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ちょっとおかしい幼馴染③
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◇◆◇
ここのところ、毎日毎日寝不足。
詩音のせいだ。
『俺とどうなりたい?』
あの言葉はもしかしたらずっと詩音の中に引っ掛かっていたのかもしれないと考えると眠れない。
子作りなんて口実で、本当はそれが聞きたかったんじゃないかって思うとなんだか苦しくなってしまう。
俺達は幼馴染で、詩音は俺が大好きで、俺も詩音が好きで、ずっと一緒にいた。
でもそれだけ。
付き合おうって言ったわけではないから恋人ではない。
小さい頃はずっとそばにいるって言ったりもしたけど、それっていつまで?
将来の約束をしたわけではないんだからいつかは離れていくのかもしれない。
俺が詩音より好きになれる人なんて現れないだろうけど、俺より魅力のある人なんてたくさんいる。
そもそもなんで詩音は俺をむやみやたらに可愛がるんだろう。
鏡を見てみる。
特に可愛い顔をしていない。
むしろ平凡と言ったほうが正しい顔立ちだ。
どの辺が可愛いんだろう。
「……はぁ」
目の下にうっすらクマできてるし。
情けないけど、詩音の言葉はそれくらい俺を悩ませている。
もっとはっきりきっぱりした性格だったら、すぱっと答えを出せたのかな。
どんな人でもやっぱりこういう時は悩むのかな。
「いってきます…」
家を出るとちょうど隣の家から詩音が出てきた。
「心、おはよう」
「…おはよう、詩音」
あの日から、『ここちゃん』って呼んでくれない。
距離置かれてるのかな。
おかしな行動もしないし。
「……」
「……」
なに話していいかわからない。
ちょっと前までなら、
『ここちゃん今日も可愛い!!』
『ここちゃん手繋ごう!!』
『ここちゃん大好き!!』
なのに。
「……」
無言。
あの時、詩音を受け入れればよかった?
俺自身の気持ちがよくわからないままで?
それだと詩音を傷付けたんじゃないか?
今のこの状態も詩音を傷付けている?
…俺がどうしたいか早く答えを出さないと、詩音は俺から離れて行ってしまう…?
だからって焦って答えを出したって詩音は喜ばない気もする。
どうしたらいいんだ。
「心」
「えっ!?」
「…どうしたの?」
俺の反応に詩音がびっくりしてる。
「なんでもない…」
本当にどうしたんだ、俺。
「ごめん、なに? 詩音」
明らかに俺はおかしい。
おかしくさせてるのは詩音。
「…俺、これまで心に自分の気持ち押し付け過ぎてきたかな」
「え?」
「心が好きで好きで、可愛くてどうしようもなくて…それ全部伝えてたけど、もしかして迷惑だったかなって思って」
「そんな…」
なんで急にそんな事言うんだ。
嫌などきどきが全身に響き始める。
「迷惑だなんて言った事、ないよ…?」
少し声が震えてしまう。
次に詩音の口から出てくる言葉がなんなのかわからなくて怖いから。
「心は優しいから、そういう事言わないよね。でもきっとどこかでそう感じてたんじゃないかなって思うんだ」
「なんで…?」
「なんとなく、そんな風に感じた。迫った時の反応も、困ってたみたいだったし」
「…そりゃ」
そりゃ困るよ。
いきなり『子作りしよう』って言われたら、誰だって困ると思う。
それに俺と詩音は恋人じゃないんだから、そういう関係になるのはやっぱりきちんと付き合ってからがいい。
「心、無理しないで」
「は?」
「俺、心が嫌ならもう近付かないから」
「……」
切なげに笑って見せる詩音。
なにそれ。
勝手に話進めて、悲劇の王子様ぶって。
………腹立つ!!
