ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

仮設住居建設現場にて

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ノア達が森の番人レント・レアナ夫妻の討伐を開始したまさにその頃。
スロア領の仮設住居建設現場にて、3人のドワーフと1人のエルフが建設作業を行っていた。


シュイッ!シュイッ!

「おぅい、鉋掛け終わったぞバト!」

ガコーン!ガコーン!

「あいよ!ルド、悪いがちとそこに置いといてくれ。
ロイ!そっちはどうだ?」

バシュッ!バシュッ!

「丁度床張りが終わった所ぞ。
エスメラルダ、次の木材の準備は出来とるか?」

ズモモモ…

「次のはもう少しで出来るわよ。
うーん…ここの大地の恵みはもう空ね、また別の場所見付けなきゃ…」




「凄ぇ…昨日の今日でもう仮設住居が5棟出来てる…流石ドワーフ…」

「設計図無しで何でそんなサクサク造れるのよ…」

「エルフの方も凄いな…にょきにょき木を生やしてってる…」


スロア領領主のデミは、『新鋭の翼』のメンバーを連れ立って仮設住居建設の進捗状況を確認しに来ていた。

あまりにも早く建設されていた事に、皆呆然としていた。


どっす、どっす、どっす、どっす…

「失礼領主殿、ちょっとそこ通りますぞ。」

「あ、あぁ、すまないクリストフ。精が出るな。」


今回、つかえるキノコのクリストフも仮設住居の建設を手伝っていた。
主な作業はと言うと


「よし、クリストフとやら、そこの木の端を支えておいてくれ。」

「畏まり。」ギシッ…


名前の通り"支えるキノコ"として役に立っていた。


「領主さんよ。この分だと明日には目標の10棟は完成するぜ。」

「え!?明日!?幾ら何でも早過ぎるでしょ!?
いや、悪い訳じゃない、寧ろ助かるが…」

「何のこれしき朝飯前じゃわい。ガハハ。」


ガハハ笑いを上げるドワーフ。
ドワーフは物作り関係に秀でているとは聞いたが、これ程とは、と驚かされるデミであった。




ざわ…ざわざわっ…

「ん?何ぞ騒がしいな、何かあったのか領主殿?」

「獣人国の騎士達が言うには、ここから少し離れた所にある『滅びの森』でヤバいモンスターが現れたとの事らしい。」

「そんなにヤバいのかい?」

「上級冒険者がレイドパーティを組んでも勝てるかどうか分からない程の脅威らしい。」

「「「ふーん…」」」

パシンッ!

「「「そう言う事ならワシらも向かうとしようじゃないか!」」」

「え?」

「エスメラルダ、お主も来い。」

「えぇ!?仮設住居建設の方はどうすんのさ?」

「納期まで後9日もあるしどうとでもなる。
それに"大地の恵みがもう空"なんじゃろ?」

「うっ…分かったわよ、行きゃ良いんでしょ!行きゃ!」


ドワーフ3人組はノリノリ、エルフのエスメラルダは渋々と言った様子で戦闘準備を始める。


「つー訳で領主殿、ちょっと行ってくるぞ?」

「あ、あぁ、気を付けて下さいね?相当強いらしいので…」

「なーに心配するで無い。つい最近フリアダビアでドンパチやって胆力が付いたし、ヤバくなったら逃げてくっから心配いらん。」

「ちょっと、私それには参加してないんだけど?」


終止渋々と言った様子のエスメラルダだが、騎士達やドワーフに混じって『滅びの森』を目指すのであった。







ゴガッ!ゴゴンッ!

ガッ!ガガッ!ガンッ!

ドゴガガゴガゴギガギギギギドガゴガギゴゴガドドドギギギドガゴガガガガガズガガドゴゴガガガッ!


