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王都編
『槍サーの姫君』
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「君達は確か…『槍サーの姫君』だったか。
何か意見でも?」
声を上げた『槍サーの姫君』リーダーのヤンは、宴中でありながら顔に兜を装着したまま、片手に最近王都で流行っていると言う海老ピラフをパクつきながら話し始める。
「アンタさぁ、勝手に『我々』とか言ってっけど、私らあの【鬼神】君所か御前試合自体出るつもり無いんだけど、勝手に話進めないでくれる?」
「な、何を言ってるんだ!力を持つ者は皆、力を誇示したい物であろう?」
「はー?何言ってんだはこっちのセリフよ。
アンタあれでしょ?
何か適当な菓子食って「わ~、これ女子なら皆好きなやつ~」とか言うタイプの女と同類でしょ?
勝手にお前基準で物考えんなって話!」
「な、何を言ってるんだ…?」
「ってかアンタさっきそこでぶつくさ言ってたけど、ただ単に自分が話の中心に居ないのが気に入らなくて喚き散らしてるだけでしょ?
勝手に自分が満足する方向に持って行きたいからって、人を巻き込まないでくれる?」
「ぬ!?ぐ…!」
実際の所ヤンが言っているのは当たっていて、 デミ・スロアは話の中心に自分が居ない事が死ぬ程嫌いな性格で、幼少の頃から他人の話に割り込んでは、最終的に自分の自慢話に持っていく為、同い年の子供から大分煙たがられていた。
「それに皆わざとアンタを話の中心に持って行かない様にしてるのよ?
アンタの話題をしよう物なら、話に割り込んで来て延々自慢話に花を咲かせるでしょ?
それを嫌って皆話しないの!
アンタ裏で『耳障り』って言われてんの知らないでしょ?」
「ふん!そんな虚言聞いた事も無いわ!そうだろ皆?」
「「「「「……」」」」」
「…え?嘘だろ…なぁ…皆…?」
因みに『耳障りのデミ』以外のメンバーの裏での呼び名は以下の通りである。
『脱退間近のリナ』
『実家に帰りたいミミ』
『実家に帰りたいララ』
『胃潰瘍のガドラ』
『心労のノン』
「でさぁ本題に戻すけど、本音言うとウチらアンタん所はともかく、【鬼神】君とバラス、アルキラー夫妻とは戦いたくないわ。
敵いっこ無いもの。」
そう言って匙に盛っていた海老ピラフを器用に兜内に入れ頬張るヤン。
「おい!俺達は兎も角とは聞き捨てならんな!どう言う事だ!」
「ほのままのひみよ…んぐっ。
アンタん所は3人も要らないわ、2人いればどうとでもなるっしょ。
バラス、アルキラー夫妻は地の利を生かせても五分五分。
【鬼神】君に至っては私の見立てでは、3人掛かりで、殺すつもりで向かっても勝てないと思うわ。」
ヤンは後ろで同じく食事を摂っている2人に「ね?」と声掛けをし、2人も「うんうん」と頷いている。
「あの子、どういう鍛え方すればあんな気配を纏えるのか教えて欲しい位だわ。
恐らく死地を何回か越えてるハズよ。
ね?バラスさん?」
ヤンは近くで飯をモリモリ食い漁っているバラスに声を掛ける。
アルキラーはバラスから皿を奪い取り、答える様に促している。
「そ~ね。
私達もノ…【鬼神】君とは正面切って戦ったらまず敵わないわね。
フリアダビアの時も500体のモンスターに真正面から戦えないからノ…【鬼神】君にお願いした訳だし…」
「彼は良いよ。
モンスターに対して最短、最速で殺す技術を持っているし、それを実行できるだけの身体能力を持ち合わせている。
もし彼絡みの『依頼』が来たとしても確実に断るね。」
このバラス、アルキラー夫妻の言葉を聞いて、今まで半信半疑だった者達の顔色が変わる。
何せこの場は大小問わず貴族や商人が犇めいているのだ、少なからず以前2人に『依頼』を出した者もいる。
2人は、御世辞を言う事はあるが、『そっち方面』の事に関して冗談を言う人間では無い事を知ってる者は割と多かった。
なので、この段階で頭の回転の良い貴族や商人達はお遊び半分で、戦いを挑まない様にしようと言う考えに至る。
そう『頭の回転の良い貴族』に限るが…
「ふん!所詮は小娘と『裏』の者の言う事など何の参考にもならん。
さぁ、エルニストラ王よ、如何なされる。
我が息子の些細な願いも聞いてくれぬ器の小さな御仁では御座いませんでしょう?」
コモン・スロアが煽る様に言ってくるが、エルニストラ王はもう既に何を言うかは決めてある。
