ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

森の番人レント・レアナ夫妻

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森の番人レント・レアナ夫妻…獣人国東部に位置する『滅びの森』全域をテリトリーとする人型のモンスターでトレントの上位種。

非常に知能が高く、人語も介する。
普段は温厚、というか無感情で抑揚の無い声音で話し、相貌も相まって不気味な雰囲気を纏っているが、ただ会話をする分には無害である。

だが2人の行動原理は"テリトリー(森)の拡大"である。

テリトリーが大きくなる=自身の力が増し、保有する魔力の量も増える。
それ故、常に行動し、自身の背中の若木を植樹して回っている。

その際"栄養豊富"な材料で"苗玉"を作るのだが、材料は"栄養があれば何でも良い"。



「ここ10年程姿を見せなかったのに何故今になって…
急ぎスロア領から騎士を呼び戻し、中きゅ…いや、駄目だ上級冒険者も召集して迎撃体勢を整えよ!
街に居る兵士達に"南門を封鎖せよ"と伝えるのだ!」

「は、ははっ!」





スタスタ…

「皆さん素敵なお友達さんですね。
てっきりこんな体でしたから驚かれるかと思いましたのに。」

「出会った時から色々あったから耐性が付いちゃったんだと思う…
普通、こんな話誰も信じてくれないよ。」


クロラ達にラインハードの紹介を終えた2人は、冒険者ギルドへと歩を進めていた。

当初ノアとラインハードの説明に首を傾げ、難色を示していたクロラ達だったが"ノア君(少年)だもんね"と、妙に納得した様子であった。


「ごめんよ!ちょっとそこ通してくれ!」ガシャガシャ…

「おっと。」


大通りを歩くノア達の近くを数人の兵士達が慌ただしく駆け抜けていく。


「どうしたのでしょう、急いでいたみたいですが…」

「何かあったのかな…?ちょっと待ってて。」


<『ザワザワ』門…鎖っ!『ガヤガヤ』>
<何『ガヤガヤ』からの命『ガヤガヤ』>
<上級『ザワザワ』召『ガヤガヤ』>


「…駄目だ。人が多過ぎて兵士の声が聞こえないや。
ギルドに行けば何か分かるかもね。」


ノアは、常時発動している<聞き耳>で先を急ぐ兵士の会話を聞こうとするも、喧騒で殆ど聞き取れない状況であった。
仕方無く人混みを掻き分けて冒険者ギルドへ向かう事にした。







「ローグ・ラグナー国王より冒険者各員に通達!
本日未明より『滅びの森』にて危険度(超)のモンスターが出現した事を受け、南門に限り上級冒険者並びにレベル5以上の冒険者以外の出国を一時的に禁止とします!
他国、他領に行かれる方はお手数ですが西門、北門何れかでお願いします!」


冒険者ギルドに入ると、先程駆けて行った兵士が大声を上げてギルド内の冒険者に向けて報を告げていた。


「おいおいマジかよ!?」
「依頼取り下げなきゃ…」
「危険度(超)!?さっきのトレントみたいな奴が!?」
「そんな感じには見えなかったけどなぁ…」


と、冒険者からは悲観や困惑の声が上がっていた。
それはとあるクランも同様の様で


「…マジか…『ドーピングマッシュルーム』を狩りに行く、って時に…」

「全く…1つ問題が解決したと思ったら別の問題が発生するとは…」

「悪い事は続くって言いますしね…」


クラン『灰塵』のリーダーであるギュラドスカル、同じクランで『侍衆』のリーダーミツルギ、『高機動兵団』リーダーミリリカは、兵士からの報を甘んじて受けつつも、がっくりと肩を落としていた。

冒険者生活を送る上で、モンスターの影響で旅程が大幅に狂う事がままあるので、仕方の無い事ではある。

3組は、仕方無いとばかりに冒険者ギルドを後にしようとすると、兵士から続けて報せが飛んできた。


「尚、上級冒険者並びにレベル5以上の冒険者の中から"森の番人レント・レアナ夫妻討伐戦"に参加して頂ける方を募りたい!
今この地に向け、獣人国の騎士達も向かってきていますので、共に戦って貰えると有難いです!
但しこれは強制ではなくあくまで任意によるものです!」

ザワッ…

兵士からそう告げられ、更に騒がしくなるギルド内。
"上級冒険者並びにレベル5以上の冒険者"と言っている事から、"最低"でもそのレベルでないと太刀打ち出来ないという事である。

すると


「なぁ、1つ質問良いか?
上級冒険者じゃないが、中級冒険者のレイドパーティでその森の番人って奴と戦わせて貰う訳にはいかないのか?
相手は2人なんだろ?数で押せばイケんじゃね?」


とある冒険者がそう告げるも、兵士の表情は優れない。


「相手は2人だが、危険度(中)のモンスターを同時に10頭相手にするよりも遥かに厄介な存在だ。
レイドを組んで討伐戦に参加するのであれば、最低でも1人で危険度(中)のモンスターを返り討ちに出来る程の戦闘力が欲しい所だ。」

「「「「「「……。」」」」」」


と、兵士が告げると先程の冒険者含め周囲の者達も閉口してしまった。

だがそんな中

スッ…

「はい、僕は参加します。」

ザワッ…

真っ先に手を上げたのはノアだった。 


「…君は新人冒険者【鬼神】のノア、でしたな。
レベルの方は?」

「レベル3、準上級冒険者相当みたいです。
参加資格はあると思うのですが良いでしょうか?」

「勿論です。寧ろ君に参戦して貰えたら心強い。」


兵士の表情が僅かに明るいものとなった。


「【鬼神】のノア君が参加するなら俺らも参加するとしよう。
『ハーレム』のギュラドスカルだ、俺も参加するぜ。」

「我ら『侍衆』も参加しよう。」

「『高起動兵団』も共に戦うわ。」

「それじゃあウチからも2人を参加させよう。
ラーベ、ラベルタ行ってきなさい。」

「「はい!」」 


と、いつも通り何処からともなくジョーが現れ、従者であるラーベ、ラベルタも参加する事になった。

討伐戦の参加要員が決まった直後『犬姫』の3人がギルドに入ってきた。


「受付嬢ちゃん、確認行ってきたわよ~…って、何?この状況…」

「何?何かあったの?」

「外で兵士達が騒がしくしてたけど何か関係ある?」


たった今森の番人レント・レアナ夫妻に会ってきた3人に兵士が現状を報告すると、3人は顔を青くしていた。






「森の番人レント・レアナ夫妻は"搾取"と呼ばれる、対象の血や体液、肉に至るまで全てを吸収する能力が非常に凶悪です!
触手を用いた攻撃の際は防御に徹して下さい!
それと2人の強さ・魔力保有量は『滅びの森』の規模に比例します。
高火力又は継続的にダメージが入る攻撃で対処して下さい!」

「「「「おぅ!」」」」「「「はい!」」」


冒険者側は総勢14人の上級冒険者とレベル3のノアが参加する事に、補佐として『犬姫』3人が同行する事になった。

いざこの面子で『滅びの森』に向かおうか、と思った矢先、ちょっとした問題が発生する事になった。
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