〔すばらしい。
すでに500はつほどこうげきをはなっているというのに、きみはことごとくはじき、そのうえではんげきまでしてくるとは…〕

「律儀に数えてたんですね、随分と余裕そうじゃないですか…
こちとら余裕が無いって言うのに…」

〔それは"たいりょくてきに"ではなく"じょうきょうてきに"といういみでしょう?
さきほどからちらちらとこうほうをかくにんしているの、ちゃんとみてましたよ?〕

(ちっ…)


ノアはレントと激しい打ち合いをしている最中、レアナと『ドーピングマッシュルーム』達と戦闘をしているラーベ、ラベルタ、『侍衆』と『高起動兵団』達の方を都度確認し、戦況を見ていた。

だがその事をレントは既に分かっていた様で、ノアは心の中で舌打ちをしていた。


〔きみはまだほんきをだしていない。〕

「…そう言うアンタも本気じゃないでしょ?
未だに木の根の攻撃以外放ってきてませんしね。」

〔もちろん。
きみがほんきをださないのならだすどうりはない。
どうやらきみはうしろのうぞうむぞうがきがかりでほんきをだせないのでしょう?〕

「…えぇそうですよ。
本気を出したら後ろで倒れている者達が巻き添えになりますし、庇いながら戦うなんてアンタ相手には無理です。
やれない事も無いでしょうが、今アンタ達に奥の手を見せる訳にもいかない…」


隠した所でどうせ見透かしているだろうから本音で話すノア。

正直手が無い訳では無い。
奥の手であるグリードも居るが、倒れてる者達の近くにはレアナや『ドーピングマッシュルーム』らが彷徨いている。

2人や『ドーピングマッシュルーム』を纏めて屠る程の火力を出せば一帯は焦土と化すだろうし、簡単には仕留められるかどうかもわからないので、被害は更に拡大すると見込んだ方が良い。

倒れて意識を失っている者達に言うのは憚られるが、今この時に限り、皆の存在がノアにとって"足枷"となっているのである。

するとレントはピタリと攻撃を止める。
ノアは訝しみながらも同様に手を止めた。


〔それならとりひきといこう。〕

「え?」

〔そこらへんにころがっているざこたちにはまだいきがある。
ここでいったんせんとうをちゅうだんし、わたしたちはもりへ、きみらはまちへもどる。
そのかわりこんどたたかうときは、こんなざこどもでなく、まともなやつをつれてきてくれ。
なんならきみだけでもいい。
わたしはだいかんげいだ。〕

「……。」

〔もしくはこのまませんとうをけいぞくし、そこらへんにころがっているものたちを"なえだま"にかえよう。
うしろでたいきしているものたちもまとめてね。〕

「…くそっ…戦闘を中断…します…」

〔そうか、つぎにあうのがたのしみだ。〕


選択肢が1つしか無い為、ノアは苦虫を噛み潰した様な表情をしつつ、前者を選んだ。

その後レントはレアナに呼び掛け、『ドーピングマッシュルーム』らと共に『滅びの森』の中へと歩いて行った。

沸々と沸き上がるものはあるが、ノアはそれを押し殺しつつも指示を出した。


「…ヴァンディットさん、皆の治療を…重傷度が高い人から順にお願いします。」

ズルッ…

「は、はい畏まりました。」

「さてお次は…ハナさん!一先ず安全になりましたので手を貸して下さい!」



「え、あ、は…」

「ノア君が呼んでます、行きましょうハ「"さっさと動けハナァッ!重傷だらけなんだぞボケッとしてんなっ!!!"」

「あ…は、はい!!」


ただ1人、ラインハードだけノアの呼び掛けに反応したがそれ以外の『犬姫』含め、従者の【魔法使い】3人は固まったまま動く事が出来ずにいた。

<猿叫>を発動し、耳をつんざく様な大声で呼び掛け漸く動き出した。






<<<ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ…>>>


少しして遠くから複数人の足音が聞こえてきた。
恐らくスロア領に行っていた騎士達が応援として来たのだろう。


「「「こ、これは…」」」
「何て惨状…」
「あ!そこの君!ここで何が…いや、レント・レアナは倒したのか!?」

「いえ、条件付きで見逃されました。
それよりも重傷者が数多く居ます、『犬姫』らと共に治療に当たって下さい…」

「「「「お、おぅ…」」」」


なるべく平静を装っていたつもりだったが、獣人騎士達はノアから発せられている苛立ち混じりの殺気に気付き、早々に散っていった。


「おーおー、派手に暴れよった様じゃのぅ。」
「此処彼処がボコボコじゃわい。」
「よもやこんな所で再び相見えるとは思わんかったぞ、坊。」

「…ん?この喋り口…」


ノアの背後から聞き覚えのある声がしたので振り返ってみるとそこには、フリアダビアで共に戦ったドワーフ3人組が立っていた。
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