ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

にゅるり

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穴の奥から、矢が脚に突き刺さったタコを先頭に、全長3メル程の3体のタコがにゅるりと這い出てきた。

3体共に天井を這ったままこちらを睨み付けている。

タコの表面は岩の様な質感に、周りの岩と同じ色をしている。
擬態能力があるのか、岩山に隠れていれば見逃してしまったかも知れない。


「あれは『岩蛸』よ!」

「表皮は岩の様に硬く、その下は弾力のある筋肉で構成された体だ!生半可な攻撃は通らない!
遠距離から魔法を撃って…」

ゾンッ!ゾリンッ! 「「「え?」」」

ノアは弓を仕舞うと、即座に腰から荒鬼神2本を抜き天井に貼り付いているタコの頭に向けて投擲し、岩の様な表皮を易々と貫通して天井に縫い付ける。

手元に荒鬼神2本を転移させると、貫かれた2体のタコはうねうねと蠢きながらも力無く剥がれ落ちてくる。

ズドンッ!

2体のタコが落下して来るまでの僅かな時間で再び荒鬼神を投擲して串刺しにする。

ジョリンッ!

落下してきた2体のタコを確実に殺す為、もう1本の荒鬼神で真一文字に振り抜き、頭部を中心に真っ二つに両断する。

ブゥンッ!「おっと。」

先程天井に投げた荒鬼神を手元に転移させた所、剣にタコが纏わり付いていた為、纏めて手元に戻ってきた。

しかも僅かに頭部を外れ、まだ生きていたタコが脚を伸ばしてノアに遅い掛かって来る。
が、それを無理矢理ひっぺがしたノアは瞬間的に【鎧袖一贖】を発動し、強烈なパンチを繰り出して頭部を完全に破壊する。

グシャッ!  

未だ脚の数本はうねうねと動いてはいるが、それ以外の箇所は力無く脱力している為、完全に息絶えたのだろう。 

ノアは荒鬼神を回収しつつクックの元へと戻る。


「はい、もう大丈夫ですよ。あのタコも回収しますか?」

「お、おぅ…皆、手早く回収するぞ。」


少し呆けていた者達もクックから指示を受け、直ぐに行動に移す。

その間ノアは生活魔法で出した水で荒鬼神に付いたヌメリを取っていた。

パチャパチャ…

にゅるん。       「ん?」

ノアの足元の地面には幾つか穴が空いており、その穴に水が入り込むと、中から何かの生物の触手の様な物が出てくる。


「その穴の下には穿孔貝の仲間がいるのだろう。
普通はツルハシやハンマーを使って獲るんだが、労力に見合わないから今回は獲らな『ザキッ!』


水洗いした荒鬼神を地面に突き刺したノアは<渾身>を発動して地面を砕く。

ボゴッ!「おーいたいた。」

砕いた地面の下から30セメル程もある大きな筒状の貝が出て来た。


「でかっ!コレは食いでがありそう。」

「さ、酒蒸しか何かにすると良いと思うよ…」

「あー、それ美味しそうですね。あ、こっちにも居そう。」


完全に潮干狩りに来た子供みたいな気分になり貝を探すノア。
そんなノアを周囲の面々は苦笑いしながら眺める。


「…もう何でもアリだな…」

「獲ってくれたのは有り難いけど『岩蛸』を瞬殺て…【鬼神】って言われるのも納得だわ…」

「…これもうノア君に任せた方が良いんじゃないか?」

「…その考えは止めよう、食材も自分達で調達出来てこそ【料理人】だ。
ギルドの存在意義が無くなってしまう…」


貝集めに夢中になっているノアを落ち着かせ、【料理人】ギルドの面々は地底湖の周辺で釣具を取り出し、準備に取り掛かる。

地底湖の大きさは縦横10メル程しか無いのだが、全員で釣る程獲物が居るのだろうか、と心配になったので<気配感知>で水中の反応を探ってみる事にした。

が、思いもしない事が判明する。


「あれ?この地底湖かなり深い上に滅茶苦茶入り組んでない?」


魚の反応があったので気配を辿ってみた所、範囲外に出て行ってしまったのだ。


「この地底湖は定かでは無いが、最下層まで繋がっていると言われる位深く、海まで繋がっていると言われる位入り組んでいるらしい。
だから極稀に最下層に生息している『龍宮ノ遣い(リュウグウノツカイ)』が上がって来るとか来ないとか…
そんな噂が流れているよ。」

