなる。
なにを始めようっていうんだ、この男は。
「ここちゃんは嫌?」
「え?」
「ここちゃんが嫌ならしない」
「……」
なんでここにきて俺に聞くんだ。
ていうか嫌ならしないって……俺は…俺はどう思ってるんだ!?
「ここちゃんはどうしたい?」
俺はどうしたいか…?
「俺とどうなりたい?」
詩音とどうなりたいか…。
「俺は…」
「うん」
「……俺は」
「うん」
「………」
そんなのわかんないよ!!
「………ちょっと、考えさせて」
なんとかそれだけ言った。
詩音は怒るでもなくただ静かに頷いて俺の頬にキスをした。
そういえば詩音とはキスもしてないのに、いきなり子作り?
いや、子どもは作れないんだけど。
それ以前に結婚もできないし。
…俺は詩音とどうなりたいんだろう。
25
あなたにおすすめの小説
慶ちゃんの言うとおり
カミヤルイ
BL
完璧な優等生を演じるド執着攻めが、見た目ふわふわ系可愛い受けを「自分はひ弱」と思い込ませて、囲い込んでいくお話。
(囲い込みBLでゾワゾワしたい方がおられたら…同志がおられるといいなと)
Original drug
佐治尚実
BL
ある薬を愛しい恋人の翔祐に服用させた医薬品会社に勤める一条は、この日を数年間も待ち望んでいた。
翔祐(しょうすけ) 一条との家に軟禁されている 平凡 一条の恋人 敬語
一条(いちじょう) 医薬品会社の執行役員
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
キミとキスの練習がしたい 〜親友から迫られる俺の話〜
キトー
BL
幼馴染で親友の卓が「キスの練習をしよう」と言い出した。
なんだかんだで流されながらどんどん行為はエスカレートして……。
気分転換に勢いに任せて書いた文章です(笑)
ギャグだと思ってお読み下さい。
5話で完結です。
※ほぼ全てにキスまたはそれ以上の描写が含まれています。ネタバレを避ける為注意表記はいたしませんのでご了承下さい。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
雨のち幼馴染み
石月煤子
BL
【片思いこじらせ男前×ひねくれ平凡】
「この部屋、いつ来てもキレーに片づけられてて、きもちわる」
ひねくれ平凡かつDTの真尋。
「服貸すから着替えろよ、風邪引くぞ」
性格良し・見た目良し、現在年上の彼女とお付き合い中(?)の弘毅。
「お前のはAもないな」
「ふざけんな……ッこのバカ……ッ」
雨の降る放課後、幼馴染みである二人に訪れた非日常。
■表紙イラストは[ジュエルセイバーFREE]様のフリーコンテンツを利用しています
http://www.jewel-s.jp/
君は幼馴染み
石月煤子
BL
【隠れスケベ男前×流され平凡=幼馴染みBL/すけべmain】
『小学校一年の頃からずっと好きだった』
『あわわわわ……』
『俺と付き合ってくれないか、幸太』
バスケ部エースなハイスぺ幼馴染みに告白された平凡男子。
「お前とこーいうことするの、堪らない、何なら一日中シてたい」
(昨日も、一昨日も、その前にも「こーいうこと」をしたのに。簡単に流されちゃうおれって、おれって……もしかしてちょろい……?)
▲表紙イラストは[ジュエルセイバーFREE]様のフリーコンテンツを利用しています
http://www.jewel-s.jp/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる