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獣人国編~救出作戦~
アルバが現在潜んでいるのは
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アルバが現在潜んでいるのは、国王の寝室がある部屋の外にあるバルコニーと、下の階の屋根付きバルコニーとの隙間に、丁度人1人が入れるだけのスペースがあった。
(うーむ…この場所が未だ残存してて良かった…
以前忍び込んだ時にへまをしてバレかけた時にここで落ち着くまでやり過ごしたっけな…)
アルバは昔の事を思い出しつつ自分の役割を行う。
ただ隙間に潜み、救出完了まで待機してる訳では無く、『影移動』を展開しつつ城内の気配を探り、手持ちの小型ランタンの光を使って離れた場所で待機する仲間に向けて情報を送る。
その仲間が更に城内で機密書類を探っている【盗賊】や【義賊】に情報を送っていた。
割と手間が掛かる上に時間差もあるので面倒この上無いのだが、音も無く、気付かれる程の光量も発する必要が無いので、こういう状況では最善手と言える。
チカッ、チカッチカッ。チカッ。
(ふむ…現在600人弱の子供をヒュマノから運び出す事に成功、スロア領には200人弱が到着、後方支援の者達やヒュマノの騎士団等が治療と解毒、炊き出し等を開始した、か…
北側の尖塔で事前情報よりも首輪を付けられた奴隷が多くて手こずってしまい、漸く運び出しに着手したか…
ならば"スロア領から戻ってきた者の半数は北側へと向かわせよ"っと…)
チカカッ。
"了解。"
(ふぅ、後は滞り無く進捗してくれるのを願うばかり『カッ、コッ、コッ…』…っと、誰か来たな…)
チカッ、チカカッ、チカ、チカカッ。
("誰かやって来たので少しの間連絡を断つ、注意されたし。"っと。)
仲間へと連絡を断つ旨を伝えたアルバは、近付いて来た人物の動向を探る為に息を殺す。
カッ、コッ、コッ…カッ、コッ、コッ…
<……っ!……、…れば……ぞ!>
<……、…。……。>
(2、3人の足音と…床を叩く音…
この反響音からしてこれは杖を付く音だな…
それと何やら言い争う声と、落ち着き払った声だな…
真っ直ぐこの部屋に向かってきているが…)
バンッ!
「…ですから!奴隷貿易で得られる収益が年々悪化の一途を辿っていまして、何か助力を願えないかと…」
「ふん。
目先の金欲しさに"政権を奪い"、国名まで変え、儂が長年掛けて築き上げてきた事を全てぶち壊しにした挙げ句、今更儂に泣き付いてくるとは情けないのう。
名義上は儂が国王じゃが、国を回しておるのはお前らじゃろ?
それ位自分で考えんかい。」
「で、ですから考えあぐねいた結果こうして助言を頂きに来た次第で…」
「"ツェド様"は今まで数々の妙案で"我等"を窮地から救い出して下さいました。
今回もその高尚なお考えで我等をお救い願えないかと…」
「はん!
外では"糞ジジイ"、"傀儡"等と申しておるのにこういう時には御機嫌取りにくるのが下心丸見えで呆れるわい。
今まで案を出して窮地を救ってきたのは"お前ら"の為では無く"まだマトモだった頃の国民"の為じゃ!
お前らが行った方策とやらで国民全員血も涙も無い傲慢な人格に改変させおって!
何がしたかったんじゃ貴様らは!」
「い、今の論点はそこでは無く、何か妙案を…」
「知った事では無いわ!
自分達で壊した国じゃ、自分達で建て直せい!」
ツェド、と呼ばれた老人のしゃがれた声が室内に響き渡る。
すると、今まで平身低頭で妙案を聞きに来ていた2人の男性が声を荒げ出す。
「黙って聞いてればこの老い耄れが!
我々がこうして頭を下げに来たと言うのに何たる応対か!」
「貴様から政権を奪った後も相談役として生かしてやっておるのが分からんか!
貴様は我等に富を生む妙案さえ出し続けてれば良いのだ!」
シュリィインッ!
(おいおい…抜剣しやがったぞコイツら…)
室内から鞘走りの音が聞こえ、一触即発の様相である。
だが、ツェドと呼ばれた老人は臆する事無く
パシッ。
「「え?」」
「何じゃ、得物抜いたと言う事は儂を脅すつもりなんじゃろ?
奴隷任せで実戦経験が全く無いお主らの剣等恐くもないわい。」
「ぐっ、貴様…」グッ、グッ!
どうやら抜剣したが、ツェドに掴まれ剣を振るえない様だ。
「ほれ、どうした?
