ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

閑話 ヤバイ奴らによる【魔王】殲滅戦(下)

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『滅びの森』へと逃げ込んだ【魔王】を追い、ヤバイ奴ら一行も森の中に入ると、即座に森中のモンスターや魔獣が7人へ向け押し寄せる。

魔獣単体でも上級冒険者パーティが何組か必要になる為、物量で迫られれば逃げに徹するのが普通である。

そう、普通であればであるが。


グォオオオオオオッ!!バギバギバキッ!

「はっはー、来よったなぁ!
全身鎧装着!(フィスチンド・アルマドゥーラ)」


プレ爺の前方から全長100メルを越える『ランペイジ・スカル・クロコダイル』が周りの木々やモンスター、魔獣を轢き殺しながら迫って来る。

プレ爺は臆する事無く、自身が討伐した魔獣『ジェノサイドベア』の漆黒の骨素材で作製した全身鎧を装着。

骨素材ではあるが、金属と同等の性質に加え、金属以上の強度を誇る素材で作ってあるが、通常の鎧とは明らかに違う造りをしている。

それは『巨大な腕』である。

頭から足先までは通常の金属鎧であるが、肩口から丸太の様な巨腕が装着されており、自然体でありながら拳が地面に着いている程である。

その巨腕のゴツさに、他の部分が貧弱に見える見た目をしている。

ギシッ…

プレ爺は巨左腕を突き出し、巨右腕は握り込んで体の側面で構え、迎え撃つ体勢である。


グォアアアア『ズゴンッ!』アアッ!?


ランペイジ・スカル・クロコダイルの下顎とプレ爺の巨左腕が衝突。

ガジョッ!!  ギッ…!!

だがプレ爺は一歩も動く事無く受け止めると、構えていた巨右腕を下顎に放つ。

巨大な一枚岩の様な分厚さと強度を誇る下顎と巨右腕が衝突すると、その一撃でランペイジ・スカル・クロコダイルの下顎は粉砕され、衝撃に任せて頭部が克ち上げられる。

ズンッ!「ぬぅりゃぁああっ!!」

プレ爺は、前方の空いた空間に歩を進め、もう一度踏み込み、再度巨右腕をがら空きになった首元に撃ち込む。

ズボォアッ!!  ヒュォオッ!?

衝撃は凄まじく、何の抵抗も無く首を貫通し頭部、特に脳を破壊してランペイジ・スカル・クロコダイルを瞬殺した。

ズザザザザッ…

「ま、こんな物かのぅ。」

「「す、凄ぇ~プレ爺格好良い~!!」」

「世辞は良いから2人共さっさと"食っちまえ"。
 お前さんらは初動が遅いんじゃからな。」

「「はーい!」」


プレ爺にそう言われた"肉食系女子"のカナミと"腸漁り"のコノミは、ランペイジ・スカル・クロコダイルに近付くと


「てやー!」ザシュッ!ブチッ!
「うおりゃー!」ゾブッ!ブチブチブチッ!


カナミが素早い手刀でランペイジ・スカル・クロコダイルの胴体を大きくぶった切り、肉の一部を切り取る。

コノミは、カナミが切り開いた部分から露出している心臓の一部を引き千切ると


「「頂きまーす。」」ガブッ!


2人仲良く食事を始めた。

2人は人間寄りの獣人で、その中でも攻撃力に秀でている"グリズリータイプ"の熊獣人である。

更に2人は割と珍しいスキルである<大好物>を所持している。


<大好物>…自分の好物を食べると自身に有利な効果が1つ付与される。


その為カナミは肉を、コノミは内臓系の肉を喰らえば喰らう程、攻撃力が増大していくのである。

ちなみに食事の間、護衛としてプレ爺が集まってくるモンスターや魔獣を屠り続けている。

2分程するとプレ爺が動きを止める。


「漸く調子が出て来よったな?」


プレ爺が後ろを振り返ると、攻撃力が有り得ない程に上昇し、陽炎の様に殺気が立ち昇っている2人の姿があった。


「「食事の見張りありがとう、プレ爺。
食後の運動がてら私達も加わるよ。」」

「おぅ、そうしてくれると助かるわい。
儂ゃ、タイマンは得意じゃが、殲滅力に劣る。
2人なら、この場での殲滅力は俺らん中じゃ1番じゃから、なっ!!」

グジャッ!

プレ爺はそう2人に言いながら4本腕を生やした巨大な熊の頭部を粉砕。

その直後

ボドッ!ドサッ!ズドドッ!ドヂャッ!ボトボトッ!

