ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

平手打ち

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荒鬼神の柄を掴んだのを確認したノアは、直ぐに手を離し、高重量で前のめりになった野盗の顎に恐ろしく速い平手打ちを食らわせ、気絶させる。

ビチィッ!「は?」

左隣にいたもう1人の野盗は、何が起こったのか分からない様だったので首根っこを掴み、剣を持っていた方の手首を掴み、高速で捻って剣を無理矢理落とさせる。

ゴギン!「うがあっ!?」

左手に首根っこを掴んで持ち上げた野盗を構え、盾としたまま左側面からの攻撃に備え、<洗練された手業><集中><投擲術>を発動。
即座に右太ももから刺突武器を引き抜いたノアは右側で弓を構えていた野盗の肩に投擲。

肩に刺突武器が突き立った野盗は痛みで踞り、戦闘不能に。


「おい!ヤス!そこをどけ!射てねぇだろ!」

「…こ、こいつ、力がつよ、って逃げられ…」

「くっ!仕方ねぇ、ヤス諸とも射ち殺せ!」


と、周りに指示を飛ばすリーダー格の号令と共に弓兵5人程が構えた瞬間ノアはバーサークベアと同レベルの殺気を放出。

左手で掴まれていた野盗は元より、周囲の野盗も高圧的な殺気と悪寒に身動きが取れなくなる。

再び<集中>と<投擲術>を発動させたノアは左側面に陣取る野盗の1人に向けてぶん投げる。

ドガァッ!「ギャッ!」「ゴアッ!」

足元に落ちていた荒鬼神を手に取り、左側面の岩場に向け投擲。

ズンッ!「「うおっ!?」」

バシュン!

突き立った荒鬼神の元に転移したノアは未だ殺気で動けずにいる野盗3人の手首を掴んで高速で捻り、手首を外すと勢いそのままに地面にはっ倒す。

残りの1人はぐいっと手を引き、後ろの岩にぶつけ気絶させる。


「こ、殺せ!射殺せ!」

バシュッ!バシュン!

ノアは落ち着き払いつつ背中から弓を取り、ノアに向け射って来た矢2本を掴み取り、<集中>を発動して逆に射ち返す。

ドドッ!「ぐああっ!」「い、痛ぇ!」

野盗2人の足の甲を射ち抜いて地面に縫い付けたノアは、弓を手にしたまま剣を手にした野盗2人の元に接近。


「んなろぉっ!」ビュオンッ!


殺気に何とか打ち勝った1人の野盗が剣を振ってくるが、ヒラリと回避したノアは弓を野盗の首に引っ掛け、首投げしてもう1人の野盗を巻き込む。

グリン!「うげっ!?」「うごっ!」

弓を首から外したノアは、そのまま弓を振って野盗の足を払って転かすと、足首を掴んで奥にいる野盗3人にぶん投げる。

「ぎゅっ!?」「うげっ!?」「ごはっ!」

左側面の野盗があっさり全滅した事に焦る野盗達だが、残り全員殺気で動けずにいる為、その後1分程でリーダー格1人を残して全滅させた。






「さて、ここにいるのはあなた達だけですか?」

「そ、そうだ…」

「昨日冒険者から奪った物あるでしょ?何処にありますか?」

「い、言うと思うか…?」

「言った方が良いですよ~。
治るとはいえ、指の関節が全部逆方向に曲がるのは嫌でしょ?」

「わ、分かった…話す。話すから指から手を離してくれ…」


リーダー格の人差し指を掴んだノアが、冒険者から奪った物の在処を聞き出す。




「どーですか?ありましたか?」

「あ!あった!ありました!」


冒険者らが、隠し場所から自分達の武器や所持品を回収。

リーダー格の男が懇願する様な目でノアを見てくる。


「な、なぁ、場所は教えたろ?だから見逃してくれよ…」


ノアはニコォっと笑顔を見せた後


「ダメ~。」バチンッ!どさっ!