齢100を超える爺にすら御される様じゃ貴様らもその程度と言う事じゃな。」
パッ!
「うおわっ!?」ドタンッ!
「貴様ぁっ!」ダンッ!
「…何じゃ、刺すなら刺せぃ。
お前らが好き勝手やれてたのは儂の"名義"があったからじゃ、漸く儂はその"責"から逃れ地獄に向かえる。
次の"名義"は貴様か、後ろで尻餅付いとる貴様のどちらかか?
まぁ今から死ぬる儂には知った事では無いが、どちらにしても早々に誰ぞに刺され儂が待つ地獄に訪れるじゃろ。
そうなったら儂が直々に殺してやる。
さぁ刺せ。
兎1匹殺せぬ貴様でも喉元に剣を突き立てとったら流石に殺せるじゃろ、さぁ殺せ!」
「ぐっ、ぬぐぐぐっ…
え、えぇいっ!殺すのは勘弁してやる!
良いか、これは貴様に屈したのでは無い!慈悲だ!
来週まで待ってやる!
"我ら"を救う為の妙案を考えておけ!でなければ貴様をその場で殺してやる!」
「はん!怖じ気づきおって、来週も今も変わらんわ!」
「う、うるさい!」
「良いか!来週までに考えておかなければ命は無いからな!」
「そうか、来週儂は死ねるんじゃな。」
バダンッ!
ツェドの言葉を聞き終える前に男性2人は扉を壊さんばかりの勢いで部屋を出ていった。
「ふん、老い耄れ1人殺す度胸も無いか、だから何もかもが後手後手に回るんじゃ。」
今まさに殺されてもおかしくなかった状況だったのだが、ツェドは臆する所か出ていった2人に悪態をついていた。
(うへぇ、この爺さんの豪胆さは相変わらずだな…
20年位前に忍び込んだ時も爺さんだったが、まさか齢100を超えてるとは…
よくこんな国で暮らしてて死なないものだな…)
バルコニーの下で息を潜めて今までのやり取りを聞いていたアルバは、ツェドの豪胆さに呆れつつ一触即発の事態にならずに済んだ事に、胸を撫で下ろしていた。
「全く、酒の匂いをプンプンさせおって…
高い酒をバカスカ呑んでる暇があるなら、無い頭でせめて下らん案の1つや2つ考えてから来れば相談に乗らん事もなかったものの…」ぶつぶつ
ツェドは怒りが治まらない様で、帰った部下達の愚痴をグチグチと呟いていた。
(…にしてもこの爺さん、さっき"政権を奪われた"みたいな事言ってたが、以前に何かあったのか?
現在の『ヒュマノ聖王国』って国名になって世間からの評判が著しく落ち込んだのが確か10年位前だったから…
…ダメだ、その時には『救世』を解体してたからヒュマノに関する情報は何も分からん…
この作戦が終わったら諜報部の"ナサケ"にでも聞いてみるか…)
アルバは、室内で行われていたやり取りについて色々と思考を巡らせるが、考えが纏まらなかったので一先ず作戦に集中する為、思考を頭の隅に追いやる事にした。
「…いかんいかん、年甲斐も無く熱くなってしまったわ…
夜風に当たり、頭を冷やすとしよう…」
カッ、コッ、コッ…キィ…
ツェドはそう言いながら杖を付き、バルコニーの扉を開けて外に出る。
「…そうか、この時期だから海霧が発生してるのだったな…
丁度良い、奴らの憎たらしい顔を見なくて精々するわい。」
(ははは…)
ツェドは夜風に当たりつつも先程の事を思い出しているのか、愚痴を吐いていた。
「…ん?市街の方が騒がしいな…
あぁ、そうか、商隊が来ているのだな。」
(おいおい、市街の声なんて<聞き耳>発動してやっと聞こえる程度だぞ…
なんつう耳してやがるんだ…)
「ひぃ、ふぅ、みぃ…
ほぅ、5台の荷馬車とはいつもと違って大盤振る舞いじゃな。」
(…嘘だろ…海霧でほぼ視界は無い様なものなのに何で把握出来てやがる…!?)
「んなっ!?防壁の兵士まで買い出しに行っとるではないか馬鹿者め、警備の意味がまるで無いではないか!
