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王都編
フォルクお嬢様
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「もーフォルクお嬢様、一体何やらせるのですか…」
「うん?私は"彼の素が見てみたい"と言っただけだよ?
喜怒哀楽のどれで素を見せてくれるかと思ったらまさか求婚するとはね…」
先程ノアに求婚したハナは、馬車に揺られながら対面に座るフォルクと言う狐の少女に愚痴を漏らしていた。
「だ、だってだって、突然お嬢様が通りを歩く彼を見付けてそんな事言うんですもん!
私もバカな事したな、って思いましたよ。
10歳も下の子に求婚なんて…」
「あ、彼があの通りを歩く事は2日前の【占い】で大体分かってたよ。」
「でしたら2日前に言ってて下さい!何か他の手を考えましたのに…」
「ハナは知ってるでしょ?
私の【占い】は事前に相手に伝えると結果が変わり易い、って。」
「それはそうですけど…」
座席に座るハナは、しょんぼりしつつ尻尾をパタパタと揺らす。
「でもお陰で彼の素が見れたから良かった。
彼もそうだけど、彼女…クロラさんも私達獣人の事を毛嫌いしていない様で良かったわ。」
「であれば良かったのですか?
我々の本来の目的である"来るヒュマノ聖王国との戦争への協力要請"ですが、お話ししないままで…」
御者を担っていた狼獣人が中に居るフォルクに話し掛ける。
「流石に従者の求婚話の後で協力要請を出すのは憚れますわ。
それに彼と彼女は近い内に我が国『ヴァーリアスフェアレス』へとやって来ると出てますからその時にでもお願いしてみましょう。
それで、皆から見て彼はどう感じましたか?」
「御前試合の結果からも分かる通り、彼の武力は本物です。
一体どれ程の戦闘訓練を行ったのか分かりませんが、彼には妙に"安心感"を抱きました。
矢が飛び、剣擊が入り乱れる戦場と言う場に安息地が出現したかの様な…」
ハナは言葉で上手く説明出来ないのか、小首を傾げながら答えている。
「私としては、御前試合でも姿を現していましたが、あの得体の知れない存在、彼は"中"に何ぞ飼っておられる様子。
彼共々対応を誤れば敵に回るやも…
こちらの意図に薄ら気付いていた様ですし…」
「その様だね。
だから爺やは慌てて帰る様に仕向けたのよね?」
「はい…ですが今になってみると、却ってあちらに違和感を持たれたやも知れませぬな…」
「爺やにしては下手くそな」
「そうですな。」
それだけ話すと、狼獣人は御者の役目に戻っていった。
~王室~
コンコン
「王よ、諜報部の者達をお連れしました。」
「お、来たか。入ってくれ。」
ガチャッ
側近のシアロが王室の扉を開け、フードを目深に被った諜報部の5人が入室する。
「済まないな、1日に何度も呼び出して…」
「いえいえ…
我々が呼ばれたのは、先程来られていた『ヴァーリアスフェアレス』の方々に関する事ですか?」
「ふ、相変わらず話が早くて助かる。
その通り、先程『ヴァーリアスフェアレス』の第三王女フォルク殿下が参られ、"ヒュマノ聖王国との戦争"への協力要請を嘆願しに来たのだ。」
ギリリッ…
王の言葉を聞いた諜報部の1人、獣人の男は拳を強く握る。
「…お主は以前、今の職をかなぐり捨ててでも対ヒュマノ聖王国との戦争に参加すると申したな。」
「はい、あの国は生まれ故郷ではありますが、記憶から抹消したい国でもあります。
誰かの手で終わらせても私自身が納得出来ない。
自らの手で終わらせない限り、いつまでも私の心の中にあの国が居続ける。」
獣人の言葉を聞いた王は「ふむ」と一言呟いた後
「分かった。
その時は事前に申せ、お前の存在を抹消するのには多少時間が掛かるからな。」
「はい、その時には必ず。」
王と獣人との会話は短いものだったが、彼の境遇を知る王は。それなりに融通を利かせてくれる様だ。
