ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
48 / 1,124
旅立ち~オードゥス出立まで

殲滅戦開始

しおりを挟む
中層1階に下り立った3人は早速殲滅戦開始に向け準備に入る。
まずはライルが<索敵>を発動し、苦万蜂の察知範囲の境界線を割り出す。

「ここにゃ、ここから2歩先に進むと奴らの察知範囲に引っ掛かってしまうにゃ。」

「分かりました。では鞄の武器を出します。」 

そう言い、ライルの鞄から矢を100本とダガーを6本、剣を2本取り出す。

アルミラに矢を40本渡す。残り60本は近くの木の根元に点々と置いていく。
持ちきれないダガーも同様に近くの木に浅く刺し、剣2本は自身の周囲の地面に突き立てる。

その間周囲を観察すると盾鹿の残骸(角等)が散乱している事から相当数餌食になったようだ。

「あと毒消しを渡しておきます。自分が作ったので普通の物より効果があると思います。」

そう言いアルミラとライルに3個ずつ渡す。


そうして各々配置に着く。
ライルは1階の入口と2人との中間の位置に立ち、ノアとアルミラは苦万蜂の察知範囲1歩手前に立ち<集中>を発動。

「それでは行きます、よ!」

バシュッ!       ドッ!

その一矢を皮切りに苦万に向かってアルミラとノアの射撃が開始される。

ノアは続けて<洗練された手業>を発動して次々と射続ける。
片やアルミラは<熟練の手業>を発動し、一つ一つの動作は遅いものの時に三矢、二矢と状況に応じて射る。

3~40匹程倒した頃だろうか巣から出てくる蜂の量が増えてきた。

「アルミラさん、そろそろ後退の準備を!」

「分かったわ!」

そう言いアルミラさんが下がり始めるのと蜂が周囲に拡散しだすのはほぼ同時だった。


ノアは咄嗟に<気配放出>を発動。拡散しかかった蜂の群れがノアを目指す。
ノアは弓を取り<集中><洗練された手業>を発動次々と射続ける。

ヒュバッ!       ドカカッ!
ヒュバッ!       ドカカカッ!


一矢射てば3~4匹纏めて射貫ける様に蜂同士が密集している所を狙う。数は射てないが中々の数を倒したハズだ。

すると蜂の動きに変化が現れ始める。
巣に纏わり付く蜂達が顎をガチガチ鳴らし始める。
すると先程とは違い直線的な動きから木の陰に隠れたり、背後を取る動きを取ったりと行動が変化し始める。どうやらここからが本番の様だ。

この瞬間からノアは弓を仕舞い、地面に刺した剣を1本取り空いてる手には腰のポーチから出した鉄串を逆手に持ち構える。

前方から一際大きく顎をガチガチと鳴らす蜂が迫る。が<気配感知>の反応によると背後から2匹別の蜂が静かにこちらに向かう。

ここから<集中><投擲術>を常時発動し、前方の蜂の頭部目掛け投げる。
深々と鉄串が刺さった蜂は直ぐに事切れ、地面に落ちる。
背後の蜂2匹が腹を振りかぶる、毒針を刺して来るようなので素早くしゃがむ。頭上でで毒針が空を斬る。
頭と胸の接続箇所目掛け一振で斬り飛ばす。

息付く間もなく前方から10匹の蜂が飛んで来るので持っていた剣を地面に刺し、ポーチから鉄串を適当な本数取り出し両手で投擲し迎撃する。
投げつつやや前進、左手の串が足りないので戦闘開始前に近くの木に刺したダガーを引き抜き蜂の顎に差し、強引に捻り頭をもぎ取る。


(これ位じゃ流石に折れないか。)

頭をもぎ取った後のダガーを確認する。串をポーチに戻し右手にもダガーを持つ。

周囲を確認し自分の体の幅よりも太い幹の木を見付け、背中を合わせる。


「にゃにゃ!にゃにやってるにゃノア君!あれではノア君の機動性を活かせにゃいにゃ!」

ノアからアルミラと共に退避の指示を受けたライルは遠目からノアの行動を見て慌てていた。

「いや、ノア君は方向を絞ったようだ…」


ノアの前方から10匹その後続に追加の10匹が続く。

一見すると数が多いのでノアが劣勢と思われるが1匹1匹が割と大型の為一度に襲い掛かれる数にも限りがある。
そこでノアは方向を絞り、襲い掛かってくる蜂の量を更に半減させる。

ノアは正面から来る蜂の頭部にダガーを突き立てる。直後はまだ反応があるので背後の幹に蜂ごとダガーを突き刺す。
腰のダガーを抜き別の蜂に突き刺す。
一旦背後の幹に固定、先程のダガーを引き抜き死んだ蜂を振り落とす。

大体の流れが決まりさえすれば後は作業である。
この流れが7波程続く頃には10匹位なら余裕をもって殺せる位には動きを見切っていた。

仕留めた数が200に迫ろうとしていた時に突然攻撃が止む。

この間にノアは武器の確認をする。
ダガーは既に7本の刃が折れ、ポーチに手を突っ込むと鉄串は後5本位だろうか。
剣は2本無事だが1本は刃がボロボロだ。

入口の方で討ち漏らしの対処をお願いしているアルミラとライルの方は遠目で見た限りだと無事な様だ。

流石のノアも多少疲れが見える。自分が思う以上に一対多数は精神的に来るようだ。

武器を整え、巣に近付く。ここまで戦って分かった事だが巣の中にある多数の反応、恐らくは大多数が卵だろう。
<気配感知>に引っ掛かる反応がほとんど動かないのだ。

(この巨大な巣も回収出来るのだろうか…)


等と余計な事を考えながら巣に近付いた時だった。
巣の後方に新たな反応が4つと巨大な反応が1つ現れた。
ノアは慌てて大きく後ろに飛び退く。


その行動を見て討ち漏らしの対処をお願いしていたアルミラとライルが近付いて来る。

「ノア君、どうしたの?」
「どうしたにゃ?ノア君。」


「2人共今すぐ入口まで向かって下さい!」

叫んだ直後、巣の方から飛来物の反応を感知するノア。

ギギン!ギン!ビキッ!ゴッ!


刃がボロボロの剣で受けたとは言え、3発まで弾きへし折れたので4発目は柄で打ち落とす。
飛来物はノアが先程投げた鉄串の様な物だが硬度がまるで違う。

飛んで来た方向を見ると巣に銀色の何かが4つ張り付いている。

「にゃ!?よ、鎧蜂!?にゃんであんなモンスターがここにいるにゃ!?」

「それよりも鎧蜂がいるって事は…」


ビキッ!ミシミシ…ズヂュッ…


ライルとアルミラがあの銀色のモンスター、『鎧蜂』を見て狼狽えていると巣穴の方から何かが引き抜かれる様な音が聞こえる。


グゴゴゴゴゴゴ!ガリ、ガリ、ガリ、ガリ


岩と岩が擦れ合う様な音と足音(?)の様な音が近付いてくる。
それと同時に巣の奥から木の軋む様な音と木をへし折りながらこちらに近付く巨大な反応がある。

そしてそいつは姿を現した。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...