ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~ダンジョン『宝物庫』~

一夜が明け

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獣人の国での長かった一夜が明けた。

ノアはあの後、『宝物庫』でクッション代わりに横たわっていた羊獣人のメェ(羊寄り)の勧めで、歩いて5分の場所にある『モ・フモッフ』と言う羊獣人(完全に羊)が経営する宿に泊まる事になった。

名前の通りモッフモフのベッドで即座に眠りに落ち、朝食は信じられない位モッフモフに作られたパンとふんわり玉子スープの軽食(モッフモフのシフォンケーキ付き)を戴き、非常に清々しい朝を迎える事が出来た。




「第36陣~第39陣!3層中間まで到達しましたが、木人の猛攻が激し過ぎて突破出来ません」

「それとあの木人、破壊不可の様です!」

「放ってくる属性魔法自体には外へ弾き出す能力は無い為、無被弾で突破する必要があります!」

「木人は部屋に居る者全てに攻撃を仕掛けてきます!無被弾で行くには単騎での突入が最適かと!」

「3層下部から迫る毒ガスですが、解毒が出来ず、体力がゴリゴリ削られます!」

「毒ガスが到達する前に上に行けないのか!?」 

「「「「キツイっす!」」」」




「まだやってたんだ…」

(『頑張るねぇ…』)

「それ程大変なんですね…」

「にゃぁ…」


などと会話をしていると


「お、ノア君じゃないか、おはよう。」

「あ、ジョーさん、おはようございます。」

「ノア様、おはようございます。」

「ラベルタさんもおはようござ…あれ?
ラーベさんは一緒じゃないんですね?」

「あぁお姉ちゃんなら昨日ノア様から頂いた『紅玉』をペンダントにする為、【彫金加工】の職人の所に向かってますよ。」

「あー…そりゃそうか、宝石をそのまま渡されても、って感じですものね。
こういう所に気が向かないのが僕のダメな所だなぁ…」


素材そのままの姿で渡してしまった事を今更後悔するノア。


「いや、ノア様、そう言う意味では無「おーい!ジョーさーん!ラーベルター!おっ待ったせー!」

「お?」ひょこ。


ジョーの背後の通りから声がしたので、そちらを見てみると、通りの奥から喜色満面のラーベが2人にブンブン手を振りながらやって来た。

タタタタ…

「あ、お姉ちゃん、丁度ノ「 見て見てラベルタ!ノア様がくれた『紅玉』と高純度雷属性の魔石を装飾としたこのペンダント!」

「はは、偉く気に入ってる様「そりゃもう!」

「すいません手間取らせて「いえいえ、ノアさ、えっ!?ノア様ぁっ!?」


しれっと立って居たノアに驚き、猫の様にその場から飛び退くラーベ。


「い、いいいいつからそこにっ!?」

「最初からだよ。
ラーベがゴキゲンだったから気付かなかっただけさ。なぁ、ラベルタ。」

「えぇ。お姉ちゃんったらすっごく嬉しそうにしちゃって。」

「でも良かったです。
そのまま渡されて困ってたらどうしようかと思いましたよ。
今度もしまた何かお礼する時はその辺考えて渡す様にしますね。」

「あ、い、いえ、お気遣いなさらず…」


ラーベは顔を真っ赤にしつつ何度も頭を下げていた。






「それはそうと、ノア君今日の予定は?」

「予定通りですと、王城にて獣人国の王様との顔合わせと、ヴァモス、ベレーザの紹介。
あと獣人の国に来た"本来の目的"の打ち合わせですね。」

「「「あぁ、"アレ"ね。」ですね。」」


ジョーと姉妹はノアの言う"本来の目的"を知ってるらしく、すんなり納得してくれた。


「その反応を見るに、3人にも話は来てたんですね。」

「あぁ。
私の場合冒険者時代の【適正】的には"あの依頼"に参加出来る権利を持っているからね。
ただ、年齢的な問題で商人側での参加となったよ。」

「「私達は【適正】的には参加出来ないのですがジョーさんの補佐として参加しています。」」


と2人が説明する中


「…あのノア様、"本来の目的"って何ですか?」
「にゃ?」


ヴァモスとベレーザは初耳だったらしく、ノアに聞いてくる。


「まぁ、待ってて。
もうじきここに王城から使者の人が来「ノア様、ジョー様、護衛のラーベ様、ラベルタ様ですね?王城で王とお嬢様がお待ちです。
ご同行御願いします。」

「お、ハナさん。」


と、背後から声を掛けられそちらを見ると『犬姫』のハナが立っていた。


「僕らが泊まってた『モ・フモッフ』の近くで張って待ってましたよね?
待たせるのも申し訳無かったので早目に出て来ましたが…」

「う、お気付きでしたか…」

「えぇ。
小さい声で"まだかな…まだかな"って2分置きに言ってたのも聞こえてましたよ。」

「あ、あれ筒抜けだったんですか!?」


春が過ぎ、夏に近付いて来たとはいえ、ただ突っ立って待ってるだけでは肌寒く感じる朝方、ノアが宿を出るのをじっと待っていたハナの声はノアの<聞き耳>がしっかりと捉えていた。

王城からの使者らしく、キリッとした表情を作ってやって来たハナは、いつも通りの弛緩した顔付きに戻していた。


「と、取り敢えずこちらへどうぞ。」

「「「「あ、はい。」」」」


出鼻を挫かれてしまったハナは、少しぶっきらぼうに一同を引き連れて行くのであった。








キュルルル~

「あ。」


前を歩くハナのお腹から可愛らしい音が鳴った。


「す、すいません、昨日の件絡みで報告や団への指示とかで四方八方に駆け回ってたりしたので食事をしている暇が無くって…」

「何だ、それなら言ってくれれば良かったのに…『がさごそ…』はいコレ僕が作った物ですが良ければどうぞ。」


ノアはアイテムボックスから、でっかい塊肉が挟まったサンドイッチを取り出し、ハナに手渡す。


「え?良いのですか?」

「えぇ。大量に作ってあるのでお代わりしても構いませんよ。」

「そ、それなら『ガブッ。』ん"ん"ん"っ!?」


ノアが手渡したサンドイッチを1口頬張ったハナは妙に艶かしい声を上げ、僅かに体を震わせた。

忘れがちな事だが、獣人は大体の種族が大の肉好きである。

ハナは犬獣人であり、かなりの肉好きだが、最近騎士団としての仕事が多く、趣味である屋台の食べ歩きが出来ていなかった為、肉欲(食欲の方ね)が溜まりに溜まっていた。

ノアが差し出したサンドイッチに使われている肉は、先日ノアが王都近郊で討伐した『ランペイジ・クロコダイル』の肉である。

ただ焼いただけでも高級店顔負けの味になるのだが、元々料理好きのノアが作った事で更に美味さが倍増+【ソロ】の補正が合わさった結果、ハナの胃袋は一撃でオトされてしまった。

そして後から知る事になるが、ハナにもスキル<大好物>が発現したのであった。


「「「「ん?」」」」

「あー…」「にゃぁ…」


目の前に居るハナの動きに、「何かあったのかな?」と考える4人に対し、何が起こったのか直ぐに察したヴァモスとベレーザの2人は、苦笑いを上げていた。

その後直ぐに復活したハナは、先を歩きつつも無言でサンドイッチにがっついていた。

反応からして気に入って貰えた様なので、ジョーやルーシー姉妹、ヴァモスとベレーザにも渡し、腹拵えをしつつ王城に向かう事になった。
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