ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~救出作戦~

天候操れる系女子のリヴァイア

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天候操れる系女子のリヴァイアが海上からヒュマノ聖王国に向けて水蒸気の塊を発射した頃、ヒュマノ国内の尖塔内に残っていたノア、ミミ、ララの3人は動くに動けないでいた。


「うぐぐ…ごめんよノア君…私が大事な所で魔力切れ起こしちゃって…」

『良い歳なんですから泣かないで下さいよ。
ほら鼻かんで。』

「うう…ごべん『ズビビッ』。」


ノア達は海霧が晴れるギリギリの所で尖塔内に侵入、ミミとララが再び分身し、子供を抱え上げようとした所でミミが魔力切れを起こし、膝から崩れ落ちてしまった。

直ぐにノアの方でマナポーションを与え、事無きを得たが、既に外には住人達や兵士が戻ってきていた。

一応隙を見て直ぐに撤退出来る様、尖塔の扉裏に待機しているが、住人(特に婦人方)がその辺で雑談に花を咲かせてしまい、出るに出れない状況に陥ってしまった。

責任を感じたミミが目に涙を浮かべ、それをノアとララが宥め、今に至っていた。







「それよりもここからどうやって抜け出そうか…」

『うーん…手が無い訳では無いんです。
俺が土属性魔法を使って壁に穴を開けて地下から防壁の外に向かえば良いのですが…』

「それじゃ駄目なの?」

『この作戦では、皆さんの頑張りのお陰で痕跡を残さずに子供達の救出や首輪に関する証拠品を集める事が出来ました。
このまま何事も無くスロア領に帰還出来れば、ヒュマノからすれば子供獣人達が忽然と姿を消したとしか思えないでしょう。
ですが僕の土属性魔法はまだ未熟なので綺麗さっぱり、元通りの形に直す事は出来ません。
最後の最後で人為的な痕跡を残してしまえば、流石のヒュマノでも勘付くでしょうね。』

「「うむむ…」」


今回の作戦では、見付から無い事もそうだが証拠を残さない事も重要であった。

ヒュマノからすれば"こんな事"をするのは獣人国位だろう、と想像するのは難くない。

だがこの規模の事柄をやってのけたという、確固たる証拠が無ければどうとでもなるのだ。


『まぁ取り敢えずは機を見計らう事に…』


<えっ!?何あれ?>
<雲…?ねぇ、こっち向かって来てない?>


と、<聞き耳>を通して外の声が聞こえてきた。
外で何かあった様だ。


キィ…

ヌッ、ひょこ、ひょこ。


尖塔の扉を少し開けて外を確認してみると、東の防壁の外側、海の方角から物凄い速さで雲の様な塊が接近してきていた。

防壁の上に立つ兵士達はその場から大急ぎで離れていっているのが分かる。


<ね、ねぇ、あれマズくない…?>
<えぇ!家に戻りましょ…!>


急速接近してくる雲の様な塊に、恐れ戦いた婦人方が大急ぎで自らの家に戻っていく。


「「『あれだ。』」」


ヒュマノ聖王国からの脱出を模索していた時に、都合良く押し寄せて来た雲の様な塊を利用しようと、直ぐ様決断した3人は行動を開始した。


「ミミ、魔力残量確認しといて!」

「『クピッ…』もうヘマはしないわ!
それでノア君、いつ脱出を決行する?」

『取り敢えず姿を見られない様、あの雲が市街に到達したら…』


バガァッ!

「「『え?』」」


何やら破砕音が聞こえた為、音の出所へと目をやると、雲の様な塊が防壁に到達するなり壁が砕け、市街に弾丸となって降り注いでいた。






~海上のリヴァイア~

「…あ、あれ…?
何か威力間違っちゃったかな…?」


リヴァイアは、ノアの助けになればとの思いで作り出した雲自体は特に驚異では無かった。

ただヒュマノ聖王国へ向けて発射した際の"速度"がマズかった。

晴れてしまった海霧の間を埋める為に雲を発射したのだが、その速度は秒速80メルと言うかなり強烈な物、謂わば空気の砲弾である。

しかも範囲がヒュマノ聖王国をすっぽりと覆う程の規模である。





ズモモモモモモモモモモモモモモモモッ!