「護衛依頼とは言え、もしそんな物を釣り上げそうになったら迷わず逃がして下さいね。」

「はは、勿論だよ。」

(『え?面白そうじゃないか、見てみたく無いのか?』)

(見てはみたいけど、敵対するのはゴメンだね。)


名前に『龍』が入っている段階でヤバそうな奴だってのは嫌でも分かるので是が非でも釣り上げて欲しくないノアだった。






ガツッ!ゴツッ!バスッ!バスッ!ゴッ!ゴッ!ガラガラ…


両ギルドの面々が作業を開始して暫し。
周囲にはツルハシやハンマーで採掘している音と、ドゥ製のゴーレムが石灰岩周辺に杭を打ち込み、残り2体のゴーレムがハンマーの様な手で杭を叩き割り砕く音が響いていた。

ドゥは時折ゴーレムに取り付けられている魔石に魔力を流したり、関節部分に挟まった石の破片等を除去しつつ石灰岩を回収していた。

その際手に怪我を負う事が少なく無く、その都度近くで見学しているヴァンディットがお手製の塗り薬を取り出して手当てしている光景を目にする。

【料理人】ギルドの面々は全員で釣りを行っている。
どうやら入れ食い状態の様なので、次々と釣り上がる度、荷物持ち担当の者は慌ただしく回収にあたっていた。




ザシュッ!ゾリッ!ビキッ!

ズドンッ!グシャッ!

「ええっと、今のでジュエルゴブリンが26体目、『クリスタルバイパー』が2匹、『石英ヤドカリ』が3体目か…
やっぱり掘削音を聞きつけて集まってくるみたいだ、作業開始してから露骨にモンスターの数が増えたしな…」


そう言いつつ今仕留めたジュエルゴブリン8体の片耳を切り取り、武器を回収。

体表がクリスタルで構成され、攻撃的ではあるが防御面で脆弱性が目立つ全長3メル程の蛇『クリスタルバイパー』の死骸も回収。

『石英ヤドカリ』は全くと言って良い程脅威は無いが、石英製の殻が高値で売れる為、脚に紐を通して逃げない様にする。
身は通常のヤドカリと変わらない為、後で美味しく頂く事にしよう。


この鉱山はダンジョンではあるが、モンスターが湧いて来るという事は無く、下の層からやって来ると言った方が良いだろう。

ジュエルゴブリンは武器こそ多少厄介ではあるが、攻撃自体は通常のゴブリンと変わらず、大雑把で大した脅威では無い。
が、定期的にやって来る為心休まる事が無い。


「おーい!誰か、『鉄鋼糸蜘蛛』の巣を外すの手伝ってくれ!」


採掘を行っている【彫金加工】ギルドの方から声が上がる。
これまた聞いた事が無いモンスターの名前が上がったので対応に向かう事に。




声のした横穴に入り奥に進むと、道を塞ぐ様に作られた蜘蛛の巣の前でクリス達が立ち往生していた。


「蜘蛛の巣がどうかしました?」

「ああ、ただの蜘蛛の巣なら良いんだが、『鉄鋼糸蜘蛛』の巣なんだ。
細い糸なんだが恐ろしく強靭な上に鋭利だから取るのにも注意が必要なんだ。
それに巣を無闇に取ると『鉄鋼糸蜘蛛』がやって来て襲ってくる事がある。
名前からして凶悪そうだが、このダンジョンで『蜘蛛』は益虫なんだ。
だからなるべく穏便に済ませたい。」

(なるほど、オードゥスで言う飢餓ミミズみたいな立ち位置か…あ。)


などと話していると巣が壊されるのを察知したのだろう、話の主である『鉄鋼糸蜘蛛』がやって来た。
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