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獣人国編~救出作戦~
閑話:昼頃のヒュマノ聖王国
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ミクズは現在、原因不明の大嵐(リヴァイアのやらかし)で半壊したツェドの居室を訪れていた。
当初ツェドは、半壊した居室など気にも留めず、剥き出しとなった梁を使い、上半身裸で片腕懸垂を行い、筋力トレーニングの真っ最中であった。
ミクズがやって来ると、いつものふてぶてしい顔付きに戻し、礫が散らばったベッドにドカリと座り、何やら話し合いが行われた。
「ほぉ…子供の奴隷4000人が忽然とのぅ…」
「え、えぇ…
目下、人員を動員して捜索にあたっております…」
「で?それを儂に伝えてどうしようと言うのじゃ?
奴隷管理、奴隷貿易に関する事柄の全てはお主が担っているハズであろう?」
「は、はい…
ガ…子供の奴隷はヒュマノ聖王国にとっては生命線とも言える程の価値ある商品。
それが姿を消したとなれば商売の要を失ったも同然、何か良い知恵を拝借した「無いな。」
「は?」
ツェドは最後まで聞く事無く、ミクズの頼みを断った。
「大方、ここでの生活に耐え兼ねて脱走したのじゃろ。自業自得じゃ、流石にそこまで面倒見切れんわい。」
ツェドは嘆息しつつ首筋の汗を拭う。
速攻で切り捨てられたミクズはわなわなと体を震わせ
「ま、待て!元々はお前の国だぞ!?
何とかするのが王の務め『ガシッ!』おごぉっ!?」
「儂が病に伏せっとる間に首輪着けて自由を封じた挙げ句、この国を何とか回しとった事業諸々を手当たり次第にぶち壊しよったのに今さら儂に何とかしろじゃと!?
ふざけた事抜かすのも大概にせぇよ!?」
ベッドから跳ね起きたツェドは、ミクズが知覚出来ない程の速度で首を掴み、締め上げる。
ベシッ!ゲシッ!
ギリギリ…「ぃぎぎっ…」
ミクズが咄嗟にツェドの腹や胸を殴って抵抗するが、ツェドは片腕でミクズを締め上げたままビクとも動かない。
すると
「うっ…ぐっ…"離、離せっ"!」
「ちっ!」パッ!
ミクズがそう命令すると、ツェドの首の首輪が発光し、本人は如何にも不本意そうに首から手を離した。
首に取り付けられた『隷属の首輪』が効力を発揮した様だ。
ドガッ!
「うぐっ!げほっ!こ、の…下手に出てれば良い気になりやがって!」
「今までのやり取りの何処に"下手"の要素があったんじゃ?」
締め上げから解放されたミクズは憎々しげにツェドを睨み付ける。
だが、それ以上の行動は起こさなかった。
本音で言えば、直ぐにでも殺してやりたい気持ちで一杯であったが、この国に居る者全てを動員したとしてもツェドを殺せる気がしないのだ。
ツェドは、ヒュマノ聖王国の前身であった強国スパルティア最後の生き残りで、年老いている事と、隷属の首輪が装着されている事を加味してもその戦闘力はこの国随一である。
少しでも精神的に弱れば、隷属の首輪によって完全に支配下に陥るものだが、この10年支配出来ずにいる。
事ある毎に連中がツェドに対して罵詈雑言を吐くのも、そう言った意図があったのだ。(元から性格が破綻しているとも言えるが。)
「くっ、覚えておれよ!」
「おい、ミクズ。」
ミクズが居室から退出しようとすると、ツェドから声を掛けられた。
一瞬何か妙案を提示してくれるのでは、と淡い期待感があったミクズだが
「子供の奴隷がこのまま戻って来なかった場合、貴様らは今までの行いを改めんと、半月もせん内に国民含め、お前ら全員が奴隷に落ちる事になるぞ?」
と、言い放った。
「な、何を…
その様な冗談…笑えんぞ…」
「そうか、それならこれから話すのは年老いた爺の世迷い言じゃ。
しかと聞き入れるのも、シカトするのも貴様次第じゃ。」
と、前置きの様な事を言った後、ツェドは話し始めた。
「今回の子供達の消失は、"何処へ行ったか、どうやって逃げ出したか"なんて過程は関係無く、"ヒュマノ聖王国崩壊"が始まる切っ掛けになったのは確かじゃな。」
「な、何を…」
「ミクズ。
貴様は何故奴隷達が…特に成人した奴隷達がこの国から逃げ出さんかったか分かるか?」
「そ、それは、生まれながらに躾られた事により、我らヒュマノに忠誠を「おい、儂は今真面目な話をしておるんじゃぞ?この期に及んでそんな世迷い言を抜かすで無いわ!」
「な、何だと…」
ミクズとしては、さも当然と言った様子で離したつもりであったが、ツェドから"世迷い言"と、一刀両断されてしまった。
「忠誠を誓うのは、心から忠義を尽くしたいと思える者だけじゃ。
恐怖のみで虐げてきた貴様らに忠誠を誓う者なぞ居りゃせんわ。
子供じゃ。子供が人質同然で囚われておったから、この国から逃げ出さずに貴様らの言いなりになっとったんじゃ。
獣人ちゅうもんは同族に、特に子供に対しての愛情は凄まじいからのぅ。
罰を食らうのはか弱い子供じゃから、大人の獣人達は下手な真似をせんかったのじゃ。」
「そ、それがヒュマノ聖王国崩壊と何の関係があるんだ!?」
ミクズは怒鳴り散らしてツェドに詰問をする。
「まだ分からんか?