「さて本題に戻るが、王としてはヒュマノ聖王国との戦争には全面的に協力する予定だ。
冒険者時代にあの国に訪れた事があるが、獣人に対する奴隷以下の扱いには未だに腹が立つ。
開戦が迫ってきた時は特殊依頼として冒険者ギルドに貼り出す事にする。
と、一行には伝えておいた。」
ヒュマノ聖王国の惨状を目撃している王は、加勢に意欲的な様だ。
すると諜報部のリーダー的存在の局長が王の前に進み出る。
「私の持つ情報では、ヒュマノ側も戦力確保に動いてる様子…
ヒュマノ聖王国の冒険者ギルドは冒険者に支払う報酬が少ない事で有名ですが、本当に支払うつもりがあるのか分かりませんが、戦争参加の報酬を通常相場の5倍程掛けてる様子。
ですが元々不信感が強いのか、戦争参加希望者は中々集まりが悪い様です。」
「日頃の行いが悪いとこういう時に足を引っ張る物だな。
…しかし少なからず参加者は居るのだな…
なるべく対冒険者という形は取りたくないものだが…」
「であれば王よ、これをヒュマノ周辺地域に配布したいのですが、許可を頂きたい。」
そう言って獣人の男性は目深に被ったフードの奥に手を突っ込み、王が座る席のテーブルに何かを置く。
カロン…
「…これは…義眼か?」
「はい、私の左目は5才の頃にはヒュマノの連中にくり抜かれています故…
この義眼には『記録』を付与しています。
今から映し出す映像は先日のフリアダビアでヒュマノの連中が冒険者や自国の王に向けて放った言葉が記録されております。
察しの悪い者でも嫌悪感を抱くには十分かと思います。」
獣人の男性は義眼に手を翳し、魔力を流すと映像と共に会話が聞こえ出す。
"冒険者等所詮替えの利く存在、奴隷と何ら変わりありません。"
"寧ろ私達の役に立って散るのを誇りに思って欲しい位ですな。"
"う、嘘だ!こんな物偽造したに違いない!
あの老いぼれは我等の傀儡も当然!この様な文章を…書く訳が…"
側近のシアロや王、フリアダビアに居なかった諜報部の面々は映像、会話を聞く度「うわぁ…」と言いたげな顔をする。
合計3分程の映像が流れ終わると王はニタッと笑い、直ぐ様指示を出す。
「ふ、これは中々冒険者だけで無く多方面に効果的な物を持っておるな。
良いだろう、局長、『調』と『探』を動員して王都、ヒュマノ聖王国周辺地域の領主や冒険者ギルド、関係者にコレを配布せよ。」
「了解しました。
『調』『探』、『動』から義眼の映像を複製し、直ぐ様行動に移せ。」
「「「は、畏まりました。」」」
シュバッ!
示し合わせたかの様に諜報部全員が姿を消す。
「コモン・スロアの件に国交に戦争…
私はいつ休めるのだろうな…」
「まぁ、当分は無理でしょうな…
さ、商人のジョー殿から何やら報告書が上がっておられますよ。」
「あぁ、読むとしよう。
何々…"海洋種の長からの情報提供"?」
王はその報告書に書かれていた文言に目を見張る事となった。
「うん?私は"彼の素が見てみたい"と言っただけだよ?
喜怒哀楽のどれで素を見せてくれるかと思ったらまさか求婚するとはね…」
先程ノアに求婚したハナは、馬車に揺られながら対面に座るフォルクと言う狐の少女に愚痴を漏らしていた。
「だ、だってだって、突然お嬢様が通りを歩く彼を見付けてそんな事言うんですもん!
私もバカな事したな、って思いましたよ。
10歳も下の子に求婚なんて…」
「あ、彼があの通りを歩く事は2日前の【占い】で大体分かってたよ。」
「でしたら2日前に言ってて下さい!何か他の手を考えましたのに…」
「ハナは知ってるでしょ?
私の【占い】は事前に相手に伝えると結果が変わり易い、って。」
「それはそうですけど…」
座席に座るハナは、しょんぼりしつつ尻尾をパタパタと揺らす。
「でもお陰で彼の素が見れたから良かった。
彼もそうだけど、彼女…クロラさんも私達獣人の事を毛嫌いしていない様で良かったわ。」
「であれば良かったのですか?
