ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~救出作戦~

あっという間に夜9時半

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王城での打ち合わせを終え、準備を整えたり事前に脳内に叩き込んだヒュマノ迄の経路、城内の配置を思い返し、どう動くかを再確認したり後方支援の人員が獣人国を離れ、スロア領に向かったりとで、時間はあっという間に夜9時半となった。




スタスタスタスタ…

現在ノアは準備を終え、宿から出て王城へ向けて歩いていた。

ヴァモス、ベレーザは事情を話したジェイル達に預けてきた。
快く引き受けてくれたが、クロラからは「怪我しないでね」と心配そうな面持ちで言われた。

5分程歩き、王城近くに到着。


「ノア殿ですな。
皆既に城内で待機しております、中へどうぞ。」

ゴ、ゴン…

門の前に到着すると、兵士がノアを視認し、重々しい門を開く。
すると、門の前で仁王立ちして待ち構えていた人物が出迎えた。


「やぁノア君、数日振りだな。
此度は昔の仲間『救世』のメンバーを集めて馳せ参じたぞ。」

「今回は参加してくれてありがとうございます、アルバさん。」

「なに、ノア君には多大なる恩があるし、これ位何て事無いさ。
今日は昔の二つ名【無血開城】の名の元にこの作戦を務めさせて頂く。」


アルバがそう告げると、後方からノアに歩み寄ってくる集団が。


「よぅ坊主。
リーダーの街を救ってくれたんだってな、礼を言うぜ。」

「どうにか感謝の意を示したいと思っていた所にこの作戦だ、キッチリ務めさせて貰うぜ。」

「元『救世』メンバー23人、揃ってるぜ。」

「皆あの頃より落ち着いちまったが、腕は落ちてない精鋭揃いだ。」

「えぇ、宜しく御願いします。」


参加してくれる元『救世』メンバー達に頭を下げる。


「よぅ!【鬼神】の。
あれからも各所で暴れてるらしいじゃねぇか!」


声のした方を見ると、以前アルバラストでの野盗殲滅に関わった冒険者達の姿があった。


「えーっと…【隠密】のジャラさんと【義賊】のレミアさん…【盗賊】のベリラモさんでしたね。」

「おい嘘だろ…1回しか名前言ってなかったのに覚えてるのかよ…」

「ふふ、嬉しいじゃない。」

「また君と大規模作戦を行えるとはなぁ。
が、今回は【盗賊】としての技術を遺憾無く発揮させて頂くぜ。」

「えぇ、"一切合切"を盗んで下さい。」


【盗賊】のベリラモは良い笑顔でノアと相対していた。


「【隠密】の中級~上級冒険者総勢256人だ、他の【適正】と連携を取り、音も無く子供達を救うと誓おう。」

「【義賊】の中級~上級冒険者総勢283名、ヒュマノのやり方は気に入らん、この作戦で悪国から幼気な子供達を救いだそう。」

「【盗賊】は中級~上級冒険者総勢267名だ。
メインは解錠と盗みで救出はその後だが、可能な限り手を貸そう。」

「えぇ、御願いします。
【盗賊】の方々は救出は二の次、とは言いませんが、メインに重きを置いて下さい。」

「了解した。」


報告を終えた3人は王城裏手にある、閉ざされた東門の方へと向かって行った。




「あー…えーっと、ノア君、先日は済まなかった…」

「お、『不忍殺』の皆さんじゃないですか、どうしたんですか?」

「あの時(アルバラストでの戦い)は依頼主の名前が伏せられていたから知らなかったのだ…
にも関わらず君に戦いを挑みに行ったりして申し訳「気にしてませんよ。あの時はあの時です。」

