ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
243 / 1,124
王都編

ボッロボロ

しおりを挟む
「あらいらっしゃい…どうしたの僕、ボッロボロじゃない…」

「ちょっと色々ありまして防具を新調しに来ました。」


ノアはスロアと別れた後【防具】ギルドに来ていた。
ノアが表で突っ立っていると、中から女性のギルドメンバーが出てきた。

その女性はノアの装備を見るなり直ぐにお客と判断して応対し始めた。


「見た所新人冒険者の様だけど…新調って事は製作依頼という事で良いのかしら?」

「ええ、それでお願いします。
ちなみに素材持ち込みですけど大丈夫ですか?」

「あ、それは逆に助かります。
最近素材不足気味で困っていたので。
さ、詳しい話は中で。」

「はい…あ、ちょっとお待ちを。
用事済ませて来ますので先に中に行ってて下さい。」

「え?…あ、はい分かりました…」


そう言った直後ノアは路地裏に姿を消す。
【防具】ギルドの女性はノアの行動に首をかしげながらも、建物の中に入る。

30秒程してノアが建物の中に入ってきた。


「あら?用事は良いのかしら?」

「あ、もう大丈夫です、済ませて来ました。」

「???」


女性はノアの言動に終始首をかしげていた。









「報告します。
対象の監視を命じていた者が襲撃に遭い、肩を砕かれた様です。」

「何?それでその襲撃者は?」

「姿、人数は分からず、背後から襲われ、問答無用で破壊された様です。」

「…全く何をしているのだ。
人員を呼び、再配置して対象の監視を続け、並行して襲撃者の捜索を行え。」

「は!」







「それで、持ち込みの素材って何の素材かしら?」

「詳しくは見て貰った方が早いかと思いますので今出しますね。」


建物の奥、工房の様な一室に通されたノアは作業台の様な場所に対面で座り、依頼の話へと移る。

工房の中には他にギルドマスターの男性と、ギルドメンバーだろうか、男女が1人ずつの計3人が待機していた。

女性がノアに応対しているが、遠巻きにノアの方を眺めている。

そんな事気にせず、ノアはアイテムボックスに手を突っ込み『大海獣の柔肌』を一枚取り出す。
あまりに大きな素材に女性は思わず「おわっと!?」と声に出した。

奥で遠巻きに見ていた面々も「何だあの素材は?」と興味津々に見てきている。


というか改めて『大海獣の柔肌』を触ってみたが、まるでチーズの表面を触っているかの様な独特な感触をしている。

防具製作は全くの素人だが、この様な柔らかい素材で防具が作れるのかが想像出来ずにいる。
良くて下地だろうか、等と考えていると女性が素材を見て固まっている。

やはり防具としては使い辛いのだろうな、と思っていると、女性が遠巻きに眺めていた者達を呼ぶ。

ノアからの素材提供だから、極力ノアの要望を叶える為に動いてくれてるんだろう。
と、そのまま見守っていると、遠巻きの者達が素材を見て同じく固まった。
時折首をかしげ、目を凝らして眺めては首をかしげるのを繰り返す。


「あの…」


女性から声が掛かる。やはり防具としてこの素材は使えないのだろう、と考えていたがそうでは無いらしい。


「…この素材は、何の素材なんですか?」

「あ、そこから…」


まず何のモンスターの素材かが分かっていなかった様だ。

ノアは素材の説明欄に名前書いてません?
と聞くも、皆『???の??』と表示されているとの事らしい。

恐らく未知の素材というのと、この素材を扱う技量に達していないのだろう。
何せギルドマスターですら『大??の柔?』としか表示されていないらしい。


「申し訳ありませんが、素材の出所はまだ詳しくは言えません。
うーん…これは弱ったな…」ポリポリ…


お伽噺でしか聞いた事無いモンスターに貰いました、何て口が裂けても言えないノアは、思ってもみなかった事に頭をポリポリと掻く。
ギルドの方達も心無しか申し訳なさそうにしている。

