ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
127 / 1,124
旅立ち~オードゥス出立まで

2日振りの街

しおりを挟む
「あ~…2日振りの街だー!」

ノアは地上に出ての第一声がこれだ。
あの後中層5階まで出た所で簡易的な休憩所を作り8時間程寝て、その後休まず登って来た。

結果ダンジョンに入って48時間丸々潜っていた事になる。


「ノア君この2日間色々教えてくれてありがとう、この恩はいずれ返すよ。」

「そんな大仰な…」

「僕らはこのまま解体小屋へ向かうけどノア君はどうするんだい?」

「とりあえずロゼさんに猛毒大蛇1匹あげました、って報告にギルドへ…あ。」

(ついでに飢餓ミミズの先祖何か聞いてこよう。)

(『そうしよう、あれ凄く気になってたんだ。』)

「そうか、それじゃあまた街のどこかで。」


そう言ってお互い手を振り別れる。
ノアはゆっくりとした足取りでギルドへ向かう。


「失礼しまーす。」

「はい、いらっしゃ…あらノア様2日振りですね…
何かボロボロじゃないですか、今度は何と戦って来たんですか?」

「あぁ、実は」





「なるほど、ロゼさんに猛毒大蛇1匹をあげたんですね、畏まりました。
でも猛毒大蛇と戦って無事だったのは何よりです。
噛まれたら耐性持ちでも動けなくなりますし…」

「体が毒毒しい色になった時は焦りましたがね。」

「そうですか…え?今なんと?」


色々と深く突っ込まれそうだったので本題に移る。


「そんな事より聞きたい事があるんですが良いですか?」

「何か無理矢理話を反らされた気がしますが、まぁ良いでしょう。
この街に関する事なら何でも聞いて下さい、全て答えてあげますよ。」

(称号の存在知らなかったよね?と言うのは流石に野暮だよな。)

「それでは、飢餓ミミズの先祖って何か分かりますか?」


ノアのこの発言の後、カウンターにいたエメラルダギルド長を始め、ノアの話に聞き耳を立てていた職員全員が黙り込んだ。

「え?もう一度よろしいですか?」

「飢餓ミミズの先祖を知りたいのですが…」


エメラルダは周りにいた職員全員を呼びこそこそと話し始めた。
数分して出た答えは「ミミズの先祖はミミズじゃないんですか?」だった。


「んー…そうですか、分かりました。
すいません、変な事聞いて…」


そのままノアはギルドを出る。
直後ギルド内にいた職員達の会話で騒がしくなる。


「違う!あの反応は興味本位で聞きに来たって反応じゃないわ!」

「え!?飢餓ミミズの先祖?ミミズはミミズでしょ?」

「今度は何見付けてきたんだろ…尾行してみようかな…」

「止めとけ止めとけ。情報屋の尾行見破った子だぞ?秒でバレるわ。」

「非常に気になる所だけれどとりあえず静観でいきましょう、いずれ分かる事でしょうし。」

「そういえばエメラルダギルド長。"アレ"伝えてませんよね?」

「あ。」



ギルドを出たノアは薬草小屋へ向かう。

理由としてはマナポーションをオマケして貰ったお礼を言いにというのが1つ目。
チノアラシの針を買い足しにというのが2つ目。
ししょー(おばあちゃん)なら大抵の事を知ってそうだから飢餓ミミズの事聞いてみようというのが3つ目である。


「すいませーん失礼しまーす。」


薬草小屋の中に入ると2人の猫獣人の店員さんが慌ただしく各種薬草、薬品を陳列しており、その奥でししょーとジョー一行が商談(?)をしている様だ。


「おや坊や、いらっしゃい。
その感じからするとダンジョンから帰って来たって所だね?」

「はい、ついさっき戻って来た所です。
商談中みたいですしまた後で…」

「別に構わないよ、丁度こちらも話が終わった所だよ。
何か用が合ったんじゃないのかい?」


ノアはマナポーションのお礼とチノアラシの針の買い足しを行った後、飢餓ミミズの事について聞く。


「「「「「「飢餓ミミズの先祖?」」」」」」

「はい…」

「何でまた。」

「興味本位で…」

「んー何だったかなー…」

「あれ?ししょー知ってるの?」

「地域によって呼び名は違うけどミミズやワーム等は地龍から派生した生き物だからねぇ…」

「じ、地龍!?」

「王都の連中なら詳しいだろうけどもう帰ったからねぇ…」

「あ、帰っちゃったんですね。」

「調査が終わっちゃったからね、まぁ王都に行けば会えるんだし気にする事無いよ。」

「でも地龍…地龍かぁ…それだけ分かればとりあえず大丈夫です。」

「なーんか気になる反応だねぇ、まぁ何れ教えてくれりゃ良いよ。」


ししょーとジョー一行に挨拶をして店を出たノアは一先ず店先にある食料品に入る。
薬草小屋に残った一同は<聞き耳>でも聞こえない程の声量で話す。


「どう思うよ今の話、ルーシー姉妹、あんたらの国に地龍結構いただろう?
思い当たる奴いないかい?」

「飢餓ミミズの特徴と地龍と聞いて思い当たるのが1種いますが…
最後の個体が確認されたのが300年以上前です。
そこから1回も確認されてないのに急に見付かるなんて事はまずあり得ないでしょう。」

「それもそうだね。」

「それにその個体は成体ともなるとこのダンジョンに収まりきらない程の大きさになります。
私達の国では"国落とし"と呼ばれて語り継がれていましたから、何かと見間違えたとしか思えません。」

「なるほどね、取り敢えずは何かを見間違えただけと言う事にしよう。
考えてもどうにもならないしね。」


この話を終えた後暫くして「見間違えだとして、何で先祖って話になったんだ?」と謎が深まる事となった。




「そっかー…地龍かー。」

(『いやいや、あくまで"地龍から派生した"って言ってたから、せいぜいその下位生物だろう。』)

「まぁ何にせよ変な存在じゃ無さそうで良かったよ。」

(『どうだろうな、飢餓ミミズの先祖返りだぜ?相当食うだろうな。』)

「あー食費どうなるかな…」


『俺』と飢餓ミミズの事で一旦区切りが付いた所で薬草小屋向かいの食料品店に入る。


「あらノア君いらっしゃい、何かご入り用ですか?」

「ええ、そろそろ街を出ようかと思ってましてその準備です。」

「ああ、王都に呼ばれたんだってね。それでだね?」

「…え?」





ダダダダダダ!バァンッ!「失礼しまーす!」

「いらっしゃ…あらノア様丁度良かったです、実は…」

「王都から呼ばれたってのは本当ですか!?」

「あら、どこかでお聞きになられたのですね、であれば話は早いです。
ノア様、王都から招待状が届いています。
ただ今すぐという訳ではありませんのでご安心下さい。
各地のダンジョンで起きた魔素上昇によるモンスターの異常発生、これの討伐、事態収拾の功労者を王都に呼んでもてなしたいと…」

「すいません。それ辞退する事出来ませんか?」

「は!?ええ!?どういう事ですか?」

「いやーこの場にいない人達の事言うのはちょっと気が引けるのですが、ベルドラッドさんの時やアリッサさんの時みたいに絶対絡まれる気がするので気が乗らないんです。
王都に行く予定はあるのですが、王に会うのはちょっと…」

「ど、どうしてもですか…?」

「出来る限り会いたくはないです…」

「…分かりました。問い合わせてみます。」


この直後、王都にこの報せが伝えられると「お前らのせいで苦手意識持たれたじゃねーか」と王直々に2人にブチギレしたのは言うまでもなかった。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...