ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

立て

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ガツッ!『おら、立てレントとやら、危険度(超)のモンスターがこの程度でくたばる訳が無いだろう?』

バキキ…シュゥウウッ…

〔何て威力…だ…私の体がこうも無惨に砕けるとは…〕

『ったりめーだ、全力でぶん投げたんだからな。』


現在レント、鬼神、ノアが居るのは、森の外縁部から200メル程進んだ森の中。
ぶん投げられたレントは、40を越える木々を薙ぎ倒し、漸く停止し、破壊された体の再生が行われていた。

辿り着いた時、その体はボロボロで、腰から下は粉砕し、右腕は千切れて何処かへ飛び、地面には陥没痕が出来ていた。

だが、そんな状態でも鬼神が手を緩める事は無い。


ガシッ!ブォンッ!

バギバギバギッ!ドガガガガガガッ!


レントの胸倉を掴んだ鬼神は、再び森の奥目掛けてぶん投げる。
破砕音を立て、森の中を破壊しながら突き進むレントであったが


ギュルルルルッ!

ガシッ!ガキッ!ガシッ!ガシッ!

ベギベギベギッガガガッ!

ブォンッ!バォッ!ボボボッ!


身を翻したレントは、背中から生えた触手を木々に絡めながら何とか停止。
その際大木を幾本か引っこ抜いたが、それをレントはノアと鬼神に向けてぶん投げる。

ダッ!

それに対して鬼神は眼中に無いかの様に無視してレントの元へ。
ノアは打ち落とす構えの様だ。

ギュルッ!ドドドッ!

『!?』ヒュババッ!

ゴガガガガガガッ!「…っ!?」


突如ぶん投げた大木が形状を変え、槍の様に鋭く変化し、鬼神やノアを襲う。

鬼神は難なく避けられたが、素のステータスであるノアは防御体勢を取って凌いだ。



ズギュルルッ!ガギッ!「うおわっ!?」

バギバギバギッ!!

『おい主大丈夫かっ!?』


防御体勢を取っていたノアの足元から木の根が延びて足に絡み付く。
そのまま引っ張られ、乱立する大木に次々と叩き付けられた。


「大…『バシュッ!』『バシュッ!』丈夫だ!」

ダンッ!


スラスターを2回程発し、勢いを殺したノアは大木を足場にしてレントへと殴り掛かる。

シュゥウウッ!

〔行け。〕

ズズズズ… 「っ!?」


レントが一言呟くと、レントの周囲の地面が盛り上がり、眼の無い巨大な蛇『聖樹の奉り蛇(サーペンテ)』が姿を現した。

ズバァッ!

既に跳躍しているノアは、一瞬回避するか迷ったが、スラスターを使用して加速した。

だが

ジャァアアアアアアアッ!ゴバァッ!

「うおっ!?おわわわっ!?」ギュルギュルッ!


『聖樹の奉り蛇(サーペンテ)』の口から夥しい量の蔓の塊が放たれ、殴り掛かって来たノアをがんじ絡めにして身動きを取れなくした。

しかも魔装鉄甲の関節部に蔓が入り込み、思う様に腕が動かせないでいる為、解くのにも多少時間が掛かりそうである。


『おい大丈夫かよ主?毛玉みたいになってんぞ。』ツンツン。

ゴロン。「くっ…ちょ、ちょっと時間掛かるかも…ねぇお願いだから押さないで…」ゴロン。


蔓が絡まり、地面に転がるノア。
鬼神がツンツンする度にゴロリと転がっており、何ともシュールな絵面である。


〔ふぅ…1人大人しくなりましたか…
これで漸くまともに戦えるな…〕

『その口振りだと、タイマンならマシに戦えるみてぇだが?』

〔2対1よりはマシかな。〕

『ほぅ。ならやってみろ。』

〔良いでしょう。
『聖樹の奉り蛇(サーペンテ)』あなたはここで待機。その少年と戦う場合は拘束が解けてからにしなさい。〕

『つー訳だ、主。
俺はこれからこの舐めた口利かせてるコイツをおがくずにしてくるからよ。
ゆっくりその拘束を解いててくれ。』


ジャァアアアッ!

