ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

強制労働3時間目(実質5日)終了

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ブゥンッ!

「く、糞っ!あ、あの"カエル"野郎!
次出会ったら覚えてやがれ!」

「今のあなたでは無理でしょう。
大人しく素材採取に専念していれば良かったものを。
侵入3回目でまだ規定数の3割も行っていませんよ?」

「うるせぇ!やられたままでい『ガシッ!』むごごごっ!?」

「黙れ腐れ外道。
お前のダンジョン攻略の為に我等が居る訳ではない。
それにどのみちお前ではさっきの"カエリガエリガエル"は倒せん。
黙って課せられた1日分のノルマを回収する事に専念しろ。」


強制労働3時間目(ダンジョン内時間で5日)が終了したが、相変わらず【勇者】アークは出てくるなり声を荒げ出した。

ハナの部下であるリーバーが顔面を掴んで黙らせる流れは未だ健在である。


「ぶはっ!
うっせぇな!4層のダンジョンボスを倒しちまった方が採取云々が捗って手っ取り早いだろ!
俺には俺のやり方があるんだ!俺の好きな様にやらせて貰うぜ?」

「ダンジョンボス…?」

「はっ!もしかして"カエリガエリガエル"の事を言っているのか?」

「んぁ?そうだよ。」

「ぶははははははははっ!
ばーか、"カエリガエリガエル"はその辺の雑魚モンスターだよ!
さっさと仕留めないと中ボス並みの強さになってしまうけどな!」

「な…なっ!?」


アークが目をひん剥いて驚いている。
どうやら4層に居た"カエリガエリガエル"と言うモンスターをダンジョンボスだと思っていたらしい。


「こーら、リーバー。
騎士らしく、騎士らしく。」

スンッ。「はっ、申し訳ありません。」


ハナに窘められたリーバーは直ぐに大人しくなった。


「はいはい。
取り敢えず誤解が解けた様なので4回目の侵入に参りましょう。
まだまだ騒ぐだけの元気があるみたいですからね。」

「ま、待てよ、流石に4回ぶっ続けは気が滅入るっての…
少し休憩を「そうか、休むか。ならばそこにある水晶に触れて"ズレ"を直せ。」

「い、嫌だ!お、俺はこのままで良い!
あの"苦痛"を食らうのはゴメンだ!」
 
ガシッ!「あっ!?」

「良いからやれ。
やらないまま異常を来して倒れられたら敵わん。『バシンッ!』


「い、嫌だぁあああっ!ぐがががががっ…」


アークの手を無理矢理取って水晶に押し付けるリーバー。

大声量で悲鳴を上げるアークだが、一体何に対して悲鳴を上げているのか理解出来ないであろうから、今回はアークの強制労働に密着してみよう。





ではまず始めに、『時の迷宮』に入る際と、出た後に触れる水晶の説明からするとしよう。

この水晶は、遥か昔に『時の迷宮』を造ったダンジョンマスターが、別時空へと繋げるゲートのとしての役割で設置された物であるが、それ以外に、"外見と時間のズレ"を元に戻す為の装置でもある。

この水晶を介して『時の迷宮』内に侵入する際、"体の外見的特徴と時間"が記録され、出てきた時に水晶に再び触れれば、外見的特徴と時間のズレは復元される。

だが"外見"は戻せても"状態(疲労)"は個人差がある為、戻す事は出来ないのだと言う。

つまり、出てきた時にズタボロの瀕死状態であっても、生きてさえいれば元の姿に戻る事が出来る。

が、階層に応じた倍率の疲労が一気に押し寄せてくる為、先ずは回復薬等で体力を回復させてから水晶に触れないと、トドメを刺す事になってしまうのだ。


ではアークの様に五体満足・健康体であった場合、水晶に触れなければ良いのでは?
と思うかも知れないがそういう訳にはいかず、 先程『時の迷宮』に侵入する際"体の外見的特徴と時間"が記録されると言ったが、水晶に触れて自発的に解除しないと、一定時間が経過した後に自動的に解除されてしまうのだ。

それが連続で侵入していようが関係無しに、である。

要するに

1.解除しないまま連続で侵入。
2.『時の迷宮』内で解除。
3.(アークの場合)40倍の疲労が一気に押し寄せてくる。
4.耐えて外に出て今度は自発的に解除。
5.中で食らった40倍に、乗算された1600倍の疲労が瞬間的に対象を襲う。

のである。
    
以前3層攻略を果たした耐性スキル持ちの上級冒険者が、試しに解除せずに900倍の疲労を食らってみた所、発狂し掛けたとか何とか。



「…っはあっ!!
よ、よくもやりやがったなっ!」ダッ!

ガッ!

ドザザッ!「あぐっ!?」


40倍の疲労を受けて踞っていたアークがリーバーに殴り掛かる。
だがヘロヘロで腰も何も入っていない拳を避ける事もせず、足を引っ掛けて転けさしたのであった。


「空元気でも威勢を張れるだけの余裕がある様だな。
ではこちらの引き継ぎが済み次第、突入しても問題は無い様だな。」

「ひ、引き継ぎだと…?」


すると


「やっほー。
ハナー、リーバー交代の時間だよ~。」

「だんちょー、リーバちゃーん、おつー。」


通路の奥から『犬姫』のサクラと小柄な団員ポメラがやって来た。


「そこに転がってるのが例の青年ね。
おーおー、やらかしそうな顔してるわ。」

「おんなのてきだね。」


一応『時の迷宮』内で監視の2人は交代で休息を取っているが、2回置きに交代する取り決めになっているとの事。


「こら、ポメラ。
私の目が届いてないからと言って"あまり"手荒な事はするなよ?」

「あいあいさー。」

「へっ、こんなチビがお目付け役て事はちったぁ楽が出来『ぐにゅっ!』うぐぁあっ!」


メンツを見てサボる気満々だったアークの目にポメラの肉球が押し付けられる。
所謂目潰しである。

目潰しを食らったアークはその場でのたうち回る事となった。


「言っておくけど、ポメラはリーバーよりも武闘派だから今まで以上に言葉使いや態度に気を付けなさいね?」

「べつになおすひつようないわ。
そのぶんからだにおしえられるから。」

「畜生!マトモな奴はいねぇのかよっ!」


何はともあれハナとリーバーの代わりにサクラとポメラが監視の任を行う事に。
その流れでサクラが忠義の聖剣を持つ事となった。





「さ、きゅうけいはふようだろ、ゴミクズ。
さっさとはいってさっさとはたらけ。」

「押すんじゃね『ゴスッ!』押さないで下さいっ!」

「じゃ、ハナ行ってくるね。」

「2人共程々にね~。」


そう言ってアーク、サクラ、ポメラの3人は、本日4回目の侵入を開始したのであった。 

次からは『時の迷宮』内での活動内容や出現モンスター、内部構造について綴っていこうと思います。
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