ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

ひぃぃいいい!

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「ひ、ひぃぃいいい!」


先程仲間達に「狼狽えるんじゃねぇ」と言い放った頭が今度は狼狽え、体を強張らせる。


「か、頭!どうしたんです頭!」

「ガキが!てめぇの仕業か!」
「叩っ斬ってやる!いくぞ!」
「おおっ!」


ベルトを使用して無理矢理腰に剣を下げる野盗2人がノアに向かって斬り掛かる。


「ば、馬鹿野郎!闇雲に斬り掛かるなぁっ!」

ドッ!ガチュッ!

ズシャッ!

頭が言い放つも虚しく、肘から先が見えない程の速度で首と顎に手刀を打ち込まれ、即座に野盗2人は地面に崩れ落ちる。


「な、何故…何故お前がここに居る…」

「そりゃあ…(あ、いや、待てよ…)」


そう言われたノアは、先程頭が言っていた嘘に乗っかってみる事にした。


「何故?…ふふ、さっきお前が言っていただろう?"奴は生物兵器だ"とな。
他言しなければそのまま野盗生活を謳歌出来たものを…
知られたからにはお前達を消さなければならない。」

「ま、待て!あれはただの作り話だ!
アルバラストでもアンタの事はチラリとしか見ていな「問答無用。」

ボフゥッ!

頭の言葉を遮ったノアは、焚き火を蹴り飛ばすと、多少火の粉が舞い、少しして辺りは闇に包まれる。
焚き火の光に慣れてしまった野盗達の目は、ノアの姿を完全に見失い、声や音、<気配感知>だけが頼りとなった。

しかし他の野盗が騒ぎ、闇雲に動き回り、大して鍛えてもいない<気配感知>では誰が誰だか分からず騒然としていた。

ゴスッ「うがぁっ!?」
ゴギンッ!「ぎゃぁあっ!」
ガシッ!「うわぁああっ!?」
「くそぉっ!何処『キュッ』
「こ、降参だ!だから許『ガシッ!』うわぁあああああ…」

「お、落ち着、落ち着け!誰か、あか、灯りを点けろぉっ!」


周囲で何が起こっているかは見えないが、徐々に仲間の気配が消えていっているのは分かる。

灯りを点けようにも灯りの在処すら分からない。

頭の男は周囲に落ち着くように言って聞かせるが、もうどうしようも無い所までに陥ってしまった。






~3分後~

「くそぉおおっ!来れるもんなら来てみやがれぇええ!」

ブォン!ブォンッ!ブォン!

ベキンッ!ガシッ!

「むがっ!…ご!ぁああああああああっ!」


「お!おい!誰か無事な奴は居ないかぁっ!」





声を掛けるが誰からも返答は無い。
この場で無事なのは頭の男性1人だけの様だ。


「だ、誰…」



…チャ…


「!?だ、誰かそこに居るのか!?」

ザッザッザッ…

頭の男性は音が聞こえる方に手を翳しながら歩いて行く。

…チャク…

ペタペタ「…木?…か…音はこの上から…」

…チャ…クチャ…

ポタ…ポタタ…「う!?な、何!?」


頭上からヌルッとした液体が垂れてきた。
暗闇で見えないのでその液体が何なのかは定かではない。

それに、よく耳を澄ますと何やら水音が聞こえる。

「残りはあなた1人だけですね。」

「ひぃいっ!?」

誰かが背後から声が掛かる。
全く気付けなかった頭の男性は驚きの声を上げる。


「お、お前!俺らの仲間を何処へやったあっ!?」ブォン!


背後に居るであろうノアへ向けて裏拳を繰り出すも空を切る。


「ふふふ、焦らずとも直にあなたの順番が回ってきますよ。」

「順番!?何の事だ!?」

クチャクチャ…

ポタポタ…

「流石に40人も居ると時間が掛かりますのでねぇ…」


それを聞いた頭の男性は、動きをピタリと止め、先程から聞こえてくる水音と、垂れてくる液体の正体を何と無く察し、徐々に顔に脂汗をかいていく。


「き、木の上に…何が…」

「さぁ詳しくは教えられないですが、アルバラストでの戦いを御存知なら、僕と共に居た"アレ"かも知れませんねぇ。」


"アレ"と言われ、頭の男性はノアの契約獣であり、ヒュドラを食い殺したグリードを想起する。


「ヤメロぉっ!死にたくない!!」

「殺しはしませんよ。
あなたはあの子の血肉となって生き続「それは死ぬのと同義じゃねぇかっ!」


必死に抵抗する頭の男性に対し、痺れを切らしたノアは男性の首に腕を回す。

ギッ…「ぐぉあっ!?くっ、この!」

ガッガッガッ!

頭の男性は肘打ちして抵抗してみせるが、生半可な攻撃では傷1つ付けられない防具を着用している為、全くダメージは入っていない。

キュッ

ドシャッ!

ノアが腕に力を入れると、頭の男性は即座に意識を失い、地面に崩れ落ちた。








「はい、終わり。
ヴァモス、ベレーザ、協力ありがとうね。」

「いや、協力も何もボクら肉食べてただけで…」ムシャムシャ…

「捕縛している途中で私達の所来て"肉食べてて"って言うんですもの、意味を理解するまで時間掛かりましたよ…」ムシャムシャ…

「いやね、本当はグリードが居れば手っ取り早かったんだけどね。
でも雰囲気は出ていたと思う!」


親指を立てた良い笑顔のノアが満足げにそう言い放つ。
未だ肉を咀嚼していたヴァモスとベレーザがほぼ同時に飲み込むと、嘆息した後にノアに告げる。


「「やり過ぎです。」」






「で?ノア君よ、何で野盗共はこんなに怯えてるんだ?」

「人の事をコモンみたいな生物兵器呼ばわりされたので、御要望通り生物兵器っぽく対応しただけですよ。」

「うわぁ…」


あの後一段落付いた所でノアは要請弾を打ち上げた。

僅か数分で王都からベルドラッドとライリがやって来た。
ノアの規格外っぷりに慣れた2人は特に驚かなかったが、応援としてやって来た隊員達は野盗の数の多さに驚いていた。

連行の際に野盗が起き、「生物兵器に襲われた」等と言い放った為、薬物中毒の疑いを掛けられたがノアの小芝居と判明し野盗は顔を真っ赤にし、隊員達は腹を抱えて笑っていた。

ちなみに野盗共は最近居着いた割に、数件悪事を働いていた事から懸賞金が掛けられていた。

ノアは一旦懸賞金を受け取る。
野盗共飲まれた酒代という事で西の村で待つベイゼルに渡すつもりの様だ。


「それじゃあ後の事お任せします。」

「ああ。」

「任されました。」

バフォッ!


ベルドラッドとライリ、野盗や隊員達を乗せた巨鳥が飛び立ち、その場にはノアとヴァモス、ベレーザの3人。
後はベイゼルの荷馬車が残された。

不幸中の幸いだったのは、荷馬車の馬が無事だった事だ。

何処ぞの国では拿捕した軍馬すらも食糧にする野盗も居るとか。

何はともあれ3人は荷馬車と共に西の村へと帰る事に。

途中ホーミングボアやカラメル牛等と出会したので、西の村に1日逗留する代わりに村の住人への礼の意味を兼ねて仕留める事にした。

そんなこんなあって西の村に着いたのは2時間半後の事だった。
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