すると

カランコロンカラン


「すいません、ここにノアと言う少年が来ていないだろうか?」


建物入口の方から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
こう言う困った時に良いタイミングで姿を現す人物が居たじゃないか、と今更ながら思い出す。


「ジョーさん、お久しぶりです。」


と言っても最後に会ったのがアルバラストの街なので10日程しか経っていないが。


「街に戻ってきた時にボロボロだったと聞いてもしや、と思って来てみたが、やはりここに居たね。」


突然来店したジョーに驚くギルドの面々。
ジョーの後ろには護衛としてルーシー姉妹が控えていた。


「相変わらず良いタイミングで会いますね。
相談したい事があったんですよ。」

「ん?相談事?」


状況を把握出来ていないジョーに取り敢えず事情を説明する事に。






「…なる程、防具を新調しに来たけど、【防具】ギルドの方々でも見た事の無い素材で困っていたと。」

「ジョーさんは商人ですから、もしかして見た事無いですか?」

「私だってこの世の全ての素材を網羅している訳じゃ無いけど、駄目元で拝見してみよう。」


ジョーは作業台に広げてある素材に目を向けつつ手触り等を確認する。
が、案の定、ジョーの顔も険しい物となっていく。


「…申し訳無いノア君、私もこの素材が何なのか皆目見当も付かない。」

「そ、そうですか…」


商人のジョーですら見た事が無い様で露骨に肩を落とすノア。


「ふむ…」


だが、ジョーが顎に手をやり、何やら思案している。


「…アグナス家の者ならこの手の素材でも防具を作れるかもしれないな…」

「あー、な、なる程…アグナス家なら何とかなるかも…」

「防具製作のみで貴族まで登り詰めた一族でしょ?新人冒険者の頼みで来てくれるとは思えないけど…」


どうやら話の主はアグナスと言う貴族の者らしい。
正直な所、貴族にこの手の話を吹っ掛けると莫大な金額を要求されそうで少し焦るノアだが


「そこら辺は大丈夫でしょう、ノア君もよく知ってる人達だから要請を掛けてみよう。
ラーベ、これを急ぎで出しといてくれ。」

「は!」


ジョーから何やら紙を受け取ったラーベは急ぎ冒険者ギルドの方へと駆けて行った。


「僕もよく知ってる人達…ですか?僕に貴族の知り合いなんて…」

「まぁ早ければ明日の朝には来てくれると思うよ。それまでのお楽しみと言う事で。」


何やら驚かせる気満々の含み笑顔のジョー。
まぁジョーの事だから変な人間を呼ぶ事は無いだろう。


「それにしても大分ボロボロだけど大丈夫かい?」

「見た目はアレですが、何の問題もありませんよ。
そうだジョーさん、4日後に御前試合があるのですが…」

「ああ、知ってる。宴には僕も参加していたからね。」

「その御前試合が終わった後、一段落着いたら話があるのですが良いでしょうか?」

「お、良いよ。
何だい?フリアダビアでの話でも聞かせてくれるのかな?」

「いえ、少し真面目な話です。」


ノアの真剣な目に何かを悟ったジョー。
その話に何故かラベルタが割り込んでくる。


「そ、その話に私も同席して良いでしょうか?」

「…いえ、この話はなるべく少数で行いたいので…」

「…そう、ですか…」


(ジョーさんの護衛としては1人にさせるのはマズイとは思うけど、海洋種と国交を結びたい、何て話を大人数にする訳にもいかないからここは少し強引だけど押し通させて貰おう…
ジョーさんもそれなりに察してくれてる様だけど、何でラベルタさんは物悲しそうな顔をしているのだろう。)


色々と思う所はあるが、一旦その場は解散となり、例のアグナス家の者達が来たらノアに連絡を寄越すと言う事になった。



ギルドを出たノアはジョーとラベルタに礼をしてその場を離れた。




(『主。』)

「分かってる。後方100メルに1人、左側の路地裏60メルに2人だろ?
分かってる、気付かれずに素早く片付けるぞ。」
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...