人質同然であった子供達が居なくなったのじゃ、この国に留まる理由があると思うか?」
「あ…」
「はぁ…漸く気が付いたか…」
「し、しかし…獣人共はこの国には最大4万もの数が居るんだぞ!?
そんな数の獣人共が何処に逃げ出すと言うのだ!?」
当初、"笑えん冗談"と言っていたミクズは、表情を真剣な物に変えてツェドに詰め寄っている。
が、ツェドは気にせず淡々と話を続けた。
「は?お誂え向きな場所が"ここ"にあるじゃないか。」
「は…?は?」
一瞬ツェドが何を言ったのか分からなかったが、直ぐに理解する事になる。
"ヒュマノ聖王国崩壊"が直ぐそこまで迫っていた事を。
バシャーン…
バリン、パリーン…
「な、何の音だ!?」
「お?始まった様じゃな。予想よりも早かったがな。」
「"始まった"!?何の事だ!?」
半壊した部屋の外から窓を破る音が響く。
ツェドは何が起こったか直ぐに察知し、ミクズは訳が分からず混乱している。
と
バンッ!
「ミクズ!ミクズ殿は居るか!?」
「何だ騒がしい!」
突如ミクズの配下の者が居室の扉を開け放ち、勢いよく飛び込んで来たのだ。
「は、反乱です!奴隷共が反乱を起こしました!」
「な、何だと!?」
「ほらな。」
突然の報告に同様を隠せないミクズだが、直ぐに配下の者に指示を出す。
「隷属の首輪を着けた奴隷が居るだろう!
指示を出し、鎮圧を…」
「駄目だ!アイツら"何故か"首輪の解除方法を知ってやがった!
まだ首輪が着いてる奴も居るが、2~3人に組付かれたら身動き1つ取れやしない!
それに、圧倒的に数が足りない!我らが制圧されるのも時間の問題だ!」
配下からの報告に、前身から脂汗が噴き出すミクズ。
現状何が起こってるのかイマイチ理解出来ていないのに、状況は怒涛の勢いで変化を続けている。
「こ、これは…貴様の企み…か…?」
「はぁ?儂が?
首輪付けられててこの部屋に軟禁状態の儂が外に居る奴隷達と連携取れる訳がなかろう。
それよりも、お主逃げんで良いのか?もう直ここに獣人がやって来るぞ?」
「へ?」
ガシャーンッ!バキキッ!
「グォオオオッ!」
「「ひ、ひぃいっ!?」」
城の外壁や屋根を伝って城内のあちこちから侵入してきていた奴隷の獣人達が、窓を突き破ってミクズとその配下の背後に立ち塞がった。
その獣人達は、服とも呼べない襤褸布を身に纏い、所々抜け落ちた体毛とガリガリに痩せ細った体が、今までヒュマノの連中からどんな仕打ちを受けたのかを如実に表れていた。
「グルルル…」
獣人の血走った眼がミクズと配下を捉え、睨み付ける。
ただそれだけで2人は恐怖に戦き、体を震わせていた。
タ…タタタ、ダダダダッ!
「ひぃっ!?来るなぁっ!?」
獣人の1人が2人目掛けて猛進してくる。
ミクズは情けない声を上げて近寄らせない様にしている。
ダダダダッ…
「お、おい!我らは貴様らの主人であり親でもあるんだぞ!
そんな我らに危害を加えようというのか貴さ『ゴギッ!』
ドサッ!
