ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
250 / 1,124
王都編

ごめんなさい!

しおりを挟む
"すいません最近色々あり過ぎて連絡出来ま…忘れてました!ごめんなさい!"


ノアから突然送られて来た文面を見てクスっと笑うクロラ。
そんなクロラの背後から肩越しにロゼが手紙を覗き込んでくる。


「クロラっちー!もしかして旦那様から連絡来たの?」 

「だ、旦那じゃないってロゼちゃん…
うん。文面からしてとても慌てて送ってきたみたい。」

「別れてから3週間も音信不通とは…どうするクロラ、処す?処す?」

「落ち着けポーラ。
ジョーさんから聞いたろ?この3週間の間ノア君に起こった出来事を。
戦争を2回挟んでる様な物だぞ?」

「安心してジェイル、軽い冗談よ。」

「軽い冗談で処すなよ…」


そんなポーラとジェイルのやり取りを尻目に、クロラはしゃがみ込んでノアに返事を送っている様だ。


「ねねクロラっち、何て返してるのー?」

「と、取り敢えず近況はジョーさんから聞いてたよー、って事ともうすぐ王都に着くよーとかだよ。」


本来であればノアとクロラの手紙のやり取りを茶化すつもりでいたロゼとポーラ。

だがノアから一切連絡が無い上に時折会っていた商人のジョーから『滅茶苦茶忙しくしてる』と伝えられていた為、邪魔してはいけないと思ったクロラからも手紙を送る事をしなかった。

結果ロゼとポーラの両名はクロラ茶化しに飢えていた。


「えー、味気無ーい、『早く会いたーい』とか『愛してるー』とか無いのー?」

「かなりの戦果を上げた様だから、恐らく王都では高確率で少年の元に何処ぞの小娘が迫って来ているハズよ?
何かもうちょっとこう、無いの?」


要するに『もっとグイグイ行け』と2人から迫られたクロラだが、口元を手で押さえモジモジとしつつ


「そ、そう言うのは本人に面と向かって言いたい…かな…」


と言った後に顔を伏してしまった。


「たは~!これこれ、この感じ!最近の私達に足りなかったのはこれだったんだよー!」

「ジェイル、私は熱くて渋い茶を所望する、持って参れ。」

「その辺にドクダミ生えてるから煎じて飲んでくれ。」


ジェイルは再びクロラ茶化しが復活したな、と心の中で手を合わせつつ、視界の端に薄らと見える王城を見詰めていた。






返事を返し終えたクロラは徐に立ち上がり、再び王都へ向けて歩き出す。

少し歩いていると、鬱蒼と木が繁る薄暗い林に差し掛かった。
昼間だというのに夕暮れ時の山中の様な暗さがある。
が、オードゥスのダンジョンで<夜目>のスキルを鍛えた4人にとっては何て事無い道であった。


「いやー、それにしても予定より3日も早く王都に着けそうで本当に良かったよねー。」

「ああ、アルバラストの街を迂回しなくて済んだのがでかかったな。」

「お兄ちゃん達も言ってたんだ、『王都に来るんだったらアルバラストは迂回していけ、野盗がうじゃうじゃいるから』って。」

「そのうじゃうじゃいる野盗を、少年は殆ど1人で殲滅したんだってね。
街にいた商人達が皆口々に言ってたわ。」

「何か近々街に銅像が立つ様だぞ?
『野盗500人とヒュドラの脅威から街を救った少年の像』とか何とかで。」

「ノア君…多分知ったら悶絶すると思うから、黙っておこう。」

「「「そうだね。」」」


恐らく完成した像の前で膝から崩れ落ちるのが容易に想像出来る為、本人に伏せておく事にする一同。

だが、当の本人が知る事になるのは割と直ぐの事だったりする。


「クロラっちのおにーさん2人って王都に居るんだっけ?」

「そ。上のお兄ちゃんが【料理人】ギルド、その次のお兄ちゃんが【彫金加工】ギルドに在籍してるよ。」

「ほぅ、指輪と料理を作ってくれるお兄さんとは…後はクロラの一言さえあれば事が進みますなぁ…」

「…何の話をしているのかな?ポーラちゃん?」


再びポーラによる茶化しが開始されようとした時だった。


「ん?後方から大人数で接近してくる反応があるな。」

「ほんとーだ、<聞き耳>の反応からして2~30人じゃ利かないよ?」

「皆、善は急げよ。
急いで木に登ってやり過ごしましょう。」


そう言うと4人は<木登り上手>と<縦横無尽>を発動してスルスルと近くの木に登ると、全員が<気配遮断>を発動して息を潜める。

少しすると、黒いフードを被った集団が眼下を次々と通り過ぎて行く。
ざっと人数を数えてみると50人程確認、全員が王都に向かって行った。





ザッ!スタッ!スタッ!トッ!


「何だったんだろ、今の集団…」

「うーん…<聞き耳>でも声が多過ぎて何て言ってるかイマイチ分からなかったけど<…きえふ>とか<…夜には>とかしか聞こえなかったよ…」


集団に対して各々憶測を立てていると


『そこを動くな!』

「「「「!?」」」」

バッ!ザザッ!ザッ!

4人全員の<気配感知>とロゼの<聞き耳>に一切反応が無かったにも関わらず、黒いフードを目深に被った人物が背後に立っていた。

誰も反応出来なかった事から相手は明らかに自分達よりも上位の者であるのは確実。
それでも各々武器を取り出して、直ぐ様戦闘態勢に入る。


「あはは、ごめんごめん。私よ、私。」


先程の声音とは打って変わって、女性の物となった声で皆に呼び掛けつつ、目深に被っていたフードを頭から外す謎の人物。

4人はその間もその人物の動きに注視している。


「オードゥスの時以来ね、カサグリアよ。」


フードを外すと、褐色肌に白髪のダークエルフが顔を出す。
顔と名前を聞いて、真っ先にクロラが反応した。


「カ、カサグリアさん、どうしてここに?」

「ふふ、王命を受けて仕事の真っ最中よ。
今さっきここを通った集団を尾行してたの。」

「「「お、王命!?」」」

「うん、詳しい事は後日分かると思うけど、それまでは私とここで会った事や見た事は誰にも話さないでね?」

「は、はい…でもそれなら何で私達の前に姿を?」

「あなた達は大丈夫だと思うけど、あいつらに尾行て行かない様に釘を刺しに、ね。
大丈夫、あいつらは一目散に王都を目指してるだけだし、時が来るまで暴れたりしないハズだから安心して王都に向かって頂戴。」


話の内容を聞く限りだと安心出来なさそうではあるが、ジョーの仲間であるカサグリアが言うなら大丈夫なのであろう。


「それじゃ、また王都で会いましょう。」

ヒュバッ!

そう言うとカサグリアは凄まじい速度で先程の集団を追い駆けて行った。


「なーんだろう…これから王都で何か起こるのかな…」

「それかあれよ。
もう既に何か起こっていると考えた方が良いわ。」

「でも何だかんだノア君が解決しそう…」

「「「確かに。」」」

「ともかく先へ進もう。
夕方頃に野営して朝早く出立すれば明日の昼には王都に着くかも知れない。」

「「「了解!」」」


兎にも角にも王都までの道程が決まった為、一行は薄暗い林の中を駆けて行った。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...