「ちょちょちょちょちょっ!?」

「あれは流石にマズくない!?」

『2人共直ぐに出るぞ!皆家に入って外には誰も居ない!
今すぐ防壁に向かえっ!』


と話している間も防壁は木っ端微塵に砕け、雲が到達した家々は半壊し掛かっている。
<聞き耳>には僅かに悲鳴の様な声が聞こえてきていた。



バンッ!

ダダダダダダダダダダダダダッ!

ノアは6人の子供を、ミミとララは2人づつに分身して子供を抱え、表に出るなり手近にあった家屋を踏み台に次々と防壁を目指す。


ズモモモモモモッ!

ベキッ、ビキビキッ!ベキャッ!


雲は東側の防壁を抜け、中央に建つ王城をゴリゴリと削りながらノア達が居る北側の防壁に進路を向けていた。

これは、あまりにもな威力に焦ったリヴァイアが「てぇい!」と声を上げつつ雲を操作して直撃を回避させようとした結果であった。




「ねぇ!?何でかアレこっち来てない!?」

バチチッ!

「あだだだだだっ!礫が頭に当たって来てるよ!」

『喋ってる暇あったら登る事に集中しろぃ!
ミスっても対処出来んぞ!』


何故かノア達が居る方向を目指して突き進む雲の猛威は衰える事無く、破壊の限りを尽くしている。

ノア達は現在<縦横無尽>と<壁走り>を発動して防壁を登る。

雲の速度は凄まじく、既に10メル程後方には雲の端が迫って来ていた。


ダンッ!

『飛び降りろ!』


ノア達は防壁を登りきった勢いそのままに、防壁を越えて外に身を乗り出す。

<気流感知>の反応からして、地面に降り立つ頃には雲に呑まれる事を察知したノアは


『グリード!俺達を雲から守ってくれ!』

ズボォアアッ!

《はーい。》


ノア達が降り立つであろう地面から全長25メルサイズのグリードが飛び出してきた。


「「ひょっ!?ひょぇぇえっ!?」」


ミミとララがグリードに会うのは2回目であるが、手が塞がった状態で地面から巨大な姿を現したのだ、ビビるのは仕方の無い事であった。


ダンッ!ズダッ!ズシッ!

シュルルルルルルルルルルルルルッ…


3人が地面に降り立つやいなや、グリードは直ぐにとぐろを巻き出して3人を囲う。




ズボボボボボボボボボボボボボボァアッ!!

ゴガガガガガガガガッ!


凄まじい速度の雲が到達し、大爆音を立てながら通過していく。
砕けた防壁の石材が砲弾の様にグリードを襲っていた。





ボボボボボボ…


雲は瞬間的に通過していき、辺りは静寂に包まれた。


「「た、助かったぁ…」」


ミミとララの2人は安堵したのか、地面にへたり込んでいた。


「あー…何とかなったな…」

「あれ?ノア君元に戻ってるね。」

「いや、今僕最弱状態なんですよ。
グリードに"協力"を求めちゃったので…」


地面に降り立った直後、グリードとの協力関係が成立してしまった為、生成された腕やオーラは霧散しその場に座り込んでしまった。

直前に子供達は地面に寝かせた為、子供達は無事である。


「ノア君の【適正】は使い勝手悪いわね…」

「その点だけ気を付ければ何て事無いよ。
グリード、申し訳無いけど子供達を背に乗せても良いかな?」

《えぇ、勿論よ。》


グリードから了承を得たので、背に子供達を乗せていく。






「さ、急いでスロア領に向かおう。
雲が通過して人が出てくるかも知れ『カプッ』るかもぉ?」

ストッ。

《その状態だと急げないでしょ?主様も乗せてってあげる。》

「…あぁ、ありがとう。
それじゃあ向かいましょうか。」

「「おー!」」


最後に一波乱合ったものの、こうしてノアが音頭を取って始まった大規模作戦は、子供獣人全員を救出して幕を下ろしたのであった。
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