ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

何つー倒し方

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「しっかしまぁ…何つー倒し方だいこりゃ…」


 レーヴァが倒した熊を見て呟く。


そもそも熊を1人で倒す場合通常であれば毒を使う、罠を使う、距離を保ち遠距離武器で削る。
このいずれかの戦法が定石とされていた。それ程熊の耐久力は高い。
ただでさえ硬く厚い毛皮、その下の分厚い脂肪、人間の数倍の厚さを持つ筋肉を纏っている。

待機していたレーヴァは木に登ったノアを見て流石のノアでもその戦法で仕留めると考えた。

樹上から矢を射り、目を潰す。ここまでは良い。
木から飛び降り接近戦を仕掛けた辺りからレーヴァは気が気じゃなかった。
ノアが熊と木の位置を調整する為に転がる動作を追い込まれたと勘違いし咄嗟に助けに行こうとしたがノアから念を押されていた為に動けずにいた。


「熊の手を狙って縫い付ける何て普通考えないよ…それに坊や…自覚してるかどうか分からないけど熊の首を掻っ斬るとこの坊やの顔、笑ってたぜ。」

「いやいや。自分で考えた戦略がカチッとハマったからであって首を掻っ斬るのが楽しいとかそんなんじゃ無いですからね?」

レーヴァの感想にあらぬ誤解を受けそうになったノアは慌てて訂正する。


「それにしても坊やの戦い振りは昔見た鬼神とドラゴンの闘いを思い出すよ。」

「鬼神?」

「あぁ、たった1人でドラゴンの群れに突っ込んで自分の数倍の大きさもあるドラゴンを悉く屠って、最終的に群れのボスの角で喉掻っ斬って首の骨掴んでへし折ってね…あまりにも強いから一時期魔王と勘違いされてた奴がいたんだ。」


(そういえば父さんも母さんも鬼神の戦いを見たことあるってよく話してたっけ、1人で魔物の大群を一掃したとか高難度のダンジョンを武器を使わず攻略したとか…流石に話を盛ってるとは思うけど。)


そんな雑談をしつつ暫く経ったので熊の手に刺したダガーを引き抜こうと力を入れる。
抜けはしたがダガーの刀身が半ばで折れてしまった。

「そりゃあれだけのことやれば刃がもたないだろうね。」

とりあえず腰に折れたダガーを戻す。


熊を回収。熊が倒したウルフ3頭は損傷が酷いので放置しておく。

ちなみにダンジョンの中で死体を放置すると他の生き物が食べに来るか、『飢餓ミミズ』が処理に来るらしいが外だとゾンビ化もしくはスケルトン化するので燃やすと良いらしい。


その後は特にモンスターと遭遇すること無く2階を<地図化>。

3階への坂を下る。その途中ノアが

「そういえばさっきの話の続きですが。」

「話?…襲ってくる母さんの話かい?」


「はい、僕の【適正】を両親に伝えてから一番躍起になったのが母さんなんです。
父さんとパーティ組むまで母さんはずっと1人だったのでスキルを取るまで相当苦労したみたいで。
それで僕に効率的にスキルを取得させようとした結果が」


「襲ってくる母さん、かい…どんなことやったんだい?」

「<忍び足>を覚えるために母さんの所まで気付かれない様に食糧を取りに行ったり。」

「ふむふむ。」

「気付かれたら斧を持った母さんが一定時間追い掛けてくるので<木登り上手>とか<縦横無尽>を駆使して森の中を逃げ回るんです。」  

「ふむ?」

「逆に自分がいる所に野盗役の母さんが襲撃しに来るんですが、最初は尋常じゃない殺気を放って来るから良いのですが徐々に抑えてって最後は気配を消して来るので<気配感知>とかの感知系を覚えるのは大変でしたね。」


笑顔で当時の事を語るノアだが。それを聞いてるレーヴァは軽く引いていた。

(初日に来た時やたら森の中をヌルヌル移動するからおかしいと思ってたんだよねぇ…)

「そんな経験したら熊なんか恐くないだろぅ?」

冗談めかして聞くレーヴァ。


「そうですね。父さん曰く『本当の殺気を放つ母さんは熊4頭相手にした方がマシ。』って言う位ですし。
母さんは熊1頭なら素手で殴って倒しましたからね。母さんの方が恐いですね。」


「悪いことは言わないよ坊や。早く中層行こう…」

ノアの話を聞いてそう判断したレーヴァ。
理由はちゃんとある。このダンジョンは他のダンジョンと違い階層毎のボスはいないが層毎に強モンスターと言うものがいる。

オードゥスのダンジョンは上層~下層通して熊系モンスターが強モンスターに分類される。
つまりノアはこの層の強モンスターをすでに倒した事になり中層へに行っても問題無いと言える。
前日ノアの動きを見て中層に行っても技術面には問題無いと判断したが後は精神面の方が気掛かりだった。
だが今の会話でその辺の心配も無いだろうと判断したレーヴァからの提案だった。

「中層ですか…」

「何か気掛かりがあるかい?」

「いや、自分も行っても良いかなと思ったんですが誰かの意見聞いてから判断しようと思ってて…」

「なら、あたしが保証するよ。」
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