ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
50 / 1,124
旅立ち~オードゥス出立まで

固有スキル【鎧袖一贖】

しおりを挟む
ノアが武器を持たないまま巣に急速接近して行くのを女鏖蜂と鎧蜂察知し、迎撃態勢に入った。
それを確認したノアは固有スキル【鎧袖一贖】を発動。

たちまちノアの体から赤黒い陽炎が立ち昇る。
陽炎が尾を引きながらも駆けていくノアは先程と同じく巣の下で飛び上がり剣を足場に女鏖蜂に接近する。

「ダメだ!ノア君それではまた迎撃されるだけだ!」

ライルが叫んだ通りまた鎧蜂が割って入りノアに向かうが

「さっきは良くもやってくれたなぁ!」

ゴガガガゴガゴゴ!

猛然と鎧蜂を殴り始めるノア。

「ノア君止めろ!そんな事したら手が二度と使えなくなるぞ!」

ゴガァ!

一際強く殴った後勢いよく女鏖蜂にぶつかった鎧蜂を見ると殴られた箇所が凹み、ひしゃげ、所々から体液が噴き出し瀕死の状態であった。

「な!?何が…」

ライルには何が起こったのか理解出来ていないが尚もノアの攻撃は続く。
巣の上に立ったノアに向かい突進を仕掛ける鎧蜂をノアは真正面から受け止める。
針の発射口をノアに向け発射態勢に入るが頭を押し込み巣に叩き付け、鎧蜂の頭目掛け拳を振り下ろす。

「オラァッ!」

ゴチュッ!ビキビキビキ!

鎧蜂の頭を貫通し、勢いそのままに巣に拳が突き刺さり周囲にヒビが入る。

残り2匹の鎧蜂は少し離れた所からノアに向け鋼鉄の針を次々飛ばす。

ギリギリで回避し続けるノアに痺れを切らしたのか1匹の鎧蜂がノアを捕らえに掛かるがすんでの所で回避し胸目掛け貫手を放ち体を貫く。
それでもしぶとくこちらに発射口を向け攻撃を仕掛けようとしてくるので頭を掴み、もぎ取る。
もう1匹からの掃射を貫いた死骸で防ぎつつ鎧蜂の隙を見て<集中><投擲術><渾身>を発動し死骸を投げ付ける。
猛烈な速度で当たった鎧蜂と死骸は弾け散り、これで4匹の鎧蜂は片付いた。

安堵したのも束の間、ノアは背後から猛烈に嫌な予感を感じる。
振り向くという選択も考えず直ぐ様しゃがむと頭上を凄まじい速度で物体が通過する。

女鏖蜂が卵管をノアに突き付け背後から撃ち殺そうとしていた様だ。
射出される卵の速度は先程地面に撃った速度の比ではなく、少し離れた大木に着弾した部分は大きく抉られている。
しゃがんだノアを追う様に卵管を動かし、巣の表面が抉れていくのを厭わず尚も撃ち続ける。
ただ巨体故に小回りが利かないが為ノアは回避しつつ接近、卵管に腕を回し<渾身>を発動、卵管と幾つかの器官ごと身体から引き抜く。

女鏖蜂は怒り、強烈な力で腹部を跳ね上げノアを宙に浮かす。
大顎を大きく開け、凄まじい速度で噛みつきを仕掛けてくる。
また大顎を鳴らされても面倒なので大顎に両手を掛け<渾身>を発動。女鏖蜂は顎を閉じ様とするが徐々に抉じ開けられていく。

「お、らぁああああっ!」

ベキッ! ブチィッ!

大顎の片側が大きく抉れ、千切れ落ちる。
千切れた顎から体液が止めどなく吹き出し暴れ狂う。
その隙に乗じて頭と胸の接続部に体を滑り込ませ頭の付け根と首根っこに手を掛け、引き剥がしに掛かる。

女鏖蜂も何とか頭を下げ、耐えるが徐々に首の筋からミチミチと音が立ち始める。

これが最後だと言わんばかりに声を上げ力を振り絞る。

「おぉおおおおおおあああっ!!」

ゴキン!       ブチィッ!

一瞬の音と衝撃と共に女鏖蜂から力が抜け、だらりと身体が傾いたかと思うとその巨体は大きな音を立て崩れ落ちる。

ノアもその巨体と共に落下するが何とか着地に成功する。

女鏖蜂の方を見て完全に絶命しているのを確認するとノアの体から立ち昇っていた赤黒い陽炎はふっと消えた。
急な虚脱感に気を失いそうになるが膝を付いた体勢で何とか踏ん張る。意識が朦朧とするがライルの気配が近付く。

「ノ…ノア君大丈夫か!?」

「ええ…大丈夫ですよ…ちょーっと反動が来てるだけなので。
さぁ、ちゃっちゃと回収して戻りましょう…」

「ば…!良い、良い!俺がやっとくからノア君は休んでなって!」

「あとライルさん、口調直してもらって良いですか?違和感が凄いので…」

「…ノア君、休んでにゃね?」

「…はい。」



それから暫くはライルの回収風景を眺めたりアルミラが無事着けたか等の取り留めも無いことを考えていた。

ライルが女鏖蜂と鎧蜂以外の回収が済んだ頃に1階の入口から複数人の足音と喧騒が聞こえ始める。

ライルがゆらりと立ち上がるのをノアが「大丈夫」と言い制する。


集団の先頭にいるのはエメラルダ、アルミラ、アルキラーの3人、続いて面識がある職員が追随していた。各々いつもの職員用の服装ではなく本気の装備みたいだ。

職員全員が目の前の光景に絶句している。無理も無いだろう。
職員からしてみたらこのダンジョンにいるハズの無いモンスター(アルミラ談)が出たのだ。
調査、報告云々でこれから忙しくなる事だろう。


エメラルダは固まってる職員に呼び掛け指示を出す。


暫く休んだ事で体調が戻ったノアはゆっくりと立ち上がり巣に向かう。
出来るかどうか分からないが回収してみる事にした。結果的に収まりはしたが、あまりにも大きいからだろうか5枠分が埋まる。

巣が消えたことで中層2階への穴が露になったが今日は流石に下りるつもりはない。

需要があるのかどうか分からないがついでに女鏖蜂も回収する。


回収直後エメラルダ、アルミラ、アルキラーから声が掛かる。

「ノア様、今回収されたのが女鏖蜂ですか?」

「らしいですね。アルミラさんのが詳しいと思いますが。」

「確かにあれは女鏖蜂で間違いないわ。
ただこんなダンジョンで現れる様なモンスターじゃないけどね…そこら辺はアルキラーのが詳しいんじゃないかしら。」

「確かに女鏖蜂はここよりも魔素が濃い高難度の森林ダンジョン『森羅』の上層エリアボスモンスターだ。
短期間で質の悪い苦万蜂や護衛の鎧蜂を大量に産み出し、酷い時は『大量発生』一歩手前の事態を引き起こす厄介なモンスターだ。
討伐するには最低でも中級冒険者8人程のパーティで挑むのを推奨されるモンスターを1人とはまぁ…」


「何はともあれ無事で安心しました。
ただ申し訳ありませんノア様、これから調査等でここは少しの間慌ただしくなります。入口の所で待機して頂いても良いですか?」

「ええ、分かりました。自分も今はあまり動きたくないので。」


エメラルダに促されノアはライルに肩を借りつつ入口へ向かう。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...