ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

ぺったんこ。

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ぺったんこ。

「ほい、規定の日数には達してないが、素材数は各ギルド満足のいく量に達しとるから達成じゃな。」


王都に戻ってきたノアは、各ギルドの面々と分かれて冒険者ギルドへ直行。
丁度カウンターに居たギルドマスターのジャロルに依頼の報告に来た所である。


「ありがとうございます。
それと1つかなり大きな素材があるのですが、その素材を解体に回そうと思うのですが、何処に持っていった方が良いですか?」

「調査中のダンジョン(仮)から出てきた巨大ランペイジ・クロコダイルの事じゃな?
取り敢えず街中の解体職人を呼んどるから、用が済んだら後で旧試合場に行ってくりゃれ。」

「分かりました。」






「はぁ…さて、用事を済ませますか…
ヴァモス、ベレーザ、これからヒュマノの連中に会いに王城まで向かうけど、会いたくない様なら冒険者ギルドで待ってても良いよ。」


冒険者ギルドを出たノアは、ため息を1つ吐きつつ後ろを着いて来たヴァモスとベレーザに声を掛ける。


「ボクは平気です…」

「私も、平気です…にゃ。」

「そうか…無理はしないでね。」

(平気、ねぇ…"ヒュマノ"って発したら視線が揺らいで、明らかに呼吸が早くなったけど…)


明らかな様子の変化に心配しつつ王城へ向かう事に。





「そう言えばノア様、ヒュマノの人間に何をやったのですか?
一言二言言った位で従う様な連中ではありませんが…」

「あー…僕の【固有スキル】だよ。
効果もそうだけど反動がデカいからあまり使いたくないけどね。」

(それにしたって3日ぶっ続けで【神心掌握】に掛かり続けるってどんだけ心が弱いのよ…
前にお試しで野良犬に掛けた事あったけど、半日で解けたぞ…)



【神心掌握】…自身との精神的なレベル差があればある程相手を傀儡の様に掌握可能。
使い方によっては外法にもなるので、発動者の趣味趣向が問われる為、ご利用は計画的に。
発動時に精神力を大幅に消耗するのでご利用は計画的に。



「あんまり使いたくなかったんだよね…
効果をよーく考えてみたら中々下世話な事にも使えるから…」

「と言う事は、少しは考えた事があったんですね?」

「はぅっ!?
い、いや、そんな事は…いや、少し…ちょびーっとはあったかなー…」

(ごめんなさい、割とありました。)


ヴァモスとベレーザの純粋な目で見詰められたお年頃のノアは、過去に想像した忌まわしい記憶の数々を頭の片隅に追いやっていた。






何故か王城に着く頃には冷や汗びっしょりになったノアは門扉の前で一旦立ち止まる。
門扉には先程の黒いフードの諜報部員が立っており、ノアの来訪を待っていた様だ。


「じゃあこれから中に入るけど、無理そうなら直ぐに言うんだよ?」

「「は、はい…」」


先程の平常心は何処へやら。明らかに落ち着きが無くなっている様だ。


「やぁノア君早かったね、待っていたよ。
奴らはこの門の裏で君の帰りを待ちわびている様だよ。本当に邪魔臭い。」


いつも冷静な諜報部の者が"邪魔臭い"と言う事は、本当に邪魔なのであろう。

諜報部の者が門扉を開けると、言葉通り少しやつれたヒュマノの2人組が立っていた。


「おお、ノア殿!あなた様のご帰還を今か今かと待ちわびていましたぞ!」

「あなた様のご指示の通り、我々はこの下人共に我々の崇高なる思想、纐纈なる精神、数々の武勇を高らかに語ってやりましたぞ!」

(あ~もう、うざったい…
周りにいる隊員さん達も"早くどっか行け"って顔してるし…)

お互いたった一言喋っただけなのに既にうんざり顔のノアである。
こんな調子で3日話を聞き続けた人達を労ってあげたいと心から思うノアであった。


「おや、ノア様の後ろに居るのは獣人では御座いませんか?」


そう言われてノアの背後に立つヴァモスとベレーザはビクッと体を震わせる。


「オスのガキは良い体格をしておる、来る戦争の際は我々の為に良く戦ってくれそうですな。」

「メスのガキの方も獣人にしては中々可愛らしい顔をしてるじゃないか。
それなりに仕込めば良い性処『おい。』


ノアの言葉で場が静まり返る、ドスの効いた声の主からは赤黒いオーラが立ち昇り赤黒く染まった眼が2人を見据える。

その眼で見据えられた2人は脂汗を滝の様に流し硬直している。

周囲の隊員達もノアの殺気に当てられ、気を引き締め直してノアの動向に注視していた。


『誰が勝手に喋って良いと言った?
お前ら如きが何俺の従者を品定めしてやがる。
何色目を使ってきてやがんだ?
用が済んだんだったらさっさと帰れ。』


ノアは2人を威圧しつつ帰還の指示を出す。
殺気を当てられた2人はビクビクとしながらも、周囲の隊員らにこう声を掛けた。


「き、貴様ら、我々は国に戻る故急ぎ馬車と数日分の糧食を寄越せ!」


ノアの影響下にあるハズなのにこの物言いと言う事は、常日頃こう言った振る舞いをしているのだろう。

言われた隊員らはうんざり顔になりつつも渋々といった様子で馬車を出そうとすると、ノアが制してきたかと思うと諜報部の者に向き直る。


『局長さん、こっからヒュマノまで距離はどれ位だ?』

「馬車を走らせて大体1週間といった所だ。
…おい、まさか…」

黒いフードの人物が嫌な予感を感じてノアに確認を取る前にノアはヒュマノの2人組に向き直る。


『彼等に有益な情報を与えてくれた諸君。
君達2人はこれより帰還の途に着くが良い、但し"真っ直ぐ一直線に向かえ!"』

「「ま、真っ直ぐ…ですか…?」」

『君達なら可能なハズだ、君達の持つ纐纈なる精神!崇高な思想に比べればたかが知れているだろう。
糧食は要らん、君達が持つと言う数々の武勇を以てすれば食うには困らないだろう?』

「そ、そうですな!我らの纐纈な精神は如何なる困難をも踏破出来る!」

「我らの武勇を以てすれば、巨躯な竜すらも屠る事も可能。
あなた様に己の美麗な剣技をお見せ致しましょう。」

『分かった分かった。口が達者なのはよく知ってるからさっさと帰れ。』


ノアの"帰れ"と言う指示を受けた直後、目の焦点が合っていない2人は仲良くヒュマノへの途に着いていった。


ちなみにこの2人であるかどうかは定かでは無いが、1ヶ月後にヒュマノの10キロメル手前の山中にて身ぐるみを剥がされ、足の裏がズタズタになり、ガリガリに痩せ細った状態の男性2人の死体が木の上にしがみ付いた体勢で発見された。

当時木の根元には熊が3頭寝転んでいたというが、たまたまその木から"葉苺の葉"を採取しに来た冒険者のパーティが見付けたとか。
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