「わ、分かった。気を付けてな…」


そう『聖樹の奉り蛇(サーペンテ)』とノアに告げたレントと鬼神は、森の奥へと並んで歩いていった。



チロチロ…

「わ!止め…転がすなよ…」ゴロンゴロン…






ザッザッザッ…

〔君らは…危険過ぎる。〕

『何だ急に。』

〔当初は君らを"苗玉"にするのが目的だったが、とてもそんな余裕は無い。〕

『それ程の脅威と見てくれてんのかい、有り難いねぇ。』

〔君らを分断したが、それでも脅威である事に代わりは無い。
"全力"で相手をせねば私達という存在そのものが侵されかねん。〕

『ほーん。それで?何をするつもりだ?』

〔既に分かっている事だろう?
"番人"から上の存在になれば良いのだ。〕

ズギュルルッ!ドスッ!ドッ!ドスッ!ドドドッ!


言い終えたレントの背中から幾本もの触手が延び、周囲に存在する木々に突き刺していく。
最長の物だと、優に100メルはあるだろうか。

シュゥウウウウウウウウウウッ!!!

すると周囲の木々から緑色の魔力が流れ、触手を伝ってレントへと集まっていく。


『それでお前さんの気が済むのであれば、やりゃ良い。止めやしないよ。』

〔そう余裕ぶっていられるのも今の内だぞ…?〕


上位存在に進化しようとしているにも関わらず、鬼神は止める素振りすら見せない。

だがその胸中では


(『さて、マドリックの作戦通り事が運ばれていってるが、本当に大丈夫なんか、これ…?
まぁこんな時に冗談言う様な奴では無いから信じる他無いんだがな…』)


鬼神はレントの行為を見ながら、前日にマドリックから伝えられた作戦の事を思い返していた。






~前日の夜中、屋台通りにて~


「えっ?不完全な状態で上位存在に進化させる!?」

「あぁそうだ。
まぁ、戦術の1つとして考えててくれ。」モッシャモッシャッ。


マドリックは飯を頬張りながらさも当然の様に答える。


「い、良いの?そんな事しちゃって…?」

ムグムグ…ゴクン。 

「昔、異世界から来たっつー【テイム】の兄ちゃんがウチの村に暫く逗留してた時があったろ?」

「あ~…"最高のパートナーを作ってやる"って意気込んでた、ちょっと"アレ"なお兄さんだったよね…」

「でも材料に、魔力に、根気が足らなかったから、待てなくなって途中で外に出しちまった結果大惨事になったろ?」

「うん、僕ら子供には見せてくれなかったけど皆、"腐ってやがる、早すぎたんだ"って言ってたよね。
確かラニさんが言うには"グズグズに煮込んだお粥状の…「そこまで事細かに説明しなくて良い。俺は今丼モノ食ってんだぞ…」

「あ、ごめん…」


"『滅びの森』産トン豚の肉過多丼"を食べていたマドリックの手が止まる。
余程悲惨な物だったのだろう。


「…要するに俺が言いたいのは、"条件が揃っていない状態だと、大抵の物は不完全な状態になっちまう"って事だ。
俺が『滅びの森』に『根絶椰子の実』製の薬品を撒いて土壌を一時的に劣悪状態にし、魔力を十分に供給出来ない様にした上でノアの様な特化戦力をぶつける事で意図的に上位存在への進化を促してやるんだ。」

「それで不完全な状態の上位存在に進化するんだよね?
具体的にはどの辺が不完全になるの?」

「ほぼ確定で攻撃力は上がるが、魔力が不十分だと再生力や魔法の多様性は無くなるな。
それだけ、と思うかも知れないが、それだけで十分討伐難度は下がるハズだ。」

「…確かにね…
分かった、その辺も頭にいれておくよ。」

「それよりもノア、お前の両親の見立てだと、ほぼ確実に"女"が出来たみたいだがどんな娘なんだ?」

「ぶふっ!?」


作物等は敢えて劣悪な環境に置く事で、根張りを良くしたり味を良くしたりと利点が多いが、モンスターの中でも特に上位存在はその限りでは無いらしい。
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