ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

商人のベイゼル

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「自警団の方に聞きたいのですが、商人のベイゼルさんって奴隷商も営んでいたりしますか?」

「「「へ?」」」


突然ノアが発した謎の質問に、この村の自警団の方々は素頓狂な声を上げる。


「はは、それは無いよ。」
「ごく普通の物資や食料品等の売買をしている商人だよ。」
「たまに値引きもしてくれる良い人だよ。」

「ふむ、普通の商人…ですか…」


皆の反応を見るに本当の様だ。


「でもおかしいわね、いつもだったらウチに寄るのに…」
「そうだな、何か焦ってる様だし急いでいるのかな?
それに、いつも連れてる御者の少年も居ない様だが、はて…」


そう言われて御者の位置を見てみるも、以前西の村で初めて会った時にも居た、御者の少年が確かに居ない。




「…いや"居た"。」

「「「「「「え?」」」」」」


そう言うとノアは歩き出して表へと向かう。


「自警団の方、長いロープか何かありますか?」

「え?あぁ、持ってくるよ。」

「取り敢えず僕が接触するから、他の皆は距離を取っててくれ。」

「「「「「りょ、了解。」」」」」


皆、ノアの行動にイマイチピンと来ていないが、取り敢えずその通り行動する事に。






ザッザッザッ…

「そこの荷馬車、荷を改めたいのでちょっと止まって下さい。」

「…も、申し訳無い…先を急いでいるので今回は見逃してくれ…」

「ベイゼルさん、僕です、ノアです。
申し訳ありませんが止まっていただけませんか?」

「っ!?ノア様っ!?」ガバッ


御者の位置に座っていたベイゼルが声のした方を確認すると、そこには数日前にお世話になったノアが笑みを浮かべて立っていた。

ノアの姿を目視したベイゼルは、どこかホッとした様な、安堵の表情を見せる。

すると丁度良いタイミングでロープを持った自警団達がノアの元に。


「数日振りですね、この短期間の間に同じ目に遭われた事、心中お察しします。」

「はは、再びこの様な形で再会するとは、逆に神に感謝したい位です。」

「と言う事はやはりその荷台に居るのは野盗で間違い無いのですね?」

「「「えっ!?」」」


ノアが放った言葉に驚く自警団一同。
直後、それを肯定するかの様に荷馬車の幌が剥かれ、中から怒鳴り声と共に野盗が姿を現す。


バサッ!「くそっ!バレたか!お前ら下りろっ!」


するとドカドカと音を立てて野盗共が出るわ出るわ、全部で15人の野盗が荷馬車から下りて来る。

その内の1人は後ろ手に縛って拘束した御者の少年を連れていた。

騒ぎを聞き付け、他の家々から村人が姿を現す。


「オラ良く見ろ!こっちには人質が居るんだ、お前ら動くんじゃねぇぞ!?」

「この糞ガキが、俺らが身を潜めてたのに見破りやがって。」

「あれで隠れてたのなら、とんだ笑い話だなぁ下手くそが。
あんなん誰でも直ぐに看破出来るわ。」

(((((((ごめん…全く分からなかった…)))))))

ノアの煽りを受けた野盗は、持っていた剣の切っ先をノアに向けてワナワナと体を震わせる。


「ガキが…殺してやりたい所だが時間が無ぇんでな、今日の所は許してやる。
良いか?俺らが『惑わしの森』を抜けるまで動くんじゃねぇぞ!」

「1歩でも動いたらこのガキの首から血が噴き出すぜぇ?」


御者の少年を連れている野盗が手に持ったナイフを首に向ける。
少年は涙目になりながらナイフから逃れようとしている。

猶予が無いと察したノアは、周囲に聞こえる様に大声を上げる。


「皆!ちょっとの間我慢しててくれ!」


周囲に居る全員が『えっ!?』と言う顔をした直後、ノアから強烈な殺気が放たれた。

ズオォォオッ…

「「「うおっ!?」」」
「ひっ!?」
「「うぉあっ!?」」
「きゃぁあっ!?」


殺気に当てられた全員の体が硬直し、指一本動かせなくなった。

スタスタ…

そんな中、殺気を放ったままのノアは普段通りスタスタと歩き、人質となっている少年の元に向かう。

ブチッ!「はい、これで大丈夫。」

後ろ手に縛られていたロープを引き千切ると、少年の手を引いて自警団の所まで連れていく。
その途中で殺気に当てられ、動けないベイゼルも一緒に連れていく。

フッ…

「ぶはあっ!?」
「「はぁっ!…はぁ…」」
「な、何だ、今のは…」


ノアが殺気を解除すると、途端に野盗達は肩で息をし始める。中には膝を付く者すら居た。


「人質の救助にご協力頂き感謝します。
このまま素直にお縄に付くなら、怪我しなくて済みますよ?」

「て、てめぇ、妙な術使いやがって!いい気になんなよ!」

(あれ?コイツら殺気食らった事無いのか?)