もし誰ぞ侵入してきても分かりゃ…」
(ん?どうしたんだ、急に…)
と、捲し立てる様に愚痴を吐いていたツェドが突然口籠る。
「………やはりそうじゃな。
市街全域に微弱だが魔力の反応があるな…
国民の者とはまた違う別の反応もチラホラ見えるな…」
(…おい…嘘だろ…)
顎に手をやり、何やら思案していたツェドは不敵に笑う。
「こりゃあ、誰か侵入って(はいって)来ておるなぁ。」
(うーむ…この場所が未だ残存してて良かった…
以前忍び込んだ時にへまをしてバレかけた時にここで落ち着くまでやり過ごしたっけな…)
アルバは昔の事を思い出しつつ自分の役割を行う。
ただ隙間に潜み、救出完了まで待機してる訳では無く、『影移動』を展開しつつ城内の気配を探り、手持ちの小型ランタンの光を使って離れた場所で待機する仲間に向けて情報を送る。
その仲間が更に城内で機密書類を探っている【盗賊】や【義賊】に情報を送っていた。
割と手間が掛かる上に時間差もあるので面倒この上無いのだが、音も無く、気付かれる程の光量も発する必要が無いので、こういう状況では最善手と言える。
チカッ、チカッチカッ。チカッ。
(ふむ…現在600人弱の子供をヒュマノから運び出す事に成功、スロア領には200人弱が到着、後方支援の者達やヒュマノの騎士団等が治療と解毒、炊き出し等を開始した、か…
北側の尖塔で事前情報よりも首輪を付けられた奴隷が多くて手こずってしまい、漸く運び出しに着手したか…
ならば"スロア領から戻ってきた者の半数は北側へと向かわせよ"っと…)
チカカッ。
"了解。"
(ふぅ、後は滞り無く進捗してくれるのを願うばかり『カッ、コッ、コッ…』…っと、誰か来たな…)
チカッ、チカカッ、チカ、チカカッ。
("誰かやって来たので少しの間連絡を断つ、注意されたし。"っと。)
仲間へと連絡を断つ旨を伝えたアルバは、近付いて来た人物の動向を探る為に息を殺す。
カッ、コッ、コッ…カッ、コッ、コッ…
<……っ!……、…れば……ぞ!>
<……、…。……。>
(2、3人の足音と…床を叩く音…
この反響音からしてこれは杖を付く音だな…
それと何やら言い争う声と、落ち着き払った声だな…
真っ直ぐこの部屋に向かってきているが…)
バンッ!
「…ですから!奴隷貿易で得られる収益が年々悪化の一途を辿っていまして、何か助力を願えないかと…」
「ふん。
目先の金欲しさに"政権を奪い"、国名まで変え、儂が長年掛けて築き上げてきた事を全てぶち壊しにした挙げ句、今更儂に泣き付いてくるとは情けないのう。
名義上は儂が国王じゃが、国を回しておるのはお前らじゃろ?
それ位自分で考えんかい。」
「で、ですから考えあぐねいた結果こうして助言を頂きに来た次第で…」
「"ツェド様"は今まで数々の妙案で"我等"を窮地から救い出して下さいました。
今回もその高尚なお考えで我等をお救い願えないかと…」
「はん!
外では"糞ジジイ"、"傀儡"等と申しておるのにこういう時には御機嫌取りにくるのが下心丸見えで呆れるわい。
今まで案を出して窮地を救ってきたのは"お前ら"の為では無く"まだマトモだった頃の国民"の為じゃ!
お前らが行った方策とやらで国民全員血も涙も無い傲慢な人格に改変させおって!
何がしたかったんじゃ貴様らは!」
「い、今の論点はそこでは無く、何か妙案を…」
「知った事では無いわ!
自分達で壊した国じゃ、自分達で建て直せい!」
ツェド、と呼ばれた老人のしゃがれた声が室内に響き渡る。
すると、今まで平身低頭で妙案を聞きに来ていた2人の男性が声を荒げ出す。
「黙って聞いてればこの老い耄れが!
我々がこうして頭を下げに来たと言うのに何たる応対か!」
「貴様から政権を奪った後も相談役として生かしてやっておるのが分からんか!
貴様は我等に富を生む妙案さえ出し続けてれば良いのだ!」
シュリィインッ!
(おいおい…抜剣しやがったぞコイツら…)
室内から鞘走りの音が聞こえ、一触即発の様相である。
だが、ツェドと呼ばれた老人は臆する事無く
パシッ。
「「え?」」
「何じゃ、得物抜いたと言う事は儂を脅すつもりなんじゃろ?
奴隷任せで実戦経験が全く無いお主らの剣等恐くもないわい。」
「ぐっ、貴様…」グッ、グッ!
どうやら抜剣したが、ツェドに掴まれ剣を振るえない様だ。
「ほれ、どうした?
齢100を超える爺にすら御される様じゃ貴様らもその程度と言う事じゃな。」
パッ!
「うおわっ!?」ドタンッ!
