ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~ダンジョン『宝物庫』~

俄には信じられない

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「ふむ…2層から分岐し、機兵の女王殺害の瞬間までの物語性を持った構造…
史実通りであれば殺される運命にあったその女王を君が救済した、という事だね?
うむむ…俄には信じられないが、これなら報告とも合致する…
しかも分岐の条件が『砂が詰まった麻袋を取る』というのはどういう事だい?」


冒険者ギルドに着いたノア、ヴァモス、ベレーザ、クロラ、ジョー、ラーベ、『犬姫』の3人(ハナ、サクラ、モコ)の9人は、ギルド長の部屋(かなり広い)に通され、話をする事に。

内容としては『宝物庫』に入る所~出てくる所迄だ。


「実際に見て貰った方が早いでしょう『ドザッ!』これが実際僕が回収した麻袋です。
中身を見てみて下さい。」

シュル…

「どれどれ…
…確かにただの砂が詰まって…お?」

「ん?…これは…砂金…だな…」


アイテムボックスから取り出した麻袋の口を解き、ジョーが袋の中を覗き込むと、中には金色の粒々が多分に含まれており、光に当てられて輝いていた。


「えぇ。2層は薄暗く、分かり難かったのですが、砂金の存在に気付いて持って帰る事にしたんです。」 

「そしたら仕掛けが作動したと…ふむふむ…
確かに『宝物庫』と聞いて『宝』目当てで来た者にとって砂が詰まった袋など見向きもしないからな。」

「…それにしてもこれ、割と量が入ってると思うよ?」

「えぇ。30袋あるので大分懐が温かくなると思いますよ。
今から何処かの川で砂金を採取するのが楽しみです。」


そう言ってノアは麻袋をアイテムボックスへと仕舞う。


トントン…

「よし、これで調書は大体取れた。
本当なら現地に行って実際に見に行けたら良かったんだが、ルートが辿れなくなったらしいからそれは不可能か…ハァ…」


ガラパゴは残念そうに重いため息を吐く。


「あ、それなら心配いらないかと。
正規ルートが辿れなくなったのはあくまで最後の結末の辺りまでで、道中は辿れると思います。
ラインハードさんに全権が移りましたが、手を加え始めるのが早くても1週間後って言ってたのでそれまではそのままのハズですよ?」

「そ、それは本当か!?
よし、なら今すぐにでも人員を動員して「ただ…」


と、ガラパゴの言葉を遮ったノアが注意を促す。


「僕が言うのも何なんですが…それなりの精鋭を投入した方が良いと思いますよ。」

「お、おぅ…」




~そんでもって30分後『宝物庫』前~

『『『『パッ!』』』』

「くっ…!第3陣!2層からの避難経路にて仕掛けられていた罠に掛かり…全滅致しました!」

「第4陣突入急げ!猶予は1週間しかないぞ!」

「第3陣罠の位置を見取り図に記入し、攻略の手筈を整えよ!」

〝君達懲りないねぇ、さっきの少年が証言したんだからそれで良いじゃない。〟

「おい『宝物庫』からの報せが急に口が悪くなったぞ!」


『宝物庫』正規ルートの調査の為、人員が動員されたのだが、2層から3層へ向かう為の通路に張られている罠に苦戦している様だ。

そして何故か『宝物庫』から発せられる報せの声が無駄に人間じみていた。


「…うわぁ、人海戦術で攻略に挑んでるよ…」
「手っ取り早いと言えば手っ取り早いけどね…」
「この分だと私達が潜れるのは少し先になるかしら…」
「まぁ、1層は抜けられたんだし、気長に待つとしよう。」
「そうだねー。」


再び『宝物庫』前にやって来た一行は、目の前で行われている攻略作業を眺めていた。

時折「何であれを初見で突破出来たんだ」とノアをチラリと見てくる視線があったが見て見ぬフリして目を逸らす。


「じゃあそんな皆にお土産あげるよ。」

「「「「え?」」」」


そう言ってノアはアイテムボックスに手を入れ、中から赤い宝石を取り出す。


「はい、クロラさん、ポーラ、1層で獲得した赤い宝石。」

「え?あ、ありがとう…」

「…私も良いのかい?」

「ああ。」


クロラはまだしも、ポーラは貰えると思っていなかったので驚きに顔を固めていた。


「ちょっと、ちょっとー。私には無いのー?」


貰えていないロゼが頬を膨らませている。


「え?あげても良いけど、僕からで良いの?
なぁ、ジェイル?」ニマニマ

「う…いや、ダメだ。」
「あ…うん…」


貰うなら"彼"からの方が良いだろうと、敢えて渡さない事にしたのだ。
ノアの意図を理解したロゼは気恥ずかしくなって顔を伏せてしまった。


「ほーん、ノア君やーさしーねー。」

「ど、どうしたんですかジョーさん、何かいつもと口調が違いますよ…」

「いやぁ、ノア君の事だから多分特に理由も無くあげたと思うんだけど、その宝石は『紅玉』と言ってね。
石言葉は『純愛、愛の炎、深い愛情』といった『愛』に関係するものがあるかな。」

「え?」


そう言う意味があったのか、と思いつつ先程その宝石をあげた2人の方を見る。


「あ、あの、ノア君ありがとうね…大切にするよ…」

「う、うん。」

「しょ、少年…クロラだけに飽き足らず私にまでその毒牙「返せ!」


クロラは石言葉を知っていたのか、頬を赤らめ嬉しそうにしていた。
ノアとしてもその表情を見れただけでも贈って良かったな、と思っていた。

ポーラは珍しく顔を赤らめたかと思ったが…まぁいつものポーラであった。
口では「返せ!」と言いはしたが、宝石を返して貰う様な真似はしなかった。


「さてと、後は…」タタタ…。


ノアはもう1人の人物にも赤い宝石『紅玉』を渡しに向かった。






「はい、ラーベさん。これ受け取って貰えますか?」

「え?…これを私に…ですか?」

「はい。
遅くなりましたが、王都での御前試合の数日前に防具壊れちゃってデオさんとガーラさんを急いで呼んでくれたじゃないですか?
あの時の御礼が出来ていなかったのでその御礼…と言うには少し足りないと思いますので、こちらも差し上げます。」


そう言ってノアはアイテムボックスから黄色に輝く魔石をジャラリと取り出す。


「ラーベさんは確か雷属性を纏わせた剣技を得意としていましたよね。
僕は土属性なので無用の長物です。
是非ラーベさんの方で使って下さい。」

「え!?これ程高純度の魔石を…幾ら何でも貰い過「はい、ラベルタさんは水属性でしたよね?という訳でこの魔石をあげます。」

「あ!ありがとうございます!」


ラーベに次いでラベルタにも3層で手に入れた魔石を手渡す。

そうして手渡しが終わったノアは再びクロラ達の下へと戻っていった。








「ま、全く…ノア様は気前が良過ぎる。
あの調子だったら何れ破産してしまうぞ…」

「「ふーん?」」

「な、何ですか、2人して…」


ぶつぶつと呟くラーベの顔を覗き込んだラベルタとジョーは、顔を見やりニヤリと笑っていた。


「ラーベ。」
「お姉ちゃん。」

「「顔真っ赤にして滅茶苦茶口元緩んでるよ?」」

「ふぇ?あ!?いや、これは…」ペタペタ…


 2人に指摘され滅茶苦茶慌てるラーベなのであった。
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