「こっちは15人居るんだぞ!?怪我したくないなら大人しく見逃しな!」


殺気で全員動けなかった事をもう忘れたのか、と疑いたくなる程の言い草に、流石に呆れたノアは


「…悪い、ポーラ、ヴァモス、ベレーザ。
支援魔法放ってもらって良いかな?」

「「え?ノア様には効果無いのでは…?」」
「ちょ…少年の【適正】的に無理なんじゃ…」

「支援魔法だぁ?やらせると思うか!おいお前らさっさと「あー、違う違う。」


野盗の言葉を遮ったノアが3人に向けて訂正を入れる。

「支援魔法を放つのは僕じゃ無くて野盗の方。
そうしないとアイツら死んじゃうから。」

「「「は?」」」


『敵に支援魔法』そんな事を言われた3人は流石に混乱して固まってしまった。


「ふ…ふふ…こんなガキに舐められた物だなぁ… 
死に晒せ、このガキがぁ!」


ノアの背後から野盗が近付き、剣を振り上げる。

パギョッ!「へごぉっ!?」

手首の捻りのみで繰り出した裏拳が野盗の顔面を捉える。
下顎は粉砕、歯が5本へし折れ、3メル程後方に吹き飛ばされた野盗は、口をだらりと開き、血をダラダラと垂らしたまま仰向けに倒れ込んだ。 


「「「「「「へ?」」」」」」


野盗達が素頓狂な声を上げる。

その光景を見たポーラは直ぐに意図を察し


「なる程ね。確かにやらないと大変だわ。
<守り手><身体強化><アイシクルフォース>!」


支援魔法を残りの野盗14人に放つ。


「うおっ…」
「へ?…あぁ…」


未だ状況を理解していない野盗達だが


「ポーラ、ありがとう。」

「どう致しまして。」

ズダンッ!

ポーラに礼を言ったノアは、野盗達に向けて駆け出した。


「あ、う、ぉおらぁっ!」ブォンッ!

ヒュオッ!ガッ!ズゴンッ!「おぐっ!?」


漸く正気に戻り、向かって来るノアに剣を振り下ろす野盗だが、あっさり避けられた挙げ句下顎を克ち上げられて地面に叩き付けられる。


「ほら、持ってろ。」ポイっ。ポイっ。

「え?『ズシッ!』は?うおぁっ!?」
「な、『ズシッ!』お、重っ!?」


腰から抜いた荒鬼神を近くに居た野盗2人に放る。
高重量の為、支えきれずに倒れ込む。

ゴッ「ふぐっ!?」ゴッ「うごっ!?」

掌底を1撃ずつ打ち込むと即座に気絶した。


「うぉおおおっ!」
「んなろぉおおっ!」
「死ねぇえええっ!」


剣を持った3人がノアに向けて駆けてくる。

(あーあーあー、3人同時だし間隔詰めて来てるし、素人丸出しじゃないか…)

バシュッ!バシュッ!

ノアは心の中で嘆息しつつ手元に荒鬼神を戻す。

ブォンッ!ゴシャッ!

「「「へぐぉっ!?」」」


右から左へ荒鬼神を振り抜くと、3人纏めてくの字に折れ曲がり、5メル程宙に舞う。

ドシャッ、ドサッ、ドスッ!

「ふ、安心しろ、峰打ちだ。」


峰打ちだとしても、とても安心出来ない威力に村の人々は呆然としている。


「「「「「「「「う、うわぁあああああっ!?」」」」」」」」


あっという間に7人が屠られた為、野盗は戦意喪失、皆散り散りに駆け出した。

だがノアは落ち着いた状態で背中の弓を取り、<洗練された手業><集中>を発動、次々と矢を射始めた。

バシュッ、バシュッ、バシュッ、バシュッ、バシュッ、バシュッ、バシュッ、バシュッ!


「ぎゃあっ!?」
「がぁあっ!」
「ぐぁあっ!」
「うわぁああっ!?」
「げぇっ!」
「ぐぁあっ!」
「がっ!」
「うごっ!」


皆一様に背後から射られ、肩や腕、足や尻等に矢が突き立ち、地面に倒れ伏す。

時間にして僅か2分程の出来事であったが、野盗の無力化が完了した。


「向かって来るならせめて今の10倍数を揃えてから掛かってきな。」
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