「貴様ぁっ!」ダンッ!
「…何じゃ、刺すなら刺せぃ。
お前らが好き勝手やれてたのは儂の"名義"があったからじゃ、漸く儂はその"責"から逃れ地獄に向かえる。
次の"名義"は貴様か、後ろで尻餅付いとる貴様のどちらかか?
まぁ今から死ぬる儂には知った事では無いが、どちらにしても早々に誰ぞに刺され儂が待つ地獄に訪れるじゃろ。
そうなったら儂が直々に殺してやる。
さぁ刺せ。
兎1匹殺せぬ貴様でも喉元に剣を突き立てとったら流石に殺せるじゃろ、さぁ殺せ!」
「ぐっ、ぬぐぐぐっ…
え、えぇいっ!殺すのは勘弁してやる!
良いか、これは貴様に屈したのでは無い!慈悲だ!
来週まで待ってやる!
"我ら"を救う為の妙案を考えておけ!でなければ貴様をその場で殺してやる!」
「はん!怖じ気づきおって、来週も今も変わらんわ!」
「う、うるさい!」
「良いか!来週までに考えておかなければ命は無いからな!」
「そうか、来週儂は死ねるんじゃな。」
バダンッ!
ツェドの言葉を聞き終える前に男性2人は扉を壊さんばかりの勢いで部屋を出ていった。
「ふん、老い耄れ1人殺す度胸も無いか、だから何もかもが後手後手に回るんじゃ。」
今まさに殺されてもおかしくなかった状況だったのだが、ツェドは臆する所か出ていった2人に悪態をついていた。
(うへぇ、この爺さんの豪胆さは相変わらずだな…
20年位前に忍び込んだ時も爺さんだったが、まさか齢100を超えてるとは…
よくこんな国で暮らしてて死なないものだな…)
バルコニーの下で息を潜めて今までのやり取りを聞いていたアルバは、ツェドの豪胆さに呆れつつ一触即発の事態にならずに済んだ事に、胸を撫で下ろしていた。
「全く、酒の匂いをプンプンさせおって…
高い酒をバカスカ呑んでる暇があるなら、無い頭でせめて下らん案の1つや2つ考えてから来れば相談に乗らん事もなかったものの…」ぶつぶつ
ツェドは怒りが治まらない様で、帰った部下達の愚痴をグチグチと呟いていた。
(…にしてもこの爺さん、さっき"政権を奪われた"みたいな事言ってたが、以前に何かあったのか?
現在の『ヒュマノ聖王国』って国名になって世間からの評判が著しく落ち込んだのが確か10年位前だったから…
…ダメだ、その時には『救世』を解体してたからヒュマノに関する情報は何も分からん…
この作戦が終わったら諜報部の"ナサケ"にでも聞いてみるか…)
アルバは、室内で行われていたやり取りについて色々と思考を巡らせるが、考えが纏まらなかったので一先ず作戦に集中する為、思考を頭の隅に追いやる事にした。
「…いかんいかん、年甲斐も無く熱くなってしまったわ…
夜風に当たり、頭を冷やすとしよう…」
カッ、コッ、コッ…キィ…
ツェドはそう言いながら杖を付き、バルコニーの扉を開けて外に出る。
「…そうか、この時期だから海霧が発生してるのだったな…
丁度良い、奴らの憎たらしい顔を見なくて精々するわい。」
(ははは…)
ツェドは夜風に当たりつつも先程の事を思い出しているのか、愚痴を吐いていた。
「…ん?市街の方が騒がしいな…
あぁ、そうか、商隊が来ているのだな。」
(おいおい、市街の声なんて<聞き耳>発動してやっと聞こえる程度だぞ…
なんつう耳してやがるんだ…)
「ひぃ、ふぅ、みぃ…
ほぅ、5台の荷馬車とはいつもと違って大盤振る舞いじゃな。」
(…嘘だろ…海霧でほぼ視界は無い様なものなのに何で把握出来てやがる…!?)
「んなっ!?防壁の兵士まで買い出しに行っとるではないか馬鹿者め、警備の意味がまるで無いではないか!
もし誰ぞ侵入してきても分かりゃ…」
(ん?どうしたんだ、急に…)
と、捲し立てる様に愚痴を吐いていたツェドが突然口籠る。
「………やはりそうじゃな。
市街全域に微弱だが魔力の反応があるな…
国民の者とはまた違う別の反応もチラホラ見えるな…」
(…おい…嘘だろ…)
顎に手をやり、何やら思案していたツェドは不敵に笑う。
「こりゃあ、誰か侵入って(はいって)来ておるなぁ。」
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