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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~
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バチャチャ…
「…うぶッ!?…ぶはっ!?な、何だっ!?」
「死にはしてないけど、回復ポーション4本使って漸く目覚めたのね。」
「あなた、全身の骨が砕けまくってて瀕死の状態だったのよ?
ってかよく生きてたわね。」
アークが目覚めると、そこは小高い丘の上であった。
横たわるアークの近くにはハナとハウンドが居り、治療を施していた様だ。
「こ、ここは…!?
さっきのゴリラはどうなったんだ!?」
「…自分の目で見てみると良いわ。」
「…?下で一体何が…?
っ!?なっ、何じゃありゃあっ!?」
ハナに促され、眼下に広がる森を見ると、そこでは凄まじい光景が繰り広げられていた。
ウボォア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!ゴギャッ!
ゴバババババババッ!
ヒュンッ!ヒュバッ!ヒュババッ!
「でぇりゃぁあっ!」ボッ!
ドガアッ!ウバゥッ!?
ジクルタ・ドラッサオが大木の様な腕2本で地面を叩き付けると、周囲の木々、大量の土砂、それに含まれる岩等が一体となった山津波が発生し、ノアへと迫る。
だがノアはジクルタ・ドラッサオから視線を逸らす事無く<縦横無尽>や<縮地>等を駆使し、木々の隙間や飛来する岩を避けて急速接近を仕掛ける。
勢いそのままにジクルタ・ドラッサオの腹部に蹴りを叩き込むノア。
まともに食らったジクルタ・ドラッサオは短く驚きの声を上げ、たたらを踏む。
だが"それだけ"だった。
ゥバァア"ッ!ガシッ!
「!?」
ゴンッ!ダンッ!ドガッ!ズンッ!
腹部にめり込んだノアの足を掴んだジクルタ・ドラッサオは、棍棒でも振るかの様に振り上げ、ノアを幾度も無く地面に叩き付けた。
ビュオッ!ザクッ!
ヴギャッ!?
バババッ!ズザッ!
5度目の叩き付けの前に、掴んでいたノアから再び蹴りが放たれ、左の首筋に突き刺さる。
流石のジクルタ・ドラッサオも攻撃を止め、苦しみの声を上げつつノアを解放。
身を翻して地面に着地したノアは無傷であった。
「ば、馬鹿な…何であの叩き付けを受けてピンピンしてるんだ…!?」
「地面をよく見てみなさい。
激突の際に地面に蹴りや拳を放って衝撃を殺しているのでしょう…
やってる事は無茶苦茶な事ですがね…」
ハナの言う通り、ノアの周囲の地面には叩き付けのモノとは別の陥没痕が出来上がっている。
轟音が響き渡る程の攻撃を殺すとなると、ノアの放った攻撃も相当なモノであろう。
「…彼の戦いは初めて見るが…何と凄まじい…
なる程…市井の者達から"噂"が出てくるのも仕方の無い事だな…」
「う、"噂"??
アイツに何の噂があるって言うんだ?」
「実は彼こそが今代の"【勇者】"では無いか、と言う噂だ。
彼の情報を知る我らは違うと知っているが、知らない者達は皆彼を【勇者】と信じている様だぞ。」
「な、何だと…」
冒険者になってまだ僅か2ヶ月程ではあるが、通常では考えられない戦果を幾つも挙げているノアは、実は"【勇者】"ではないか。
と言う噂が実しやかに囁かれていると言う。
「ゆ、【勇者】は俺だぞ!?何故そんなデマが…」
「野盗200人を退け、フリアダビアで【魔王】の手先討伐に貢献し、王都で国盗りを阻止し、凶悪なモンスターを討伐し、近々世間一般に公表される"ある事"に絶大な貢献をした冒険者と、ここ3年悪い噂しか聞かない【勇者】。
市井の者達はどちらを"本当の【勇者】"とするかしらね。」
「う…うぅ…」
ドガガガガッ!ガゴッ!ズンッ!ドガッ!
ヴボア"ア"ア"ア"ッ!
ドボボボボッ!ズンッ!ドゴッ!
「ふぬぬっ!防御っつぅもんを知らないのか!
