ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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アルバラスト編

気持ち悪

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「うぇっぷ、気持ち悪…」

「「「大丈夫ですか?ノア様…?」」」

「全然慣れないねぇ…」


場所はアルバラストの南門、防壁の縁。
ゴルダの奴隷商会から戻ってきたノアは空間転移直後、膝から崩れ落ちて気分の不快さに喘いでいた。

そんなノアをルーシー姉妹とノアの影からヴァンディットが心配そうに声を掛ける。

少しして復活したノアは、取り敢えず街に戻って冒険者ギルドへ向かうと伝える。


「であれば僕達も街に戻るとするよ。
んでもってその後、ちょーっとラーベとお話があるからまた別行動としようか。」

「分かりました、そうします。」


何やらラーベがガクガクブルブルしているが、気のせいであろう。

その後、南門を潜り街の中に入る。


「あれ?人多くないですか?」


街に入ると前日の倍近くの人が往来していた。


「うーん…あ、そう言う事か。
どうやら明日の買い付け関連の人間がもうこの街に集まって来てる様だね。」

「いやいや、流石に早くないですか?話したの今日の朝ですよ?」

「あそこにいる制服の者はドコゾノ大学の生徒で、白衣の人はヘキチノ研究所の人間だ。
それに錬金術ギルドに召喚士ギルドの者までいる…
皆一様に目をギラギラさせているだろう?
それだけ皆狙っている様だね。
さて、僕は関係各所に挨拶回りに行くとするか。
ラーベ、道すがらお話しようじゃないか。」

「は、はい…かこしまりまった(?)」


ジョーはガクブル状態のラーベを引き連れ街の中へと消えて行った。


「さて、取り敢えず冒険者ギルドに向かうとしよう。」

「……」

「ヴァンディットさん?」

「人が多いのですね…圧倒されてしまいました。」

「分かるよ、僕も最初驚いたからね。
さ、ギルドに向かいましょう。」

「はい。」


人混みを掻い潜り、冒険者ギルドに入ると数人の職員に加え、ギルド長のワークスがカウンターに、ルディアとレオ、朧がテーブル席に座っていた。


「おぃーっす。」

「おぅ、少年。」

「やぁ、ノア君。」

「どうもです。皆さんはどうしてここに?」

「いやぁね、ルディアとレオの回復がまだだから今日は休養にしてるんだ。」

「大技を撃つと全身筋肉痛になるんだよ…いでで…」

「俺は腹に受けた傷がな…塞がってはいるんだがまだ毒の影響が残っていて痛みが酷くてな…
少年はどうしたんだ?まさかもう依頼終わったのか?」

「いえ、まだもう少し…ギルドには報告があって来ました。」


そう言ってノアはギルド長がいるカウンターまで向かう。


「おぅ、依頼の件は話聞いてるぜ。
予想以上に依頼が進んでいるから途中までとの事だったな。
それにヒュドラ素材の買い付けやるんだってな?昼の段階で街が大分賑わってら。
野盗被害で出来た穴が埋められそうだ、って領主が喜んでたぜ。」

「それは良かったです。」

「おおっと、悪い悪い、報告があるんだってな?どうした?」

「僕に新しく仲間が出来たので、手続きとかでギルドに報告をと。」


そう言ってノアは冒険者カードをワークスに手渡す。


「仲間?誰か雇って…お前さんの歳で奴隷とはまた…まぁ良い、登録を…え?吸血鬼?」


冒険者カードを確認したワークスが目を丸くして驚いている。
テーブル席に座るルディアのパーティからも驚きの声が上がっている。


「ヴァンディットさん。出てこれますか?」

「はい、ノア様。」


ノアが呼び掛けると、ノアの少し後ろの影からスッとヴァンディットが姿を表す。

腰まで伸びた銀髪を靡かせ、陰があるが、儚げな美しさを醸し出した女性が出て来た事に、周囲の人は言葉を失い見蕩れてしまった。


「初めまして、新しくノア様に仕えさせて頂きますヴァンディットと申します。以後お見知り置きを。」


そう言って漆黒のドレスの裾を摘まんでお辞儀をする。
この所作だけで何処かの貴族のお嬢様と言われれば誰でも信じるだろう。

しんと静まり返るギルド内。


「…あ、あれ…?反応が無い…
あ、や、ちょっと恥ずかしくなっちゃ…」


皆見蕩れていた事で反応が無かった為、急激に羞恥心が芽生えたヴァンディットは、その長い髪を手で掻き集めて顔を隠し、ノアの背中に隠れて縮こまる。


「あのー…見蕩れるのはしょうがないと思いますが少しは反応してあげて下さい。」


ノアの一言で皆ハッとなり、いつもの調子を取り戻す。


「すまないな、長い事ギルド長をやっているが吸血鬼と言う存在を見た事無くてな…」


周りにいる職員もコクコクと首を振っている。
少し離れたテーブル席に座っているルディアパーティのひそひそ話し声が聞こえてくる。


<吸血鬼って初めて見たわ、凄い美人ね…>
<ああ、何処ぞのお姫様って言っても信じるわ…>
<うむ、あれを見ると、何処ぞのなんちゃって魔法使いとは雲泥の差だな…>
<泥で悪かったな泥で。>


「ほら、ヴァンディットさん、皆さん見蕩れてただけみたいですから安心して下さい。」

「それはそれで恥ずかしいです…」


未だにノアの背後で縮こまったままだが、髪の隙間から周囲の反応を確認している様だ。

恐らく先程の振舞いが奴隷商の子供が言っていた『おじょうさまていすと』で、普段はコチラが素なのであろう。何この可愛い人。


「えー僕の新しい仲間は吸血鬼ですが、見ての通り普通の女の子と変わりありませんので普通に接して下さい。
錬金術と医療に精通してますので僕の体調面を診て貰うつもりです。」

「お早うからおやすみまで…」

「そこまで見たらヴァンディットさんが体調悪くしちゃうので程々でね。」


ノアの助け船もあってか場の空気が和んだ所で報告が完了した所でワークスから冒険者カードが返却される。
それと時を同じくしてギルドの扉が開く。


「すまない、ここにノア君がいると聞いたんだが…」


入ってきたのは廃液処理班のディラド、ジャラ、カラであった。


「おお、いたいた。すまないがそろそろヒュドラの素材を一旦引き取らせて貰って良いだろうか?」

「構いませんよ。」

「それはありがたい。ワークスギルド長、部屋を借りても良いかな?」

「おお、良いですぜ。誰か、部屋へお連れしなさい。」


ワークスが近くの職員に声を掛け、ノアと処理班と共に近くの部屋へ。


「ノア君、コチラの方は?」

「僕の新しい仲間のヴァンディットです。」

「吸血鬼のヴァンディットと言います。」

「「「き、吸血鬼!?」」」


驚く処理班の面々。ヴァンディットはノアの影に姿を消した後、最後尾にいたカラの足元の影からスッと姿を表す。


「吸血鬼とは初めて見た…普通の女性と変わらないな…」

「なので普通に接してくれるとありがたいです。」

「了解した。」


挨拶もそこそこに一行は近くの部屋へと入って行った。
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