「俺の気持ち勝手に決めつけないでよ!!」
「心?」
「そんなに離れていきたいなら勝手に離れていけば!? もう詩音なんか知らない!!!」
ここのところ、毎日毎日寝不足。
詩音のせいだ。
『俺とどうなりたい?』
あの言葉はもしかしたらずっと詩音の中に引っ掛かっていたのかもしれないと考えると眠れない。
子作りなんて口実で、本当はそれが聞きたかったんじゃないかって思うとなんだか苦しくなってしまう。
俺達は幼馴染で、詩音は俺が大好きで、俺も詩音が好きで、ずっと一緒にいた。
でもそれだけ。
付き合おうって言ったわけではないから恋人ではない。
小さい頃はずっとそばにいるって言ったりもしたけど、それっていつまで?
将来の約束をしたわけではないんだからいつかは離れていくのかもしれない。
俺が詩音より好きになれる人なんて現れないだろうけど、俺より魅力のある人なんてたくさんいる。
そもそもなんで詩音は俺をむやみやたらに可愛がるんだろう。
鏡を見てみる。
特に可愛い顔をしていない。
むしろ平凡と言ったほうが正しい顔立ちだ。
どの辺が可愛いんだろう。
「……はぁ」
目の下にうっすらクマできてるし。
情けないけど、詩音の言葉はそれくらい俺を悩ませている。
もっとはっきりきっぱりした性格だったら、すぱっと答えを出せたのかな。
どんな人でもやっぱりこういう時は悩むのかな。
「いってきます…」
家を出るとちょうど隣の家から詩音が出てきた。
「心、おはよう」
「…おはよう、詩音」
あの日から、『ここちゃん』って呼んでくれない。
距離置かれてるのかな。
おかしな行動もしないし。
「……」
「……」
なに話していいかわからない。
ちょっと前までなら、
『ここちゃん今日も可愛い!!』
『ここちゃん手繋ごう!!』
『ここちゃん大好き!!』
なのに。
「……」
無言。
あの時、詩音を受け入れればよかった?
俺自身の気持ちがよくわからないままで?
それだと詩音を傷付けたんじゃないか?
今のこの状態も詩音を傷付けている?
…俺がどうしたいか早く答えを出さないと、詩音は俺から離れて行ってしまう…?
だからって焦って答えを出したって詩音は喜ばない気もする。
どうしたらいいんだ。
「心」
「えっ!?」
「…どうしたの?」
俺の反応に詩音がびっくりしてる。
「なんでもない…」
本当にどうしたんだ、俺。
「ごめん、なに? 詩音」
明らかに俺はおかしい。
おかしくさせてるのは詩音。
「…俺、これまで心に自分の気持ち押し付け過ぎてきたかな」
「え?」
「心が好きで好きで、可愛くてどうしようもなくて…それ全部伝えてたけど、もしかして迷惑だったかなって思って」
「そんな…」
なんで急にそんな事言うんだ。
嫌などきどきが全身に響き始める。
「迷惑だなんて言った事、ないよ…?」
少し声が震えてしまう。
次に詩音の口から出てくる言葉がなんなのかわからなくて怖いから。
「心は優しいから、そういう事言わないよね。でもきっとどこかでそう感じてたんじゃないかなって思うんだ」
「なんで…?」
「なんとなく、そんな風に感じた。迫った時の反応も、困ってたみたいだったし」
「…そりゃ」
そりゃ困るよ。
いきなり『子作りしよう』って言われたら、誰だって困ると思う。
それに俺と詩音は恋人じゃないんだから、そういう関係になるのはやっぱりきちんと付き合ってからがいい。
「心、無理しないで」
「は?」
「俺、心が嫌ならもう近付かないから」
「……」
切なげに笑って見せる詩音。
なにそれ。
勝手に話進めて、悲劇の王子様ぶって。
………腹立つ!!
「俺の気持ち勝手に決めつけないでよ!!」
「心?」
「そんなに離れていきたいなら勝手に離れていけば!? もう詩音なんか知らない!!!」
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