全く防ごうとしやがらねぇ!」
未だ戦闘継続中のノアは、ジクルタ・ドラッサオの肉体に、素直に驚かされていた。
ハナの説明では"生命活動の全てを攻撃に振っている"とあったが、だからと言って防御を捨てた脳筋という訳では無い。
防御面を考え無くても良い程に体を作り上げている為に取れる戦法と言える。
(『皮は勿論の事、全身筋肉ギッチギチで堅牢だし、攻撃と防御を兼ね備えてやがる…
どうする?俺が出るか?』)
「いやいい!
相手はモンスターとは言え、正々堂々真っ正面から挑んで来てるんだ。
ここは自分の手でケリを着ける。」
(『分かったよ。
大丈夫だと思うが、危なくなったら介入するからな?』)
「はいよ!」
単体戦闘力だけで言えばバーサークベアを越えるモンスター相手に、頬を伝う汗をペロリと一舐めしつつノアは果敢に攻める。
だがこの時ノアは忘れていた。
ここはあくまで"ダンジョン内"だと言う事を。
ガコンッ!ゴゴゴゴゴゴ…
「え?…あっ!」
ウボォッ!?
ノア達が居る場に轟音と共に揺れが襲う。
『時の迷宮』に突入して2時間が経過した為、別フィールドに変化し始めたのである。
ゴゴン…ゴゴゴゴ…
泥濘んだ地面や、生い茂っていた木々のある風景に線が走り、轟音と共に割れて石畳に変わっていく。
ウボゥ…フンッ。
ジクルタ・ドラッサオは、『時の迷宮』内で生まれた故、フィールドが変わり始めると共に鼻を鳴らし、落ち着きを取り戻す。
き
……。
だが先程までバチバチに戦っていたからか、名残惜しそうにノアを見やる。
「お互い消化不良だな…
もしまたフィールドが合った時は続きをやろう。」
…フンッ。
ノアが何を言っているか分からないが、ジクルタ・ドラッサオは"フンッ"と鼻を鳴らした後、鬱蒼と生い茂る森の中へと消えていった。
ノアとしては珍しく、戦って決着が着かなかった初めての相手とも言える。
ガコッ!ゴゴゴゴゴゴン…
「…変化が止まった…
という事は次のフィールドに移ったんだよね…」
(『その様だな。
…薄暗ぇし、床が石畳っつー事はどっかの建物ん中か?』)
「部屋の外には幾つか反応があるし、探索を開始したい所だけどその前に…」
「ノアくーん、大丈夫ですかー?」
「お、来た。」
待機していたノアの元にハナ、ハウンド、アークの3人がやって来た。
「えぇ、こちらは特に問題ありませんよ。
お2人も無事な様で良かった。
おぅ生きてたか、ポンコツ。次馬鹿な事したらブチ殺すぞ。』ズズズズ…
「…はい…」
ハナとハウンドの無事を確認した直後、赤黒いオーラを立ち昇らせてアークを睨み付けるノア。
ジクルタ・ドラッサオとやり合う切っ掛けとなったのはアークが<洗脳>を仕掛けた事が発端である為、釘を刺す意味を込めている。
その結果アークは凄惨な体験を受けた為か、先程の様に喚き散らす事はせず、素直に謝ってきた。
「もう…もうあの様な経験はしたくない…
これからは心を入れ換えるからあの様な事は「待った。そう口で言うのは簡単だ。
口だけじゃなく行動で示せ。」
アークが訴え掛けてくるが、手で制したノアはこれからの働きで判断する事を伝える。
似た例である現スロア領の領主となったデミも、最初はやたらとノアに突っ掛かって来る面倒臭い奴だったが、ノアと関わった結果改心して信頼を得ている。
「特にアンタは、今までして来た内容が内容なだけに俺含めてアンタに対する評価は最低だ。
ちょっとやそっとの事じゃ覆らないから覚悟しておいて下さい。」
「あ、あぁ…分かった。」
殺気の籠った目で睨み付けると、アークは弱々しくではあるが返事を返して来た。
「…で、今更ですがここはどんなフィールドなんですか?