樹上から次々にモンスターや魔獣の死体が落下してくるので、プレ爺は先程まで2人が食事を摂っていた場所を見るも、既に2人の姿は無い。

音も無く樹上に上がった2人は、二手に分かれて周囲のモンスターや魔獣、【魔王】軍の兵の殲滅を開始。

落ちてきた死体を見ると、繰り出された拳や蹴り、爪の形に沿ってその部分が"削り落とされている"。
圧倒的な攻撃力だからこそ出来る芸当である。


「ふふ、相変わらずあの2人は恐ろしいわい。
さて、気配の強い方向に向かうとするかの。」


プレ爺は、向かってくる魔獣や兵を一撃で屠りつつ【魔王】の元へと向かっていった。





カナミとコノミが森の中を駆け、出会したモンスターや魔獣を屠って行く中、途中で【魔王】軍の兵約200人と遭遇する。

兵の殆どは人間であるのだが【魔王】の配下である為何らかの影響が懸念される為、処分しなければならない。


「同族殺しと言われようが君達【魔王】軍は滅ぼさなきゃならないんだ。」

「悪く思わないでね。」


そうカナミとコノミから言われるも【魔王】軍の兵達は怯えるでも騒ぐでも無く、ただただ無表情で武器を構える。


「「なんだコイツら、やっぱ操られてんのか?薄気味悪い。
でもそれ位の方が殺りやすいわ。」」


直後2人は超高速で縦横無尽に駆け巡り、200人に及ぶ兵達を屠る事になる。

その最中、兵達の飛び散った肉片がカナミの口内に入る。


「うげっ!?口ん中に入っちった!?」


"肉食系女子"のカナミとは言え、人間の肉に"多少"嫌な顔をする。

が、その時カナミに異変が起こる。


「ん?何だ?この味…
…あ、え?何で?コイツ人間だよね…?」

「どうしたのカナミ姉?」


カナミに起こった異変に、コノミが訝しんでいる。


「もしや、さっき皮膚ミンが言ってたのはこう言う事だったのかしら…
何でかコイツらの肉、人間も混じってるけど大半が"獣人"の味がするのよ。」

「え?何じゃそりゃ。」

「私に聞かないでよ、私だって困惑してるんだから。」


カナミとコノミが言い合いをしていると、森の奥から仲間のフィリアの嬉々とした声が聞こえてくる。


「きゃははっ!見付けたわよぉ【魔王】ちゃん!」


と言う声の後会敵したであろう【魔王】と思しき叫び声が聞こえてくる。


「…ここであーだこーだ考えてても仕方ないわ。
取り敢えず今は【魔王】軍殲滅に注力しましょ。」

「う、うん。」


無理矢理思考を切り替えた2人は皆の元へと駆けて行った。

その道中、森の奥ではドラキュリオスが血戦槍陣を全方位に放ち、モンスターや魔獣、【魔王】軍の兵を悉く貫き殺す。

が、四天王の1人がしぶとく生き残っていた為、ドラキュリオスは追加で『血戦死兵』という血で作った兵をそいつにぶつけ、眼球コレクターが光線をぶっ放し、蒸発させた。


ズザザッ!

カナミ、コノミの2人が皆の元に到着すると、辺りは焼け野原と化し高温で焼かれた為か、地面が所々ガラス化している。


「あれ?皮膚ミンが居ないけど、どこ行っちゃったの?」

「ホントだ。迷子?」


と、この場にカナミとコノミを合わせても6人しか居ない事を不審に思い、周りをキョロキョロと見回していると


「シーッ。(アレ、アレ。)」


直ぐ近くにいたフィリアが口に指を当てつつ、前方に向けて指を差している。
指差す方向を見てみると【魔王】らしき人物と、配下の女性が立っている。


「おい貴様らは一体何者だ!名を名乗れ!」


【魔王】らしき人物が6人に向け叫ぶ。
口元に注視していると僅かに動かしているので逃げる手筈でも整えているのだろうな、などと考えていると【魔王】の後ろに立つ配下の女性が6人に向けて手を振っている。


「…まさか…」

「アレ、皮膚ミン?」

「そうよ、さっきドラキュリオスが全方位攻撃繰り出したでしょ?
あの時にあの配下を仕留め、皮膚ミンが"有効活用"したみたい。」

「ふふん、俺がただ闇雲に攻撃を仕掛けたと思うか?
皮膚ミンに提案されたから眼球コレクターと協力して狙いを付け、タイミングを合わせて放ったんだ。
で、仕留めたと同時に皮膚ミンが乗っ取ったのさ。」

ドズッ

「あ、殺った。」

「あら、ホント。何か呆気なかったわね。」


皮膚ミン扮する四天王最後の生き残りであるガルディアが【魔王】の背後から腕を突き入れて心臓を鷲掴みにしていた。

 【魔王】が地面に崩れ落ち、驚きの表情で自身の配下を見詰めていると、皮膚ミンが顔の皮をいじくって正体を露にしている。

皆ももう仕舞いだな、と皮膚ミンの元に近付いていき、ドラキュリオスが血の槍を生成。

ガヂョッ!

無造作に槍を投げて【魔王】の頭蓋を粉砕。


「【魔王】軍殲滅完了、っと。」
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