ミクズは、言い終わる前に獣人が繰り出した拳を顔面に食らい、意識を手離すのであった。
当初ツェドは、半壊した居室など気にも留めず、剥き出しとなった梁を使い、上半身裸で片腕懸垂を行い、筋力トレーニングの真っ最中であった。
ミクズがやって来ると、いつものふてぶてしい顔付きに戻し、礫が散らばったベッドにドカリと座り、何やら話し合いが行われた。
「ほぉ…子供の奴隷4000人が忽然とのぅ…」
「え、えぇ…
目下、人員を動員して捜索にあたっております…」
「で?それを儂に伝えてどうしようと言うのじゃ?
奴隷管理、奴隷貿易に関する事柄の全てはお主が担っているハズであろう?」
「は、はい…
ガ…子供の奴隷はヒュマノ聖王国にとっては生命線とも言える程の価値ある商品。
それが姿を消したとなれば商売の要を失ったも同然、何か良い知恵を拝借した「無いな。」
「は?」
ツェドは最後まで聞く事無く、ミクズの頼みを断った。
「大方、ここでの生活に耐え兼ねて脱走したのじゃろ。自業自得じゃ、流石にそこまで面倒見切れんわい。」
ツェドは嘆息しつつ首筋の汗を拭う。
速攻で切り捨てられたミクズはわなわなと体を震わせ
「ま、待て!元々はお前の国だぞ!?
何とかするのが王の務め『ガシッ!』おごぉっ!?」
「儂が病に伏せっとる間に首輪着けて自由を封じた挙げ句、この国を何とか回しとった事業諸々を手当たり次第にぶち壊しよったのに今さら儂に何とかしろじゃと!?
ふざけた事抜かすのも大概にせぇよ!?」
ベッドから跳ね起きたツェドは、ミクズが知覚出来ない程の速度で首を掴み、締め上げる。
ベシッ!ゲシッ!
ギリギリ…「ぃぎぎっ…」
ミクズが咄嗟にツェドの腹や胸を殴って抵抗するが、ツェドは片腕でミクズを締め上げたままビクとも動かない。
すると
「うっ…ぐっ…"離、離せっ"!」
「ちっ!」パッ!
ミクズがそう命令すると、ツェドの首の首輪が発光し、本人は如何にも不本意そうに首から手を離した。
首に取り付けられた『隷属の首輪』が効力を発揮した様だ。
ドガッ!
「うぐっ!げほっ!こ、の…下手に出てれば良い気になりやがって!」
「今までのやり取りの何処に"下手"の要素があったんじゃ?」
締め上げから解放されたミクズは憎々しげにツェドを睨み付ける。
だが、それ以上の行動は起こさなかった。
本音で言えば、直ぐにでも殺してやりたい気持ちで一杯であったが、この国に居る者全てを動員したとしてもツェドを殺せる気がしないのだ。
ツェドは、ヒュマノ聖王国の前身であった強国スパルティア最後の生き残りで、年老いている事と、隷属の首輪が装着されている事を加味してもその戦闘力はこの国随一である。
少しでも精神的に弱れば、隷属の首輪によって完全に支配下に陥るものだが、この10年支配出来ずにいる。
事ある毎に連中がツェドに対して罵詈雑言を吐くのも、そう言った意図があったのだ。(元から性格が破綻しているとも言えるが。)
「くっ、覚えておれよ!」
「おい、ミクズ。」
ミクズが居室から退出しようとすると、ツェドから声を掛けられた。
一瞬何か妙案を提示してくれるのでは、と淡い期待感があったミクズだが
「子供の奴隷がこのまま戻って来なかった場合、貴様らは今までの行いを改めんと、半月もせん内に国民含め、お前ら全員が奴隷に落ちる事になるぞ?」
と、言い放った。
「な、何を…
その様な冗談…笑えんぞ…」
「そうか、それならこれから話すのは年老いた爺の世迷い言じゃ。
しかと聞き入れるのも、シカトするのも貴様次第じゃ。」
と、前置きの様な事を言った後、ツェドは話し始めた。
「今回の子供達の消失は、"何処へ行ったか、どうやって逃げ出したか"なんて過程は関係無く、"ヒュマノ聖王国崩壊"が始まる切っ掛けになったのは確かじゃな。」
「な、何を…」
「ミクズ。
貴様は何故奴隷達が…特に成人した奴隷達がこの国から逃げ出さんかったか分かるか?」
「そ、それは、生まれながらに躾られた事により、我らヒュマノに忠誠を「おい、儂は今真面目な話をしておるんじゃぞ?この期に及んでそんな世迷い言を抜かすで無いわ!」
「な、何だと…」
ミクズとしては、さも当然と言った様子で離したつもりであったが、ツェドから"世迷い言"と、一刀両断されてしまった。
「忠誠を誓うのは、心から忠義を尽くしたいと思える者だけじゃ。
恐怖のみで虐げてきた貴様らに忠誠を誓う者なぞ居りゃせんわ。
子供じゃ。子供が人質同然で囚われておったから、この国から逃げ出さずに貴様らの言いなりになっとったんじゃ。
獣人ちゅうもんは同族に、特に子供に対しての愛情は凄まじいからのぅ。
罰を食らうのはか弱い子供じゃから、大人の獣人達は下手な真似をせんかったのじゃ。」
「そ、それがヒュマノ聖王国崩壊と何の関係があるんだ!?」
ミクズは怒鳴り散らしてツェドに詰問をする。
「まだ分からんか?