何処かの建物の中みたいですが…」
「通常ですと『時の迷宮』は熱帯雨林や沼地、火山に砂漠等のフィールドなのですが、たまに変わったフィールドに飛ばされる事があります。
もしかしたらここもその1つかも知れませんね。」
「一先ず扉がありますし、外に出てみる事にしましょう。」ガラガラ…
ハウンドが近くの引き戸を開け外に出ると、何とも不思議な光景が飛び込んできた。
「…うぶッ!?…ぶはっ!?な、何だっ!?」
「死にはしてないけど、回復ポーション4本使って漸く目覚めたのね。」
「あなた、全身の骨が砕けまくってて瀕死の状態だったのよ?
ってかよく生きてたわね。」
アークが目覚めると、そこは小高い丘の上であった。
横たわるアークの近くにはハナとハウンドが居り、治療を施していた様だ。
「こ、ここは…!?
さっきのゴリラはどうなったんだ!?」
「…自分の目で見てみると良いわ。」
「…?下で一体何が…?
っ!?なっ、何じゃありゃあっ!?」
ハナに促され、眼下に広がる森を見ると、そこでは凄まじい光景が繰り広げられていた。
ウボォア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!ゴギャッ!
ゴバババババババッ!
ヒュンッ!ヒュバッ!ヒュババッ!
「でぇりゃぁあっ!」ボッ!
ドガアッ!ウバゥッ!?
ジクルタ・ドラッサオが大木の様な腕2本で地面を叩き付けると、周囲の木々、大量の土砂、それに含まれる岩等が一体となった山津波が発生し、ノアへと迫る。
だがノアはジクルタ・ドラッサオから視線を逸らす事無く<縦横無尽>や<縮地>等を駆使し、木々の隙間や飛来する岩を避けて急速接近を仕掛ける。
勢いそのままにジクルタ・ドラッサオの腹部に蹴りを叩き込むノア。
まともに食らったジクルタ・ドラッサオは短く驚きの声を上げ、たたらを踏む。
だが"それだけ"だった。
ゥバァア"ッ!ガシッ!
「!?」
ゴンッ!ダンッ!ドガッ!ズンッ!
腹部にめり込んだノアの足を掴んだジクルタ・ドラッサオは、棍棒でも振るかの様に振り上げ、ノアを幾度も無く地面に叩き付けた。
ビュオッ!ザクッ!
ヴギャッ!?
バババッ!ズザッ!
5度目の叩き付けの前に、掴んでいたノアから再び蹴りが放たれ、左の首筋に突き刺さる。
流石のジクルタ・ドラッサオも攻撃を止め、苦しみの声を上げつつノアを解放。
身を翻して地面に着地したノアは無傷であった。
「ば、馬鹿な…何であの叩き付けを受けてピンピンしてるんだ…!?」
「地面をよく見てみなさい。
激突の際に地面に蹴りや拳を放って衝撃を殺しているのでしょう…
やってる事は無茶苦茶な事ですがね…」
ハナの言う通り、ノアの周囲の地面には叩き付けのモノとは別の陥没痕が出来上がっている。
轟音が響き渡る程の攻撃を殺すとなると、ノアの放った攻撃も相当なモノであろう。
「…彼の戦いは初めて見るが…何と凄まじい…
なる程…市井の者達から"噂"が出てくるのも仕方の無い事だな…」
「う、"噂"??
アイツに何の噂があるって言うんだ?」
「実は彼こそが今代の"【勇者】"では無いか、と言う噂だ。
彼の情報を知る我らは違うと知っているが、知らない者達は皆彼を【勇者】と信じている様だぞ。」
「な、何だと…」
冒険者になってまだ僅か2ヶ月程ではあるが、通常では考えられない戦果を幾つも挙げているノアは、実は"【勇者】"ではないか。
と言う噂が実しやかに囁かれていると言う。
「ゆ、【勇者】は俺だぞ!?何故そんなデマが…」
「野盗200人を退け、フリアダビアで【魔王】の手先討伐に貢献し、王都で国盗りを阻止し、凶悪なモンスターを討伐し、近々世間一般に公表される"ある事"に絶大な貢献をした冒険者と、ここ3年悪い噂しか聞かない【勇者】。
市井の者達はどちらを"本当の【勇者】"とするかしらね。」
「う…うぅ…」
ドガガガガッ!ガゴッ!ズンッ!ドガッ!
ヴボア"ア"ア"ア"ッ!
ドボボボボッ!ズンッ!ドゴッ!
「ふぬぬっ!防御っつぅもんを知らないのか!
