ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

お見苦しい所をお見せしてすいません

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「大変お見苦しい所をお見せしてすいませんでした。」フキフキ


少し休憩して体調が元に戻ったノアは口を拭いつつ、この場に集まった者達に頭を下げる。


「いやはや…とんでもない殺気を感じて来てみれば、ヒュマノ聖王国の人間がここにいるとは…
大方ノア君の噂を聞いて勧誘に来たと言う所かな…」

「ええ、かなり横柄な態度でね!」


ノアはその時の態度を思い出しむくれっ面になる。 


「…それにしても、こんな痩せ細った獣人の子供を連れて… 」


諜報部の獣人の腕の中ですやすやと眠る子供を見て眉をしかめる。


「…この首輪ですか、先程にゃんこさんが仰っていたのは…」


にゃんこ…諜報部所属の獣人の呼び名(ヴァンディット限定)


「にゃんこ…プッ…」
「クスクス…」

「…ヴァンディット嬢。
その呼び名、出来れば表ではあまり言わないで頂きたいのだが…」

「あ、し、失礼致しました…つい…」


が、時既に遅し。
今ので割と広まってしまった為、今後にゃんこさんは街の職員や住人から裏で『にゃんこさん』の愛称で呼ばれる事になる。
頑張れにゃんこさん。


「ぅおっほん!本題に戻ろうか。
先程の奴らの反応からしてこの子らに付けられている首輪は本人らの意思とは関係無く、強制的に体を動かす機構を備えた違法な物だろう。」


その場にしゃがみ込んだにゃんこさんは、獣人の子供らに付けられた首輪に手を掛ける。

バヂィッ!ブシュッ!

首輪が赤く光り、紫電が走ると、取り外しに掛かったにゃんこさんの手がズタズタに引き裂かれる。


「…!?手が…」

「気にするな。
…やはり主人以外が外そうとすると反発してくるか、いやらしい仕掛けを…!」バキンッ!


手が血塗れになりながらも首輪を外すと、幾分子供の表情が和らぐ。
恐らく別の魔法も付与されていたのだろう。





「…ぐぉっ…これで…『バキンッ!』終わりだな…」


にゃんこさんが苦悶の声を上げつつも2人の首輪を外し終わる。


「細かな傷や痣が幾つも目立つな…ヴァンディットさん、手持ちのポーションや症状に合った薬品の投与を…
いや、先に諜報部の人からだ、症状で言えばそちらの方が悪い。」

「え!?」


ノアに言われ、にゃんこさんの方を見ると、首輪に触れた両手はどす黒く変色し、ジワジワと手首の方まで進行していた。


「し、心配するな、持ち前の<毒耐性>で直ぐにどうこうなる物では無い…
それに、拠点に戻れば毒消しもあるだろ、うごぁっ…」


そう言ってる間もにゃんこさんの両手はどんどん腫れていき、所々皮膚が裂けてきている。
素人目から見ても毒消し程度でどうこうなるとはとても思えない。


「…は…があぁあっ!」


いつも冷静に努めるハズの諜報部の者ですら苦痛に声を荒げる。

そんな中、ヴァンディットがにゃんこさんの近くに寄り、どす黒く変色した右腕に触れる。


「うぐっ…ヴァンディット嬢…一体な「にゃんこさん、少し我慢してて下さいね。」

ガブッ!

「「「「「え?」」」」」


突如ヴァンディットが手首の辺りに噛み付いたのだ。
皆突然の事に何も出来ずにいるが、噛まれてる本人は堪ったものでは無い。


「ぐぁあああ…ヴァンディット…嬢、離れ…ぐぅっ…」

ヂュゥゥゥゥ…

「ふあいほほもいまうがもうふほひのひんほーへふ。(辛いと思いますがもう少しの辛抱です。)」


そう言っていると徐々に腫れが治まり、痛みも引いている様だ。




プッ!ビタタッ!