この場で「無理だ!」と言ってしまえばその場は一旦収まるだろう。
だがこの手の輩は再び話を蒸し返す。
相手の弱みを握った、と勝手に勘違いして勝手に付け上がる。
実際似た様な奴はうじゃうじゃいる。
王からしてもとても不快な存在である。
その代わり、やる以上は2度とその様な考えが思い浮かばない様、徹底的にやって貰う必要がある。
が、王が勝手にそう思っているだけでノア本人の気持ち等分かる訳が無い。
だが密かに期待している部分がある。
諜報部の者からフリアダビアの報告を受けた際にノアが発した言葉『対話した結果、良い返事が聞けなかったら戦争だ!』
あれには私の考えにどこか通じる物があると信じている。
「良かろう。
だが当人が不在の為、御前試合は1週間後を一応の予定とする。
更に此方から使いの者を出し、【鬼神】殿には伝えておこう。
細かなルール等は当人を交えて決める事とする。
これで一先ずは良いかな?」
「は!畏まりました!」
否定する物だとばかり思っていた王都側の面々は面食らった様な顔をし、コモン、デミの2人は取り敢えず思惑通りに事が進んだ、とほくそ笑む。
周囲の貴族や商人等は【鬼神】の戦いが見れると気分を昂らせている様だ。
その後の宴もその話で持ちきりとなり、会場は妙な熱気に包まれたまま閉会となった。
会場を後にするデミ・スロアの父親であるコモン・スロアは従者を引き連れ、王都の街を散策していた。
すると、ある建物の一角で見知った人物を見掛け、従者と少し距離を置いてその人物の所へ向かう。
「やぁエルベスト殿、最近色々あって大変だった様だね。」
「んあ?アンタは…スロアさんか…今更何だよ…」
「落ちぶれた物ですねぇ、闘技大会の覇者がこんな所で飲んだくれて…」
「は!耳の良いアンタなら知ってんだろ?
俺は不祥事起こして降格…
新人冒険者と同じレベル8まで落ちちまったんだ…もう、どうにでもなれだ…」
「本当ですよ。
貴方がしょうもない事で捕まったお陰で、贔屓にしていた闇ギルドは事実上解散。
危うく私共の『新事業』も白日の元に晒される所でしたが…まぁ何とかなりました。」
「何だ…?俺に仕返しにでも来たのか…?」
「新人冒険者のノア。」
エルベストがピクリと動きを止める。
「…何でアンタがそいつの名を知っている?」
「今王都に…正確には王都で受けた依頼に出掛けていますが、近日中に王都に戻ってきて御前試合に出る予定です。」
「な…んだと…?
何でアイツが御前試合何かに…?」
「さぁ?フリアダビアでかなりの戦果を上げたか何かで謁見に来た様ですよ?
それで王の御前で力を披露する様で。」
「俺から王命を奪い取り、俺に屈辱を味わわせたアイツが…王都に…」
「ええ、我が息子がその少年を痛め付ける予定ですが…
貴方も仕返ししたくはありませんか?」
「ああ…だが、降格を食らった時に【召喚】に必要な触媒やら装飾品は取り上げられ、手元には碌な物が無い…」
するとコモン・スロアは、懐から淡く紫に光る液体が入った小瓶を取り出す。
「そ、それは…『ヒュドラの竜血』
な、何故アンタがそれを…?」
「闇ギルド摘発前に回収しておきました。
どうぞ、お譲りします。」
「い、良いのか…?よし、これさえあれば…」
「あ、そうそう、エルベスト殿は御存知かな?
高位の竜種の血液には、その竜種特有の力が備わっている事を。」
「何?」
「例えば、王都の国王エルニストラ王はその昔『不老竜エルダードラゴン』を討伐した際、その血を浴びた事で体が不自由になる代わりに、『不老』の力を得ました。
今私が持つこの小瓶には『不死竜ヒュドラ』の血が入ってます。つまり…」
「『不死』を得られると言う事か…」
コモン・スロアはニヤリと笑い、小瓶をエルベストへ渡す。
それを受け取ったエルベストは無言で駆けて行った。
その日の夜、王都近郊の多数の地点(鉱山とは逆方向)で天空に伸びる光の筋が目撃されたと言う。
何か意見でも?」
声を上げた『槍サーの姫君』リーダーのヤンは、宴中でありながら顔に兜を装着したまま、片手に最近王都で流行っていると言う海老ピラフをパクつきながら話し始める。
「アンタさぁ、勝手に『我々』とか言ってっけど、私らあの【鬼神】君所か御前試合自体出るつもり無いんだけど、勝手に話進めないでくれる?」
「な、何を言ってるんだ!力を持つ者は皆、力を誇示したい物であろう?」
「はー?何言ってんだはこっちのセリフよ。
アンタあれでしょ?