「「「「……。」」」」


知らなかった事とは言え、アルバラストでノアに立ち向かって行った事を謝罪する男性1人、女性3人の『不忍殺』のメンバー。

ノアは特に気にしていない様子ではあるが、4人は頭を上げる気配が無い。


「今回の作戦、上手く行くよう尽力してくれれば良いです。
【忍】のお手並み拝見させて下さいね?」

「…あぁ、承知した。」

『『『ペコッ。』』』


漸く頭を上げた4人はノアに向かって礼をした。


「【忍】の中級~上級冒険者総勢171人。
(依頼)主である貴殿の為に身を粉にしてこの任を遂行する事を誓おう。」 

「粉にしなくて良いです。
無理だと悟ったら即座に離脱して下さい。」

「了解した。」『『『コクッ。』』』


報告を終えた『不忍殺』も東門へ向かう。


「おーい、ノアくーん。」

「お、朧さん、この間はどうも。
朧さんもこの作戦に参加してくれたんですね。」


以前アルバラストにてノアに力を貸してくれた【忍】の朧である。
普段は【拳士】のレオと【槍】のルディアと共にパーティを組んでいる。


「勿論よ。
それとルディア(リーダー)から伝言を受け取ってるわ、"俺の故郷…フリアダビアを救ってくれてありがとう。"って。
もしかしたらノア君もこの作戦に参加してるかも知れないから、とは言ってたけどまさか依頼主本人だったとはね。」

「ははは、他の2人はこの国には居ないんですか?」

「ええ、本当だったら私、レオとルディアは揃ってフリアダビアの復興に努める所だったんだけど、【適正】的に推されて私だけここに来たの。」

「そうでしたか。
今日は宜しく御願いします。」

「まっかせなさい!【忍】の本領発揮してやるわよ!」


朧はやる気に満ち溢れた様な表情で東門へと向かう。


バサッ…ザッ!スタッ!トッ!スタッ!ザザザッ!

そうして周りに人の気配が無くなった頃、ノアの元に黒い装束を身に纏った王都、獣人国の諜報部の者達が次々と降り立った。


「…っと…
取り敢えず今回の作戦に参加している冒険者、又は関係者占めて1000人全員が揃っている事を確認したよ。」

「確認ありがとうございます局長さん。」

 「なに、これ位通常業務と何ら変わり無い。
それよりも良かったのかい?
"王都で貰うはずだった褒賞金を全て作戦の参加者への報酬に使ってしまって"。」



~王都での1コマ(タイトル『✕』より抜粋)~

"「さて、ノア君は褒美について要望があればバラス、アルキラー夫妻同様、申告してくれれば応じよう。」"



「えぇ。
色々あってあの時の返事をしていなかったですし、貰っても使い道無かったので死蔵してたでしょうからこれで良いんですよ。
この作戦は元々"無報酬"前提で募集を掛けましたが、公には出せない物です。
危険を冒してまで参加してくれた報酬と口止め料という事で。
この事は作戦終了後に各々追記でお願いします。」

「あぁ、了解した。
さぁ、作戦開始10分前だ、ノア君も東門に向かおう。」

「えぇ。」






タンッ。「よっ。」

ズザッ!「っと。」


王城裏手の東門は、長らく閉鎖されている為草木が好き勝手に生え、林の様な状態であった。

例え遥か東にあるヒュマノ聖王国に目が利く監視者が居ても、1000人に及ぶ冒険者らが潜んでいるのを視認するのは困難であった。

東門を飛び越え、地面に降り立ったノアを、1000人に及ぶ冒険者らは黙って出迎えた。


「全員<聞き耳>は立てていますね?
これより作戦を開始します、事前の報せ通りこのまま林を進み、一直線に『滅びの森』を突破し、最短距離でヒュマノを目指します。
各々準備を。」

ザザザザザザザザザザザザザザザ…

ノアの発言の直後、各冒険者らは顔を隠す為の口当てを装着し、ヒュマノへ体を向け駆け出す準備を始める。


「……。」


ノアは<千里眼>を発動し、ヒュマノ聖王国をジッと見詰める。
まるで開始時間とは別の"何か"を待っているかの様である。

そして少し間があった後


「"発生"を確認、これより作戦を開始する。」
 
『『『『『『『『『ザッ!』』』』』』』』』


そう号令があった直後、1000人の冒険者達が一斉にヒュマノへ向けて駆け出していった。 
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