ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~救出作戦~

歯痒い…

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「うー…歯痒い…
子供1人に戦わせて私達は眺めてるだけなんて…(ハナ)」

「でも盾しか持ってきてない私達じゃ邪魔にしかならないよぉ…(サクラ)」

「フォルクお嬢様に言われて彼の戦歴を調べた時には"何じゃこりゃ"って思ったけど…実際に見ると凄い…格好いい…(モコ)」

「それにしても何てダンジョンだよ…
即退場が無いだけで高難易度じゃないか…(調査隊1)」

「流石"某冒険者"設定だな…(調査隊2)」


ビシャァアアアアアアアッ!

「「「「「「「うわっ!?」」」」」」」


調査隊一行の視線の先で雷が落ちた。
視界全てが真っ白になる光量に、調査隊一行は目が眩む。


「デカいのが落ちたぞ!?」
「敵の攻撃か!?」
「少年は大丈夫か!?」
「あれ?軍勢が退いて行ってない?」

「お、おい…あそこ見てみろ…
金ぴかの鎧が降りてきたぞ…!」

「え!?もうボス戦なの!?」


一行の視線の先では金色の鎧武者右近とノアが対峙していた。





「でぇりゃっ!」ビュオンッ!

バッ!ズガンッ!

バヂィッ!「!?」ババッ!バヂィッ!バヂィッ!


紫電を纏った大刀を振るった右近だがノアはこれを回避。
空しく空を切った大刀は石畳を打ち砕いた。
だがそこから直径2メルと4メルの範囲紫電攻撃が、段階的に発動。

範囲内の石畳は発動と共に粉砕した。


「ほぅ、これを初見で回避するとは中々にやるでは無いか。」

「剣に雷帯びてて範囲攻撃無しって事は無いでしょ。
なる程ね、最初のボスがアンタなのは何と無く理解出来るよ。」

「それはどう言う事だ?」

ヒュン!


ノアは突然荒鬼神を右近へと"放った"。
投げるのでは無く、"放った"のであった。


「ふん!何を…」ガィンッ!


〝チッ、阿呆が。〟


ノアから放られた荒鬼神を大刀で弾き飛ばした右近を、天守閣の頂上に居る"羅刹"は、不機嫌そうに舌打ちしていた。


「!?」


荒鬼神を弾き飛ばした右近の視界にはノアは既に居らず、見失った右近が辺りをキョロキョロと見回していると

ゾブッ!「おごぁああああっ!」

突如右近の左肩の付け根から荒鬼神の刃が突き出て来た。
ノアが背後から奇襲を仕掛けて来た様だ。

(陽動に素直に応じてくれるんだもんな…
ボスとしては楽な部類だな…)

ミシッ…ボギンッ!「おごぅっ!?」

<渾身>を発動し、右近の左肩と胴体とを切り離す。
鎧を着込んでいて中身がどんななのかが分からなかったが、血を吹き出さない辺り人間等では無いのだろう。


「くそぉおおおおおおおっ!」ブォン!

バッ!ズババッ!