我々の本来の目的である"来るヒュマノ聖王国との戦争への協力要請"ですが、お話ししないままで…」
御者を担っていた狼獣人が中に居るフォルクに話し掛ける。
「流石に従者の求婚話の後で協力要請を出すのは憚れますわ。
それに彼と彼女は近い内に我が国『ヴァーリアスフェアレス』へとやって来ると出てますからその時にでもお願いしてみましょう。
それで、皆から見て彼はどう感じましたか?」
「御前試合の結果からも分かる通り、彼の武力は本物です。
一体どれ程の戦闘訓練を行ったのか分かりませんが、彼には妙に"安心感"を抱きました。
矢が飛び、剣擊が入り乱れる戦場と言う場に安息地が出現したかの様な…」
ハナは言葉で上手く説明出来ないのか、小首を傾げながら答えている。
「私としては、御前試合でも姿を現していましたが、あの得体の知れない存在、彼は"中"に何ぞ飼っておられる様子。
彼共々対応を誤れば敵に回るやも…
こちらの意図に薄ら気付いていた様ですし…」
「その様だね。
だから爺やは慌てて帰る様に仕向けたのよね?」
「はい…ですが今になってみると、却ってあちらに違和感を持たれたやも知れませぬな…」
「爺やにしては下手くそな」
「そうですな。」
それだけ話すと、狼獣人は御者の役目に戻っていった。
~王室~
コンコン
「王よ、諜報部の者達をお連れしました。」
「お、来たか。入ってくれ。」
ガチャッ
側近のシアロが王室の扉を開け、フードを目深に被った諜報部の5人が入室する。
「済まないな、1日に何度も呼び出して…」
「いえいえ…
我々が呼ばれたのは、先程来られていた『ヴァーリアスフェアレス』の方々に関する事ですか?」
「ふ、相変わらず話が早くて助かる。
その通り、先程『ヴァーリアスフェアレス』の第三王女フォルク殿下が参られ、"ヒュマノ聖王国との戦争"への協力要請を嘆願しに来たのだ。」
ギリリッ…
王の言葉を聞いた諜報部の1人、獣人の男は拳を強く握る。
「…お主は以前、今の職をかなぐり捨ててでも対ヒュマノ聖王国との戦争に参加すると申したな。」
「はい、あの国は生まれ故郷ではありますが、記憶から抹消したい国でもあります。
誰かの手で終わらせても私自身が納得出来ない。
自らの手で終わらせない限り、いつまでも私の心の中にあの国が居続ける。」
獣人の言葉を聞いた王は「ふむ」と一言呟いた後
「分かった。
その時は事前に申せ、お前の存在を抹消するのには多少時間が掛かるからな。」
「はい、その時には必ず。」
王と獣人との会話は短いものだったが、彼の境遇を知る王は。それなりに融通を利かせてくれる様だ。
「さて本題に戻るが、王としてはヒュマノ聖王国との戦争には全面的に協力する予定だ。
冒険者時代にあの国に訪れた事があるが、獣人に対する奴隷以下の扱いには未だに腹が立つ。
開戦が迫ってきた時は特殊依頼として冒険者ギルドに貼り出す事にする。
と、一行には伝えておいた。」
ヒュマノ聖王国の惨状を目撃している王は、加勢に意欲的な様だ。
すると諜報部のリーダー的存在の局長が王の前に進み出る。
「私の持つ情報では、ヒュマノ側も戦力確保に動いてる様子…
ヒュマノ聖王国の冒険者ギルドは冒険者に支払う報酬が少ない事で有名ですが、本当に支払うつもりがあるのか分かりませんが、戦争参加の報酬を通常相場の5倍程掛けてる様子。
ですが元々不信感が強いのか、戦争参加希望者は中々集まりが悪い様です。」
「日頃の行いが悪いとこういう時に足を引っ張る物だな。
…しかし少なからず参加者は居るのだな…
なるべく対冒険者という形は取りたくないものだが…」
「であれば王よ、これをヒュマノ周辺地域に配布したいのですが、許可を頂きたい。」
そう言って獣人の男性は目深に被ったフードの奥に手を突っ込み、王が座る席のテーブルに何かを置く。
カロン…
「…これは…義眼か?」
「はい、私の左目は5才の頃にはヒュマノの連中にくり抜かれています故…
この義眼には『記録』を付与しています。
今から映し出す映像は先日のフリアダビアでヒュマノの連中が冒険者や自国の王に向けて放った言葉が記録されております。
察しの悪い者でも嫌悪感を抱くには十分かと思います。」
獣人の男性は義眼に手を翳し、魔力を流すと映像と共に会話が聞こえ出す。
"冒険者等所詮替えの利く存在、奴隷と何ら変わりありません。"
"寧ろ私達の役に立って散るのを誇りに思って欲しい位ですな。"
"う、嘘だ!こんな物偽造したに違いない!
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シュバッ!
示し合わせたかの様に諜報部全員が姿を消す。
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