全く防ごうとしやがらねぇ!」
未だ戦闘継続中のノアは、ジクルタ・ドラッサオの肉体に、素直に驚かされていた。
ハナの説明では"生命活動の全てを攻撃に振っている"とあったが、だからと言って防御を捨てた脳筋という訳では無い。
防御面を考え無くても良い程に体を作り上げている為に取れる戦法と言える。
(『皮は勿論の事、全身筋肉ギッチギチで堅牢だし、攻撃と防御を兼ね備えてやがる…
どうする?俺が出るか?』)
「いやいい!
相手はモンスターとは言え、正々堂々真っ正面から挑んで来てるんだ。
ここは自分の手でケリを着ける。」
(『分かったよ。
大丈夫だと思うが、危なくなったら介入するからな?』)
「はいよ!」
単体戦闘力だけで言えばバーサークベアを越えるモンスター相手に、頬を伝う汗をペロリと一舐めしつつノアは果敢に攻める。
だがこの時ノアは忘れていた。
ここはあくまで"ダンジョン内"だと言う事を。
ガコンッ!ゴゴゴゴゴゴ…
「え?…あっ!」
ウボォッ!?
ノア達が居る場に轟音と共に揺れが襲う。
『時の迷宮』に突入して2時間が経過した為、別フィールドに変化し始めたのである。
ゴゴン…ゴゴゴゴ…
泥濘んだ地面や、生い茂っていた木々のある風景に線が走り、轟音と共に割れて石畳に変わっていく。
ウボゥ…フンッ。
ジクルタ・ドラッサオは、『時の迷宮』内で生まれた故、フィールドが変わり始めると共に鼻を鳴らし、落ち着きを取り戻す。
き
……。
だが先程までバチバチに戦っていたからか、名残惜しそうにノアを見やる。
「お互い消化不良だな…
もしまたフィールドが合った時は続きをやろう。」
…フンッ。
ノアが何を言っているか分からないが、ジクルタ・ドラッサオは"フンッ"と鼻を鳴らした後、鬱蒼と生い茂る森の中へと消えていった。
ノアとしては珍しく、戦って決着が着かなかった初めての相手とも言える。
ガコッ!ゴゴゴゴゴゴン…
「…変化が止まった…
という事は次のフィールドに移ったんだよね…」
(『その様だな。
…薄暗ぇし、床が石畳っつー事はどっかの建物ん中か?』)
「部屋の外には幾つか反応があるし、探索を開始したい所だけどその前に…」
「ノアくーん、大丈夫ですかー?」
「お、来た。」
待機していたノアの元にハナ、ハウンド、アークの3人がやって来た。
「えぇ、こちらは特に問題ありませんよ。
お2人も無事な様で良かった。
おぅ生きてたか、ポンコツ。次馬鹿な事したらブチ殺すぞ。』ズズズズ…
「…はい…」
ハナとハウンドの無事を確認した直後、赤黒いオーラを立ち昇らせてアークを睨み付けるノア。
ジクルタ・ドラッサオとやり合う切っ掛けとなったのはアークが<洗脳>を仕掛けた事が発端である為、釘を刺す意味を込めている。
その結果アークは凄惨な体験を受けた為か、先程の様に喚き散らす事はせず、素直に謝ってきた。
「もう…もうあの様な経験はしたくない…
これからは心を入れ換えるからあの様な事は「待った。そう口で言うのは簡単だ。
口だけじゃなく行動で示せ。」
アークが訴え掛けてくるが、手で制したノアはこれからの働きで判断する事を伝える。
似た例である現スロア領の領主となったデミも、最初はやたらとノアに突っ掛かって来る面倒臭い奴だったが、ノアと関わった結果改心して信頼を得ている。
「特にアンタは、今までして来た内容が内容なだけに俺含めてアンタに対する評価は最低だ。
ちょっとやそっとの事じゃ覆らないから覚悟しておいて下さい。」
「あ、あぁ…分かった。」
殺気の籠った目で睨み付けると、アークは弱々しくではあるが返事を返して来た。
「…で、今更ですがここはどんなフィールドなんですか?
何処かの建物の中みたいですが…」
「通常ですと『時の迷宮』は熱帯雨林や沼地、火山に砂漠等のフィールドなのですが、たまに変わったフィールドに飛ばされる事があります。
もしかしたらここもその1つかも知れませんね。」
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