ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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旅立ち~オードゥス出立まで

『女鏖蜂(じょうおうばち)』

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「あれは…『女鏖蜂(じょうおうばち)』…私がいたエルフの森でも1、2回しか見たこと無いわよ…」

「ノア君あれはダメにゃ、討伐隊を組んで相手をする様なヤツにゃ…」

2人の様子から察するにヤバい奴らである事は明白だ。

「2人は急ぎ街に戻ってギルドに報告をお願いします。僕はやれるだけの事をやって無理なら自分も退避します。」

弓を取る動作をするノアにアルミラが止めに入る。

「ノア君あれは中層なんかにいてはいけない様なモンスターよ!相手を「なら尚更誰かが足止めしないと駄目でしょうね。」」


ノアは巣から目を離さず続ける。

「お二人が焦る様なモンスターがこの階層にいるって事は早い段階で上層にも進出して来るでしょう。
こっちもむざむざ死にに行く様な事はしませんよ。」


「アルミラ、ギルドへの報告を頼めるかな?」


「ライル、あなた…」


「2人で街に戻った場合彼が動けなくなったりでもしたら誰が回収する?
ノア君。こちらは手出ししないが、どうしても危ないと判断したら即刻退避するぞ?」


「了解です。」


そう言うと各々行動を開始する。
アルミラは急ぎ街に向かい、ノアは弓を取る。ライルはノアから適当な距離を取り注意深く周囲を索敵する。


ノアは矢を番え『女鏖蜂』に向け、射る。

ヒュバッ!     ゴキィン! 


『女鏖蜂』に向けて射た矢は即座に反応した『鎧蜂』の体に当たり弾かれる。
体に傷は無いようだが内部に多少の痛手は与えることが出来た様だ。

お返しとばかりに4匹の鎧蜂から鋼鉄の針を発射して来る。ノアはそれを回避しつつ女鏖蜂に射続ける。

ヒュバッ!ボッ!ボッ!    ゴキィン!ゴゴ! 

ボボボボッ!              ゴゴガゴ!

(くっ…防御が堅ぇ!ならば…)


ノアは剣を抜き、巣の中腹に向けぶん投げる。女鏖蜂に向けられた攻撃ではないので鎧蜂は反応を示さない。
弓を仕舞いつつ凄まじい速度で巣に接近し腰の両側のダガーを抜く。巣のやや下まで来た所で飛び上がり、先程投げた剣を足場に女鏖蜂に向け更に加速、急速接近してダガーによる攻撃を繰り出そうとすると鎧蜂が割って入る。
ならばとその鎧蜂に向け<渾身>を連続発動して頭や胸、接続部に向け連撃を繰り出す。


ガゴゴガガギギガゴゴゴゴガ!

体に多少傷は付けられたが効いてる気配がない。
すると落下するノアに目掛け4匹が鋼鉄の針を一斉に射ち放つ。

ドドドドドドドドドドドド!

咄嗟に<矢弾き>を発動。

ギギギギ!ドス!ギギギギギ!ドス!ギン!

激痛に耐えつつ何とか着地するノア。被弾したのは右肩と左腕だが、どちらも骨に達してはいない様だ。
尚も鉄針を掃射してくる鎧蜂。

ノアは攻撃を避けつつ鉄針を引き抜き、ポーチの毒消しと回復玉を口に放り込む。
傷は徐々に治っていっている様だが刺さった部分の鈍痛は中々応える。

ガチン!

女鏖蜂が顎を鳴らすと鎧蜂が鋼鉄の針を射つのを止める。
すると女鏖蜂が自ら動く。

(お次は何だ?)


女鏖蜂が巨大な腹部を地面に向ける。

(何だ?あいつも針射ってくるのか?) 

すると女鏖蜂が地面に向け20発程何かを撃ち出す。

(何だあれ…白い…まるで…あ!?)

何かに気付き急いで何かに向け走り出す。それよりも早く女鏖蜂が顎を鳴らす。


ガチガチガチガチガチガチガチガチ!


直後撃ち出された何かが淡く光始め、中から苦万蜂が現れる。

「畜生!やっぱりか!」

苦万蜂は一目散にノアを目指す。
現れたのが苦万蜂な事に安堵したのも束の間

ズドドドド!

苦万蜂の群れとノアごと鎧蜂から鋼鉄の針が飛ぶ。不意の攻撃だった為思わず転ける。
顔を上げると目の前に苦万蜂の毒針が見える。首を勢いよく傾けギリギリ回避する。起き上がる際に剣を抜き、近くにいた苦万蜂3匹もついでに頭を飛ばす。

ノアは鎧蜂から狙われにくくする為樹上に移動したが悪手だった様だ。
鎧蜂が手当たり次第に鋼鉄の針を撃ち始める。狙い撃たれるよりどこに向かって撃たれているか分からないモノの方が回避が難しい。

ビッ!    ザクッ!

顔の横と右ふくらはぎに鋼鉄の針が掠める。

2回程射たれて分かったが鋼鉄の針には毒は無い様だ。

木から下り、苦万蜂の追撃と鎧蜂の狙撃を何とか凌ぎつつまた弓を取り女鏖蜂に向け射始める。ちまちまとではあるがこれで鎧蜂を攻撃し続けて1匹ずつ倒していこう。そう考えていたのだが。
ふと先程接敵した鎧蜂を見ると妙な動きをしている。モゾモゾと動き、殻を脱ぎ捨てた。
脱皮を行い傷が付いていた甲殻を捨て、また綺麗に光輝く銀色の体色が露になる。


(最悪だ…こいつらこの状態で脱皮するのか…)



それから30分程ノアは蜂共の猛攻を凌ぎ、攻め入り、迎撃され、打ち破り、接敵し、迎撃され、被弾し、苦万蜂の群れを産み出され、撃ち落とし、被弾を繰り返した。

「ぶっ!」

ノアは口内の血を無造作に吐き出す。
現在ノアは巣から少し離れボロボロになった剣を支えに、腰に手を当て思案していた。

装備は刃がボロボロになった剣が1本、矢は残り2本、ダガー、鉄串は全滅だ。
新たに被弾した左脇腹と左太ももから鋼鉄の針を引き抜く。
ポーチから回復玉を2個取り出し纏めて放り込む。
バリバリと頬張りつつも息を整える。

そんなノアに今まで静観を決め込んでいたライルが近付く。


「なぁノア君、君はよくやった。
下層、下手すると魔獣に匹敵するモンスターを相手によく立ち回った。だが打つ手がなくてこのままだとジリ貧なのは明白だ。
襲ってこない今の内に街に戻ろう。アルミラがギルドに報告して王都から討伐隊が来てくれるハズだ。」

体の傷が癒え、息も落ち着いたノアがライルに語り掛ける。


「…確かに剣も体もボロボロ。矢は残り2本、というか矢で決定打を与えられそうな気がしない。ダガーや他の飛び道具は底を尽きて気持ちも滅入って来た所です…」


「…ノアく「だが打つ手はある!」」

そうノアが言い終えると背中の弓や腰に指した剣、ダガーを差していたベルトどころかポーチまで外し始める。

これを自暴自棄になったとライルは判断し止めに入ろうとしたが

「ライルさん大丈夫です。これから少し突拍子も無いことやりますけど気にしないで下さいね?」

にかっと笑いながら言うノアに何故かライルの中にさっきまであった不安感は消え失せていた。

巣に向け走り出すノア。

(せめて下層までは使わないで行けると思ったんだけどな…)
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