何か適当な菓子食って「わ~、これ女子なら皆好きなやつ~」とか言うタイプの女と同類でしょ?
勝手にお前基準で物考えんなって話!」
「な、何を言ってるんだ…?」
「ってかアンタさっきそこでぶつくさ言ってたけど、ただ単に自分が話の中心に居ないのが気に入らなくて喚き散らしてるだけでしょ?
勝手に自分が満足する方向に持って行きたいからって、人を巻き込まないでくれる?」
「ぬ!?ぐ…!」
実際の所ヤンが言っているのは当たっていて、 デミ・スロアは話の中心に自分が居ない事が死ぬ程嫌いな性格で、幼少の頃から他人の話に割り込んでは、最終的に自分の自慢話に持っていく為、同い年の子供から大分煙たがられていた。
「それに皆わざとアンタを話の中心に持って行かない様にしてるのよ?
アンタの話題をしよう物なら、話に割り込んで来て延々自慢話に花を咲かせるでしょ?
それを嫌って皆話しないの!
アンタ裏で『耳障り』って言われてんの知らないでしょ?」
「ふん!そんな虚言聞いた事も無いわ!そうだろ皆?」
「「「「「……」」」」」
「…え?嘘だろ…なぁ…皆…?」
因みに『耳障りのデミ』以外のメンバーの裏での呼び名は以下の通りである。
『脱退間近のリナ』
『実家に帰りたいミミ』
『実家に帰りたいララ』
『胃潰瘍のガドラ』
『心労のノン』
「でさぁ本題に戻すけど、本音言うとウチらアンタん所はともかく、【鬼神】君とバラス、アルキラー夫妻とは戦いたくないわ。
敵いっこ無いもの。」
そう言って匙に盛っていた海老ピラフを器用に兜内に入れ頬張るヤン。
「おい!俺達は兎も角とは聞き捨てならんな!どう言う事だ!」
「ほのままのひみよ…んぐっ。
アンタん所は3人も要らないわ、2人いればどうとでもなるっしょ。
バラス、アルキラー夫妻は地の利を生かせても五分五分。
【鬼神】君に至っては私の見立てでは、3人掛かりで、殺すつもりで向かっても勝てないと思うわ。」
ヤンは後ろで同じく食事を摂っている2人に「ね?」と声掛けをし、2人も「うんうん」と頷いている。
「あの子、どういう鍛え方すればあんな気配を纏えるのか教えて欲しい位だわ。
恐らく死地を何回か越えてるハズよ。
ね?バラスさん?」
ヤンは近くで飯をモリモリ食い漁っているバラスに声を掛ける。
アルキラーはバラスから皿を奪い取り、答える様に促している。
「そ~ね。
私達もノ…【鬼神】君とは正面切って戦ったらまず敵わないわね。
フリアダビアの時も500体のモンスターに真正面から戦えないからノ…【鬼神】君にお願いした訳だし…」
「彼は良いよ。
モンスターに対して最短、最速で殺す技術を持っているし、それを実行できるだけの身体能力を持ち合わせている。
もし彼絡みの『依頼』が来たとしても確実に断るね。」
このバラス、アルキラー夫妻の言葉を聞いて、今まで半信半疑だった者達の顔色が変わる。
何せこの場は大小問わず貴族や商人が犇めいているのだ、少なからず以前2人に『依頼』を出した者もいる。
2人は、御世辞を言う事はあるが、『そっち方面』の事に関して冗談を言う人間では無い事を知ってる者は割と多かった。
なので、この段階で頭の回転の良い貴族や商人達はお遊び半分で、戦いを挑まない様にしようと言う考えに至る。
そう『頭の回転の良い貴族』に限るが…
「ふん!所詮は小娘と『裏』の者の言う事など何の参考にもならん。
さぁ、エルニストラ王よ、如何なされる。
我が息子の些細な願いも聞いてくれぬ器の小さな御仁では御座いませんでしょう?」
コモン・スロアが煽る様に言ってくるが、エルニストラ王はもう既に何を言うかは決めてある。
この場で「無理だ!」と言ってしまえばその場は一旦収まるだろう。
だがこの手の輩は再び話を蒸し返す。
相手の弱みを握った、と勝手に勘違いして勝手に付け上がる。
実際似た様な奴はうじゃうじゃいる。