人質同然であった子供達が居なくなったのじゃ、この国に留まる理由があると思うか?」
「あ…」
「はぁ…漸く気が付いたか…」
「し、しかし…獣人共はこの国には最大4万もの数が居るんだぞ!?
そんな数の獣人共が何処に逃げ出すと言うのだ!?」
当初、"笑えん冗談"と言っていたミクズは、表情を真剣な物に変えてツェドに詰め寄っている。
が、ツェドは気にせず淡々と話を続けた。
「は?お誂え向きな場所が"ここ"にあるじゃないか。」
「は…?は?」
一瞬ツェドが何を言ったのか分からなかったが、直ぐに理解する事になる。
"ヒュマノ聖王国崩壊"が直ぐそこまで迫っていた事を。
バシャーン…
バリン、パリーン…
「な、何の音だ!?」
「お?始まった様じゃな。予想よりも早かったがな。」
「"始まった"!?何の事だ!?」
半壊した部屋の外から窓を破る音が響く。
ツェドは何が起こったか直ぐに察知し、ミクズは訳が分からず混乱している。
と
バンッ!
「ミクズ!ミクズ殿は居るか!?」
「何だ騒がしい!」
突如ミクズの配下の者が居室の扉を開け放ち、勢いよく飛び込んで来たのだ。
「は、反乱です!奴隷共が反乱を起こしました!」
「な、何だと!?」
「ほらな。」
突然の報告に同様を隠せないミクズだが、直ぐに配下の者に指示を出す。
「隷属の首輪を着けた奴隷が居るだろう!
指示を出し、鎮圧を…」
「駄目だ!アイツら"何故か"首輪の解除方法を知ってやがった!
まだ首輪が着いてる奴も居るが、2~3人に組付かれたら身動き1つ取れやしない!
それに、圧倒的に数が足りない!我らが制圧されるのも時間の問題だ!」
配下からの報告に、前身から脂汗が噴き出すミクズ。
現状何が起こってるのかイマイチ理解出来ていないのに、状況は怒涛の勢いで変化を続けている。
「こ、これは…貴様の企み…か…?」
「はぁ?儂が?
首輪付けられててこの部屋に軟禁状態の儂が外に居る奴隷達と連携取れる訳がなかろう。
それよりも、お主逃げんで良いのか?もう直ここに獣人がやって来るぞ?」
「へ?」
ガシャーンッ!バキキッ!
「グォオオオッ!」
「「ひ、ひぃいっ!?」」
城の外壁や屋根を伝って城内のあちこちから侵入してきていた奴隷の獣人達が、窓を突き破ってミクズとその配下の背後に立ち塞がった。
その獣人達は、服とも呼べない襤褸布を身に纏い、所々抜け落ちた体毛とガリガリに痩せ細った体が、今までヒュマノの連中からどんな仕打ちを受けたのかを如実に表れていた。
「グルルル…」
獣人の血走った眼がミクズと配下を捉え、睨み付ける。
ただそれだけで2人は恐怖に戦き、体を震わせていた。
タ…タタタ、ダダダダッ!
「ひぃっ!?来るなぁっ!?」
獣人の1人が2人目掛けて猛進してくる。
ミクズは情けない声を上げて近寄らせない様にしている。
ダダダダッ…
「お、おい!我らは貴様らの主人であり親でもあるんだぞ!
そんな我らに危害を加えようというのか貴さ『ゴギッ!』
ドサッ!
ミクズは、言い終わる前に獣人が繰り出した拳を顔面に食らい、意識を手離すのであった。
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