ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編

獣人国家ヴァーリアスフェアレス

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時は夕方、陽も殆ど落ち掛けた頃、一行を乗せた荷馬車は、獣人国家ヴァーリアスフェアレス西門に到着した。

防壁はレンガ造りで高さが15メル程とかなり高く、5メルもある門の前には屈強なゴリラ獣人(ゴリラ寄り)2人が睨みを利かせて立っている。

更に鳥人(人間寄り)が高い防壁の上から周囲を見回している。

ザッ!スタッ!ストッ!

「「「「乗せて頂いてありがとうございました。」」」」

「いやいや、なんのなんの。」
「こちらとしては返し切れないご恩がありますしね。」
「捕らえた野盗の事は私共がギルドの方に報告しておきましょう。」
「皆さんの今後のご活躍、期待しております。」

「「「「ありがとうございます。」」」」


荷馬車から降り、商人達と別れた一行は門兵であるゴリラ獣人(ゴリラ寄り)2人の元へ。


「君達この国は初めてだね?
冒険者カード又は身分を確認出来る物を提示してくれるかな?」


と言われ、各々冒険者カードを提示する事に。


「ノ、ノア様…ボク達、冒険者カードどころか、身分を示す物すらありませんが…(小声)」
「ど、どどど、どーするにゃ、下手したらここでノア様とお別れにゃ!?(小声)」

「落ち着いて2人共、その辺は話通ってるから大丈夫。(小声)」


西門で慌てふためく2人を落ち着かせるノア。

そんなやり取りを行っている3人を尻目に、クロラ達が冒険者カードを提示している。


「ふむ…ん?」

「あ、君達は…
フォルク第三王女のお客人の方々ですね、話は窺っておりますのでどうぞお通り下さい。
中には城の者が居りますのでご同行お願いします。」

「「「「え?…あ、はい…」」」」


どうやら話が通っていた上に、門の中では既に関係者が待機している様だ。


「ノ、ノア君、何か話が通ってたみたいだから先行ってるねー。」

「えぇ、何処かで会いましょう。」


そう言って4人は門を抜け、街の中へと入っていった。
その際チラリと見えた門の中の様子を一言で言うと『モフモフ』であった。


「さて、残るはあなた方ですが…」


厳ついゴリラ獣人(ゴリラ寄り)の門兵2人がノアとヴァモスとベレーザ、それに子狼状態のブラッツを抱えたロングコート姿のヴァンディットの前に立ちはだかる。

その迫力に耐えられなくなったヴァモスが正直に話し出した。


「あ、あの…ボク達身分証みたいな物が無くて…」
「にゃ、にゃあ…」


すると

パッ!

「え?」
「にゃ?」


門兵の1人が怯える2人に手を翳して制止したかと思うと


「【鬼神】のノア様ですね、お待ちしておりました。
お連れ様の事情は既に聞いておりますので、お通り下さい。」

「この街は広いですから地図が必要でしょう。
街に入って直ぐの建物で地図を売っている雑貨屋の主人が居ますので、購入すると良いかと…」

「地図、ね…ありがとう御座います。」


こちらも話が通っていた様で、すんなりと通る事が出来た。
意外な対応にヴァモスとベレーザの2人は、目をパチクリさせていた。


スタスタ…

「お~、獣人だらけ。」
「王都やアルバラストでも獣人は居ましたけど、その比じゃないですね…」
「うにゃぁ…」
「わ~見て下さい、可愛らしい一団が居ますよ、ノア様~。」


ヴァンディットが声を上げて指を指す方向を見ると、頭に角を生やした羊の女性獣人(羊寄り)がエプロンを身に付け、猫獣人(猫、人間寄り混合)の子供達の引率を行っていた。

近くに保育施設でもあるのだろう。


「癒し…」

「癒されますね~。」


ノアとヴァンディットは微笑ましい光景に暫し顔を綻ばせていた。






「…にしても、この街かなり広いな…」

「そうですわね。
奥に建つ大きな建物が王城でしょうが、大分小さく見えます…
最低でも2ケメルは離れてるかと…」


街の門を潜ってまず驚いたのは街の広さである。
王都でも端から端までで1ケメル位だったが、獣人の国の街は最低でもその2倍はある。

更に建物が全体的に大きい。
これは単純に大人の獣人の体格が大きいからである。

西門を抜けて正面には大通りがあり、真っ直ぐ王城まで続いており、通りには所狭しと屋台や露店が建ち並ぶ。

そして通りの真上には網目の様にロープが張られている。
何かの落下防止措置かと思ったが、用途は直ぐに分かった。

チ、チチチ…
キュッキュキュッ!

緑の制服を着た小さな栗鼠獣人達が小さな鞄を提げて手紙を運んでいた。

確かに小さな栗鼠獣人が大通りを歩くにはちと危険だし、通りは獣人で溢れているので頭上が彼らの通り道なのだろう。

フワァ~…

『『キュルルル…』』

「あ…」
「はにゃ…」

「はは、こんなに良い匂いが漂ってたらそりゃ、お腹の虫も鳴くよね…」


建ち並ぶ屋台からは良い香り(殆ど肉と脂の焦げた匂い)があちこちから漂っていた。

その香りにやられたヴァモスとベレーザのお腹から可愛らしい音が鳴り響いたのだった。


「だけどちょっと用事を済ませてからだね。」

「先程門の兵士さんが言っていた地図を買いに行くのですね。」

「えぇ。
兵士の方の説明だと街に入って直ぐの建物で…
あ、ここか。」


ノアが周りを確認すると、西門の裏手に雑貨屋らしき建物があったので直ぐに入店する事に。


「ゴホン。
すいませーん、この街の地図を買いたいのですが。」

「おやおや、人族の坊やが街の地図を…
確か奥の棚に仕舞ってあったハズ。
坊や、申し訳無いが一緒に取りに着いてきて貰って良いかの?」


建物の中に入るとカウンターにどかりと座り込んでいる老狸獣人の主人が1人だけ居た。

その主人がノアの注文した地図を取りに行こうと立ち上がるも、よたよたとした足取りで少し危なっかしい。

ノアは快く了承して老主人の後ろを着いていく事に。

ピタッ

と店の奥まで行った所で老主人が立ち止まったかと思うと、床の貯蔵庫らしき区画の扉に手を掛ける。


「【鬼神】のノア殿ですな?
我が国の諜報部のアルフレッド、並びに王都諜報部の"ナサケ"、アルバラスト領主のアルバ、今回参加して頂くギルド、有志の方々の代表は既に揃って居りますのでどうぞ中へ。」

「ありがとうございます。」

「「「え?」」」

ワゥ?


先程まで足元も覚束無かった老主人が、スッと背筋を伸ばし、姿勢を正して話してきた。

主人の対応の変化についてもそうだが、話の内容にヴァモス、ベレーザ、ヴァンディットの3人は驚いて呆然としていた。


「…と言う訳で3人は少しここで待ってて下さい。
ご主人、3人の事宜しくお願いしますね。」

「えぇ、畏まりました。」

「ノ、ノア様、一緒にお供させて頂けないのでしょうか?」


「待ってて」と言われ、理由を問うヴァモス。


「今はあまり話せないけど、心配しないで皆とここで待っててくれ。
少し奥で話をしてくるだけだから。」

「わ、分かりました…」


内容は全く分からないが、取り敢えずノアの言葉を信じ3人と1匹は店内で待つ事にした。
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