王からしてもとても不快な存在である。
その代わり、やる以上は2度とその様な考えが思い浮かばない様、徹底的にやって貰う必要がある。
が、王が勝手にそう思っているだけでノア本人の気持ち等分かる訳が無い。
だが密かに期待している部分がある。
諜報部の者からフリアダビアの報告を受けた際にノアが発した言葉『対話した結果、良い返事が聞けなかったら戦争だ!』
あれには私の考えにどこか通じる物があると信じている。
「良かろう。
だが当人が不在の為、御前試合は1週間後を一応の予定とする。
更に此方から使いの者を出し、【鬼神】殿には伝えておこう。
細かなルール等は当人を交えて決める事とする。
これで一先ずは良いかな?」
「は!畏まりました!」
否定する物だとばかり思っていた王都側の面々は面食らった様な顔をし、コモン、デミの2人は取り敢えず思惑通りに事が進んだ、とほくそ笑む。
周囲の貴族や商人等は【鬼神】の戦いが見れると気分を昂らせている様だ。
その後の宴もその話で持ちきりとなり、会場は妙な熱気に包まれたまま閉会となった。
会場を後にするデミ・スロアの父親であるコモン・スロアは従者を引き連れ、王都の街を散策していた。
すると、ある建物の一角で見知った人物を見掛け、従者と少し距離を置いてその人物の所へ向かう。
「やぁエルベスト殿、最近色々あって大変だった様だね。」
「んあ?アンタは…スロアさんか…今更何だよ…」
「落ちぶれた物ですねぇ、闘技大会の覇者がこんな所で飲んだくれて…」
「は!耳の良いアンタなら知ってんだろ?
俺は不祥事起こして降格…
新人冒険者と同じレベル8まで落ちちまったんだ…もう、どうにでもなれだ…」
「本当ですよ。
貴方がしょうもない事で捕まったお陰で、贔屓にしていた闇ギルドは事実上解散。
危うく私共の『新事業』も白日の元に晒される所でしたが…まぁ何とかなりました。」
「何だ…?俺に仕返しにでも来たのか…?」
「新人冒険者のノア。」
エルベストがピクリと動きを止める。
「…何でアンタがそいつの名を知っている?」
「今王都に…正確には王都で受けた依頼に出掛けていますが、近日中に王都に戻ってきて御前試合に出る予定です。」
「な…んだと…?
何でアイツが御前試合何かに…?」
「さぁ?フリアダビアでかなりの戦果を上げたか何かで謁見に来た様ですよ?
それで王の御前で力を披露する様で。」
「俺から王命を奪い取り、俺に屈辱を味わわせたアイツが…王都に…」
「ええ、我が息子がその少年を痛め付ける予定ですが…
貴方も仕返ししたくはありませんか?」
「ああ…だが、降格を食らった時に【召喚】に必要な触媒やら装飾品は取り上げられ、手元には碌な物が無い…」
するとコモン・スロアは、懐から淡く紫に光る液体が入った小瓶を取り出す。
「そ、それは…『ヒュドラの竜血』
な、何故アンタがそれを…?」
「闇ギルド摘発前に回収しておきました。
どうぞ、お譲りします。」
「い、良いのか…?よし、これさえあれば…」
「あ、そうそう、エルベスト殿は御存知かな?
高位の竜種の血液には、その竜種特有の力が備わっている事を。」
「何?」
「例えば、王都の国王エルニストラ王はその昔『不老竜エルダードラゴン』を討伐した際、その血を浴びた事で体が不自由になる代わりに、『不老』の力を得ました。
今私が持つこの小瓶には『不死竜ヒュドラ』の血が入ってます。つまり…」
「『不死』を得られると言う事か…」
コモン・スロアはニヤリと笑い、小瓶をエルベストへ渡す。
それを受け取ったエルベストは無言で駆けて行った。
その日の夜、王都近郊の多数の地点(鉱山とは逆方向)で天空に伸びる光の筋が目撃されたと言う。
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