背後に居るノアに裏拳を繰り出す右近であったが、ノアはしゃがみつつ右近の膝から下を斬り飛ばす。

立つ事が物理的に不可能になった右近は仰向けで地面に倒れる。


「貴さ『ゾリンッ!』   ボトッ、ゴロ…

ザァアアアアアアア…


何とか反撃をしようとした右近であったが、即座に首を撥ね飛ばされた後、辺りは再び土砂降りの雨音だけが響いていた。






「す、凄い…あっという間に倒しちゃったよ…(ハナ)」

「よ、容赦無い…(サクラ)」

「わ、わぁ…首を撥ね飛ばした時の表情…か、格好いい…(モコ)」

「すんげー…流石『宝物庫』攻略者だな…(調査隊1)」
「あれ?つまりこのステージはクリアになるんだよな?特に演出とか無いみたいだけど…(調査隊2)」


右近との対決が始まって2分と経たずに屠られた為、皆一様に驚きの声を上げていた(1人除く)。

だが一行の視線の先では、険しい表情のノアが地面に転がる右近の亡骸を見下ろしていた。





ザァアアアアアアア…

「どうしました?【魔王】の一味がたかだか首を撥ね飛ばされただけで死ぬ訳無いでしょう?」


以前フリアダビアで戦ったシエストラバードは、木っ端微塵になってもしぶとく生きていたのだ、首の1つを撥ねた位では安堵出来ないのも当然である。

バチッ…

「ふ…どうやら【魔王】に類する者と戦った事があると言うのは嘘では無い様だな…」

バチッ!バチバチッ!

ガシャッ…ガシャガシャッ!

右近の亡骸から紫電が発せられたかと思うと、装備していた金色の鎧が砕けていき、中から紫電を迸らせた人型の稲妻が姿を現した。

人型から発せられる光量は凄まじく、時折体内から精錬時の熔鉄を彷彿とさせる程の光を発している。

よく見ると、胸の中央が一段と強い輝きを放っている。
そこが核となる部分、弱点なのであろう。


「あー…やっぱさっきの鎧似合ってましたよ。
…今よりか目に優しかったし…」


ノアはあまりの光量に、額の前に手を翳し、影を作って右近だった人型を見やる。


「ふ、ふふ…これぞ私の…"雷神の右近"の真の姿だ!
この姿で戦うのは貴様が初めてだ、塵1つ残さぬ様消し飛ばしてやろう!」

バシュゥウッ!

バチッ!バチチッ!バチッ!バギュッ!バチッ!バチバチッ!バチンッ!
     

自身を稲妻の様に変化させた右近は、凄まじい速さでノアの周囲を縦横無尽に駆け巡る。


バチュンッ!「ぬりゃあっ!」ブォン!

ズザッ!

バヂュッ!ズドドドドッ!「うぐっ!」


突如体を実体化させた右近が大刀を振り、ノアの背後から奇襲を仕掛けるも、ノアは寸での所で回避。

だが大刀が空を切ったものの、半径5メルの範囲に5発の落雷が落ちる。
その内の1発がノアの右上部僧帽筋辺りに命中、体勢を崩しつつもその場から逃れる事に成功した。


スダダッ!「…っつー…」ビチャチャ…


ノアの首元の肌は赤く爛れ、一部皮下の筋肉が露出し、出血を起こしていた。

バヂィッ!

「くはは、我の雷を1度受けただけで致命傷ではないか。
人間とはやはり脆い存在よの。」

「はっ、掠った程度で喜ぶとは余程命中率が悪いんだな。
この程度の怪我、両親との訓練で日常茶飯事さ。」


不敵に嗤うノアに右近は


「ほぅ、余裕とみえるな。
だが我の雷速を捉えられていない様だが?」

「流石に雷を避ける訓練はして来なかったからね…
だが相手がアンタなら直ぐにでも捉える事は可能だろうね。」

「ふん、相変わらず口が減らないガキだな。ならばやってみせよ!」

バヂュンッ!

「【一鬼呵成】発動!」

バシュッ!


再び稲妻の様に変化した右近が縦横無尽に周囲を駆け回り、【一鬼呵成】を発動し、蒼いオーラを纏わせたノアがそれを猛追する。


バヂヂッ!バチュンッ!バチバチッ!バシュンッ!

シュババババッ!ババッ!シュババッ!


「でりゃあっ!」『ゴギィンッ!』「シッ!」 

(【鬼鎧殻】発動!)

ガギゴゴゴガガゴギガゴッ!

ズドドドドドドッ!


実体化した右近が大刀を振るうのと、ノアがそれに合わせて荒鬼神で迎撃するのはほぼ同時であった。

落雷攻撃対策に【鬼鎧殻】を纏いつつ剣撃を放ち続ける。
【魔王】軍の幹部だけあって全てに合わせて迎撃してきている。

その間も落雷の雨が降り注いでいた。
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