少ししてにゃんこさんの手から口を離したヴァンディットは、口に含んでいた血が混じった黒い液体を地面に吐き出す。


「ぷはっ…にゃんこさんの血の臭いから血が侵されていると判断したので吸出しました。
さぁ、左手も行いますのでお手をお出し下さい。」

「あ、ああ…」


左手も同様に毒素を吸出し、地面に吐き出す。


「恐らくこれで大丈夫だと思います、お身体の方はどうですか?」

「先程の痛みが嘘の様に引いた…治療して貰って感謝する。が」


そう言ってにゃんこさんは大きな手でヴァンディットの頬や口周りに触れ、状態を確認している。

ヴァンディットはそんなにゃんこさんの行動に黙ってなすがままとなっている。


「…良かった、私の血を介して毒に侵されてはいない様だな…」

「あ、ご安心を、吸血鬼は種族的にそういった耐性関連は持っていますので…」

「それでもだ、吸血鬼である以前に私にとって貴女は1人の女性、私のせいで貴女が毒に侵されでもしたら夢見が悪くなる。
私の事を思っての行動だろうが、出来れば一言言ってからにして欲しかったかな。」


そう言いながらヴァンディットの口の端に付いた血を親指の腹で拭う。


「あ…はい…」


そうしてお互い見詰め合っていると


「あのー…何か良さげな雰囲気な所申し訳無いのですが、そろそろ子供達の治療の方を…」

「「ハッ!?」」

「あ、あ、申し訳ありません!今すぐ…」

「こ、これは失礼したヴァンディット嬢…あ痛た…」

「皮膚裂けてますものね。はい、ポーション。」バシャッ

「雑!」


にゃんこさんの両手にポーションを雑にかけたノアはクロラに近付く。


「先程は助かりました。
…奴らに使ったスキル、大分精神力を食うので取り乱しちゃって…」

「ううん、気にしないで。
…ねぇノア君、1つ聞いて良い?」

「ん?何ですか?」

「ノア君に異変が起こったのって、本当にさっきのスキル使ったからってだけ…なのかな?って…
私の住んでた村に、ね、昔戦争を経験してた人が居たんだけど、たまに何か思い出してさっきのノア君みたいな症状が出たりしてたの。
それで…」

「…そうですね…クロラさんが仰る通り、確かにさっきの異変はスキル使ったから、ってだけではありません。
昔僕が病気だったって話しましたよね?
僕、獣人の子供みたいにガリガリに痩せ細ってて、恐らく生まれてから今までの間で最も辛かった時期だったんです。
彼らを見たらその時の自分と重なって見えちゃって、色々思い出しちゃいました。」

「そう…なんだ…ごめんなさい、私こそ。
嫌な事思い出させちゃったね…」

「気にしないで。
今まで誰にも相談出来なかったけど、クロラさんに話したら少し気が楽になりました。
また何かあったら相談しても良いですか?」

「ふふ、これでもノア君より2才上のお姉さんですよ?
相談事あったらお姉ちゃんに何でも聞きなさい。」

「はい、クロラお姉ちゃん。」

「あ…待って待って、お姉ちゃん呼びやっぱ無し…何か変な気持「あー…お楽しみの所申し訳無いのだが、子供達の治療が終わったぞ…」

「「ふぉっ!?」」


ヴァンディットの手持ちのポーションで治療は大体済んだ様で、2人の獣人はにゃんこさんがおんぶしている。
一先ず子供の獣人2人は王城にて保護する事になった。







「それじゃノア君またね。」

「うん、おやすみなさい。」

「…あ、そういえばさっきノア君が言い掛けてた事って何だったのかな?」

「言い掛けてた事?」

「ほら、私を影に避難させるちょっと前、昔私に似た子を見たって話の後に『クロラさんと初めて会った日の翌』で話区切れてたよね?」

「あぁ、あれですか。
クロラさんと初めて会った日の翌日の朝、肉食べたじゃないですか?
あの時クロラさん"ふもも!"って言ってたんですよ。
それを聞いた時に思い出したんです、バザーに来てた子も"ふもも"って言ってたなー、って。」

「え、じゃあノアく「さ、もう夜も遅いですし、クロラさんも明日早いでしょうから宿行きましょ、宿!」

「え!?ねぇノア君話はぐらかして…
あれ?ノア君顔赤いよ!照れてる?」

「ち、違…何でも無いですって!
早く帰らないとまたポーラが来るかも…」

「呼んだ?」

「「ぎゃああっ!?」」


ポーラの襲来に遭いつつも何とかその場を乗りきった2人は、各々が泊まる宿へと向かって行った。


(それにしてもヒュマノ聖王国の連中が出張って来たか…
そういえば、村に預けてるミユキさんは元気にやってるだろうか…)
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