ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

戦闘開始10分

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戦闘開始10分、遂に討伐依頼の定員200人に加え、ノアの通り名目当てで戦いを挑んで来た冒険者達も戦線に上がって来た。

その筆頭である【双剣士】パーティ『乱舞厨』は、中級冒険者ながら3人と息の合った連携を武器としており、パーティだけで考えれば上級冒険者クラスに相当する。


「そんじゃあ、お構い無く!」ガバッ!

「お。」


ノアに首を掴まれていた【双剣士】は、自身の足を腕に絡めてへし折りに掛かる。が


「ぐっ…びくともしねぇ…
…が、腕を封じたから今のう『ガボンッ!』


ノアが【双剣士】の首を掴んだまま力任せに地面に叩き付ける。


「…う、ごっ…『ズンッ』『ズドンッ!』『ゴシャッ!』 

「マ、マズい!あれじゃリーダーが死んじまう!」
「リーダーを放せぇっ!」


勿論殺すつもりは無いので、手加減(?)を掛けているノア。
ただ、見ている方からすれば完全に殺しに掛かっていると勘違いし、ノアを止めるべく襲い掛かって来る。

すると


「変わり身の術!」


何処からとも無く声がしたかと思うと、今まで掴んでいた【双剣士】の姿は無く、忍装束を纏った男性が逆にノアの腕を掴んでいた。


「"奇襲、強襲何でも結構"と言ったな!これでもそれが言えるかな?
食らえ!『火遁の術』!」

シュボァアアアアアアアッ! 

【忍】が起こした火炎放射を零距離でまともに食らうノア。
だが本人はピクリとも動く気配が無い。

それ所か


ガシッ!「おごぉっ…!?」ボッ、ボボッ…


火の海から籠手を装着した腕が伸び、【忍】の顔面を鷲掴みにする。
隙間からは、僅かに洩れた火炎の残滓が虚しく噴き上がる。

(ひ、怯みすらしないだとぉっ…!?)

ミシミシと音を立てる男性の顔面、それをよそに、【鬼鎧殻】を顔と腕に装着したノアが炎の中から現れる。


「残念。
至近距離で爆裂魔法を食らう機会が多くてね、口上が無ければ当たってたかもね。」

ミシミシミシ…

一層手に力を込めて男性の頭を破壊しに掛かるノア(※殺すつもりはありません)。

『『『ズボォッ!』』』

突如、ノアの背後と左右の地面から忍装束を着た女性3人が飛び出してきた。


『『『口寄せの術・大蛇!』』』

ジャァアアアッ!グバアッ!


女性の【忍】…くノ一と言う者達が声を揃えて叫ぶと、地面から太さ1メル、長さが10メルもある大蛇が飛び出し、ノアの横腹に噛み付いてきた。

ズ、ズガガガガッ…

その時の弾みで男性の顔面から手を放してしまったノアは、そのまま大蛇に押し込まれていった。


「がっ…ゴホッ…た、助かった…」

「「「だ、大丈夫ですか!?」」」


ノアの元から解放された【忍】の男性に駆け寄るくノ一達だが


「…襲わせたと言う事は、殺しても文句は無いですよね?」

「「「「え…?」」」」


喚び寄せた大蛇の方から声がしたので振り返ると、3歩程押し込まれたノアが、大蛇の上顎と下顎を掴み、口を抉じ開けている所であった。

ジ、ジュァ、ジィアアアアアッ!

大蛇も自身の咬合力を駆使して必死にノアに噛み付こうとしているが、徐々にその口が開かれていく。

ミリ、ミリミリ…ガコッ!

ジャガァッ…ガァアアアッ!?

遂に顎が外された大蛇は苦悶の鳴き声を上げ、のた打ち回ろうとするも

ドズゥッ!ジャガァアアアッ!?

ノアは<渾身>を発動し、大蛇の眼に左腕を肘の辺りまで突き入れる。

ビダンッ!ビタンッ!

胴体や尾を振ってどうにかノアを引き剥がそうと暴れるも、頭が完全に固定され身動きが取れずにいる。

周囲の者、【忍】の男性やくノ一達は大蛇が暴れ狂っている為、近付く事すら出来ずノアの行っている所業を止めに向かうことすら出来ないでいた。

ジャ、ァアアアアアアアアアアアアッ!!

ギュルッ!ズギュルルッ!

大蛇は凄まじい早さでノアに胴を巻き付け、締め殺しに掛かる。
その勢いは凄まじく、自身の頭部諸とも破壊する程の勢いである。

ギュッ!ギギギギギギギ…

ノアの姿が完全に見えなくなり、次第に大蛇も動かなくなる。

ジワァッ…ピチャッ、ピチッ…

玉の様にとぐろを巻いた塊の中から血が染みだし、地面は血の海となった。


「「「「「「「……。」」」」」」」


周囲の冒険者達は呆然と立ち尽くす。

今この場に居る【双剣士】の『乱舞厨』と【忍】の『不忍殺』の2パーティは、後方に居る者達と違い討伐を目的にしていた訳では無く、ノアに戦いを挑みに来た挑戦者と言う立ち位置である。

その為、ノアを殺して(?)しまった事に、責を感じている様であった。

まぁ、お察しの通り


ズボッ!

「「「「「「「えっ!!?」」」」」」」


玉の様なとぐろの塊から赤黒い腕が飛び出す。


ガッ!ズブッ!ズボッ!ガッ!ガシッ!

ズルリ…


赤黒い腕は合計4本程飛び出すと、大蛇の胴体に指を食い込ませ、中から血に塗みれ、赤黒いオーラを立ち昇らせたノアが這い出てきた。


「あ、あああ…」
「ひ、ひぃぃっ…」
「うぉぉ…」
「な、何だその姿は…」

『何だぁ?お前ら、追撃が無い様だが…
まさかこの程度で俺が死んだとでも思ったんじゃないだろうなぁ?』

ズルンッ…

赤黒いオーラを立ち昇らせ、背中から4本の赤黒い腕を生やしたノアが、殺気を放ちつつ赤黒く染まった眼を冒険者達に向けて笑みを溢す。

その姿は宛ら悪鬼を彷彿とさせる見た目となっており、殺気と相まって冒険者達は動けずにいた。


「クリーン。」


体に付着した血を払いつつ生活魔法を唱えて体を綺麗にするノア。

コキコキ、グリグリ、グッグッグッ!

首を回し、肩を回し、赤黒い腕や手を組んで伸ばし、一通りの準備運動を終えると、未だ呆然と立ち尽くす冒険者の面々に向き直る。


『さて、漸く体が温まってきた所だ。
後続から他の冒険者達が集まって来てるし、いよいよこれからが本番って所だな。』


ノアの言う通り、後方からは躍起になった輩が約50人と、ノアに挑みに来る冒険者パーティが3~4組程駆けてきている。


「…君達は確か『乱舞厨』の者達だったな…
私の見立てではどう足掻いてもあの少年に勝てる気がしない…」

「あぁ、俺達も同じ事を考えていたよ、『不忍殺』の…
ここはどうだい共同戦線を張るってのは?」

「はは、こちらからお願いしたい位だ。
と言う訳で皆の者、これから他のパーティと共同戦線を張る。
共に連携を取ってあの少年と戦うぞ!」

「「「はい。」」」


パーティ同士が手を組んで立ち向かってくる様を、ノアはただただ無言で腕組みして見詰めていた。

(僕っていつの間にか、ボスモンスターとかレイドボスみたいな扱いになってない?)

(『似た様な物だから別に良いだろう。』)
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