ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
457 / 1,124
獣人国編~森の番人~

んっふっふ♪

しおりを挟む
「んっふっふ♪大漁大漁。
いやー、暗くなってきたらアイツら墨吐きまくって姿眩まして来るんだもん、厄介だったなぁ~。」

(『まぁ図体デカいから気配と音でバレバレなんだけどな。』)

(でも触手まで気配は感じれなかったから2発程良いの貰っちゃったよね。)

(『敵の触手の位置まで把握するとなったら<気配感知>だけじゃ不十分だな。
<振動感知>と<気流感知>も同時発動しておくと良いぞ。』) 

(それ狩りの途中で言って貰えると良かったのに。)

(『最初から言っちゃ意味ないだろ。』)

(ぐぬぬ…)


ノアは思わぬ大漁振りに上機嫌で、顔の所々に墨がこびり付いているのも気付かない程であった。





ガチャ。

「こんばんわ~…って、あれ?
ギュラドスカルさんじゃないですか、この間はどうも。」

「お、ノア君…今日は迷惑を掛けたな…」

「ん?何の話ですか?」


ノアが冒険者ギルドの扉を開けると、中には先程ノアに突っ掛かってきたイビルと、止めに入ったミツルギ、その他冒険者数人が待機していた。

中でも目を引いたのが、以前アルバラストで勝負した上級冒険者パーティ『ハーレム』のリーダーであるギュラドスカルと、従者の【魔法使い】の女性3人が壁際に立っていた。


「朝方俺のクランメンバーのイビルが君に脅しを掛けたそうじゃないか。」

「え?『灰塵』のリーダーってギュラドスカルさんだったんですか?」

「方々に出張ってるから全然クランに顔を出さない名ばかりリーダーだけどな。
今日はたまたま欲しい素材を求めてやって来た所だ。
そしたらまさかギルドから報告を受けるとは…」


ギュラドスカルは頭を抱えて項垂れ、イビルは顔面蒼白、他のクランの者達はギュラドスカルの表情に注視し、ピクリとも動かなかった。


「…ブロア、確かイビルは2ヶ月前にも似た様な事案起こして除名処分受けてたハズだが何でクランに残ってるんだ…?」


ブロアと呼ばれた、背中に大剣を担いだ男性が前に出て来た。
先程のジョーの説明からすると、このブロアと言うのが『灰塵』のサブリーダーなのだろう。


「その時は被害を受けた冒険者パーティに謝罪と罰金を払い和解した。
本人も反省してた様なので条件付きで残留する事を認めたんだ。」

「ほぅ…
それでイビルは何と言ってノア君を脅したんだ?」

「え!?
い、いやー…その時の記憶が曖昧だが、別に脅したって感じじゃなかったですよ?
"手伝ってくんねぇ?"みたいな…」

「「「は?(ノア、ミツルギ、受付嬢)」」」


ギュラドスカルからの追及に、今更ながらイビルがシラを切り出した。
流石の返答に朝のやり取りの一部始終を見聞きしていた3人が呆れたとばかりに声を上げた。


「お前…この期に及んでそんな見え見えの嘘を…(ミツルギ)」

「いや、だってよ。
そこのガ…じゃない少年がとんでもねぇ殺気を放つもんだから、そん時の記憶がこうスポーンと抜けちまってよぉ…」


と、シラを切るイビルを横目に見るギュラドスカルの眉間にはくっきりと皺が寄っていた。


「記憶に無いと言う事ですね?」

「だからそー言ってんだろ?
いい加減諦めなって、そん時の肉声でも残ってるってのか?」

ギシリ…

シラを切るイビルに近付いて行くノア。


「お!?
何だ!脅しか?悪いが記憶に無い物はどうしたって話せないぜ?」

「別に脅したりはしませんよ。
何てったって自分から話すんですからね。」

「は!何を言っ『気を付け。』

ビシッ!「っ!?っ!?」


近付いて来るノアから逃げる様に引き下がるイビルが、ノアの一言を受けて直立不動となる。

ズズズ…

「ひっ!?な、何を!?」

『朝方俺に言い放った脅し文句をもう1度言え。
皆に聞こえる様にデカい声でな。』

「何を言っ…いぎぎぎがががががっ!!?」


赤黒いオーラを立ち昇らせ、赤黒い眼で見詰められたイビルは、急に悲鳴を上げ、全身を痙攣させ始めた。


「ぎぃいいいあああああっ!がぁあっ!!」

「ちょ、おいノア君何を…!?」

『さぁ?僕は別に何も。
記憶を呼び起こしてるのでしょう。』


ノアが赤黒いオーラを立ち昇らせているので何かしら行ったのだろうが、脅してもいない、触れてもいない為、流石のギュラドスカルもそれ以上何も言えずにいた。

周囲に居る同じクランのメンバーや受付嬢らは、目の前で起こっている光景に戦慄していた。

ちなみにノアは、以前王都でヒュマノの者達にも食らわせた【神心掌握】という固有スキルを発動していた。



【神心掌握】…自身との精神的なレベル差があればある程相手を傀儡の様に掌握可能。
使い方によっては外法にもなるので、発動者の趣味趣向が問われる為、ご利用は計画的に。
発動時に精神力を大幅に消耗するのでご利用は計画的に。



「ががががっ!あ………」

「お、おい…大丈夫か…?」


今の今まで体を痙攣させ、呻き声を上げていたイビルがピタリと動きを止め、身動き1つ取らなくなった。
近くに居たクランメンバーのミツルギが心配になって声を掛けると


「おいガキ、俺らは『灰塵』っつう割と名の売れた巨大クランだ!
俺らがお前を"使って"やろうって言ってんのに断るたぁどういう了見だ。あ?
お前らは腕っぷしに多少自信があるみたいだが、それだけじゃこの世界は生き抜けねぇぞ?俺らのクランを敵に回すと明日にはどうなるか分かってんだろうなぁ!?
で、御座います!」


ハキハキとした声で朝方ノアに言い放った内容を言い放つイビル。


「「「「「「「……。」」」」」」」

「…ぎぎががっ…はっ!?俺は今、何を…
ギ、ギュラドスカルさん、今のはコイツに言わされただ「イビル、言質は取ったからもう喋らなくて良いぞ。」

ガゴッ!「おぐっ!!?」ベギャッ!

手首から先が掻き消える程の速度で降られた拳がイビルの頭頂部を捉える。
イビルは床に顔面を叩き付けられ、ピクリとも動かなくなった。


「除名だ。
ブロア、次からは謝罪、罰金を払った上で即刻除名処分だ、良いな?」

「は!」

「受付嬢の方、今後コイツがウチのクランの名を出せん様に冒険者カードに除名理由を明記して貰えるか?
それと床の修理代は俺持ちで。」

「畏まりました。」

「はぁ…」


指示を出し終えたギュラドスカルは再び頭を抱えて項垂れると、それを見て心配そうに寄り添う従者の3人であった。

その後延びてるイビルと共にクランメンバーらは冒険者ギルドを後にし、残ったのは5人だけとなった。


「…ノア君、今日は申し訳無かった。
御詫びと言う訳では無いが、俺の行き付けに行かないか?」

「そう言う事でしたらご一緒させて貰います。」


ギルドへ依頼の報告に来たノアであったが、ギュラドスカルの誘いを無下にする事は出来ず、そのまま着いていく事にした。 
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...