リーダー格の顎に平手打ちして気絶させた。


「うぉぉ…容赦ねぇ…」
「…と言うか滅茶苦茶強ぇ…」
「息一つ乱れてない…やだ、かっこいい…」


リーダー格を片付け終わったノアはアイテムボックスを漁り、要請弾を取り出して上空に打ち上げる。


「え?これって要請弾よね…?何で持ってるの?」

「まぁ貰ったので…としか…」


レイルの話からすると、要請弾の所持は割と信用が置ける者じゃないと所持出来ない事を今更知る事になった。

数分すると、王都の方角からそこそこ大きめな鳥が飛来。
その上からライリが降りてくる。


「あ、やっぱりノア君だ。」

「何ですか?やっぱりって…」

「いや、要請弾の所持者で鉱山方面にここ最近向かった人なんてノア君位しか居なかったからつい…」

「ああ、そう言う…」

「それで、何で要請を…野盗ね?
ひい、ふう、みぃ…22人か…多いいわね。
何か被害は無いかしら?」

「岩場の所にいる冒険者が襲われた様で、盗られた物はもう回収されました。」

「相変わらず仕事が早いわね。
分かったわ、この後どうするか冒険者達に聞いて来るわね。」


そう言ってライリは冒険者らの元に。
更に鳥の上から追加で隊員が2人降りてきて野盗の捕縛を開始。
人数が多いので応援を呼ぶ事になった。

結局冒険者7人は、隊員らと共に一緒に王都へ戻る事にしたらしい。
護衛依頼を再開するノア達一行に最後まで感謝を続けていた。

いざ鉱山に向けて移動を開始しようとした所、ライリから伝え忘れた事があると呼び止められた。

ライリの元まで行くと、顔を近付けて耳元で話をされた。


「実はね、ノア君。
ちょっと王都で面倒な事になってるの。」

「王都で?何かあったんですか?」

「謁見の時にノア君に突っ掛かって来た冒険者が居たじゃない?」

「ああ、『新鋭の翼』…でしたっけ。」

「そう、あの冒険者が、宴を辞退したノア君の実力を疑って、王に御前試合を申し入れたの。」

「うぇー、面倒くさい!何でいつもこうなるんだ!」

「王も本人の意向で戦いたくない旨を伝えたんだけど、幾つかの貴族が増長したの。
『王都の力を見せ付ける為の作られた英雄だ』とか根も葉も無い事。」

「…ライリさん、それ、受けないと王に迷惑掛かりますよね?」

「え?あー…うん…」


頭をガシガシと掻いたノアは「分かりました」と呟く。


「え?良いの?あんなに嫌がってたのに…」

「これが自分1人の問題だったら突っぱねてましたけど、他人に迷惑掛かるなら仕方ありませんしね。
因みにいつになるんですか?」

「一応ノア君が護衛依頼を終えてからだったんだけど、1週間後の予定よ。」

「もしかしなくても6対1ですよね?」

「そうね。
あちらからパーティ戦でって言ってきたわ。」

「ふぅむ…分かりました。
あれ?もしかしてあの【槍】の3人パーティとバラス、アルキラー夫婦とも戦う感じですか?」

「いえ、あの2組は辞退しましたよ。」

「良かった~。バラス、アルキラー夫婦もそうですけど、【槍】のパーティとは戦いたくないんですよね。」

「…凄い。」

「え?何ですか?」

「あ、ううん。こっちの話。
取り敢えず王には受けると伝えておくわね。」

「…ええ、お願いします。」






野盗の捕縛、冒険者の乗り込みが完了したライリや隊員達は、ノアやギルドの面々に手を振り、王都へと帰って行った。

ノアは暫くその場に佇んで深~い溜め息を吐いていた。
心配したクック、クリス兄弟が声を掛ける。


「ノ、ノア君、大丈夫かい?何か『謁見』とか『御前試合』とか聞こえたけど…」

「何か面倒事かい?」

「…いえ、何でもありません。
さぁ、野盗も片付いた事ですし、先を急ぎましょうか。」


露骨な話題逸らしに気付きつつも皆隊員の話に触れない様、再び鉱山に向け歩き始めた。
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